マグロ一本釣り伝説 じょっぱれ瞬!

マグロ一本釣り伝説 じょっぱれ瞬!

父親の残した莫大な借金を返済するためにマグロ漁師となったズブの素人の少年が、マグロと苦闘する日々を描いた作品。「週刊少年マガジン」で2006年第52号から2007年第10号にかけて掲載された。

正式名称
マグロ一本釣り伝説 じょっぱれ瞬!
ふりがな
まぐろいっぽんづりでんせつ じょっぱれしゅん
漫画
原作
ジャンル
農業・漁業
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あらすじ

第1巻

東京で暮らしていたごく普通の中学生である小泉瞬は、サッカーの試合を終えて帰宅した直後、借金取りが自宅を荒らしている現場に遭遇。困惑する瞬は、借金取りのリーダーの桜井から、父親が3000万円という莫大な借金を残して失踪したことを知らされる。借金の担保として家を失いそうになった瞬は、アルバイトで金を工面しようとするが、身を粉にして働いても返済が到底おぼつかない現実に、打ちのめされてしまう。覚悟を決め、男娼として働くことを承諾した瞬は、その瞬間、10年前に祖父、小泉シンのもとで体験したマグロ漁のことを思い出し、シンと一緒にマグロを一本釣りして借金を返すことを思い立つ。しかし、自転車を担いで青森の大間を訪問した瞬に対し、地元漁師の山口は、シンが3日前に漁船を売り払って漁師を廃業し、大間を去ったことを伝えるのだった。予想外の出来事に半ば捨て鉢になりながらも、マグロ漁による借金返済を諦めない瞬を、あえて自分の船に乗せる山口。荒波の中で行われるマグロ漁の過酷さに何もできず、あえなくダウンした瞬に現実を理解させた山口は、瞬に対し東京へ帰ることを勧める。しかし、母親との別れ際に教えられた「じょっぱれ」という言葉を思い出した瞬は、意を決して再びマグロへと挑戦するのだった。

第2巻

マグロが食いついたテグスを死に物狂いで握る小泉瞬。恐ろしい力で腕を引っ張られ、それでもテグスを離さなかった瞬だったが、テグスが切れてマグロを取り逃し、初めてのマグロ漁はあっけない結末を迎えた。意気消沈して港に戻った瞬は、父親の仕事を邪魔したとして、山口の息子の山口健からボコボコにされたうえに、大間から去ることを強要される。しかし、テグスで作った手のひらの傷を見て、マグロに対する闘志を奮い立たせた瞬は、もう一度マグロ漁に挑戦することを決意。大間の港で働き、新たなチャンスを待つことになった。そんなある日、お世話になっていた漁師の川端が、漁から帰ってこないというトラブルが発生。健に頼み込み、山口の船でともに川端の捜索に向かった瞬は、時化で大荒れした海上で、超大物のマグロと格闘している川端を発見する。川端からマグロ釣りを引き継いだ瞬と健は、死闘の末にマグロを仕留めることに成功。帰港後、マグロを築地へと送るトラックに乗せられ、東京へ帰ることになった瞬は、その道中で桜井に捕まり、ヤクザの事務所まで連行されてしまう。しかし、男娼として売られそうになった瞬を助けるために、山口をはじめとする漁師たちの集団が事務所に乱入。漁師とヤクザで一触即発の状態になるが、瞬の釣った大物マグロに3000万円の値が付いた、という吉報が健からもたらされる。借金をチャラにし、晴れて自由の身となった瞬は、漁師になるべく大間へと舞い戻るのだった。

登場人物・キャラクター

小泉 瞬 (こいずみ しゅん)

東京で暮らしている男子中学生。年齢は15歳。サッカーが好きなバイタリティ溢れる明るい少年。しかし、ゴールキーパーがキャッチしたボールにヘディングをかまして退場になるなど、根が少々単純で、熱中すると周りが見えなくなる性格。母親が幼少の頃に家を出て行ったため、それ以来、父親と2人で慎ましい暮らしをしていた。ある日、3000万円という莫大な借金を残して父親が蒸発したため、平穏な暮らしが一変。 借金の担保となった家を守るため、学生の身で大金を稼ぐことを強いられてしまう。当初は普通のアルバイトで借金の返済を目指していたが、その計画に無理があると判明したので、覚悟を決めて男娼になることを志願。しかし、10年前に祖父の漁師、小泉シンのもとでマグロ漁を体験したことを思い出し、一攫千金を狙って青森の大間へと向かい、マグロ漁に挑戦することになった。 頼りのシンがすでに漁師を辞め、大間を去っていたことにショックを受けつつも、持ち前のバイタリティで漁師の間に飛び込み、地元の漁師である山口の力を借りて、マグロ漁へと参加する。初めての漁は大失敗に終わるが、それでも諦めることなく、港で働きながらチャンスを待ち、徐々に他の漁師の信頼を勝ち取っていく。 頭は悪く、何事に対しても猪突猛進気味だが、祖父譲りの根性は人一倍。母親の小泉十和子から教わった「じょっぱれ」という言葉を心の支えにして、過酷なマグロとの戦いを乗り越えていた。借金返済のために仕方なく始めたマグロ漁だったが、いつしかマグロ漁そのものの魅力に取り付かれていく。

山口 健 (やまぐち けん)

