妹を殺した化け垢を追う主人公
縁城蒼吏は、妹の莫大な治療費を稼ぐために、悪質な行為も平気で行う炎上系動画配信者である。ある日、SNSで妹との会話を楽しむ蒼吏のもとに、霞流括という霊媒師が突然現れ、蒼吏のスマホを破壊しようとする。霞流によれば、蒼吏とやり取りをしているのは、1か月前に亡くなった妹の幽霊だという。死者のSNSアカウント(デッドアカウント)の一部は、スマホの中で「化け垢(ばけアカ)」という存在になるらしい。スマホから姿を現した妹は、みるみる怪物のような姿に変身し二人に襲いかかった。化け垢との戦いの中で霊力に目覚めた蒼吏は、霊媒師の学校「弥電学園」に編入。妹を殺したのが、「寂しがり屋のK」という化け垢だと知り、妹の仇(かたき)を討つことを誓うのだった。
電脳霊媒師VS電子化した幽霊
スマホやネットに宿る化け垢は、いわば電子化した幽霊である。昔ながらの霊媒師の霊能力では対抗できない。そこで編み出されたのが、電子機器を介した霊力のデジタル化である。具体的にはスマホ=受霊器で霊力を「電能」に変換して出力する。なお、電脳を出力した時点でスマホの充電残量は、能力者の霊力量に同期されるため、充電切れを起こさないためには、電脳の出力量をコントロールしなければならない。また、各自の電脳の種類は、スマホをどう使っていたかに大きく影響される。例えば、炎上系動画配信者だった蒼吏は「鬼火炎(おにぴえん)」、ポリコレ男子の霞流は「正義の鉄槌(ポリコレハンマー)」、粘着系女子の漆栖川希詠は「粘性水鉄砲(ラブリボルバー)」を武器に化け垢を祓う。
化け垢たちの教祖、寂しがり屋のK
化け垢は、下級・中級・上級・極級という等級に分けられ、中級以上のものは、特殊能力がある「厄持ち」と呼ばれる強敵である。ちなみに、蒼吏の妹を殺した「寂しがり屋のK」は、最も強い極級で、化け垢たちの教祖のような存在である。普段はネットの世界に潜っており、「GARAN」という執事のような化け垢と行動をともにしている。Kの目的は、人間を殺して化け垢を集め「化け垢の国」を作ること。現実世界にあるKのSNSアカウント(デッドアカウント)のフォロワーは今でも増え続けており、その多くが化け垢となっている。なお、Kに殺された被害者は、全員「血の涙」を流すため、Kの反抗を特定することは容易である。
登場人物・キャラクター
縁城 蒼吏 (えにしろ そうじ)
「弥電学園」1階乙組の男子生徒。高校を中退した15歳の少年で、スイーツと妹をこよなく愛する。妹の莫大な治療費を稼ぐため、「煽りんご」のアカウント名で、炎上系動画を配信していた。妹が亡くなり、化け垢となったことをきっかけに、「電脳」に目覚める。「寂しがり屋のK」に殺された妹の仇を討つため、霊媒師の養成学校「弥電学園」へ編入する。電脳は、化け垢を燃やす力を持つ蒼い炎「鬼火炎(おにぴえん)」。鬼火で燃やした体の部位を爆発的に強化する「炎上増強(ドーピング)」他の技を使う。
霞流 括 (かすばた くくる)
「弥電学園」1階乙組の男性生徒。炎上が大嫌いなポリコレ男子で、縁城蒼吏を嫌う。「クソ」という言葉を使うが、直後に反省して謝罪する。霊媒師の名門、曲直瀬家に生まれるが、修行という名の虐待に耐えかねて家を出る。その後紆余(うよ)曲折を経て、弥電学園に入学。それ以来、母の旧姓、霞流を名乗り、括という下の名前で呼ばれることを嫌う。電脳は、長柄ハンマーの姿をした「正義の鉄槌(ポリコレハンマー)」。無数のハンマーによる連続攻撃「正義の袋叩き(ポリティカルリンチ)」他の技を使う。
漆栖川 希詠 (うるすがわ きよみ)
「弥電学園」1階乙組の女子生徒。ツインテールが特徴で、芋けんぴが好物。「闇苺同盟」というバンドのベース、紅麗刃の熱狂的なファン。SNSの写真から住所を特定したり、女の存在を疑ったりする粘着系女子。電脳は、ストーカー気質を具現化したドロドロの銃「粘性水鉄砲(ラブリボルバー)」。
痣木 宵丸 (あざき よいまる)
「弥電学園」1階乙組の担任教師の男性。本職は僧侶で、短髪と法衣が特徴。女性への耐性はゼロで、言動はバカっぽいが、ずば抜けた力を持つ霊媒師。小さい頃から頭角を現し、18歳の時に災害級の妖魔を除霊したことで伝説になった。ある日突然現役を引退し、弥電学園で後進の育成に励んでいる。電脳が使えないアナログ人間で、霊力を扇子の形をした機械でデジタル変換し、巨大な鯉(こい)の姿をした「勇み鯉」を出して戦う。
寂しがり屋のK (さびしがりやのけー)
黒髪の少年の姿をした、最強最大の化け垢で、縁城蒼吏の妹を殺した張本人。蒼吏同様、蒼い炎の鬼火を操り、触れるだけで生き物の命を吸い取る。人間を殺害して化け垢を増やし、「化け垢の国」を築くことを目的としている。
書誌情報
デッドアカウント 8巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2023-04-17発行、 978-4065312667)
第2巻
(2023-06-15発行、 978-4065318867)
第3巻
(2023-08-17発行、 978-4065326176)
第4巻
(2023-10-17発行、 978-4065331590)
第5巻
(2024-01-17発行、 978-4065341810)
第6巻
(2024-04-17発行、 978-4065351901)
第7巻
(2024-07-17発行、 978-4065361221)
第8巻
(2024-10-17発行、 978-4065371312)