あらすじ
第1巻
第14代皇帝ハドリアヌスが統治し、活気にあふれ文明が進み続けるローマ。あらゆる事に斬新さが求められている時代、風呂を愛する設計技師のルシウス・モデストゥスは、アイディアの古さを事務所に指摘され職を失ってしまう。自分の技術が業界に求められていない事を悟り落ち込むルシウスは、友人のマルクス・ピエトラスに誘われて公衆浴場を訪れる。しかし客達の騒々しさに呆れたルシウスは、静けさを求めて湯に身を沈め、浴槽の隅にある奇妙な排水溝を発見する。興味を持ったルシウスが排水溝を調べていると、突然足から吸い込まれてしまう。目覚めた先はまったく知らない浴場で、ルシウスは奴隷用浴場だと勘違いするが、そこは1900年後の日本の銭湯であった。未来にタイムスリップした事に気づいていないルシウスは、未知の文明と見た事もない様式に衝撃を受ける。そこでルシウスは、平たい顔族の男性にもらったフルーツ牛乳に感動するが、いつのまにかローマに戻っていた。フルーツ牛乳の味が忘れられないルシウスは、自らその味を再現した果汁入り牛乳をローマ人達に販売し、大反響を呼ぶ。これをきっかけにルシウスの評判は少しずつローマ中に広まっていき、のちに彼は斬新な風呂と文化を開発して名声を勝ち取っていく。
第2巻
ルシウス・モデストゥスは、ローマと未来の日本の風呂を行き来できるようになっていた。ルシウスの設計技師としての評判を聞いたローマの役人は、彼に風呂設計の依頼をするようになる。ルシウスはタイムスリップするたびに目にする風呂文化に衝撃を受け、そこで出会った平たい顔族から得たアイディアをヒントに革新的な設計を考案し、ローマ人達から高い評価を得る。その斬新なアイディアは大きな反響を呼び、ローマのあちこちにルシウスが考案した浴場ができていた。やがて、ローマ中に広まったルシウスの知名度は、皇帝ハドリアヌスの興味を引くほどになっていた。エルサレムでの仕事を終え、久しぶりに自宅に帰り妻のリウィアと再会しようとしたルシウスだったが、彼女は仕事ばかりのルシウスに愛想をつかし、置き手紙を残して家を出て行ってしまう。ルシウスは仕事に没頭するあまり妻と心が離れがちだった事を後悔し、酒に溺れてしまう。心配したマルクス・ピエトラスはルシウスを誘って、男性機能を取り戻す薬を作っている女祭司オイノテアの館を訪れる。だが、リウィアとよりを戻すためにオイノテアの薬液に身を沈めたルシウスは、金精祭りで盛り上がる日本の田舎村にタイムスリップしてしまう。
第3巻
タイムスリップするたびに平たい顔族の風呂文化に触れたルシウス・モデストゥスは、数々の斬新な浴場を作り出し、皇帝ハドリアヌスからも信頼されるお抱えの設計技師となっていた。しかし、それをよく思わないローマの元老院議員達は、以前から反感を抱いていたハドリアヌスの人気を支えているルシウスを亡き者にしようと企み、密かに集まって計画を練り刺客を差し向けようとしていた。それを知らないルシウスは、使者から書状を受け取り、危険な温泉鉱脈にハドリアヌスの保養地を開発する事となる。それが元老院よって作られた偽の書状であると気づかないまま、ルシウスはハドリアヌスのために急遽温泉鉱脈に赴く。しかしそこには、元老院達が差し向けた山賊達がうろついており、ルシウスを襲おうとする。山賊達が何日も風呂に入っていない事に気づいたルシウスは、鉱脈に沸いた温泉に彼らを誘い、湯に浸かった山賊達は目的を忘れ骨抜きにされてしまう。一方、足を滑らせたルシウスは岩ごと湯に沈み、浮き上がった先は未来の日本の温泉街だった。のどかで活気に満ちた温泉街に強い興味を持ったルシウスは、浴衣に身を包みあちこちの店を回り始めるのだった。
第4巻
