ブスに花束を。

ブスに花束を。

地味で目立たない容姿に加えて、恋愛経験皆無のオタクな喪女(もじょ)の田畑花と、天然気味ながら人気者である上野陽介の一風変わった恋愛模様をコミカルに描いたラブコメディ作品。スクールカーストの底辺だからと他者との交流を避け、目立つことを嫌って生きてきた花が、恋や友情を通して成長していく姿も同時に描かれている。KADOKAWA「ヤングエース」2016年5月号から2022年10月号まで連載。「次にくるマンガ大賞2019」のコミックス部門で第5位に選ばれている。2022年11月にテレビアニメ化が発表。

正式名称
ブスに花束を。
ふりがな
ぶすにはなたばを
作者
ジャンル
ラブコメ
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
全12巻完結
関連商品
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あらすじ

第1巻

地味で目立たない田畑花は、クラスメートにバレないように朝早く登校し、教卓に飾られた花の手入れをしていた。いつも誰もいないことから油断した花は、教卓の花を髪の毛に挿して遊んでいたところ、クラスの人気者である上野陽介に目撃されてしまう。花はみんなに言いふらされないよう、陽介に口止めをしようとするものの、コミュニケーション下手なこともあり、なかなかうまく伝えられない。一方の陽介は花に対してまじめな女子だと好感を抱き、自分から話し掛けるようになる。しかし、陽介に好意を抱いている鶯谷すみれは、陽介と地味な容姿の花が親しくしている様子が気に入らない。何か裏があるのではないかと疑うすみれは、花がどうやって陽介に取り入ったのかを知るため、友達を装って花に接近する。そんなすみれの思惑を知らない花は、人気者のすみれが急に自分に興味を抱いてくれたことに喜びを覚えつつも、慣れないことの連続でとまどってしまう。

第2巻

鶯谷すみれは、田畑花上野陽介となぜ親しくなったのかを知るために、花をショッピングに誘う。そこですみれは花の身辺を探ろうと画策するが、一方の花はすみれと外出できたことに気恥ずかしさと同時に喜びを感じていた。花が自分に親しみを感じている様子を見たすみれは、陽介と親しくしている真相はわからなかったものの、花の性格のよさを認めるようになる。それから数日後、いつのまにか陽介となかよくなっていた花の母から託されたプレゼントを渡すため、花は陽介の自宅を訪れる。花はそのままリビングに通され、陽介の弟の上野圭介を紹介してもらい、これまで以上に親睦を深める。そんな中、木村に恋愛相談を持ちかけられた陽介は、その話の中で自分が花との接し方を誤っていたのではないかと不安を覚える。距離が近過ぎることを花が不快に思っているに違いないと考えた陽介は、花と適切な距離を取ろうとするが、どうもうまくいかない。そんな中、学校ではクラス対抗の球技大会が開催されることになる。卓球の選手として出場した花は、周囲の心配をよそに大活躍する。

第3巻

田畑花は梅雨に入って髪の毛のまとまりが悪くなったこともあり、幼い頃から行きつけのレトロな床屋へ行くが、そこで時代に合っていないおばさん風のヘアスタイルにされてしまう。さらに花は帰り道に上野陽介と出会ってしまう。陽介に笑われないだろうかと緊張する花だったが、陽介はまったく気にするどころか、自分のヘアカットの失敗談を打ち明けて花を励ますのだった。その後も花は陽介の弟、上野圭介の恋のアドバイスを送ったり、雨の日に傘を貸したりと、陽介との距離を確実に縮めていく。そんなある日、花は教室で陽介あてのラブレターを拾ってしまう。花は動揺して陽介に渡すことができず、鶯谷すみれに相談する。すみれは新たなライバルの出現に警戒し、陽介に手紙を渡したうえで、こっそりと指定された校舎裏へと向かう。そしてすみれは「陽介の警護」と称して花と共に、陽介の様子を見守る。

