ハルノクニ

ハルノクニ

男子高校生の少年が親友の敵を討つために、その黒幕である日本政府を相手に独立国の立ち上げを宣言し、その陰謀を暴く姿を描いた中編作品。「週刊少年サンデー」2006年12号から50号にかけて連載された。原作は浜中明。

正式名称
ハルノクニ
ふりがな
はるのくに
原作者
浜中明
作者
ジャンル
バトル
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概要・あらすじ

幼なじみで大親友の片桐聖士三枝春は、日本一のエリート養成校である紫海館学園高校で平和な生活を送っていた。だが、突然の事故で春はこの世を去ってしまう。残された聖士は呆然とした日々を送っていたが、ある日、春の遺言を発見。これによって、春の死は事故ではなく、強大な権力によって殺害されたことを知る。聖士は春の遺志を受け継ぎ、国家の水面下における企みを暴くことを決意。

紫海館学園高校の敷地内を占拠し、独立国ハルノクニの建国を宣言するのだった。

登場人物・キャラクター

片桐 聖士 (かたぎり きよし)

紫海館学園高校に通う少年。仲間内からは「ギリ」と呼ばれることが多い。正義感が強く、やられたらやり返すことを信条としている。かつては勉強嫌いであったが、親友である三枝春の考えに触れることで学ぶことの楽しさを知り、成績も上がってエリート校である紫海館学園高校に無事、合格している。しかし1年前、春を事故で失い、その遺言によって日本政府の恐るべき陰謀を知ったことで、春の遺志を継ぐため戦うことを決意。 策を弄して紫海館学園高校からすべての教師と生徒を追い出し、独立国家ハルノクニの建国を宣言する。

三枝 春 (さえぐさ はる)

紫海館学園高校に通う少年。IQ200を誇る天才で、人並み外れた記憶力や洞察力を持っている。一方、性格は無邪気そのもので、親友である片桐聖士からは、その能力を特別視されていない。ある日、ふとしたことから紫海館学園高校の秘密にたどり着き、その結果、日本国家が関与する恐るべき陰謀を知る。この事実を公表しようとするが、口封じのために事故に見せかけて暗殺されてしまう。 しかし、死の間際に聖士に対してメッセージを残しており、それが聖士を動かすきっかけとなる。

ハル(猫)

紫海館学園高校に住み着いている黒猫。三枝春と仲が良く、彼からは「クロちゃん」と呼ばれていた。しかし実際は、日本政府が極秘に開発していたCATの試作型であり、並の軍隊を圧倒するほどの戦闘力を隠し持っている。春の手により密かに解析されており、再起動のためのコードが片桐聖士に委ねられている。聖士はハルノクニを立ち上げる際に、この猫に「ハル」という名前を付け、防衛力として頼っている。 さらに、「LEVEL3」になることで人と変わらぬ思考ができるようになり、名実ともに聖士たちのパートナーとしてともに戦うことになる。

荻原 志乃 (おぎわら しの)

紫海館学園高校に通う少女で、片桐聖士、および三枝春の中学時代からの友人。もともとは塾に通って勉強を続けることで好成績をキープしていたが、聖士と春の柔軟な考えに触れることで、聖士同様に学ぶことの楽しさを知る。それだけに春の死を深く悲しんでおり、聖士がその真相を暴くためハルノクニを立ち上げると、ともに戦うことを願い出る。 ネットワーク関連の知識が豊富で、ハルのコアにかけられていたプロテクトについての情報を発見するなどの活躍を見せた。

吉田 浩一郎 (よしだ こういちろう)

紫海館学園高校に通う少年。思慮深い性格で、仲間内からは「コーさん」と呼ばれている。幼い頃から武道を嗜んでおり、体格もよく人を寄せ付けない雰囲気をまとっていたが、片桐聖士や三枝春の屈託のない性格に触れて、やがて親友になる。聖士や荻原志乃同様、春の死を深く悲しんでおり、聖士がその真相を暴くためハルノクニを立ち上げると、ともに戦うことを願い出る。 ハルに武道の技を伝授することで、彼の戦闘能力を向上させた。

ギリの父 (ぎりのちち)

片桐聖士の父親。銀行会社に勤めている中年男性で、役職は次長。家族思いな人物で、聖士の強い正義感に深い共感を示している。彼がハルノクニを立ち上げ、テロリストとしての汚名を被った際にも信じ続けており、その真意を確かめるべくギリの母とともに紫海館学園高校へ向かった。

ギリの母 (ぎりのはは)

片桐聖士の母親。常に元気に振る舞っている中年女性で、ギリの父同様家族思いな性格。三枝春とも親しく、彼にハンバーグを振る舞った際には深い感謝と敬意を向けられている。聖士がハルノクニを立ち上げた当初はその事実を知らず、聖士が巻き込まれてしまったと考え、強く心配していた。

