概要・あらすじ
大学教授の父親がチベットで行方不明となり、ゲイバーで働きながら東京で暮らしている高校生藤井八雲のもとに、ある日チベットからやって来たパイという少女が現れる。携えていた父親からの手紙によると、その少女は人間のように見えるが実は妖怪で、額に「第三の眼」がある「三只眼吽迦羅(さんじやんうんから)」という種族で、一族に伝わる「人化の法」を用いて人間になりたいと願っているという。
父親の手紙もさることながら、パイの人柄に触れ彼女を護りたいと願ったゆえに魔物と戦いその命を落とした八雲は、不老不死の術によりよみがえりパイを人間にする方法を見つけるため同行することを決めるのだった。
登場人物・キャラクター
藤井 八雲 (ふじい やくも)
糸のように細い目がトレードマークで、優しい性格の少年。平凡な高校生だったが、突然現れたパイを助けるために命を落とすことになり、不老不死の術によって蘇った。額の「无(うー)」のアザは「三只眼の守護者」であることを意味しており、不老不死の術を行った三只眼=パイが死なない限り八雲自身も死ぬことがない。 パイとは相思相愛の仲となるが、互いに相手を思って危地に単身飛び込んでいく傾向があり、八雲も行方不明となったパイ捜し香港と日本を行き来することが多かった。香港では、妖撃社の社員として「妖怪退治」を仕事としていたこともある。単独でパイを探している間に修行をし、地面等にに爪跡を走らせる「土爪(トウチャオ)」や光の術を反射する「鏡蟲(チンクウ)」等の「獣魔術」を習得していた。 口癖で、「ヤバイ」という意味の「ヤクイ」という言葉をよく使う。
パイ
髪をうしろでまとめ、中国語を話す女の子。三つ目の妖怪である「三只眼吽迦羅(さんじやんうんから)」の生き残りで、少女のように見えるが300年以上生きている。無垢な少女としてのパイと、大人びた口ぶりの三只眼(さんじやん)というふたつの人格があり、状況によって入れ替わる。パイは三只眼吽迦羅の秘法「人化の法」で人間の女の子になることを望んでいる。
三只眼 (さんじやん)
『3×3 EYES』に登場する、パイのもうひとつの人格。普段前髪で隠れている額の「第3の眼」が開かれた状態になると出てきて、みずからを「儂」と呼び、高飛車で他人を見下したような態度を取るようになる。死亡した藤井八雲の命をを自身の命と同化させることで、不死者の「无」として蘇らせた。「三只眼」が出てきている間の記憶を、パイは基本的に覚えていないが、パイと三只眼で会話をすることはできる。 「シヴァの爪」と呼ばれる御守りを持っていると、三只眼は封じられおいそれと出てくることができなくなる。
綾小路 ぱい (あやのこうじ ぱい)
パイがひとり戦いに赴き行方不明となった後、東京で普通の女子高生として暮らしていた女の子。「きゃぴきゃぴ」した性格で、見た目はパイにそっくりで本人にしか見えないが、記憶を失っており、額の「第3の眼」も封印されていて藤井八雲が目の前に現れても誰なのかわからず、保護者である老夫婦は香港で亡くなった息子夫婦の娘を引き取ったのだという。 「街で見かけた女の子」として雑誌に写真が掲載されて以来、人間を人形に変えて操る妖怪に狙われていた。八雲とともに行動するようになり、「第3の眼」の封印が半分解かれると三只眼の人格が出てくるが、ぱい同様記憶を失っており、幼児退行した状態だった。なお、女子高生としての綾小路ぱいには、ケンケンとドンちゃん(ドミノ)という愛称の仲の良い友達と学園生活を送っていた。 後に綾小路葉子として物語にも再登場することになる。
鬼眼王 (かいやんわん)