第4巻

夏休みに入り、新橋努の提案によって田畑花上野陽介たちはバーベキューをすることになった。初めてのバーベキューに緊張する花は失敗を重ねるものの、陽介からのフォローもあり、楽しい一日を過ごす。一方、鶯谷すみれは陽介に接近するために計画を練るが、察しの悪い花のサポートもあって来る日も来る日も空回りばかりしていた。そんな中、すみれは作り過ぎたお菓子をバザーに出して販売しようとしたところ、祖母の付き添いで出店していた五反田鉄男と顔を合わせる。すみれは陽介とうまくいかない苛立ちから五反田に悪態をつくが、彼は嫌な顔一つせずにすみれを受け止め、久しぶりに素の自分を出せたすみれは、すっきりとした気持ちになるのだった。一方、花は陽介の誕生日が近いことを知り、プレゼントを渡す計画を立てる。当日、花はさまざまなトラブルに見舞われながらも、陽介にプレゼントを無事渡すことに成功する。

第5巻

2学期が始まり、田畑花のクラスでは上野陽介が彼女と二人きりで花火大会に来ていたという噂が流れていた。花は自分が彼女だとカンちがいされていると思いながらも言い出せず、噂だけが拡大していく。しかし、上野圭介があっさりと陽介が花と花火大会に行ったことを話したため、相手が花ならば何もないだろうと騒ぎは収束するのだった。その後も花は転校生の大塚彩華にメイクを施してもらったり、陽介に美化委員の仕事を手伝ってもらったりと充実した日々を過ごす。一方、周囲から好感をもたれるために自分を偽っている鶯谷すみれは、いっさい飾ることなく周囲にちやほやされている花に苛立ちを覚え、ついに辛辣な言葉を投げかけてしまう。そんな自分の言動にすみれは自己嫌悪に陥るが、五反田鉄男からのフォローもあり、なんとか元気を取り戻す。そんな中、花たちの学校では文化祭が催されることになり、クラスの出し物は男女の配役を逆転した「白雪姫」に決定。その準備のために花と陽介が遅くまで学校に残っていたところ、急に天候が荒れて帰宅できなくなってしまう。そして二人は不可抗力とはいえ、教室で抱き合うこととなる。

第6巻

文化祭の準備が進む中、鶯谷すみれ上野陽介に告白する。しかし陽介は、田畑花の名前は出さなかったものの、心惹かれている女性がいることを伝え、すみれの告白を断ってしまう。落ち込むすみれだったが、事情は知らない花が自分を一生懸命に励ます姿を見て、「自分は花に勝てない」と素直に失恋を受け入れるのだった。そして文化祭も終わり、花は新橋努の恋愛相談に乗ったり、陽介と共にカゼをひいた上野圭介の看病をしたりと、慌ただしい日常を過ごしていた。また、花は大塚彩華といっしょに苦手な創作ダンスに取り組み、女同士の友情を深めていく。一方、失恋をしたすみれは五反田鉄男と確実に距離を縮めており、すみれは五反田を異性として意識し始める。そんな中、花たちは親しいクラスメートとカラオケに行くことになる。そこで一時的にカラオケルームを抜け出した花は、同じく部屋の外にいた陽介が知らない女子から告白を受けている場面に遭遇。陽介が自分に好意を抱いていることを知らない花は、彼が「好きな人がいる」と告白を断っている姿にショックを受ける。

登場人物・キャラクター

田畑 花 (たばた はな)

高校1年生の女子で、誕生日は5月4日。地味な目立たない容姿に加えて、少女漫画や乙女ゲームを好むオタクでもある。二次元世界のヒロインにあこがれつつも、所詮自分は「スクールカーストの底辺」で、誰かのモブキャラクターに過ぎないと自虐しながら生活を送っている。これまで恋愛経験のまったくない喪女(もじょ)で、人とコミュニケーションを取ることが苦手なため、高校に入学してもしばらくのあいだ、彼氏どころか同性の友達すらいない日々が続いていた。クラスの美化委員を務めており、ちょっとした出来心から生花を髪に挿した姿を上野陽介に目撃されてしまう。当初は口止めのために陽介に接近したものの、次第に天然気味な陽介のペースに巻き込まれ、陽介を異性として意識するようになるが、自分なんかが好きになっていい相手ではないと消極的になっている。新橋努からは「田畑っち」と呼ばれている。

上野 陽介 (うえの ようすけ)

