世界観
初期シリーズ「ロト編」最古の物語である、TVゲーム「ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…」より遥か昔の世界が舞台。人間との混血児であるディアルトとのちに神となる精霊ルビスの恋、さらにそれを取り巻く五大家の交流と野望が描かれる序章と、崩壊の危機にあるイデーンと、それに抗うため精霊たちが活躍する本編に分けられている。
あらすじ
序章
ある日、五大家の1つであるコリドラス家に、ディアルトと名乗る少年が訪れる。ディアルトは大地の剣を掲げ、自らがインテルプタスの息子であると名乗り、コリドラス家で生活することとなった。一方、カリクティス家の次期当主であるルビスは、自由に憧れながらも窮屈な日々を過ごしていたところ、偶然にディアルトに出会う。彼の持つ、他の誰にもない奔放さに惹かれるルビスはディアルトとの結婚を望むようになるが、それが非常に困難であるという現実に悩むこととなる。
第1章
16歳になったルビスは、母親の跡を継ぎ、カリクティス家の当主となっていた。カリクティス家が主催する祭りにお忍びとして参加したルビスは、その最中にクリプトカリオンとシフィルの争いに巻き込まれてしまうが、その騒動の中でディアルトと久方ぶりの再会を果たす。一方、ルビスの叔父であるグァモンは、イデーンが崩壊するという予言を知らされ、愕然とする。
第2章
陽の神官と、月の巫女は、「火と土が共に動く時、世界の礎は崩れ去る」という神託を賜る。これを聞いたシフィルは、コリドラス家とカリクティス家の動向に注意を払いつつ、独自に動き出す。一方、クリプトカリオンはカリクティス家の手を離れて暴走を始め、コリドラス家に対して攻撃を開始する。これをカリクティス家の宣戦布告と受け取ったダトニオイデスは、封印されていた大地の剣を手に、クリプトカリオンに立ち向かう。
作風
ラーミアや7つのオーブ(原作では6つのオーブ)など、設定にはTVゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズと共通する部分がいくつか見受けられる。ただし、登場するモンスターはゲーム版には登場しないオリジナルのものとなっており、ストーリーも、五大家と、そこに属する者たちの覇権争いに主眼を置いて描かれている。
ヒロイン像
本作『ドラゴンクエスト 精霊ルビス物語』に登場するルビスは、ゲーム版に登場した精霊ルビスとは異なり、気が強くお転婆な性格となっている。これに関して原作者の久美沙織は、ルビスのキャラクター性を、映画「風と共に去りぬ」の主人公である「スカーレット・オハラ」をイメージして描いたと語っており、コミカライズされた本作においても、その設定に忠実に描かれている。
作者情報
作者
阿部ゆたかは、山形県出身の漫画家。主に少女漫画を中心に連載しており、第2回ひとみ新人まんが賞で佳作を受賞している。原作者である久美沙織とは友人で、本作『ドラゴンクエスト 精霊ルビス伝説』を執筆する際に、「原作小説の内容を好きにいじっていい」と言われたことを語っている。また、後輩である青山剛昌との親交も深く、現在は「少年サンデーS」誌上にて、『名探偵コナン 特別編』を連載している。
原作
久美沙織は岩手県出身の小説家。TVゲームの愛好家として知られ、本作『ドラゴンクエスト 精霊ルビス伝説』以外にもシリーズの小説を手掛けており、他にも任天堂より発売されたTVゲーム「MOTHER」、および「MOTHER2」の小説版を執筆している。
登場人物・キャラクター
ディアルト
インテルプタスと、人間の女性の間に生まれた少年。家族とともに川辺の谷で暮らしていたが、インテルプタスの遺言によってイデーンに渡り、コリドラス家の一員として迎えられた。優しく誇り高い性格だが、頑固な一面があり、曲がったことや他者に何かを強要するような行為を嫌う。その出自や性格から、アカントホプスやダトニオイデスには疎まれているが、ルビスからは強い関心を抱かれており、ディアルト自らも次第にルビスと惹かれ合うようになる。