『3×3 EYES』に登場する三只眼吽迦羅の王。300年前に地上に生きるものすべてを支配し、敵対者をことごとく惨殺しようとしたため、三只眼吽迦羅の生き残りたちが命を賭けて聖地に封じ込めた。もともとはパールヴァティー四世としてのパイの夫となるべきシヴァと呼ばれる存在で、優しい心の持ち主だったが強大すぎる力を持ったがゆえに力による支配を押し進めるようになった。 インド神話とヒンドゥー教においてもっとも重要な存在のひとつとされる破壊神シヴァがモチーフとなっており、パイの別名であるパールヴァティもインド神話の女神でシヴァ神の妃とされている。
ベナレス
鬼眼王の「无」である不死者。鬼眼王を復活させるため、三只眼吽迦羅の生き残りであるパイを捕らえようとし、その三只眼の意識を封じるため「第3の眼」に封印を施している。藤井八雲とは同じ「无」という立場ではあっても能力的に段違いで、物語初期は遭遇時点で八雲が威圧された状態となり手も足も出なかった。
真行寺 君江 (しんぎょうじ きみえ)
藤井八雲がパイと出会う前からアルバイトをしていたゲイバー「カルチャーショック」の店長。女装をしているが顔つきも体格もいい男性で、ヤクザや裏の世界にも通じた人物。幼い頃から世話になっている八雲にとっては、育ての親と言っていい存在でさまざまな場面で力を貸してくれる頼もしい人物。
李 鈴鈴 (りー・りんりん)
香港の妖撃社で季刊のオカルト雑誌「妖撃」の副編集長をしていたが、編集長・陳亜栗(チン・ヤアリイまたはアグリ)が行方不明となったため社長となる。長い黒髪と尖った耳が特徴で、メガネをかけた目つきの鋭い女性。オカルト雑誌を作っていながらも現実的な性格で、妖怪も信じておらず、怪しげな護符を売りつけるような商売をしていた。 藤井八雲と出会ったことで妖怪の存在について理解するようになり、その後も八雲たちにはなにかと力を貸している。
龍 美星 (ろん・めいしん)
香港の有名な霊能者スティーブ・龍の妹。「人化の法」のカギとなる像を偶然手にして妖怪に攫われた兄を捜していて藤井八雲らと出会う。そばかすに短くまとめた髪型が特徴のボーイッシュな女の子で腕も立つが、妖怪に捕らえられ生贄にされそうになっていたところを八雲に助けられ好意を抱くようになる。 兄ともども、妖撃社の主要メンバーとなり、後に八雲たちを助ける立場となる。美星自身は八雲とパイの関係を理解しておりサポートする立場に徹しているが、行方不明のパイを捜してリンド共和国を訪れた際は、八雲と新婚夫婦と誤解されたことについてはまんざらでもない様子だった。
黄 舜麗 (ほあん しうんりー)
香港の富豪で、妖撃社に怪現象の相談を行った女性。小さな丸いメガネをつけていることが多い。その正体は妖怪で三只眼の不老不死の術を狙っているが、それを隠してその後もしばらくの間藤井八雲とパイに協力していた。妖撃社に出資し、オーナーにもなっている。しかし、八雲の学生時代の友人たちを襲った魔物・疽(チュイ)は、黄舜麗の部下であり、東京にイナゴ大量発生を引き起こした太歳(タイソエイ)を呼び出すなど、パイを手中に収めるためさまざまな悪事を働いていた。
ジェイク・マクドナルド
三只眼吽迦羅の伝説に魅了され、その聖地を探しているカナダ人トレジャー・ハンター。荒っぽい性格で荒事にも慣れているが、ベナレス配下の魔物使い・呪鬼(チョウカイ)に捕らえられた者同士、綾小路ぱいと協力しあって窮地を逃れた。その後も協力関係を続けているが、ぱいが三只眼吽迦羅だと知らない間は「クソガキ」と呼んでいたが、知ってからは「パイ様」と呼ぶようになっている。
ナパルバ
三只眼吽迦羅の聖地へと近づこうとする者すべてを脅威と見なし、殺害してきたチベット密教パドマー寺院の僧。藤井八雲たちに囚われの身となった際、ジェイク・マクドナルドの暴力から身を挺して守った綾小路ぱいの優しさに感じ入り、後に協力者となる。
アルマリック・グプター
