『ドラゴンクエストX』のサイドストーリー
本作はスクウェア・エニックスの運営するオンラインゲーム『ドラゴンクエストX オンライン』の世界観を基にしたスピンアウト作品。本編と同じく、さまざまな種族が存在する大陸・アストルティアが舞台だが、主人公をはじめとした登場人物は本作オリジナルであり、ストーリーも本編とは違うサイドストーリー的な扱いとなる。また、日本RPGの金字塔である「ドラゴンクエスト」シリーズの世界観をそのままに、さまざまな小ネタが散りばめられており、シリーズファンなら思わずニヤリとさせられる構成となっている。
不思議な少女との出会い
幼い頃、「嵐のドラゴン」に助けられたことがある少年・ソウラは、嵐のドラゴンにあこがれて冒険者となっていた。そんな中、ソウラは王様がベコン渓谷で「竜の卵」を探しているという話を聞きつけ、仲間たちと共に卵探しの旅に出かける。そして、ソウラたちは渓谷で竜の卵を見つけるが、ソウラたちが竜の卵に触れると卵は割れ、中から不思議な少女が現れる。さらに少女を狙う邪悪な魔族の襲撃を受け、ソウラたちは訳もわからないまま少女を巡る争いに巻き込まれていく。
ドラゴンの謎に挑む物語
ソウラたちは魔族に襲われながらも、卵から生まれた少女から授けられた不思議な力によって魔族を撃退する。少女はさまざまな能力を持っており、ソウラに「アズリア」と名づけられたことで新たな自我に目覚めたのと引き換えに、記憶の大部分を失ってしまう。ソウラたちは、竜の卵から生まれた少女・アズリアの出自に関する情報を得るため「ドラゴンクエスト」に挑むことを決める。なお、ゲームのタイトルにもなっている「ドラゴンクエスト」だが、本作では「ドラゴンの謎に挑む難題」という意味合いで使われている。
登場人物・キャラクター
ソウラ
冒険者の少年で、種族は「水の民」とも呼ばれる「ウェディ」。青い肌を持ち、人間の耳に当たる部分から魚のエラのような器官が生えている。職業は「戦士」で、剣を武器として戦う。両親は、ソウラが幼い頃のある嵐の夜に、水難事故の遭難者を救いに行って死亡した。その時、ソウラ自身も海に投げ出されるが、青い瞳を持ったドラゴンに助けられた。この出来事から、青い瞳の「嵐のドラゴン」に強いあこがれを抱き、ドラゴンの手がかりを求め、冒険者となった。真っすぐな性格で、周囲からは変わり者とバカにされながらも、夢を目指し続けている。ある日、「竜の卵」を探すクエストでドラゴンを発見するものの、卵から孵(かえ)ったのは、人間に似た姿をした謎の少女だった。少女に嵐のドラゴンの面影を感じ、少女の青い瞳から「アズリア」と名づけ、母親の形見である「アズライトの首飾り」を渡した。アズリアは魔族にその身を狙われており、彼女を助けるために魔族と戦うものの、瀕死の重傷を負ってしまう。その際にアズリアから「エクステンション・ライン」と呼ばれる謎多き力を授かり、身体能力を高めたり治癒能力を得たりするほか、周囲の自然環境から魔物を生み出すことすらできるようになる。
アズリア
古代遺跡に祀られていた「竜の卵」から生まれた少女。大きな角が生えている以外は人間の少女と同じ姿をしている。竜の強大な力を持っているため、その血が一滴でも大地に染み込めば魔物が生まれてしまうほど、体が神秘的な力に満ちあふれている。生まれた当初は赤ん坊のように無知で純粋な存在で、寝てばかりいた。しかしアズリア自身に危険がせまると、伝説の攻撃呪文「ギガデイン」を使って魔物の群れを撃退することができる。ソウラが卵を見つけた直後に生まれたが、魔族に命を狙われていたため、流されるままソウラたちに守られることとなる。当初は言葉も通じなかったが、魔物と同じく本能の近い部分で魔法や神秘的な力の真理を理解しており、ギガデインを使えたのもこのことが理由である。空のように青い瞳を持つことから、ソウラに「アズリア」と名づけられた。そのことで明確な自我が芽生え、高い知性から言葉もすぐに理解して会話も可能となった。ソウラに冒険者として誘われ、彼と旅立つことを決める。職業は「魔法使い」ながら、理性を得たのと引き換えに本能に根差す知識を失ったため、ほとんどの呪文を使えなくなっている。
クレジット
- 監修
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堀井 雄二
- 協力
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スクウェア・エニックス
書誌情報
ドラゴンクエスト 蒼天のソウラ 20巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2013-06-04発行、 978-4088706689)
第20巻
(2022-12-02発行、 978-4088833187)