パンゲアの娘 KUNIE

パンゲアの娘 KUNIE

ごく普通の小学生である日向陽のもとに、カラバオ共和国の少女クニエが現れてから、平凡な日々を送っていた陽の周辺はにわかに騒がしくなっていく。物語の前半は陽の日常を牧歌的な夏休み風に描いたジュブナイル、後半は南国の島をめぐる謎を追うSFファンタジーとなっている。「週刊少年サンデー」平成13年21・22号から2002年第30号にかけて掲載された作品。

正式名称
パンゲアの娘 KUNIE
ふりがな
ぱんげあのむすめ くにえ
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

日向陽は、ごく普通に暮らす小学5年生だったが、ある日行方不明となっていた祖父の日向洋一郎が、南太平洋の島国カラバオ共和国で30年ぶりに発見される。その直後、カラバオ共和国から、洋一郎の孫娘であるクニエが陽の嫁になるために突然やって来る。彼女の来訪を受けて陽の日常は騒がしくなっていくが、時を同じくしてカラバオ共和国近海に巨大なが出現する。

この杭を巡ってアメリカ海軍や謎の組織が暗躍を始め、世界各地でも異変が起きていく。

登場人物・キャラクター

日向 陽 (ひなた あきら)

11歳の少年で、小学5年生。5年間皆勤で無遅刻無欠席の記録を続けていたが、同級生の七星まひるに邪魔をされたことでその記録は途絶えた。基本的に真面目な性格だが、成績はあまり芳しくない。突然現れたカラバオ共和国の少女クニエに、「嫁になりに来た」と迫られ困惑している。プラモデルや、泥団子作りをが好きな少年らしさを持つ。

クニエ

南太平洋の島国カラバオ共和国からやって来た少女。日向洋一郎の孫で、日向陽にとってはいとこにあたる。ヌバトアのばっちゃの占いにより、陽の嫁になるべく日本にやって来た。大ざっぱかつ物事に動じない性格で、ナイスバディの持ち主。外国語もしゃべれるが、陽たちと会話する時には名古屋弁で話す。

リンガナエ

クニエが連れて来た恐竜の子供で、見た人を幸せにする海の竜。カラバオ共和国を発った時にはタマゴだったが、日本で孵化した。クニエいわく、カラバオ共和国でも生まれるところはめったに見られないとのこと。日向陽の母親・日向蓉子が、ヘビやトカゲが大嫌いなため、隠れて家で飼うことにした。のちに日向洋介に見つかり、彼に「パフ」と名付けられる。 生の小魚を好んで食べる。

日向 洋介 (ひなた ようすけ)

日向陽の父親。行方不明だった父親の日向洋一郎がカラバオ共和国で発見されたとの報を受け、妻の日向蓉子とともに迎えに行った。しかし、洋一郎は説得に応じず「今は帰れない」の一点張りで、結局洋一郎を残したまま日本へと帰還する。クニエが家に押し掛けて来た件については、小学生の陽に今から嫁の世話をしてもどうにもならないだろうと、洋一郎の自由奔放ぶりに頭を悩ませる常識人。

日向 蓉子 (ひなた ようこ)

日向陽の母親で、しっかり者。突如として家に訪ねて来て、息子の陽の嫁になると言うクニエに対し、当初は宗教の勧誘か新手の訪問販売と疑い、お茶とお菓子を出しつつも、英検2級の語学力を活かして撃退しようと試みた。クニエが名古屋弁で話すのを聞いて、カラバオ共和国で会った日向洋一郎が名古屋弁でしゃべっていたことを思い出し、洋一郎の関係者だと気づく。 ヘビやトカゲが苦手。

日向 遙 (ひなた はるか)

日向陽の姉。弟の陽のうっかりに釘を刺すなど、堅実な性格。サードとは雨に降られて困っていた際に、傘を貸した縁で知り合う。美形のサードと話す機会があると、話している内容は聞かずに顔をうっとりと見惚れていた。陽はサードが日向遙に近づいて何か企んでいるのではと疑うが、遙本人は、いい男に悪い人はいないと浮かれていた。

日向 洋一郎 (ひなた よういちろう)

日向陽の祖父で、博物学者にして探検家。30年前に、南太平洋のランゲルハウス島に調査に出かけたが、乗っていた船が嵐に巻き込まれて沈没し、以来消息を絶っていた。現在、カラバオ共和国という名に変わった旧ランゲルハウス島内の集落で、日本のテレビ局のクルーに発見される。その際は小島の長を務めていた。カラバオ共和国ではたくさん子供を作っており、末の孫であるクニエを同じく孫の陽の嫁にするべく、日本へと送り出した。

七星 まひる (ななほし まひる)

日向陽のクラスメイトの少女で、クラス担任の七星ひかるの妹。無遅刻無欠席で5年間皆勤だった陽を校門で邪魔して遅刻にさせるなど、何かといじわるしている。ひかるいわく、両親が年をとってからの末っ子なので、甘やかされているとのこと。突然現れたクニエが、陽の嫁になることを快く思っていない。

若生 恭一 (わこう きょういち)

