バオー来訪者

『ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木飛呂彦が描く、SFバイオレンス作品。「週刊少年ジャンプ」1984年45号より1985年11号まで連載。この後、1987年1.2合併号から連載がスタートした『ジョジョの奇妙な冒険』は、読者から絶大な支持を受けて大ヒットとなる。遺伝子操作で生み出された「寄生虫バオー」により生物兵器となった橋沢育郎と、彼を追う秘密機関「ドレス」の戦いを描く。

概要・あらすじ

秘密機関ドレスによって寄生虫バオーの実験体となった橋沢育朗は、研究施設への搬送中に覚醒し、予知能力を持つ少女・スミレと共に脱走する。やがて寄生虫バオーによって、橋沢育朗は異形の姿と超人的な能力を発現。彼を抹殺するために送り込まれる刺客と戦いながら、逃避行を続ける。

登場人物・キャラクター

橋沢 育朗

本来は非常に紳士的で穏やかな17歳の少年。家族とドライブ旅行中に事故に遭い、秘密機関ドレスと関係する病院に搬送されたため、寄生虫バオーの実験体とされる。その後、仮死状態のまま三陸地方にあるドレスの研究所へ搬送されようとしていたが、同じく研究所へ護送されていた超能力の素質を持つ少女・スミレの起こした騒乱がきっかけで覚醒し、彼女と共に逃亡する。 身に危険が迫ることで、寄生虫の働きによってバオーと呼ばれる戦闘形態に変貌。当初は変身している間は自我を失っていたが、やがて橋沢育朗の姿と意識を持ったままでも、バオーの能力の一部を発現できるように成長する。

バオー

『バオー来訪者』に登場する、主人公・橋沢育朗を変身させる寄生虫。または橋沢育朗が変身した姿。作中では前者を「寄生虫バオー」と呼んで区別している。霞の目博士の遺伝子操作によって誕生した体長40mmほどの寄生虫であるバオーが、宿主の生命に危険が及ぶことでアドレナリン量を察知することで体液を分泌。 それにより宿主の身体を劇的に変化させ、驚異的な身体能力や再生力、さらに戦闘のための特殊能力を発動させる。それを「バオー武装現象(アームド・フェノメノン)」と呼ぶ。その状態では宿主の人格が寄生虫に支配され、また元の器官による視覚、聴覚、嗅覚などが失われる代わりに、頭部に現れる「触角」によって全感覚がまかなわれる。 そして「邪悪なにおい」と感じ取った対象を破壊する。

スミレ

主人公の橋沢育朗と行動を共にする9歳の少女で、予知能力を持つ。元は孤児院で育てられていたが、近所でひき逃げ事件が起きた際に超能力の片鱗を見せて自動車のナンバーを特定。その事件がドレスに察知され、訓練のために研究所へと専用列車で移送されていた。しかしドレスによって洗脳されることを察知し脱走。 その過程で予知能力によって寄生虫バオーの実験体が隠された車輌のパスコードを知り解錠したことから、橋沢育朗が覚醒することとなる。予知能力によって競馬の勝ち馬の予想も可能であるほか、彼女だけに見える「映像(ビジョン)」によって敵の襲撃などを事前に察知することもできる。

サニー・ステフェン・ノッツォ

『バオー来訪者』に登場する新生物。スミレと行動を共にするペットのような存在。ドレスが創り出した、外観はリスに似た小動物だが、尻尾の部分を風船のように膨らませ、ふわふわと浮遊することができる。また、空中からの俊敏な動きでエサとなる昆虫を仕留めることもあるが、それによってゴキブリを捕食してからは、スミレに避けられるようになってしまう。 サニー・ステフェン・ノッツォという長い名前は作中のキャラクター図解で紹介されたもので、物語においてはノッツォとのみ呼ばれている。

霞の目博士

バオーを作り上げたドレスの研究者。他にも遺伝子操作を行った動物を、さらに過酷な環境下で生育する「人工進化」によって、マーチンをはじめとする様々な新生物を誕生させている。また、脱走したバオーの秘密を守るために、橋沢育朗の抹殺を指揮する。表向きは寺の住職の姿をしており、仏像から照射される光によって瞳の「眼紋」が識別されることにより、寺の地下にある施設へと出入りしている。

女工作員

スミレの移送を担当するドレスの機関員で、霞の目博士の部下。しかしスミレの逃走を許したことがバオーの寄生する橋沢育朗が覚醒するきっかけとなり、その責任を取らされ、身元不明の死体として遺棄される。

第22の男

逃走した橋沢育朗を抹殺するために差し向けられた最初の刺客。彼の喉を掻き切ることに成功するが、バオーの能力で蘇生され、さらに両手から特殊な体液を分泌する「バオー・メルテッディン・パルム・フェノメノン」によってドロドロに溶かされてしまう。

