あらすじ
空手との出会い
千葉県で暮らす那須川天心は、心優しい少年ながら気が弱く、幼稚園の入園式でも泣いてばかりいた。そんな息子に強くなってほしいと願う天心の父親の那須川弘幸は、天心を空手道場に通わせることを決める。最初は泣きながら道場に通っていた天心だったが、稽古は決して休むことはなく、やがて道場の同世代の友達もでき、徐々に空手中心の生活にも慣れていく。その後、天心は初めて空手の試合に出場するが完敗し、息子の敗北に悔し涙を流した弘幸は、天心を強くすることに人生を捧げると決意する。そして弘幸は自宅にトレーニング場まで作り、週3回の空手道場に加えて、自宅でも日々空手の猛特訓を始める。父親の厳しい特訓に心が折れそうになる天心だったが、二度目となる大会では全試合一本勝ちで優勝を飾る。この優勝で天心は自分があらためて空手が好きであることを自覚し、もっと強くなりたいと願うようになる。
ライバル
小学校に進学し、空手づけの毎日を送る那須川天心は、千葉に那須川ありといわれるほどに頭角を現していた。そんな天心は千葉代表として関東大会へ出場するものの、同学年の対戦相手である東京代表の安藤礼は、中学生とまちがえるほどの体格を誇り、惨敗を喫してしまう。すっかり心が折れてしまった天心だったが、父親の那須川弘幸は次は必ず安藤から一本取らせてみせると宣言し、親子二人での猛特訓を開始する。そして迎えた次の関東大会、天心は安藤に善戦するものの、またしても敗れてしまう。小学3年の部で優勝を果たした安藤は、試合後に天心のもとを訪れて親交を深め、来年もまた戦おうと約束する。小学の部は5年生から体重ごとに階級が分かれるため、体格差のある二人が戦えるのは来年が最後のチャンスとなる。さっそく天心は地元に戻り、父親と共に打倒安藤の特訓を再開。日々練習を重ねて、一撃必殺の「胴廻し回転蹴り」を習得し、いよいよ全国大会へと挑む。決勝で安藤と対決することになった天心は、渾身の胴廻し回転蹴りを繰り出すが、ぎりぎりのところで安藤にブロックされてしまう。延長でも決着はつかず、判定も引き分けとなるが体重判定によって、天心の勝利となるのだった。
キックボクシングの世界へ
空手の全国大会で優勝した那須川天心は、その年、日本代表として世界大会にも出場し、圧倒的な強さで優勝を果たす。それから数日後、天心はテレビで見たキックボクシングの華やかな世界に魅了される。心を激しくゆさぶられた天心は、キックボクシングをやってみたいという気持ちを父親の那須川弘幸に伝える。弘幸はその申し出を快諾したものの、やり残したことが一つあると天心に告げる。それは、ライバルの安藤礼との勝負だった。天心は空手大会にあえて重量級でエントリーするものの、安藤との圧倒的な体格差で一本負けしてしまう。こうして天心は清々しい気持ちで空手を引退し、父親と共にキックボクサーとしての道を歩み始める。小学6年生になった天心は、週に一回体育館で特訓し、それ以外の日は近所のジムに稽古に出かけて、自宅では父親との練習に明け暮れていた。次第にプロを意識するようになった二人は、「チーム・テッペン」を結成する。そして、二人で始めたチーム・テッペンは、数多の選手が在籍する「TEPPEN GYM」へと大きく変貌を遂げていくこととなる。そして天心は、ついに初の世界タイトル戦に挑むこととなる。
登場人物・キャラクター
那須川 天心 (なすかわ てんしん)
千葉県で両親と共に暮らしている少年。気が弱く泣き虫な自分に強くなってほしいと願う父親、那須川弘幸によって無理やり空手道場に通わされる。当初は嫌々道場に通っていたが、二度目に出場した空手大会で優勝してからは真剣に空手に取り組むようになる。父親との猛特訓の日々や、ライバルの安藤礼との出会いを通じて成長を遂げ、小学生で全国大会優勝に次いで世界大会でも優勝を果たした。決め技は、一撃必殺の「胴廻し回転蹴り」。その後、キックボクシングの世界に魅了され、キックボクサーとしてテッペンを目指す。実在の格闘家、那須川天心がモデル。
那須川 弘幸 (なすかわ ひろゆき)
那須川天心の父親。泣き虫の息子に強くなってほしいとの思いから、天心を近所の空手道場に通わせる。天心が最初の大会で完敗を喫して悔し涙を流し、天心を強くすることに人生を捧げることを決意する。自宅にトレーニング場を作り、自らトレーナーを務めて親子二人三脚で空手生活を続ける。天心に嫌われるのを覚悟のうえで非常に厳しく接するが、何よりも家族のことを大切に思っている。キックボクシングジム「TEPPEN GYM」の会長を務める。
天心の母 (てんしんのはは)
那須川天心の母親。夫の那須川弘幸による天心への厳すぎる指導を心配しつつも、おいしくて栄養のある料理を振る舞って二人を支えている。弘幸が自分の夢を捨てて、天心のために自らの人生を捧げている強い思いを尊重している。
安藤 礼 (あんどう れい)
空手選手の少年で、小学校低学年の時に東京代表として関東大会に出場して那須川天心と戦った。中学生と見間まちがえるほどの立派な体格を誇り、試合では天心を圧倒した。サッパリとした性格で、試合後は天心に話しかけてすぐになかよくなり、よきライバル関係となる。
藩 平太 (はん へいた)
空手選手の少年で、全国大会の初戦で那須川天心と戦った。1年前の全国大会では、決勝戦で安藤礼に敗れており、リベンジを誓っている。スタミナと打たれ強さでは安藤を上回ると自負し、天心を秒殺してやるとなめてかかるが、天心の「胴廻し回転蹴り」を食らって一本負けする。