恋する花々

恋する花々

「男性に触れると相手が自分に対する性的な欲望をもとにした妄想世界に引き込まれ、まるで実体験をしたかのように感じてしまう」という特殊能力を持つ女子大学生・柊透が、理想の王子様とめぐり逢うまでを、お色気シーン満載で描いた一話完結のラブコメディ作品。「ヤングコミック」2004年9月号に初回掲載後、2005年1月号から2006年2月号にかけて連載された。

正式名称
恋する花々
ふりがな
こいするはなばな
作者
ジャンル
ラブコメ
関連商品
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あらすじ

第1巻

特殊能力のせいで普通の恋愛ができず、いつか王子様とめぐり逢う事を願っている柊透に対し、蘭凌子が「まずはいろんな男性と知り合わないと意味がない」と自身が主催するゼミの飲み会に誘う。そこで凌子から一見硬派な小野一平を紹介されるものの、結局は一平も透を性的な目で見ていた事を知り、何の進展もないまま終ってしまう。(第1話)

透と凌子は、チア部の錦木林道から幼なじみの周次を応援するため、助っ人として参加してほしいと依頼される。案の定、透は男性からのいやらしい妄想世界に引き込まれそうになるが、同時に周次の林道への気持ちを知り、自分もこんな恋愛ができたらいいなと羨ましく感じるのであった。(第2話)

バレンタインデーに、透と凌子はチョコレートの販売員のアルバイトをする事になったが、透はそこにやって来た少年のいやらしい妄想世界へと引き込まれてしまう。しかし、実は少年には好きな少女がいて、その子からチョコレートがもらえないからとやけになって自分でチョコレートを買いに来ただけだった。そこに偶然にも少年が好意を寄せている少女が現われ、二人は仲よさげに帰宅するのだった。(第3話)

今春大学を卒業する生田洋は自業自得とはいえ、何の思い出もなく大学生活を終えようとしていた。テニス部のキャプテンをしていた高校時代がピークだったと感じている生田に偶然ぶつかってしまった透は、彼の高校時代を舞台とした妄想世界に入り込んでしまう。(第4話)

進級した透たちに、初めてゼミの後輩ができる。新人歓迎会を兼ねた花見が行われ、凌子は酔いつぶれた後輩男性と草陰でセックスを楽しんでいた。その場面を偶然見かけてしまった同じく後輩の板倉一輝は、興奮して透に触れてしまう。アルコールの勢いもあり、一輝は妄想世界に入り込み透に迫る。しかし、一輝は強引に迫るわけでもなく、そのかわいらしい仕草に透は毒気を抜かれてしまうのだった。(第5話)

透と凌子は、ハンバーガーショップでアルバイトをする事になった。そこで二人は、同じくアルバイトの四十万叉朗西尾佳に出会う。優しく社交的な佳に好意を抱く透だったが、そんな中、透と佳は二人きりで冷凍室に閉じ込められてしまう。佳に触れても性的な妄想世界には引き込まれず、透は「王子様にやっと出会えた」と感動するが、その後すぐに佳は女性であった事が判明する。(第6話)

第2巻

夏を謳歌するために海に遊びにやって来た柊透蘭凌子は、偶然にも海の家でアルバイトをしていた四十万叉朗西尾佳と再会する事となった。彼らと別れたあと、透は二人組の男性に襲われてしまう。透は彼らの妄想世界に引き込まれて無理矢理犯されそうになってしまうが、そこへ凌子が助けに現われる。実は叉朗も特殊能力者であり、透を救うため、妄想世界へと凌子を送り込んだのだった。(第7話~第8話)

夏休みを利用して実家へ帰省した透は、幼なじみのと共に夏祭りを楽しんでいた。そんな中、健は透に触れてしまい、透を妄想世界へと引き込んでしまう。透はいつの間にか自分に対して性的な欲望を抱いていた健に対し、「あなたにだけは触れられたくなかった」と悲しい気持ちになるのであった。(第9話)

温泉旅館に宿泊していた透と凌子は、入浴中に男湯から妙な音を聞く。不審に思って男湯へと急いだ二人は、そこで首を吊ろうとしていた男性を発見し、すぐさま救助をする。だが、裸の女性二人に助けられた男性は一気に性的な欲望を高め、透だけでなく近くにいた凌子までも妄想世界へと引き込んでしまう。(第10話)

透たちの通う大学ではほかの大学と合同で体育祭を行う事となった。人とぶつかりまくって何度も妄想世界へと引き込まれた透はヘトヘトになってしまうが、そんな時、偶然にも体育祭に参加していた叉朗が、透の手を取り助ける。叉朗に触れられたにもかかわらず妄想世界に引き込まれずに済んだ透は、「やっと王子様に会えた」と胸をときめかせるものの、叉朗と佳が親密そうに話している姿を目撃し、二人は恋人同士なのではないかと疑うのだった。(第11話)

親密そうな佳と叉朗の姿を見て落ち込んでいた透を見かね、凌子は叉朗とのもとに出向いて、透の特殊能力と叉朗への恋心を打ち明ける。すると叉朗は凌子にだけ、自分も特殊能力者である事、そして妄想世界に引き込まれずに済む佳といっしょにいると気持ちが楽になる事、そして自身も透の事が気になっている事を打ち明ける。(第12話)

叉朗の気持ちを知らない透は、クリスマスにピザの配達アルバイトをして気を紛らわせていた。配達先は追い詰められた浪人中の男性であり、彼は透に、クリスマスの思い出として一口でいいからいっしょにピザを食べてほしいと願い出る。最終的にはいつものように妄想世界に引き込まれてしまうものの、同時にその男性ががんばっている姿を確認した透は、自分も叉朗に対してもう少しがんばろうと決意をするのであった。(第13話)