山本 あゆみ (やまもと あゆみ)

エイトテレビに所属しているアナウンサーの女性。ニュース番組などで活躍しており、紫海館学園高校にも取材に訪れたことがある。ハルノクニ独立の際にも独自に取材を行っていたが、突如この件から手を引くように言われてしまう。これに納得できずに、先輩である中山耕助とともに独自に調査を進めていたところ、片桐聖士との接触に成功。 彼から日本政府による陰謀を明かされ、それを暴くためにハルノクニと秘密裏に協力体制を結んだ。

校長 (こうちょう)

紫海館学園高校の校長を務めている老年の男性。事なかれ主義で事態を収拾する能力もないため、周囲からは冷ややかな目を向けられている。日本政府からCATに関する密命を受けていたが、三枝春によってその陰謀を掴まれてしまい、さらに片桐聖士の手により人質にされ、結果として学校の敷地を占拠されてしまう。

教頭 (きょうとう)

紫海館学園高校の教頭を務めている老年の男性。校長に負けず劣らずの無能さで、彼に媚びへつらうことばかり考えている。そのうえ、人質に取られていた校長が解放された時に爆弾を持たされてると聞いた時は、飛び上がって逃げようとするなど情けない面が目立った。

榊 秀輝 (さかき ひでき)

現職の内閣総理大臣。民主主義が生み出した怪物と呼ばれている壮年の男性で、一見するとちゃらんぽらんでありながらも親しみやすそうな雰囲気を醸し出している。しかし実際には、CAT開発計画を極秘に推し進めており、それに感づいた三枝春の暗殺を指示するといった冷酷な性格。片桐聖士がハルノクニを立ち上げた時は有事法を発令し、警察組織を使って彼らとCATの捕獲を命じる。 しかし、LEVEL3に成長したハルの前では難しいことを薄々感づいており、彼らの失敗を機に、部下たちにすら明かしていなかった恐るべき計画を実行に移した。

卯月 麗 (うづき れい)

榊秀輝の秘書。眼鏡とスーツが似合う、いかにもキャリアウーマンといった雰囲気の女性で、榊からの信頼も厚い。自身の内面を明かすことはほとんどなく、ハルノクニ独立に際しても精神的な動揺をまったく見せず、秘書としての役割を全うし続けた。

森 善彦 (もり よしひこ)

警視総監を務める壮年の男性。感情的になりやすい性格の持ち主で、榊秀輝の飄々とした態度を快く思っていない。ハルノクニを鎮圧するべく、警官隊を派遣するが、彼らはハル1匹の前に成す術もなく敗退。さらに、アメリカから帰国した蜂谷キリコに弱みを握られた挙句、指揮権を剥奪されてしまう。

碓氷 新 (うすい あらた)

警視正を務める青年。若くして官僚に抜擢されており、不明な点を堂々と指摘する度胸を持つ。反面、内心では榊秀輝に脅威を抱いており、凄まれた際には冷汗をかく姿も見られた。先輩である蜂谷キリコを強く尊敬しており、彼女がハルノクニ鎮圧の指揮を執った際には、サポート役として同道している。

沼 一之 (ぬま かずゆき)

内閣特別調査室で技師を務めている中年男性。CATの開発責任者で、作品に対し並々ならぬ愛情を抱いている。反面偏執的な一面を持ち合わせており、ハルがハルノクニの防衛に就いたことを知っても、ハルのスペックを気にする素振りを見せていた。のちに新たな4体のCATを開発し、ハルを倒すために差し向けた。

鏑 雷堂 (かぶら らいどう)

陸上自衛隊で幕僚長を務めている中年男性。その地位に見合った屈強な体つきをしている。警察がハルノクニ鎮圧にあたった際にその映像を見た時には、ハルの弱点を早々に見抜くなど、確かな観察眼を持っている。反面、一般市民に対して偏見を持っており、簡単に意見を翻す様を見て、心の中で「豚」と罵った。

斯波 春樹 (しば はるき)

警察庁第一機動部隊の隊長を務める中年男性。森善彦から厚い信頼を受けており、ハルノクニ鎮圧作戦の中核を任される。部隊がハルの攻撃で戦闘不能となっても戦意を失わず、単身でハルに挑む。結果返り討ちに遭うものの、碓氷新や鏑雷堂は、この戦いの映像を見ることでハルの弱点を発見した。

蜂谷 キリコ (はちや きりこ)

米国のSWATに所属する女性。かつて吉田浩一郎(コーさん)に稽古をつけており、彼にとってのあこがれの人となっている。気さくだが掴みどころのない性格をしており、コーさんや碓氷新に慕われている一方で、森善彦からは苦手意識を持たれている。その森から半ば奪い取る形でハルノクニ鎮圧の指揮権を譲り受け、コーさんと因縁の師弟対決を演じる。