ルビス
カリクティス家の次期当主に見込まれている、精霊の少女。明るく活動的な性格だが、気まぐれかつわがままな面も見受けられる。身体の内に強力な炎の力が宿っており、幼い頃はそれを暴走させて火事を起こすことすらあった。その力をさらに強めるべく、一族からは従兄弟のスクレロパゲスかクリプトカリオンとの婚姻を望まれているが、ディアルトと運命的な出会いを果たしてからは、彼以外の誰も選ばないという意思を強く示している。
ラーミア
魔峰オーブに生息しているという、巨大な鳥。その生態はほとんど知られておらず、不死鳥という噂もある。ディアルトに懐いており、彼が持つ笛に呼ばれて姿を現す。アカントホプスやダトニオイデスは、不死鳥の噂や、大空を悠々と翔ける姿に着目し、ラーミアをコリドラス家のために利用しようとするが、ディアルトによって阻まれている。
ドラゴラ
ルビスが両親によって与えられた、ドラゴンの子供。現在は腕の中に納まる程度の全長だが、成体になると人を乗せて飛べるとされている。また、少しずつではあるが、言葉を覚える能力が備わっている。天真爛漫な性格で、ルビスに深く懐いており、ルビスにとっても数少ない、気を許せる相手となっている。
インテルプタス
ディアルトの父親。優しく勇敢な性格の男性で、イデーンに住む精霊としては珍しく人間に対する差別意識をまったく抱いていない。コリドラス家の次期当主だったが、イデーンに迷い込んできた人間の女性と恋に落ちたことでアカントホプスの怒りを買い、次期当主の資格をはく奪されてしまう。その後は川辺の谷へと落ち延び、現地の精霊たちに受け入れられる。 水難事故から川辺の谷とディアルトを救うために命を落としてしまう。
アカントホプス
コリドラス家の当主を務める、精霊の老人。老獪な性格の野心家で、コリドラス家がイデーンの頂点になることを望み、そのための策をめぐらせている。正義感の強いインテルプタスやディアルトを嫌っており、跡取りと認めているダトニオイデスに対しても、何らかの失態を犯した場合は容赦のない罵倒を浴びせる。 反面、妻であるカカトゥオイデスには寛容な面を持ち、彼女がディアルトを預かることも渋々ながら認めている。
ダトニオイデス
コリドラス家の次期当主に見込まれている、精霊の少年。極度の負けず嫌いで上昇志向が強く、目的のためなら手段を選ばない。ディアルトと出会った際には、彼の連れていたラーミアに強い興味を持ち、さまざまな手段を用いて我が物にしようとしたが、失敗に終わっている。人間のことを終始見下しきっており、その差別は人間の女性と結ばれたインテルプタスや、その息子であるディアルトにも及ぶ。 一方、内心ではダトニオイデスがディアルトに劣っていることを実感しており、ディアルトに対して恐怖心を抱いている様子も見せる。
カカトゥオイデス
アカントホプスの妻。夫とは対照的な人格者で、コリドラス家では唯一、ディアルトの味方をしており、ディアルトもカカトゥオイデスのことを強く慕っている。老い先短いため、自ら亡き後にディアルトが孤立することを懸念しており、グァモンに対してディアルトのことを気にかけてほしいと懇願している。
エスメセス
カリクティス家の当主を務める精霊で、ルビスの母親。普段は優しく、包容力の強い女性だが、ミトラ神に対する信仰心が強く、人間のことは何の力もない哀れな存在と信じて疑わない。娘のルビスが人間の血を引くディアルトに想いを寄せていることを知っており、エスメセス本人もディアルトが好漢であることは認めている。 しかしルビスに対しては、ディアルトとはできるだけ関わらないようにと釘を刺している。
グァモン