気候の厳しいパンノニアに遠征していたルキウス・ケイオニウス・コンモドゥスは、持病を悪化させ体調を崩して倒れてしまう。報せを受けたルシウス・モデストゥスは、急遽皇帝ハドリアヌスの別荘を訪れる。自分の死期を悟ったケイオニウスは、ハドリアヌスとローマのために十分な働きをする前に、この世を去る事が無念だと涙する。その姿を見たルシウスは、ケイオニウスを軟弱者と決め付けていた自分を恥じ、彼への認識を改める。ケイオニウスは付き合っていた女性宛ての手紙をルシウスに託し、ルシウスが見守る中で息を引き取るのだった。一方、ケイオニウスの死を聞いたハドリアヌスは取り乱して自暴自棄になる。見かねたルシウスはハドリアヌスを風呂に誘い、今後のローマの未来について語り合う。ルシウスはハドリアヌスから、まだ若いマルクス・アンニウス・ウェルスの力になる事に加え、バイアエの温泉保養地の改修事業を任される。ローマ帝国の未来を左右する重要な大仕事を受けたルシウスは、湯気に覆われその場の風呂から消えてしまう。またしても知らない風呂にタイムスリップしてしまったルシウスだったが、そこには女神ディアナのように美しい、平たい顔族の女性が立っていた。
第5巻
伊藤温泉にタイムスリップしたルシウス・モデストゥスは、何度試みてもローマに帰れなくなり、行き場をなくしてしまう。ルシウスはそこで出会った温泉芸者の小達さつきの提案を受け、東林館で働く事になった。ルシウスはさつきに助けられながら、温泉宿についてより深い知識を得る。同時にルシウスは、自身がローマで成すべき使命の大切さについて自覚し、働きながら帰る方法を模索する。だが、ルシウスが手本としている伊藤温泉には、古い旅館や施設を買収して大規模リゾートを開発しようと企てる者達の魔の手が忍び寄っていた。伊藤温泉を守ろうとするルシウスは、さつきを助けたり彼女に助けられたりする内に、恋心を抱くようになっていく。ルシウスがただの外国人ではない事を悟ったさつきも彼の事を気にするようになり、二人の心は互いに距離を縮めていた。そんな中、伊藤観光牧場に向かったルシウスは、そこで圭介と武内組が牧場の売却を迫っている事を知る。見かねたルシウスとさつきは、かつて知り合った牝馬のハナコと牧場を守るため、圭介達に立ち向かおうとする。
第6巻
伊藤温泉の危機を救って小達さつきへの思いを告げたルシウス・モデストゥスは、彼女の目の前で突如姿を消し、故郷のローマへと戻ってしまう。ルシウスが消えた事で彼への恋心を自覚したさつきは、あらゆる手段を使って彼を探すが、再会はかなわなかった。ローマに戻って皇帝ハドリアヌスと再会したルシウスは、瀕死状態の彼から託された「後世に残る最高の温泉保養地」の建設に力を入れていた。ルシウスはローマの未来がかかった大仕事に集中するため、何度もさつきへの思いを飲み込もうとするものの、どうしても彼女の事が忘れられない。一方、ルシウスへの思いがあきらめきれず奔走するさつきは、彼の手がかりを得るにはバイアエ遺跡の発掘調査が必要だと考える。しかし、大学の予算だけではバイアエの調査に行くのは難しい事を悟り、さつきは落ち込んでいた。さつきの気持ちを察した小達鉄蔵は、若い頃から培って来た人脈を駆使して、友人や知人にさつきのスポンサーになるよう依頼。さつきがルシウスとの再会をあきらめかける中、彼女に多数のスポンサーが付く事が決まる。しかし、さつきの成功を祈りながら風呂に入った鉄蔵は湯気に包まれ、風呂場から姿を消してしまう。
登場人物・キャラクター
ルシウス・モデストゥス
ローマで設計技師をしている、風呂をこよなく愛する男性。主に公衆浴場の設計をしていたが、生真面目な性格が災いして時代の変化についていけず、事務所から解雇される。マルクス・ピエトラスと訪れた浴場の排水溝を通じて、未来の日本(現代日本)の銭湯にタイムスリップする。日本で見た風呂文化に衝撃を受け、ローマに戻ったあとは、未来の日本をヒントに新たな浴場や道具を開発する。その成功で名前がローマ中に広まり、皇帝ハドリアヌスのお抱えの設計技師として、多くの浴場の設計に携わるようになる。現代日本とローマを行き来できるが、ルシウス・モデストゥス自身の意思とはまったく関係なく、突然未来に飛ばされる事が多い。現代日本にタイムスリップしている自覚はなく、日本人の事はローマ属州の奴隷だと勘違いし、平たい顔族と呼んでいる。謹厳実直な性格で、つねにローマの事を思って勤勉に働いている。サビヌス・アエティウス・モデストゥスの影響で、古い物も大切にすべきだと考えており、新しい浴場の影響で経営困難となった老舗浴場の復興にも協力した。仕事に没頭して自宅に帰らなくなり、妻リウィアに見放される。しばらくは女性と無縁だったが、伊藤温泉で出会った小達さつきに恋心を抱くようになる。