日向陽のクラスメイトの少年。体育以外はオール5の成績を収めているクラスで一番の秀才。陽の成績が悪いことから家庭教師をつけると言いかねない日向蓉子への対策として、陽に若生恭一から勉強を教わる約束をしていると勝手に名前を使われてしまう。のちに本当に勉強を教えるために陽の家を訪れて、クニエと知り合う。 陽にリンガナエを見せてもらうと、冷静に種族を推測した。船やバスなど乗り物に弱く、すぐに酔ってしまう。

柳葉 (やなぎば)

日向陽のクラスメイトの少年で、陽とは幼稚園からずっと一緒。背が高く、活発な性格。口の固さには自信を持っており、どんなナイショ話でも、自分のところで必ず止まると豪語している。陽とはよく行動をともにする仲で、クニエが陽の嫁になるためにやって来たことや、リンガナエのことも知っている。

七星 ひかる (ななほし ひかる)

日向陽のクラス担任を務める女性教師。七星まひるの10歳以上も年の離れた姉で、さばさばした性格。ことあるごとに生徒たちに宿題を出している。カラバオ共和国の大使館員たちが変装したくじ引き所でカラバオ共和国行きの招待券を当て、カラバオ共和国政府の正式な招待を受けていた陽たちの引率者として海を渡ることになる。ちなみにこれは、親に旅行を反対されていた陽のため、教師が同伴することで行きやすくなるだろうというナガヤの作戦であった。

ナガヤ

現カラバオ共和国大統領の八男で、クニエの小さい頃からの友達。美形で、身体能力が極めて高い。日向洋一郎に学び、自分でも独学で勉強したため、日本語をしゃべることができる。日本にやって来た目的は、クニエをカラバオ共和国に連れ戻すためで、クニエは自分の嫁になるのだと日向陽に宣戦布告する。しかし、クニエがヌバトアのばっちゃの占いの結果、陽の嫁になることを知って泣く泣く諦めた。

ヌバトアのばっちゃ

占いやお祈りをするカラバオ共和国に住む老婆で推定120歳。日向洋一郎はヌバトアのばっちゃの占いによって、クニエを日向陽の嫁にすることを決めた。占いがよく当たることから、ナガヤも一目置いている。普段は洋一郎の側で、うつらうつらとしているが、突如クニエをカラバオ共和国に連れ戻すように洋一郎に告げるなど、謎めいた力を持つ。

村上 (むらかみ)

日向陽と別のクラスの少年で、4年生までは同じクラスだった。自分が作った泥団子に「アル・レッキーノ」と名前を付けており、陽が丹精込めて作り上げた泥団子の「金剛丸」に、団子ぶつけの勝負を挑んだ。陽と村上の抱く泥団子への思い入れを柳葉に突っ込まれた際には、中学に行ったらこんなこともやっていられないから今やるんだと強く主張した。

ユージン・チャップマン (ゆーじんちゃっぷまん)

研究機関「エテルナ」に所属している青年。カラバオ共和国近海に出現した巨大な杭の調査をするにあたって、アメリカ海軍に後方での安全確保と万が一の場合の護衛を依頼した。ゲイルと呼ばれる艦艇に乗り込み、ロバート・スミス艦長とともに、杭の様子をうかがっている。常に沈着冷静で、場合によっては非情な選択手段も取る。

シルビア・リー (しるびありー)

クニエを付け狙う、短髪でスーツ姿の謎めいた女性。ニューエール伯クリストファー・ランゲルハウスの使用人で、カラバオ共和国に流れ着いてから日向洋一郎が30年間何をしていたのかを、誘拐したクニエから聞き出そうとした。日向陽の家を訪問するなど大胆不敵な行動を取る一方で、居眠りをしたりと抜けたところもある。 これは子供の頃から遅くても夜9時には寝るようにと、しつけられたため。

ニューエール伯クリストファー・ランゲルハウス (にゅーえーるはくくりすとふぁーらんげるはうす)

英国のデボンシャー外れにある居館に住む老翁で、シルビア・リーの主人。車椅子に乗り、現在は闘病中。日向洋一郎とは古くからの友人で、若い頃はともに太平洋の島々を調査して歩いた。大規模な学術調査が入ることを禁じているカラバオ共和国政府の意向が、洋一郎の差し金ではないかと疑っている。洋一郎を失脚させ、自らの財団「ランゲルハウス財団」によるカラバオ共和国の調査を企む。

サード

ニューエール伯クリストファー・ランゲルハウスの孫である金髪碧眼の美青年。カラバオ共和国に行ける身体ではない祖父に代わり、カラバオ共和国の調査の指揮を執ることになる。常に余裕を持った態度で、気品にあふれている。英国紳士らしい女性への優しさを日向遙には見せる一方、使用人であるシルビア・リーには命令時や失敗時に鞭で叩くなど、手厳しい一面をのぞかせる。