マーチン

『バオー来訪者』の登場する猿のキャラクター。霞の目博士がマンドリルをベースにして生み出した、戦闘能力の高い新生物。顔面に包帯を巻いたドレスの機関員に命令されてバオーを襲撃した。非常に大型で力が強く、跳躍力はバオーをも上回るほど。それに加え、体内に仕込まれた装置からアンカー付きのワイヤーや無臭の毒ガスを放ち、バオーを窮地に追い込んだ。 しかし命令を発するムチの動きが一瞬遅れた隙を突かれ、「バオー・リスキニハーデン・セイバー・フェノメノン」により真っ二つに割かれる。

マーチンを操る男

ドレスに所属する機関員。マンドリルを遺伝子改造したマーチンを戦闘用に訓練し、操る。過去にマーチンに「じゃれつかれた」ことが原因で、顔面を包帯でグルグル巻にしている。ムチから発する音によってマーチンに命令を与え、バオーの片足を切断するダメージを与えるが、スミレの動きに気を取られている間に、バオーによってマーチンを撃破されてしまう。 自身はバオーの必殺技のひとつである「バオー・シューティングビースス・スティンガー・フェノメノン」により顔を焼かれて敗北。

ドルド

橋沢育朗抹殺のために送り込まれたドレスの工作員。特殊工作部門に所属し、階級は中佐。体の半分以上がサイボーグ化されている。義手になっている右手からは超音波が発され、六助じいさんを催眠状態にして橋沢育朗を襲撃させたほか、霞の目博士の創り出した「芳香蝙蝠(アロマ・バット)」を操り、バオーの感覚を麻痺させた。 さらに切断された義手を操ってスミレの拉致に成功した。しかし橋沢育朗を抹殺できなかったことで組織内での評価が下がり、功を焦って独断で橋沢育朗を狙撃するが失敗。追跡が困難になった責任を取らされ、地上最強の超能力者と言われるウォーケンによって全身の分子を振動させられ塵と化す。

ウォーケン

スミレを助けるためにドレスの研究所を襲撃したバオーを迎え撃つ、最強の超能力者。通常は能力を抑制するためのヘッドホンを装着している。あらゆる物質の分子を振動させる能力を持ち、それによって対象物を沸騰させたり、塵にする。アメリカ・インディアンの滅びた一族とされる「スクークム族」の最後の生き残りであり、戦士としての誇りを重んじる。 そのため「真の戦士」と認めたバオーに対峙した際、自らを傷付け、血で「戦士の決闘の化粧」を胸に施した。一度は敗退したあともバオーと戦うことにこだわり、能力を暴走させながら最終決戦に挑む。

六助じいさん

逃亡中の橋沢育朗たちに救いの手を差し伸べる老人。昔気質の頑固者だが、「客人」と認めた者は手厚く扱う。ドルドの催眠術によって橋沢育朗を襲撃してしまうが正気を取り戻し、バオーの姿となった橋沢育朗を見ても信じる気持ちを失わずにサポートを続ける。さらに、身寄りをなくしたスミレを引き取り、おばあさんと共に育てることになる。

集団・組織

ドレス

『バオー来訪者』に登場する秘密機関。研究内容は軍事目的であるため極秘とされる。起源は旧日本軍の化学細菌戦部隊にあり、研究を引き継いだアメリカ合衆国が特殊兵器の研究・開発のために作った組織とされている。その全貌は謎に包まれ、霞の目博士の元に犬を使った寄生虫バオーの実験を見るため現れた上層部の人物も、仮面を着用して素顔を見せていない。 三陸海岸などに研究所を構えるほか、時刻表には掲載されず、自由に国鉄の路線が使える特権を持つ専用貨物列車を所有している。

その他キーワード

武装現象

『バオー来訪者』に登場する生物兵器・バオーの戦闘形態、および必殺技の総称。戦闘で使われた必殺技として、両手から排出される強酸性の体液で対象を溶解させる「バオー・メルテッディン・パルム・フェノメノン」、両腕の皮膚組織を硬質化させ刃物状へと変化させる「バオー・リスキニハーデン・セイバー・フェノメノン」、硬質化させた毛髪を射出して敵に刺し、体温によって発火させる「バオー・シューティングビースス・スティンガー・フェノメノン」、細胞に流れる微弱な電流を増幅させ、6万ボルトの高圧電流を発生させる「バオー・ブレイク・ダーク・サンダー・フェノメノン」がある。

書誌情報

バオー来訪者 全1巻 〈集英社文庫 コミック版〉 完結

第1巻

(2000年6月発行、 978-4086174862)

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