マルクス・ピエトラス
ローマ在住の石工で、腕の良い彫刻家。ルシウスとは旧知の間柄で、仕事や夫婦関係など様々な悩み事を抱えるルシウスの相談によく乗っている。現代日本で着想を得てきたルシウスが、様々な発明品を形にできるのも、身近に手先が器用なマルクスの存在があるからこそ。
ハドリアヌス
ローマを統治している14代皇帝の男性。内政や哲学に優れた聡明な皇帝として、「五賢帝」の一人に数えられる。多くのローマ市民から支持されているが、統治者としてだけでなく、さまざまな建造物を設計して来た優れた建築家でもある。ローマ中で有名になっていたルシウス・モデストゥスに興味を持ち、新たな浴場の設計を依頼する。それ以来、時おりルシウスを呼び出しては、重要な浴場や保養場の設計を依頼している。戦争で領地を広げる軍事よりも、ローマの現状と平和を維持する事を優先しており、ルシウスからも多大な尊敬と信頼を寄せられている。高齢と元老院議員達との亀裂のため心身共に疲弊していたが、ルシウスが設計した斬新な風呂に入る内に、活力を取り戻していく。ルシウスに大きな信頼を寄せるようになり、彼をお抱え設計技師として迎え入れ、個人的にもさまざまな仕事を任せるようになる。次期皇帝候補として養子にしていたルキウス・ケイオニウス・コンモドゥスが亡くなった際に自暴自棄になるが、ルシウスとローマの未来を語り合い、彼にバイアエでの保養地大改装という重要な任務を託す。実在の人物、プブリウス・アエリウス・トラヤヌス・ハドリアヌスがモデルとなっている。
アポロドロス
シリアの属州であるダマスカス出身の技師。建築家であるだけでなく、彫刻家や発明家としても天才的な技術を持ち、弩砲などの攻城兵器を開発した。ハドリアヌス帝とは折り合いが悪い。風呂が大好きで、ルシウスとは良き風呂仲間に。同時代の実在人物ダマスカスのアポロドロスがモデルとなっている。
ルキウス・ケイオニウス・コンモドゥス
皇帝ハドリアヌスが次期皇帝候補者として養子にした青年。妻と、まだ幼い息子のルキウスがいる。美青年で頭の回転も速いがかなりの女好きで、妻子持ちであるにもかかわらず、よく宮中の女性に手を出している。その好色ぶりと病弱さから、ルシウス・モデストゥスからは「女たらしの軟弱男」と内心で軽蔑されている。さらに元老院議員達からは失脚を狙われている事から、ルキウス・ケイオニウス・コンモドゥスのサポートを任されたルシウスをたびたび悩ませている。後継者候補となったあとは、名前を「ルキウス・アエリウス・カエサル」に改めた。病弱で体調を崩しがちだったが、ルシウスが新たに発明した風呂に入って体調を持ち直す。しかし、気候の厳しいパンノニアに派遣される内に、持病が悪化し倒れる事となった。その後はハドリアヌスの別荘で療養していたが、養父であるハドリアヌスとローマのために十分働けないままこの世を去る事を無念に思い、ルシウスの前で涙する。西暦138年1月1日、付き合っていた女性達に宛てた大量の手紙をルシウスに託し、皇帝になる事なく息を引き取る。実在の人物、ルキウス・アエリウス・カエサルがモデルとなっている。
マルクス・アンニウス・ウェルス
ルキウス・ケイオニウス・コンモドゥスの娘の婚約者。非常に聡明で頭脳明晰、さらに東洋の文献も読破するほど勤勉な性格。15歳の少年ではあるが、ハドリアヌス帝も将来の皇帝候補と目して信頼を置いており、行政長官を任せている。後にマルクス・アウレリウス・アントニヌスと名を改め、五賢帝の最後を飾る哲人皇帝となった。 同時代の実在人物マルクス・アウレリウス・アントニヌスがモデルとなっている。
小達さつき (おだて さつき)