サミュエル

シルビア・リーとタッグを組んで、クニエをつけ狙うスーツ姿の男性。ニューエール伯クリストファー・ランゲルハウスに派遣されて来た。いざとなれば、実力行使で任務を遂行しようとする強引な性格。半ば誘拐するような形でクニエを連れて来ることに成功するが、最終的にはナガヤにクニエを連れて逃げられてしまう。重要な話を進めようとする時には、決まって居眠りしてしまうリーに何かと振り回されている。

ドクター・マカロフ (どくたーまかろふ)

エテルナの顧問を務める男性。ユージン・チャップマンとともに杭について探り、杭からわき出しているらしい不自然なエネルギーを手に入れようとしている。その周辺での不可思議な現象を報告するたび、事態が常識離れしているためホラ話の疑いが強くなっていくことを懸念している。政府が金を出し渋ることを阻止するため、ユージンに自分の立てた仮説をフィルタリングし、既存の知識で説明するよう伝える。 ユージンいわく、どーゆー頭の構造をしてるのかよく分からない人物。

ロバート・スミス (ろばーとすみす)

アメリカ海軍の艦艇ゲイルの艦長を務める男性。階級は中佐。エテルナに協力して、杭を近くから監視し、時に攻撃を加えた。杭からの反撃から逃げている間に、カラバオ共和国の領海に入ってしまい座礁し、カラバオ警備隊に拿捕される。島で取り調べを受けて過ごすうちに、島の暮らしになじんで釣りをしたりしていた。嵐から避難した際に、日向陽たちと出会う。

結城 正美 (ゆうき まさみ)

「UMA(ユーマ)研究会」に所属している男性。日向陽の家に、不思議な生き物がいるという情報を聞きつけ、未確認生物に関心を持つ仲間とともに押しかけて来た。家の2階のベランダに出していたリンガナエを、電柱によじのぼって撮影した。日向洋介に、警察を呼ぶと言われてひるんだが、去り際に希少動物を内緒で飼っていることは、「ワシントン条約」にひっかかる可能性があると捨て台詞を吐く。

ドラゴン金橋 (どらごんかなはし)

砂浜でトレーニングをしていたボクサーの男性。リンガナエの体がどんどん大きくなったため、家では飼いきれないと判断した日向陽とクニエが海に放そうとした際に、リンガナエの姿を目撃した。それを口外したため、あっという間に日向家で変わった生き物を飼っているという噂が町中に広まった。最終的に、テレビ局を立ち会わせたうえで堂々とリンガナエを海に放すことになったが、その際、金のためにリンガナエを捕まえに向かったペットブローカーを自慢のパンチで打ち倒した。

マブニ

クニエのいとこの女性で、クニエが子供の頃から世話をしていた。カラバオ共和国に向かっていた日向陽たちが、船が転覆したことにより流れ着いたアマルガン島に住む部族の姫。神の試しを陽に受けさせ、無事に戻るかどうかを見極めた。試しにかけた陽が、神に赦されれば、一緒に流れ着いて捕らえられている七星まひるたちも解き放つと約束した。

じい

アマルガン島に住む部族の老翁で、マブニに仕えている。最初はクニエの許嫁の日向陽たちを無事に届けて恩を売ろうとしていたが、自分たちの神が手なずけられたのを見て、神がヌバトワの巫女にひざまずいたも同然と考え、見過ごせないと考え直した。ヌバトワの巫女が空位となればマブニにその座が巡ってくると思い、独断で陽たちを表向き遭難死とし、カラバオ共和国に帰さないでおこうと企む。

カナワ・ウルキ (かなわうるき)

カラバオ共和国大統領で、ナガヤの父親。日向洋一郎の研究内容を、大統領令で門外不出としている。無事にカラバオ共和国に到着した日向陽たち一行を、大宴会でもてなした。大宴会にもタンクトップに短パン、サンダル姿で登場する気さくな人物。

集団・組織

エテルナ

アメリカのエネルギー省の下部にある研究機関。ユージン・チャップマンが所属しており、カラバオ共和国近海に出現した巨大な杭の調査を行っている。世界のエネルギー危機を解決することを名目に、杭が持つ不可思議なエネルギーの抽出を狙っているが、その権益自体は自国が握ることを目論んでいる。

その他キーワード

(くい)

カラバオ共和国の近海に突如出現した、謎の巨大な杭。その周辺では、古代生物が出現したり、地震が起きたりと、怪現象が続出している。研究機関「エテルナ」が杭を調査しようと沈めたロボットプローヴも、海中に入れるとすべて故障してしまうなど、謎が多い。攻撃を加えると、泣き声のようなものを発して壁を作ったり、奇怪な生物を生み出して反撃もしてくる。

ヌバトワの巫女(用語) (ぬばとわのみこ)

マブニたちによるクニエの呼称。サードによれば、クニエと結婚した者は、カラバオに眠る神の力と、世界の支配権の半分を相続することになるのだという。日向陽たちは、杭がなくなった後に出現した島に上陸し、杭に取り込まれて、地球の見ている夢に触れる。そこで彼らは陽と同じ姿をした杭の底の御本尊と会い、ある一族の中に自分と触れ合える女性の血脈が生まれ、それが「ヌバトワの巫女」と呼ばれていることを知る。

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