エスメセスの弟。清濁併せ呑む器量を評価されており、エスメセスをはじめとしたカリクティス家の一族から頼られている。また、ダトニオイデスやカカトゥオイデスなど、コリドラス家にも一目置かれているが、グァモン自らは日和見に過ぎないと自嘲している。コリドラス家自体とは距離を置いているものの、インテルプタスや、その息子であるディアルトに対しては信頼を置いているため、カカトゥオイデスからディアルトを気にかけてほしいと言われた際は快く引き受けている。
スクレロパゲス
カリクティス家の一族に名を連ねる精霊の少年で、ルビスとはまたいとこの間柄。穏やかな性格だが、弟であるクリプトカリオンの粗暴な振る舞いをまったく止めることができないため、ルビスからはただ優しいだけの気弱な男と手厳しい評価を受けている。ミトラ神を強く信仰しており、神官より語られる神託に基づいて行動することが多い。
クリプトカリオン
スクレロパゲスの弟。片目に五芒星を象った入れ墨が入れられている。一族の中ではルビスに次ぐ力を持ち、その力を雷に具現化させることから「稲妻の主」と呼ばれている。傲慢かつ粗暴な性格をしており、特にコリドラス家やポリプテルス家の一族に対しては絶えず挑戦的な姿勢を見せている。また、ルビスに対しては憎悪と興味の入り混じった執着を抱いており、幾度となく彼女の前に現れては挑発を行っている。
アリナ
クリプトカリオンの恋人。わずかながらカリクティス家の血が流れており、「きつね火の精霊」を自称している。軽い性格で、ルビスに対しても平然と下世話な話を持ち掛けるため、軽蔑されている。一方、アリナのクリプトカリオンに対する想いは本物で、彼が傷ついた時は、たとえ自業自得であっても駆けつけ寄り添うなど、献身的な面を見せることも多い。
シフィル
ポリプテルス家の次期当主と見込まれている、精霊の少年。水を自在に操る能力を持ち、城すら飲みこむほどの、巨大な水柱を作ることができる他、水妖と呼ばれる水棲の妖精と心を通じ合わせられる。穏やかで理知的な性格だが、ポリプテルス家としての誇りは強い。また、シフィルにとって大切な存在を傷つけられた時は、普段からは想像できないほどの憤りを見せ、傷つけた相手を始末することもいとわない姿勢を見せる。
ペルラ
アヌビアス家の当主。長らく子に恵まれず、家宝であるナンゲの盾に願掛けを行い、その結果カボンバを授かる。呪いを受けたカボンバを常に気にかけ、溺愛しているが、彼のことを無条件で肯定し続けたため、カボンバの成長を結果的には阻害している。
カボンバ
ペルラの息子。ナンゲの盾の呪いによって、獣のような恐ろしい容姿をしている。さらにペルラの偏った教育が災いし、人格の成長が不十分であるため、時折本能に基づいた奇行に走ることがある。その外見と性格から、イデーンの住人たちから恐れられており、ダトニオイデスからは化け物扱いされてしまっている。一方で、海難事故に遭い砂浜に打ち上げられたルビスを助け出したり、ドラゴラと心を通じ合わせ友人となったりと、優しい心も持ち合わせており、ディアルトもカボンバに対しては好意的に接している。
ミラルダ
オトシンクルス家の当主を務めている、精霊の男性。温和な性格の老人で、ルビスからは「森の長老様」と敬われている。森が火事に見舞われた際にインテルプタスに助けられており、強い恩義を感じている。その息子であるディアルトのことも知っており、彼が自分の立場に思い悩んでいた時も暖かく接し、助言を与えた。
ヤベヤベ
川辺の谷に住む少年。ディアルトとは幼い頃からの親友で、2人で谷をより暮らしやすい大地に変えていくことを約束していた。しかしディアルトがイデーンに戻ってしまったため、ヤベヤベはディアルトに約束を破られたと認識してしまう。そのため、1年後にディアルトと再会した時は、終始彼に冷たく当たってしまう。しかし今でも内心では友情を抱いており、仲直りの切っ掛けを探していることをガーに見抜かれている。
ガー
ヤベヤベの妹で、彼とともに川辺の谷で暮らしている少女。かつて谷が洪水に見舞われた際に、川へと投げ出されてしまったところをインテルプタスに救われており、恩を感じる一方で、そのためにインテルプタスが命を落としてしまったことに対して後ろめたさを感じている。