ルシウス・モデストゥスがタイムスリップ先で出会った、平たい顔族の聡明な女性。唯一の肉親である祖父の小達鉄蔵と二人暮らし。東京大学の大学院卒で、ふだんは古代ローマ史の研究者として東京大学で働きながら、伊藤温泉の芸妓としても活躍している。美貌と天才的な知識に恵まれた才色兼備の女性として、伊藤温泉内で有名な存在。英語やイタリア語に加えラテン語も習得しており、平たい顔族の中でルシウスが初めて言葉を交わした人物でもある。ルシウスからはその美しさを女神ディアナに例えられ、「ディアナ」と呼ばれている。幼少期に亡くなった母親の桃千代が遺した「質実剛健」の意味を調べていく内に、ユリウス・カエサルに強く惹かれるようになり、古代ローマの研究に没頭するようになる。大学時在学中の時点で教授の著書を超えるほどの博士論文を作成した天才で、オックスフォード大学の調査団と共に、ローマの発掘作業などに参加している。当初はルシウスの事を海外から派遣された外国人技師だと思っていたが、彼と接する内に古代ローマ人である事を悟る。やがて、ルシウスを助けたり彼に助けられたりする内に恋心を抱くようになる。非常に研究熱心で、まじめな性格。
小達 鉄蔵 (おだて てつぞう)
小達さつきの祖父で、唯一の肉親。伊藤温泉で鍼灸・整体業を営んでおり、一目見ただけでその人物の体調や内臓の状態を見抜くほどの名医。一見無口で無愛想だが孫のさつきの事を大切に思うなど家族思いの粋な老人で、顔が広く周囲からの信頼も厚い。三十路間近で浮いた話もなく研究に没頭しているさつきの事を、心配しながらも優しく見守っている。マムシエキスが入ったどくだみ茶をつねに冷蔵庫にストックし、愛飲している。昔は友人の松平梅吉と共に、伊藤温泉で悪さをしていた武内組を短時間で打ち倒した武勇伝を持つ。また、若い頃は「ゴールドフィンガー」の異名を持ち、女性からもモテていた。当時の腕っ節の強さは今でも健在で、成人男性をも力で圧倒する。ルシウス・モデストゥスが気になっているさつきの様子を見てルシウスを訪ねるが、彼の誠実さと堅実さを見抜き、安心して孫を託せる男性だと認める。大企業の会長から大物政治家まで幅広い人脈を持ち、ローマのバイアエ発掘を夢見るさつきのために、人脈を駆使して彼女に多数のスポンサーを付けた。
ハナコ
『テルマエ・ロマエ』に登場する牝馬。馬としては25歳という高齢ながら、伊藤温泉にあるいとう観光牧場で観光用の馬車なかよし号を牽いている。人見知りで知らない人間に触れられるのを好まないが、初めて出会ったルシウスに一目惚れ。ルシウスが立ち去った後、彼を恋しがって牧場を脱走するほどに気に入ってしまった。
桃千代 (ももちよ)
小達さつきの母親。不治の病に侵され、さつきが10歳の頃に亡くなっている。生前は伊藤温泉で一番の売れっ子として活躍していた温泉芸者で、その才能は娘のさつきにも受け継がれている。亡くなる直前、さつきには「質実剛健で不屈の男を選びなさい」と言い遺しており、さつきが古代ローマ研究に没頭するきっかけとなっている。
レグルス
レピドゥスの従者の男性。レピドゥスの依頼を受けたルシウス・モデストゥスの案内やサポートを務める。老衰し寝たきりになったレピドゥスを心配している。
圭介 (けいすけ)
東林館のとなりにあるホテル「パラダイス伊藤」の若旦那で、顔や性格はルキウス・ケイオニウス・コンモドゥスに非常に似ている。一見チャラく見えるが、実は気弱で小心者。高校時代から小達さつきに片思いし、しつこく言い寄っているが、彼女からは嫌がられている。数か月前から突然羽振りがよくなり、伊藤温泉のリゾート開発に協力しつつ、東林館などの旅館にもしつこく買収を持ちかけていた。数か月前に武内組の美人局に引っかかり、彼らに脅されてパラダイス伊藤も乗っ取られてしまう。それ以来、武内組の下っ端としてこき使われていた。
サビヌス・アエティウス・モデストゥス
ルシウス・モデストゥスの祖父で、優れた建築家。すでに亡くなっているが、多忙なルシウスの父親に代わって、よく幼いルシウスの面倒を見ていた。新しい物だけでなく古い物を大切にする事や、建造物の補修および保護の大切さなど、建築家としての心得を幼いルシウスに説き、彼に大きな影響を与えている。
山口 (やまぐち)
