概要・あらすじ
♯ハドリアヌスが皇帝として君臨していた古代ローマ時代。自分の設計した浴場が採用されずに落ち込む、浴場設計技師である主人公のルシウスは、気分転換にと入った浴場で奇妙な排水溝を発見、調べようとすると吸い込まれてしまう。
やっとの思いで水中から脱出すると、そこには同じ人間だがルシウスが見たこともない民族と、高い技術で作られた斬新な様式の浴場が広がっていた。
登場人物・キャラクター
ルシウス・モデストゥス (るしうすもですとぅす)
アテネで最新の建築技術]を習得した古代ローマの浴場設計技師。仕事熱心で真面目な男だが職人気質で妥協を許さず、仕事に入ると周囲が見えなくなることも多い。浴場設計で悩んでいる時に偶然、現代日本にタイムスリップしてしまい、そこで(ルシウスから見れば)斬新な日本の浴場文化にカルチャーショックを受ける。 しばらくすると古代ローマに帰還するのだが、ルシウスは現代日本で得たアイデアを古代ローマで再現して評判となる。 浴場に関係する場所にタイムスリップを繰り返したルシウスは、そのたびに斬新なアイデアを具現化して、次第に売れっ子の浴場設計技師となっていく。
ラーメン屋のおやじ (らーめんやのおやじ)
温泉地でラーメン屋を営む中年の店主。温泉地にタイムスリップしたルシウスにラーメンを提供する。美味しそうにラーメンを食べるルシウスの姿に感動し、ギョーザをサービスするなど、昔ながらの人情に溢れた人物。
銭湯のおやじ (せんとうのおやじ)
ルシウスが初めてタイムスリップして出現した日本の銭湯に偶然居合わせた客のひとり。右も左も言葉も分かっていないルシウスに親切に対応するほか、フルーツ牛乳をおごってルシウスにカルチャーショックを与える。
山口 (やまぐち)
浴室メーカーのショールームに勤務する女性。ショールームに設置してある浴槽にタイムスリップしてきたルシウスを、外国から視察に来た人物と勘違いしてしまう。言葉も分からないルシウスに親切に対応し、ショールームの最新浴室システムを説明していく。
ハドリアヌス帝 (はどりあぬすてい)
ローマ皇帝で「五賢帝」の1人。斬新な浴場を設計するルシウスの噂を聞いたことから興味を持ち、ルシウスを自ら呼び出して浴場を作らせる。男色趣味があることから、ルシウスがハドリアヌスの愛人だという噂が流されてしまう。 実在の人物であるハドリアヌスがモデルとなっている。
レピドゥス執政官 (れぴどぅすしっせいかん)
余命いくばくもない身ながら、余生はヴェスビオス火山を眺めながら送りたいという願いから、別荘地内に野外浴場を作るようにルシウスに依頼する。野外浴場の完成後、浴場に浸かりつつ、ルシウスの進言通りに温めたワインと熱した玉子を食べ続けた結果、死ぬどころか体調が良くなり、新しい妻と子供までもうけてしまう。
マルクス・ピエトラス (まるくすぴえとらす)
主人公であるルシウスの親友。石工であり彫刻家でもある。ローマで年老いた師匠と暮らしている。明るい楽天家で女好きで、いつも悩みを抱えて暗いルシウスの良き相談相手となっている。
山賊長 (さんぞくちょう)
ヴェスビオス火山の麓に温泉地を作るように依頼されたルシウスが、現地視察で遭遇した山賊の長。最初はルシウスから金品を強奪するつもりだったが、ルシウスの浴場に対する熱気に当てられ、率先してルシウスの温泉地開拓に協力する。 後に温泉地に多く作られた各種商店を仕切る長になる。自身はルパナル(娼館)を仕切っており、客引きも担当する。
場所
テルマエ
『テルマエ・ロマエ』に登場する古代ローマの公衆浴場の呼称で、「テルマエ」とはラテン語で「浴場」を意味する。古代ローマでは浴場は重要な生活の一部であり、貧富の差はなく誰でも利用できた。 一般的に「テルマエ」といえば公衆浴場のことで、現代の様式とはかなり異なっていたが、脱衣室や男女別の浴室など、多くの共通項も存在する。私的な浴室はごく限られた上流階級の暮らす邸宅や砦にしかなかったらしい。 なお、タイトルの『テルマエ・ロマエ』とは、ラテン語で「ローマの浴場」という意味である。
その他キーワード
平たい顔族 (ひらたいかおぞく)
『テルマエ・ロマエ』の主人公であるルシウスが、タイムスリップした先で出会った日本人を総称した呼称。彫りが深く、目鼻立ちがくっきりしている古代ローマ人であるルシウスから見ると、日本人の顔の彫りは浅く、まるで平面に見えることから勝手にルシウスが呼称した。 当初は奴隷の一族と侮っていたが、風呂の文化に触れることで一目置くようになる。
クレジット
原作
テルマエ・ロマエ (てるまえ ろまえ)
作者のヤマザキマリにとって初の青年誌連載作品。古代ローマの浴場設計技師ルシウス・モデストゥスが、ふとしたきっかけで現代日本の銭湯にタイムスリップ。それまで見たことのない風呂文化に触れたルシウスは、大き... 関連ページ:テルマエ・ロマエ