田畑花と同じクラスに在籍する高校1年生の男子で、誕生日は8月16日。花いわく「スクールカーストの頂点」。爽やかで華やかなルックスを持ち、文武両道を地でいく人気者。つねに周りに人が集まってくるタイプで、女子からの人気が非常に高い。しかし実際の恋愛経験は乏しく、彼女がいたこともない。天然気味のマイペースな性格で、やや空気が読めないところがあるが、それがかえって周囲の人たちを助けることも多い。人気者でありながらも人を見下すことはなく、誰に対しても平等に接している。地味で目立たない存在の花に対しても、ほかの女子と同じように接して親睦を深めている。思ったことをすぐに口に出すタイプで、まるで少女漫画の主人公のようなキザなセリフをさらりと言い放つため、たびたび花を動揺させている。当初は花を女友達として接していたが、次第に異性として意識するようになる。田畑家が行きつけのお好み焼き店でアルバイトをしており、花の母とも親しい。弟の上野圭介と非常に仲がいい。

鶯谷 すみれ (うぐいすだに すみれ)

田畑花と同じクラスに在籍する高校1年生の女子。華やかでかわいらしい容姿の持ち主で、花いわく「スクールカーストの頂点」。誰にも優しい癒し系キャラクターとして周囲から愛されているものの、実はすべて計算ずくで装っている。しかし、五反田鉄男と二人きりになると動揺し、素に近い振る舞いをしてしまう。目立つ容姿と計算された言動で男子から非常にモテるが、一方的に自分の外見しか見ずにアプローチをしてくる男子に嫌気が差している。そのため、自分はもちろん誰に対しても平等に接する上野陽介に好意を抱くようになった。同時に陽介と親しそうにしている花の存在を疎ましく感じている。なんの計算もなく陽介と親しくなっていく花に内心嫉妬しつつも、花の性格のよさは認めている。趣味はお菓子作りで、腹立たしいことがあったときには大量に作ってストレスを発散させている。女友達からは「うぐちゃん」の愛称で呼ばれている。

五反田 鉄男 (ごたんだ てつお)

田畑花と同じクラスに在籍する高校1年生の男子で、誕生日は1月2日。中学校時代から上野陽介と親しい。陽介が花と話すようになったことで、五反田鉄男自身も花と会話をするようになる。大柄で屈強な体型をしており、喜怒哀楽の感情を表に出さないクールガイ。陽介と同じく天然気味のマイペースな性格で、陽介以上につかみどころがない。しかし相手が誰であっても誠実に対応し、ふだんは猫をかぶっている鶯谷すみれも、五反田と二人きりになると自然と素の状態になってしまうほど。すみれに好意を寄せている。柔道部に所属しており、決してモテないタイプではないものの、恋愛よりも柔道を優先している。大塚彩華からは「鉄」と呼ばれている。

新橋 努 (しんばし つとむ)

田畑花と同じクラスに在籍する高校1年生の男子。鶯谷すみれにあこがれている。明るい性格で調子に乗りやすく、空回りすることが多い。彼女が欲しいと願う気持ちは人一倍強く、モテるための研究を欠かさない。中学時代は地味であか抜けない外見から、周囲に見下される日々を過ごしていた。高校では同じことを繰り返さないと心に決め、クラスで人気者の上野陽介と親しくなれば軽視されないだろうと、下心で陽介に接近した。しかし陽介の人柄に触れ、本当の友達になりたいと思うようになる。地味な花に対しては出会った当初からまったく眼中になかったものの、陽介を通して花の人柄を知ってからは親しくなった。だが純粋な友達としてではなく、すみれと交際するための協力者として利用しようとしている。初登場時はぽっちゃりとした体型だったが、カゼをひいたことをきっかけに標準体型になり、そのままの体型をキープしている。大塚彩華からは「トム」と呼ばれている。

大塚 彩華 (おおつか さやか)

田畑花と同じクラスに在籍する高校1年生の女子。上野陽介、五反田鉄男と同じ中学校に通っていたが、引っ越したあとに再び戻ってきて花と同じ高校に転入した。小麦色の肌に派手なメイクを施した、いわゆるギャル。社交性が非常に高く、コミュニケーション下手な花ともすぐに打ち解けた。とにかく明るい性格で大抵のことは器用にこなすが、歌とダンスが大の苦手。中学校時代には歌が下手なことで、女友達から嫌がらせを受けた際、助けてくれた陽介と五反田に恩を感じている。新橋努からは「さーや」と呼ばれている。