ルシウス・モデストゥスがタイムスリップ先で出会った、新人OLの女性。水まわり製品の製造および販売をしている会社のショールームに勤めている。
リウィア
ルシウス・モデストゥスの妻。気が強く、ルシウスには事あるごとに子供がほしいとせがんでいたが、彼にとってはそれが負担となり、かえって萎縮する原因となっていた。ルシウスが多忙でほとんど帰らなくなった事で愛想をつかし、手紙を残して家を去る。ルシウスの事はハドリアヌスの愛人になった男色家だと誤解している。
アントニヌス
皇帝ハドリアヌスの側近で、元老院議員の男性。ほかの元老院とは異なりハドリアヌスには忠実で、副官として彼の平和路線に協力している。ローマで名を上げていたルシウス・モデストゥスをハドリアヌスに引き合わせた。ルキウス・ケイオニウス・コンモドゥスが亡くなったあとは、新たな次期皇帝候補としてハドリアヌスの養子となった。身体的にも精神的にも不安定になっているハドリアヌスを心配している。実在の人物、アントニヌス・ピウスがモデルとなっている。
松平 梅吉 (まつだいら うめきち)
かつて伊藤温泉の顔役を務めていた男性で、小達鉄蔵の友人。若い頃に鉄蔵と組んで、伊藤温泉で悪さをしていた武内組を壊滅させた事がある。最近になって武内組が再び伊藤温泉で怪しい動きを見せている事に早くから気づき、警戒している。
レピドゥス
ローマのカンパニア州で、執政官を務めている老齢の男性。ルシウス・モデストゥスの設計した浴場に感動し、彼との対面を夢見ていたが老衰で体調を崩して寝たきり状態になる。療養中、ローマで名を上げたルシウスを別荘に呼び出し、ヴェスビオス山を眺めながら楽しめる屋外浴場の設計を依頼する。その後、ルシウスが日本の露天風呂をヒントに設計した屋外浴場を気に入り、何度も入浴する内に体調が大幅に回復し、若返ったような活気を取り戻す。
師匠 (ししょう)
彫刻家の男性で、マルクス・ピエトラスの師でもある。年齢は78歳で足腰が弱くなっており、公衆浴場に行く時は毎回マルクスとルシウス・モデストゥスの介助を受けている。のちに、日本の一般家庭の浴室にタイムスリップしヒントを得たルシウスによって、自宅の庭に個人用小型浴場を作ってもらう。これにより公衆浴場に通う必要がなくなったため、いつも自宅の小型浴場に入っている。
知恵 (ちえ)
ルシウス・モデストゥスがタイムスリップ先で出会った、田舎村に住む女性。子宝に恵まれず、姑からのいびりに悩んでいる。子供を授かる事を祈って村の金精祭りに参加していたところで、ルシウスに遭遇する。
オイノテア
ローマでさまざまな薬を作っている女祭司で、男性機能を取り戻す精力剤も作っている。一見怪しい老婆だが薬の効き目は男性から評判がよく、師匠も常連客として女性を買う前に訪れている。
集団・組織
武内組 (たけうちぐみ)
伊藤温泉で活動する暴力団で、伊藤温泉の古い施設を取り壊して大規模リゾート地を開発しようと暗躍している。30年前に小達鉄蔵と松平梅吉の殴り込みによって壊滅しかけていたが最近復活し、再び伊藤温泉内で怪しい動きを見せるようになる。美人局で脅した圭介を下っ端として使い、東林館をはじめとする旅館や施設を買収しようと目論む。
場所
伊藤温泉 (いとうおんせん)
未来の日本にある田舎の温泉街。東林館や圭介が経営する「ホテル伊藤」などの宿泊施設や、ハナコが飼われている「伊藤観光牧場」などがある。静岡県に実在する温泉街、伊東温泉がモデル。
東林館 (とうりんかん)
伊藤温泉内にある老舗温泉宿で、老夫婦が経営している。タイムスリップしたままローマに帰れなくなったルシウス・モデストゥスが、従業員として働くようになる。小達さつきが定期的に温泉芸者として訪れている。大規模リゾート地を開発しようと目論む武内組によって何度も売却を迫られており、ピンチに陥っている。
その他キーワード
平たい顔族
『テルマエ・ロマエ』に登場する用語。現代日本へタイムスリップしたルシウスは、彫りの深い古代ローマの人々とは違い、全体的に凹凸に乏しい顔立ちの日本人を指してこう呼んだ。