現実世界と異世界を行き来するサラリーマン
くたびれた中年サラリーマンの佐々木が、不思議な文鳥「ピーちゃん」を購入したことがきっかけで魔法の力に目覚め、現実世界と異世界を行ったり来たりして社畜生活でくたびれた心身を、異世界で癒やしていた。異世界は剣と魔法のファンタジー世界で、中世ヨーロッパ風の世界観となっている。本作は現実世界でも「異能力者」や「魔法少女」といった超常能力を持つ者たちがひそかに存在し、魔法の力を得た佐々木は彼らとも深くかかわっていくことになる。
異世界のスローライフを満喫
出世の見込みもない佐々木は、日々の癒やしを求めてペットを飼おうと考え、文鳥のピーちゃんを購入する。しかし、ピーちゃんは異世界からやって来た「星の賢者」の異名を持つ高名な魔法使いで、転生したことで心機一転、自分の求めるままにスローライフを送ることを決意したという。佐々木はそんなピーちゃんに共感し、日本で物品を買い込んで異世界に持ち込み、一儲けするべく商売に励むことになる。こうして二人は、平穏と少しの贅沢というささやかな願いのために奔走するが、思いがけずに大金を手にする。
二人の障壁となる勢力
魔法を使う佐々木とピーちゃんは、異世界と現実世界でさまざまな者たちから注目を集めてしまう。しかし冴えないサラリーマンながら、現実社会にもまれた佐々木は言葉巧みにごまかし、その問題を乗り越えていく。そんな中、佐々木は異能力者と間違われて異能力者組織にスカウトされ、公務員へと転職を果たす。しかしそれは同時に、国の監視下に置かれるのと同義であり、佐々木は安定した給料と引き換えに、異能力者が跋扈(ばっこ)する業界に身を置く羽目になる。また、異世界での商売は順調そのものだったが、異世界で戦争が始まってしまい、ピーちゃんは一度はスローライフを目指すことを決めたものの、故国の危機に心を悩ますこととなる。
登場人物・キャラクター
佐々木
(さ)えないサラリーマンのアラフォー男性。出世の見込みもなく、かといって転職する勇気もなく、変わり映えのない日々を社畜として流されるまま過ごしている。そんな日々に癒やしを求めてペットを飼うことを決意し、文鳥のピーちゃんと暮らすようになる。当初はいきなりしゃべり出したピーちゃんに面食らっていたものの、彼の「自分のために生きる」という言葉に共感を覚えて同志となる。そしてピーちゃんの提案で、異世界との交易を開始する。流されやすい性格ながら、それなりに社会に揉(も)まれてきたため、現実的な思考で異世界での交易の問題点をすぐに理解した。佐々木自身は魔力を持たないが、ピーちゃんと契約したことで彼から魔法を習得し、ピーちゃんの魔力を用いることで魔法を使用できる。意外にも魔法の才能があり、通常であれば10年はかかる中級魔法を、わずか数週間で習得した。
ピーちゃん
佐々木がペットショップで買った文鳥。その正体は異世界人が転生した文鳥で、人の言葉を解し、魔法を使うことができる。本名は「ピエルカルロ」で、「星の賢者」の異名を持つスゴ腕の魔法使いだが、佐々木に「ピーちゃん」と名付けられた。異世界のヘルツ王国の地方都市「エイトリアム」で、国の運営にもかかわっていたが、貴族の謀略によって死亡。今の世界で文鳥に転生した当初は、異世界に舞い戻ってヘルツ王国のために何ができるかを考えていたが、最終的に国ではなく、自分のために生きることを決意した。ペットショップで自分を買った佐々木と契約し、彼の魔法の師匠となる。日本と異世界を行き来する転移魔法のほかにさまざまな魔法をあやつるが、文鳥の体がひ弱なため、佐々木と契約しなければ魔法を使うことができない。一人称は「我」で尊大なしゃべり方をする。しかし、神戸和牛のシャトーブリアンがおいしいと聞いて興味を持ったり、インターネット検索が好きだったりと、俗っぽい一面がある。
クレジット
- 原作
-
ぶんころり
- キャラクター原案
-
カントク
書誌情報
佐々木とピーちゃん 異世界でスローライフを楽しもうとしたら、現代で異能バトルに巻き込まれた件 ~魔法少女がアップを始めたようです~ 4巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉
第1巻
(2021-06-25発行、 978-4041113783)
第2巻
(2022-06-24発行、 978-4041121191)
第3巻
(2023-08-25発行、 978-4041141212)
第4巻
(2024-07-25発行、 978-4041148921)