青森の大間で漁師の見習いをしている少年。凄腕の漁師である山口の息子。漁師としての腕はまだまだ未熟で、釣り針に餌をつけることも満足にはできない。そのため、山口からはいつも厳しく叱責されており、仕事をうまくこなせないことが大きなコンプレックスになっている。東京からマグロ漁をするためにやって来た小泉瞬のことは、礼儀知らずで厚かましく、よそ者のくせに馴れ馴れしい人間であるとして、一方的に嫌っていた。 しかし、漁師仲間の川端が海で行方不明になった時に、一緒に船に乗って川端を探しに向かった際、瞬の状況を見る目の確かさと人一倍の根性を見せつけられ、瞬に一目置くようになる。密かに川端ゆりねに想いを寄せていたが、ゆりねには気付かれていなかった。

山口 (やまぐち)

青森の大間で漁師をしている眼光の鋭い男性。山口健の父親。左のこめかみに傷があるのが特徴で、仲間内でも尊敬されている凄腕の漁師。誇り高い性格をしており、仕事に対する姿勢は非常に厳格かつストイック。漁師としては半人前以下の息子である健のことは、日々厳しく鍛え上げていた。東京から借金返済のためにマグロ漁をしに来た小泉瞬の半端な覚悟を見抜き、あえて自分の船に乗せて漁を手伝わせ、過酷な現実を教えて東京へ帰ることを促す。 しかし、瞬の素人とは思えない並外れたマグロ漁への執着心を見て、徐々に彼の力を認め始める。口数が少なく、他人との接し方が不器用なのが玉に瑕。漁師仲間からは「山さん」という愛称で親しまれていた。

川端 ゆりね (かわばた ゆりね)

青森の大間で暮らしている女子中学生。川端の孫娘。優しく、おっとりした性格の少女。身寄りのいない大間に来て、ひもじい思いをしていた小泉瞬と出会った際には、自分が握ったおにぎりを躊躇なく渡していた。ただし、「どうやったらおにぎりをこうまでマズく作れるんだ!?」と瞬から驚愕されるほどの料理下手で、本人もなんとなく自覚はしている。 空手は初段の腕前を誇り、蹴りの一撃で瞬を昏倒させられるほど。

川端 (かわばた)

青森の大間で漁師をしている男性。川端ゆりねの祖父で、温厚な性格をした老人。小泉シンの友人で、若い頃は一緒に漁をした仲だった。大間まで来たシンの孫である小泉瞬を温かく迎えるが、彼の目的が借金返済のためにマグロ漁に挑戦しに来たことを知り、協力を拒否する。しかし、初めて漁から帰還した瞬の傷だらけの手のひらを見て、その覚悟のほどを知り、何かと面倒を見るようになる。 漁師仲間からは「端さん」という愛称で呼ばれていた。

小泉 十和子 (こいずみ とわこ)

青森の大間に住んでいた勝気な女性。小泉瞬の母親で、漁師仲間からは小泉シンが勝てない唯一の存在とされ、全員から一目置かれていた。10年前に幼い瞬と離れて暮らすことになった別れ際、じょっぱれという言葉を瞬に残す。

小泉 シン (こいずみ しん)

青森の大間で漁師をしていた男性。小泉瞬の祖父で、漁師仲間から名人扱いされていた凄腕のマグロ漁師。幼い瞬をマグロ漁船の乗せ、マグロ漁の凄さを教えていた破天荒な人物。ゲンかつぎに漁師を始めた時から同じ帽子を被っており、何にも負けないパワーが出る「魔法の帽子」として、死ぬまで被り続けることを瞬に宣言していた。 怖いもの知らずの性格だが、娘である小泉十和子には弱い。シンを頼った瞬が大間を訪れる3日前に船を売り、大間を去ってしまう。

小泉瞬の父親 (こいずみしゅんのちちおや)

東京で暮らしていた男性で、小泉瞬の実父。妻の小泉十和子とは10年以上離れて暮らしている。怪しげな商売に手を染めて3000万円という莫大な借金を作ったうえ、瞬を一人残したまま失踪した。

柚華 (ゆずか)

東京で暮らす女子中学生。小泉瞬の幼なじみ。瞬が所属するサッカークラブでマネージャーをしている。集中すると周りが見えなくなってしまう瞬のことを常々心配しており、注意すべきポイントを箇条書きにしてまとめた紙を瞬に渡していた。借金返済のために連日連夜アルバイトに打ち込み、学校に登校しなくなった瞬の身の上を案じていた。

桜井 (さくらい)

借金取りの男性。端正な顔立ちをした長髪の美男子で、蒸発した小泉瞬の父親が作った3000万円の借金の代わりとして、瞬の家を差し押さえた。取り立ては厳しいが、瞬に対しては借金返済の責務を負わせず、早く引っ越しをするように促すなど、人間的な心も持ち合わせている。マグロ漁で一攫千金を狙う瞬の動向を見守っていた。

赤西 (あかにし)

サングラスをかけたヤクザの男性。桜井の上役。蒸発した小泉瞬の父親が作った3000万円の借金を回収するために、桜井に指示して家の差し押さえを命ずる。大間から築地に向かう途中の小泉瞬の身柄を拘束し、男娼として売ろうとする。

その他キーワード

じょっぱれ

大間の方言で「あきらめない」「最後までやり抜く」という意味合いの言葉。小泉瞬と離れて暮らすことになった小泉十和子が、別れ際に瞬に残した。過酷なマグロ漁の中でこの言葉を思い出した瞬は、不屈の闘志を発揮してマグロへと立ち向かうことになった。

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