三只眼吽迦羅の不死の術を狙って藤井八雲とパイを襲った「憑魔(ひょうま)一族」の女戦士。一族は古くから「无」として不死になることで強い力を持つ子孫を残してきたが、パイを遺して三只眼吽迦羅が滅びてしまったため種族事態が滅亡の危機に瀕している状況。一族の王ダンガともども三只眼吽迦羅には敬意を持っていたが、老翁の息子ガルガの強引なやり方に振り回されていた。 その後は憑魔一族の長を引き継ぎ、八雲とパイに力を貸すようになる。
ハズラット・ハーン
パキスタン出身で、さまざまな呪文、妖術、魔法具の売買を行っていた秘術商人。パイと離れ離れと成り、単独で修行中の身だった藤井八雲に、「土爪」と「鏡蟲」の獣魔術を売ったことから関わりを持つことになる。その時の約束で、どんな人物か知らずに真行寺君江を紹介してもらうため香港まで3年間かけて追いかけてきた。 ざんばらの長髪にターバンを巻いたそれなりな美男子だが、女の子と接することが苦手。真行寺君江の正体を知って八雲に恨みを持っていたが、それを妖怪に利用され不本意ながらパイを窮地に追い込むことになり、パイを守るため一緒に戦うようになる。
続編
3×3EYES 幻獣の森の遭難者 (さざんあいず げんじゅうのもりのそうなんしゃ)
高田裕三の代表作『3×3EYES』の続編。不老不死の術を持つ聖なる魔神の一族・三只眼吽迦羅(さんじやんうんから)の少女・パイと、その不死身の守護者・无(ウー)となった少年・藤井八雲の新たなる戦いを描く... 関連ページ:3×3EYES 幻獣の森の遭難者
3×3EYES 鬼籍の闇の契約者 (さざんあいず きせきのやみのけいやくしゃ)
高田裕三の代表作である『3×3EYES』シリーズの第3作。『3×3EYES』の12年後の世界を描いた『3×3EYES 幻獣の森の遭難者』の直接の続編となっており、藤井八雲とパイがサンハーラより続く因縁... 関連ページ:3×3EYES 鬼籍の闇の契約者
書誌情報
3×3EYES 23巻 講談社〈講談社漫画文庫〉
第1巻
(2009-08-12発行、 978-4063706673)
第2巻
(2009-08-12発行、 978-4063706680)
第3巻
(2009-09-11発行、 978-4063706710)
第4巻
(2009-09-11発行、 978-4063706727)
第5巻
(2009-10-09発行、 978-4063706789)
第6巻
(2009-10-09発行、 978-4063706796)
第7巻
(2009-11-11発行、 978-4063706895)
第8巻
(2009-11-11発行、 978-4063706901)
第9巻
(2009-12-11発行、 978-4063707014)
第10巻
(2009-12-11発行、 978-4063707021)
第11巻
(2010-01-08発行、 978-4063707212)
第12巻
(2010-01-08発行、 978-4063707229)
第13巻
(2010-02-10発行、 978-4063707236)
第14巻
(2010-02-10発行、 978-4063707243)
第15巻
(2010-03-12発行、 978-4063707328)
第16巻
(2010-03-12発行、 978-4063707335)
第17巻
(2010-04-09発行、 978-4063707410)
第18巻
(2010-04-09発行、 978-4063707427)
第19巻
(2010-05-12発行、 978-4063707458)
第20巻
(2010-05-12発行、 978-4063707465)
第21巻
(2010-06-11発行、 978-4063707496)
第23巻
(2010-07-09発行、 978-4063707519)