概要
戦乱の時代、抜刀を封じた浪人名無しは、明の国から来た孤児の仔太郎救ったことから、仔太郎用心棒として雇われて一緒に赤池ノ国の万覚寺を目指していた。一方、仔太郎の身体に隠された秘密を求める明国の老宦官白鸞とその配下の武装集団は赤池ノ国の領主と結託し、仔太郎の行方を追っており、その中には満たされぬ思いで同道する金髪碧眼の刺客羅狼の姿があった。
登場人物・キャラクター
名無し (ななし)
名前、年齢、出自等その素性は一切不明の浪人。全身には多数の刀傷が残っており、剣の腕も確かな歴戦の武士だったようだが、秘めた過去故に自分の剣は簡単に抜けないように封じている。黒い髪は実は木の実を煮出した染料で染めたもので、実際は赤い髪をしており、どうやら日本人ではないらしい。 荒寺で出逢った、仔太郎に雇われて、供に旅することになる。
飛丸 (とびまる)
仔太郎の愛犬で、柴犬系の雑種。仔太郎への忠誠心が強く常に行動を供にしている。その一方で、信頼できる味方を見抜く目も確かで、最初の出会いで仔太郎が不信感を露にしていた名無しにもすぐになついた。
羅狼 (らろう)
白鸞配下の武装集団の中でも最強の剣士で、その出自は西洋系らしい金髪碧眼の異人。常に強敵と剣を交えることを求めており、仔太郎を求めての日本行には満足していなかったが、その想いは名無しと対峙したことで一変する。 日本刀を模した倭刀の使い手。
祥庵
赤池ノ国にある万覚寺の僧侶。修行で渡っていた明国で、天涯孤独の身となった仔太郎と出逢い日本に連れ帰るが、武装集団の襲撃で離れ離れになってしまう。仔太郎を気にかけ、彼自身も仔太郎に慕われていたが、師である絶界には逆らうことはできなかった。
仔太郎 (こたろう)
修行僧祥庵に連れられ、明の国から渡ってきた天涯孤独の少年。祥庵と離れ離れになり、愛犬の飛丸と旅を続けていた際に名無しと出逢い、彼を用心棒に雇う。向こうっ気が強く、他人には心を許さない。 名無しに対して生意気な態度をとるが、それは天涯孤独の身となり内に抱える孤独の裏返しである。その身体に隠された秘密から、白鸞と配下の武装集団に追われている。それは彼の身体に流れる血が、仙薬精製の鍵と目されていたためだった。
風午 (ふうご)
白鸞配下の武装集団の一員で、鷹使いの少年。腕の立つ羅狼に心酔している。武器は双振りの剣。
虎杖 将藍 (いたどり しょうげん)
赤池ノ国領主からの信頼篤い重臣だが、実はその領内一を誇る武道の腕を持って一国一城の主となる野望を胸に秘めている。剣の達人だが、それ以上に槍の扱いを得意とする。名無しとは赤池ノ国に仕官する以前に因縁があった。
赤池ノ国
戦国の世、日本海に面した地方の小国で、国の名はその地にある美しい池に由来する。
戌 重郎太 (いぬい じゅうろうた)
赤池ノ国の年若き武士で、虎杖将藍の忠実な部下。剣の腕前は然程ではないが、弓の名手である。領主の娘荻姫に想いを寄せている。
白鸞 (びゃくらん)
白髪の老宦官。博学だが冷酷。明国皇帝の命を受け、不老長寿の仙薬を得る為に仔太郎を追って日本に渡ってきた。各々腕の立つ刺客である武装集団を引き連れているが、羅狼を除く刺客たちには自ら調合した秘薬を服用させており、その効果で刺客たちの感覚を研ぎ澄まさせ、戦闘力をアップさせると同時に、自分にとっての道具として従わせている。
領主 (りょうしゅ)
赤池ノ国の領主。その真の目的を知らぬまま金目当てで、明国から来た白鸞とその配下の武装集団と結託し領内に招き入れる。虎杖将藍にその目的を探らせ、裏を書こうと画策するも、謀略に気づいた武装集団に拉致されてしまう。
絶界 (ぜっかい)
万覚寺の住職で、禅宗の一派の有力者。弟子の祥庵を修行のため明国に派遣したが、その一方で世俗的な欲も強く、万覚寺に辿りついた仔太郎を武装集団に渡してしまう。
その他キーワード
仙薬 (せんやく)
服用した者を不老不死にする力があるとされた幻の薬。明の皇帝からの命を受け、赤池ノ国に来た白鸞によれば、製薬するには特別な少年の血液を用いて、選ばれた日に製薬の儀式を行う必要がある。
獅子音の砦 (ししねのとりで)
赤池ノ国と他国を隔てる山の一つである獅子音の山腹にある砦で、かつて赤池に滅ぼされた国が作ったもの。赤池領になってからは使われていなかったが、領主と話をつけた白鸞が、仙薬を得る為の生贄の儀式を執り行おうとした。