木村 (きむら)

田畑花と同じクラスに在籍する高校1年生の男子。上野陽介と親しくしている。同じ学校に彼女がおり、陽介や新橋努、井上健太に恋愛相談をしている。その相談の内容を、陽介が参考にすることも多い。

井上 健太 (いのうえ けんた)

田畑花と同じクラスに在籍する高校1年生の男子。上野陽介と親しくしている。明るく親しみやすい性格で、黒川千夏から好意を抱かれている。しかし、千夏の気持ちにはまったく気づいておらず、いつも軽口を叩いている。

黒川 千夏 (くろかわ ちか)

田畑花と同じクラスに在籍する高校1年生の女子。鶯谷すみれ、森智子と親しくしている。黒髪のショートヘアで、ボーイッシュな雰囲気を漂わせている。クラス対抗の球技大会をきっかけに、井上健太に対して好意を抱いているが、なかなか伝わらずにいる。

森 智子 (もり ともこ)

田畑花と同じクラスに在籍する高校1年生の女子。鶯谷すみれ、黒川千夏と親しくしている。おっとりとした雰囲気の美人でスタイルも抜群なことから、すみれほどではないものの男子から人気がある。

花の母 (はなのはは)

田畑花の母親で、図々しいおばちゃんタイプ。田畑家の行きつけのお好み焼き店でアルバイトをしている上野陽介が、花と同じクラスで親しくしていると知り、勝手に花の彼氏候補として認識している。また、それを周囲に言いふらしており、花を大いに悩ませている。陽介とは個人的に連絡を取り合い、自家製の漬物やおはぎなどを手渡している。

上野 圭介 (うえの けいすけ)

上野陽介の弟で、小学生の男子。年齢のわりにしっかり者で、初対面で挙動不審だった田畑花を警察に通報するなど、躊躇することなく決断するタイプ。喜怒哀楽を表に出すことはほとんどないが、陽介の前では子供らしい一面を見せることもある。遠慮なく正論を口にすることから、同じクラスの女子を頻繁に泣かせている問題児でもある。花屋で働く律子に片思いをしており、たびたび店に立ち寄っている。陽介のことは「顔が異常にいい兄」と認識しており、モテることも理解している。

律子 (りつこ)

アラサーの独身女性で、上野陽介と上野圭介の自宅から近い商店街にある花屋に勤務している。圭介から好意を抱かれているが、小学生のためにまったく意識をしていない。律子が学生時代に部活動の先輩だった相澤に好感を抱いているが、彼が妻帯者であることから、あくまであこがれの男性として尊敬している。

相澤 (あいざわ)

田畑花が通う高等学校で教師を務める男性で、妻帯者。細かなことを気にしないおおらかな性格ながら、雑でだらしがないところがある。しかし、一見すると飾らず裏表のない性格に見えることから、好意的に受け止められることが多い。学生時代の部活動で後輩だった律子とは、今でも親しくしている。

太田 (おおた)

上野圭介と同じ小学校に通う女子。圭介に片思いをしており、積極的にアプローチを繰り返しているが、まったく気持ちが届かずにいる。圭介が律子に片思いをしていることは知らない。

書誌情報

ブスに花束を。 全12巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉

第1巻

(2016-11-04発行、 978-4041048849)

第2巻

(2017-07-04発行、 978-4041056486)

第3巻

(2017-12-29発行、 978-4041063965)

第4巻

(2018-07-03発行、 978-4041070567)

第5巻

(2018-12-29発行、 978-4041077344)

第6巻

(2019-07-04発行、 978-4041077351)

第7巻

(2019-12-28発行、 978-4041089330)

第8巻

(2020-07-03発行、 978-4041096352)

第9巻

(2020-12-28発行、 978-4041096369)

第10巻

(2021-08-03発行、 978-4041114568)

第11巻

(2022-02-04発行、 978-4041114575)

第12巻

(2022-11-04発行、 978-4041128596)

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