陽の神官 (さらまくせんしす)
ミトラ神に仕える神官を務める少年。幼く小柄な見た目とは裏腹に、強い責任感と強大な魔力を持っている。ミトラ神から魔峰オーブの倒壊によってイデーンが崩壊するという神託を告げられ、一度は絶望してしまう。しかし、月の巫女の励ましを受けることで奮起。オーブの倒壊を止めるべく、五大家に協力を仰ぐ。
月の巫女 (らるばたす)
ミトラ神に仕える巫女。陽の神官とともにイデーンが崩壊するという神託を受け、アヌビアス家、およびオトシンクルス家に対し、イデーンから避難するための船の建造を呼び掛ける。その後はシフィルとともに避難のための航路確保に奔走。最期は自らの命を犠牲にして、災害から船を守り抜いた。
ニクス
古来から魔峰オーブに生息しているという巨大な竜。イデーンのありとあらゆる事象を知り尽くしていると豪語する。その正体は運命を司るという神で、竜の姿も仮のものに過ぎない。コリドラス家とは何らかの因縁があり、イデーン崩壊を食い止めようとするディアルトと対決する。
集団・組織
コリドラス家 (こりどらすけ)
五大家の1つ。イデーンにおける大地を司る精霊の一族で、大地の精と呼ばれている。その異名の通り、一族には大地を操る力が備わっている。現在の当主であるアカントホプスの方針で、他の五大家を凌駕する力を得るための軍拡に力が入れられている。
カリクティス家 (かりくてぃすけ)
五大家の1つ。イデーンにおける炎を司る精霊の一族で、炎の一族と呼ばれている。炎や稲妻などを操る力を持ち、なかでもルビスとクリプトカリオンは特に強力な力を持つ。直情的かつ享楽的な特徴を多く持つ一族で、自由に憧れている者が多い。また炎を司ることから水を苦手にしている者も多い。
ポリプテルス家 (ぽりぷてるすけ)
五大家の1つ。イデーンにおける水を司る精霊の一族で、水の守護と呼ばれている。水妖と呼ばれる妖精や、水に住む者たちを使役したり、水を束ねて操る能力を持っている。本拠となっている宮殿は水の中に存在しており、その神秘性から一族の象徴として広く知られている。
アヌビアス家 (あぬびあすけ)
五大家の1つ。イデーンにおける金剛石を司る精霊の一族で、金の主と呼ばれている。五大家の中で最も優雅な暮らしをしているが、その反動から他者を見下す者が多い。また、カリクティス家を敵視している者が多く、特に当主であるエスメセスに対しては風当りが強い。
オトシンクルス家 (おとしんくるすけ)
五大家の1つ。イデーンにおける森林を司る精霊の一族で、森の人々と呼ばれている。刳り貫いた大樹を住居として用いているなど、贅沢とは程遠い生活をしている。数年前まではミラルダの息子が当主として一族を導いていたが、大雪による災害で命を落としてしまっており、それ以降はミラルダが再び当主となっている。
場所
イデーン
天と地の狭間に存在しているという、精霊や妖精の住まう世界。およそ数十万の精霊が暮らしており、神に代わって自然現象を操り見守る役割を担っている。イデーンの秩序維持は五大家によって一任されており、彼らが君臨している以上、イデーンは不滅であると言われている。
川辺の谷 (かわべのたに)
ディアルトの生まれ故郷。魔峰オーブのふもとにあるという集落で、住人たちは遥か昔にミトラ神の加護と魔力を失ったとされており、彼らのことを侮蔑されしものと呼ぶ者もいる。しかし実際は暖かな心を持っており、コリドラス家を追われたインテルプタスが流れてきた時は人間の妻ともども谷の住人として迎え入れている。 この厚遇に感激したインテルプタスは、いつか川辺の谷が素晴らしい場所であることをイデーンに触れ回りたいと考えていた。
魔峰オーブ (まほうおーぶ)