透は自分自身の特殊能力と向き合うため、ティッシュ配りなどあえて男性と触れ合う機会の多いアルバイトを行うようにしていた。そこへ叉朗が現われ、透に対し自分に触れてほしいと申し出る。以前は叉朗と触れ合っても何も起こらなかったものの、透は今回、叉朗の妄想世界へと引き込まれる事となった。自分の心をすべてさらけ出した叉朗は、透に愛の告白をするのであった。(最終話)

登場人物・キャラクター

柊 透 (ひいらぎ とおる)

櫻大人文学部に通う大学1年生の女性。大学の寮で暮らしている。男性に触れると相手が自分に対する性的な欲望の妄想世界に引き込まれ、まるで実体験をしたかのように感じてしまう特殊能力を持っているため、男性を苦手としている。顔は大学生に見えないほど幼いにもかかわらず、スタイルは抜群。またおどおどしたところがあり、男性は思わず意地悪したくなる雰囲気の持ち主でもある。 蘭凌子には、それらの要素がさらに男性の欲望をかきたてるのではないかと分析されている。これまで男性と付き合った経験はない処女で、自分を性的な目で見るのではなく、純粋に愛してくれる王子様とめぐり逢う事を願っている。

蘭 凌子 (あららぎ りょうこ)

櫻大に通う大学1年生の女性。大学の寮で暮らしている。柊透の親友であり、透の持つ特殊能力の事を知る唯一の人物。サバサバとした姉御肌で、思った事ははっきりと口に出す性格。セックスをまるでスポーツのように楽しんでおり、透にも対しても早く経験すればいいと考え、男性を紹介したりしている。性に関しては基本的にノーマルだが、かわいい透ならば同性ながら相手にしても構わないと考えている。

四十万 叉朗 (しじま またろう)

柊透と蘭凌子がハンバーガーショップでアルバイトをした際に出会った男子大学生。透らと同じくアルバイトとして勤務していた。クールで男らしい性格で、感情をあまり表に出す事はない。また仕事に対して厳しい態度で臨んでいる事から、透には苦手意識を持たれている。西尾佳と仲がよく、夏場には海の家でのアルバイトもいっしょに行っている。 実は透と同じ特殊能力者だが、四十万叉朗の場合は相手に触れなくても、近くに強い性的欲望を抱いている女性がいるだけで、妄想世界に引き込まれて実体験をしたかのように感じてしまう。また、同じ特殊能力者の透の妄想世界に別の人物として入り込み、自由に行動する事もできる。特殊能力のせいで女性に対して不快感を覚えているものの、女を感じさせない佳だけは近くにいても問題がない。

西尾 佳 (にしお けい)

柊透と蘭凌子がハンバーガーショップでアルバイトをした際に出会った女子大学生。透らと同じくアルバイトとして勤務していた。男性アイドルのようなかわいらしい容姿をしており、人当たりがよく社交的で優しい性格。透には男性だと勘違いされ、彼女にとって初めて好意を抱いた相手となったが、女性であったため進展する事はなかった。 四十万叉朗と仲がよく、夏場には海の家でのアルバイトもいっしょに行っている。また、叉朗の特殊能力の事も知っている。

小野 一平 (おの いっぺい)

櫻大工学部に通う大学2年生の男性。クールな性格の持ち主で、女性に対してガツガツしないその姿勢から、周囲からは硬派だと思われている。蘭凌子の知り合いであり、凌子は小野一平を柊透とくっつけようと画策していたものの、結局一平も透に対して性的な欲望を抱いていたため、何も発展せずに終わった。

錦木 林道 (にしきぎ りんどう)

櫻大人文学部に通う大学1年生の女性。柊透と同じ学年で同じ学部という縁があり、仲がいい。中学時代で身体の成長が止まっており、小柄な透よりもさらに小さく幼い容姿をしている。まじめで一途な性格で、同じ大学のラグビー部に所属している幼なじみの周次に恋心を抱いている。彼を応援したい気持ちからチア部に所属している。

周次 (しゅうじ)

櫻大に通う大学1年生の男性。ラグビー部に所属しており、期待の新人として注目を集めている。錦木林道とは幼なじみである。表向きは柊透のチアリーダー姿を褒めながらも、林道に思いを寄せている。

生田 洋 (いくた ひろし)

櫻大を今春卒業する男性で、年齢は23歳。高校時代はテニス部でキャプテンを務め、地区大会決勝まで勝ち上がった実績を持ち、女性に非常にもてる。しかし、大学に進学してからは羽目を外して遊び呆け、すっかり堕落してしまい、女性との縁もなくなってしまった。地元の企業に就職が決まっており、卒業もなんとかギリギリでこぎつけた。

板倉 一輝 (いたくら いっき)

櫻大に入学してきた大学1年生の男性で、2年生に進学した柊透と蘭凌子のゼミの後輩となった。酒に弱く、新人歓迎会の花見で潰れてしまう。その際、凌子と別の新入生が外でセックスをしているのを目撃し、アルコールの勢いで透に迫った。この粗相は透に許してもらい、以降はかわいい弟のように認識されるようになる。

(けん)

柊透と同い年の、幼なじみの男性。現在も地元で暮らしており、進学のために地元を出て行った透の帰省を待ち望んでいた。純情で奥手な青年ではあるものの、性欲はそれなりにある。

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