中山 耕助 (なかやま こうすけ)

エイトテレビでバラエティ番組のプロデューサーを務める青年。エイトテレビに所属する前は新聞社に勤めていたが、記者仲間が謎の事故死を遂げてしまう。これに対して疑惑を抱き、新聞社の上層部に調査の許可を求めたが、取り合ってくれないどころか、半ば左遷されるようにエイトテレビに飛ばされてしまう。しかし、三枝春の死とハルノクニの独立に疑惑の答えがあると睨み、山本あゆみとともに、テレビ局には内密で調査を再開する。

ディオ

沼一之が新たに開発したCATの1匹。太めの体格をしている。沼の命令により、片桐聖士たちの抹殺、およびハルの捕獲のため、紫海館学園高校へ襲撃をかけ、迎え撃ったハルと戦闘状態に陥る。ハルの10倍以上のパワーを持つとされており、大口を開けることで一飲みにしてしまう。しかし、体内から刃で攻撃され、バラバラに寸断された。

トゥリア

沼一之が新たに開発したCATの1匹。顎の下に髭のような長い毛を蓄えている。沼の命令により、片桐聖士たちの抹殺、およびハルの捕獲のため、紫海館学園高校へ襲撃をかけ、迎え撃ったハルと戦闘状態に陥る。ハル同様、身体から無数の刃を伸ばす能力を持っており、そのリーチはハルの倍以上とされる。しかし、密室に誘い込まれたことによってリーチにおけるイニシアチブを失い、成す術もなく撃破された。

テセラ

沼一之が新たに開発したCATの1匹。子猫と呼べるほどのサイズしかないが、戦闘能力は他の3匹に決して引けを取らない。沼の命令により、片桐聖士たちの抹殺、およびハルの捕獲のため、紫海館学園高校へ襲撃をかけ、迎え撃ったハルと戦闘状態に陥る。全身に瞳の形をしたビームの砲口を備えており、同時に13発の光線を発射できる。 しかし、分散したため1つのビームの威力は弱体化しており、それを突いたハルの策によって敗れ去った。

エナ

沼一之が新たに開発したCATの1匹。4匹の中ではもっともハルに近い形状をしている。沼の命令により、片桐聖士たちの抹殺、およびハルの捕獲のため、紫海館学園高校へ襲撃をかけ、迎え撃ったハルと戦闘状態に陥る。キメラ・モードと呼ばれる特殊機能が備わっており、これによってディオ、トゥリア、テセラと融合。 すべての能力を受け継ぎ、ハルを窮地に陥れた。

集団・組織

エイトテレビ

お台場に位置するテレビ局。ニュース番組のアナウンサーとして山本あゆみが、バラエティ番組のプロデューサーとして中山耕助が所属している。ハルノクニが独立を宣言した際に、その詳細を確かめるべく取材を行おうとするが、結局果たせずに終わったうえに、国からの圧力を受け、この件に関与することを禁じられてしまう。しかし、山本と中山は独自に行動し、最終的にはハルノクニと協力体制を結んだ。

場所

紫海館学園高校 (しかいかんがくえんこうこう)

東京湾の中心部に位置するエリート校。校舎は1つの巨大な塔となっており、冷暖房完備の教室、最新の教育設備に全室個室の学生寮などが揃っている。一方、許可を得なければ学校の敷地内から出られないという規則があり、これに対して不満を抱く生徒も多い。実際は学生ではなくCATの教育のために用意された、いわば実験施設で、このことは生徒はおろか教師にすらほとんど知られていない。

ハルノクニ

日本政府と対決する決意を固めた片桐聖士によって立ち上げられた独立国。紫海館学園高校とその敷地を国土としている。紫海館学園高校は軍事基地並の設備が整っており、発電機や食料の備蓄なども完璧なため、兵糧攻めも不可能となっている。聖士がこの国を立ち上げたのは、日本政府の陰謀を暴くためだが、総理大臣である榊秀輝も、ハルノクニを利用してある計画を実行に移そうとしている。

その他キーワード

CAT

日本政府の手により、紫海館学園高校の中で極秘に開発されていた人工生命体。「カーボン・ナノ・チューブ」と呼ばれる特殊素材で構成されており、全身を鋭利な刃に変換したり、目からビームを放射するといった能力を備えている。心臓部にあたるコアにはプロテクトがかかっており、普段は普通の猫と変わらない能力に抑えられた「LEVEL1」の状態となっている。 しかし、プロテクトの一部を解除することで、兵器としての能力を解放した「LEVEL2」に成長、さらに、すべてのプロテクトを解除することでコアの能力が完全に解放され、言語能力や学習能力すら備えた「LEVEL3」へと進化する。

クレジット

原作

浜中明

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