イデーンの北部にそびえる山。その頂は雲より高く、天にすら届きうると言われている。ラーミアはかつて天界に住んでいたが、巻き起こった騒動によって天界を追われた結果、オーブに生息するようになった。川辺の谷の住民はオーブから放たれる聖なる力を身に受けており、ディアルトがラーミアに懐かれるのも、この聖なる力によるものである。
その他キーワード
大地の剣 (だいちのけん)
コリドラス家に代々伝わる長剣。インテルプタスが所持していたが、彼がそのまま追放されたことにより、この剣の所在もわからなくなっていた。現在はディアルトが所持しており、彼がコリドラス家に帰って来た時も、大地の剣の存在をもって、ディアルト自らがインテルプタスの息子だと証明して見せた。
サイデリナ草 (さいでりなそう)
イデーンに自生しているという希少な植物。花からは甘い蜜のような香りが放たれると言われており、ありとあらゆる苦しみ、痛みをたちどころに消し去るという効果を持っている。病気で倒れたエスメセスを救うために、ルビスやディアルト、グァモンによって探し求められた。
ナンゲの盾 (なんげのたて)
アヌビアス家に伝わる秘宝の1つで、何でも願いをかなえてくれると言われている。反面、呪われた盾と恐れられており、その噂に相応しい禍々しい外見を持つ。跡継ぎができないことを焦るペルラが「子供が欲しい」と願った結果、ペルラはカボンバを授かる。しかし、カボンバは盾の呪いを受け、おぞましい姿形となって生まれてしまう。 悲嘆したペルラはナンゲの盾を海に捨ててしまい、負い目からカボンバを必要以上に溺愛するようになってしまう。
7つのオーブ (ななつのおーぶ)
天界に住む女神が身に着けて首飾りにあしらわれていたという宝玉。首飾りが天界から魔峰オーブに落下した際に、7つに分かれた。のちに「ブラックオーブ」となる黒金剛石以外の6つは、オーブの地に落ちた際に、聖なる力を放つことで谷を形成。それぞれ「レッドオーブ」「グリーンオーブ」「ブルーオーブ」「イエローオーブ」「パープルオーブ」「シルバーオーブ」と呼称されることになる。 しかし、「ブラックオーブ」の在処だけは、今なお明かされていない。
ブラックオーブ
7つのオーブの1つ。他のオーブとともに天から落ちてきたとされているが、深い雪に埋もれてしまったため、長らくその所在は不明のままとなっていた。削ることによって赤い粉が発生するが、その様子がまるでオーブが血を流すように見えることから斬血石と呼ばれる。なお、赤い粉を浴びた者は永遠の命を得るが、代償として怪物になり果ててしまう。
精霊 (せいれい)
ミトラ神によって創造された、イデーンに住む生命体。見た目は人間とほぼ変わらないが、ミトラ神から自然現象を操作する魔力を与えられている。操作できる自然は個体によってさまざまだが、なかでも五大家の当主とその血族たちは、他の精霊と比較して強力な魔力を持っている。また、川辺の谷に住む精霊たちは魔力を持っていないため、出来損ないとさげすまれている。
人間 (にんげん)
地上に住む生命体。精霊たちからは差別の対象とされており、何の魔力も持たず、神の恩寵も受けていないため、哀れで愚かな生き物と言われている。地上とイデーンは隔絶されているため、基本的に人間がイデーンに入り込むことはないが、ディアルトの母親は唯一、イデーンの地へとたどり着いている。
五大家 (ごだいけ)
ミトラ神より直接生み出された5体の精霊の子孫たち。イデーンの守護を義務付けられている。五大家の家長を継ぐのは男女問わずその長子と定められており、家長に子供がいなかった場合は、弟あるいは妹が次の長の座につく。また、跡継ぎを予定されている子供が成人する前に家長が倒れた場合は、叔父か叔母が歳月を限って摂政役を務めることになっている。
ミトラ神 (みとらしん)
天に座すという、偉大なる神。イデーンに住む精霊たちは皆、ミトラ神の力を受け継いでいる。精霊たちの信仰の対象ともなっており、なかでも月の巫女と陽の神官は、神託という形で、ミトラ神の言葉を断片的に聞くことができる。
クレジット
- 原作
-
久美 沙織