概要・あらすじ
地球人の少年、十鬼島ゲンは恋人の君塚星見と共に、天使型の宇宙船を駆るリプミラにさらわれた。「さまよえる星人」の末裔であるゲンの身体に、銀河の秘法の在処の地図が隠されているというのだ。銀河を旅するうちに、数々の功績を挙げて、伝説の勇者「ダイナック」と呼ばれるようになったゲン。しかし銀河の秘宝を探す旅はいつしか、、銀河系中の生命を使って生贄砲を撃とうとする強大な伝承族との戦いになってゆく。
登場人物・キャラクター
十鬼島ゲン (ときしまげん)
身体に「風まく光」の在処を示した地図を持つ。「十の魔物」の一人、伝説の勇者ダイナックなど様々な名前で呼ばれる。「十の魔物、七つの軍団を従えて」の伝説を継ぐ者。さまよえる星人の子孫ということで、伝承族の精神攻撃を受け付けず、銀河障壁を超えることもできる。モテる体質だが、君塚星見とリプミラを最後まで選べないなど、女性に対しては優柔不断。 銀河中から伝承族に対抗する勇者としてまつり上げられるが、本人はただの人間だという自覚があり、銀河を統一した後は「勇者はいなかった」という伝説を残してリプミラと共に再び旅に出る。
リプミラ・グァイス (りぷみらぐぁいす)
半有機合成人間(ビメイダー)。天使型の船体とは別に、人間型の頭脳体を持つ。「風まく光」の謎を追って、十鬼島ゲンと出会う。地球に現れた時は宇宙海賊カリオンを名乗るが、その名の由来はかつての主人であり、カリオンの遺志を継いで「風まく光」を追っていた。船体が傷つくと、頭脳体側でも同じ部位に傷が付き痛みを感じる。 「十の魔物」の一人。元々は銀河の星々に命をはぐくむ目的で作られたリープタイプの一隻。女性型をしているのはそのため。ゲンとは強い絆で結ばれる。
君塚 星見 (きみづか ほしみ)
十鬼島ゲンと同じ高校に通っていたガールフレンド。ゲンと共にリプミラに拉致され宇宙に出るが、これといって能力があるわけでもない。無謀な旅に出るゲンをいつも心配して待っている。「十の魔物」の一人。
ニュウ・ウェブ (にゅううぇぶ)
秘密結社「スペース・パトロール」の隊長。リプミラと同じく「風まく光」を追っていた。種族的に超能力を使うことができるが、予知やテレパシーなどはまるで使えず、使えるのはESPのみという落ちこぼれ。シンプルでディティールの少ない顔をしている。必殺技は、巨大化するスパイラル・メタモルフォーゼだが、体力を消耗すると共に本人が全裸となるために恥ずかしがってあまり使わない。 後に七つの試練を乗り越えて、スペース・パトロールの提督となり、「十の魔物」の一人としてスペース・パトロールを率いる。妻子持ち。
ツキメ
地球に比べて高重力の惑星ジャンバ星の王子。正式な名前は「ミンにょろ・にゅぐかーみゃこすツキメ」。通常の重力下では怪力を発する。秘密結社ギドロによって別の高重力星に囚われていたのを、同じく囚われていた十鬼島ゲンと君塚星見に助けられる。当初は星見のペットのように扱われていたが、ドドーでジャンバ星の大使に発見され正体がバレた。 後に星見を妃に迎え入れることで、国内の不満分子のあぶり出しを狙うなど意外に策士。「十の魔物」の一人としてジャンバ星人の戦士たちを率いる。
ガッハ・カラカラ (がっはからから)
宇宙商人として敵味方関係なく兵器を売り歩く死の商人。珪素生物のカミオ星人で、外見は巨大なメロンのような球形。神経伝達や動作速度が遅いため、パワードスーツで強化している。奴隷として宇宙に売りまかれたカミオ人たちを買い戻して、自由にするため商売をしていた。「十の魔物」の一人として、ガッハ商会傘下70億の子会社を率いる。
リプラドウ・グァイス (りぷらどうぐぁいす)
半有機合成人間。惑星リングロドを守る「5人の幽霊船」の一人。残されたリープタイプの長姉。リープタイプが作られた20万年前からの記憶を持つ。伝承族の反逆者・ガタリオンによって伝承族の遺伝子を組み込まれ、真のラドウとして生まれ変わるがリプミラに倒される。その後残された破片からクローン体が作られ、「ブルーネスト計画」として地球に種子として播かれ、数万の成体となって蘇る。 内一体はジェンド・ラドウ(THE END RADOU)と呼ばれ、クローン体をコントロールする。
リプダイン・グァイス (りぷだいんぐぁいす)
半有機合成人間。惑星リングロドを守る「5人の幽霊船」の一人。頭脳体はリプミラと同じ姿をしており、それ故に複雑なコンプレックスを抱いている。その点をラドウに付け込まれ、操られる。リプミラに似ているというメリットを生かして十鬼島ゲンを暗殺しようとするが、毎回見抜かれている。 船体は赤銅色。後に人格データを元に再生された頭脳体がリプデニー。
リプレイン・グァイス (りぷれいんぐぁいす)
半有機合成人間。惑星リングロドを守る「5人の幽霊船」の一人。ラドウにコントロールされている。船体は透明で、エネルギー兵器などを透過、屈折させる。頭脳体にはカリオンの人格と記憶、船体には本来リプミラの物だった装備「星の涙(スター・ティア)」を持つ。惑星カミオで頭脳体が消滅。 後に人格データを元に再生された頭脳体がリプレニー。
リプシアン・グァイス (りぷしあんぐぁいす)
半有機合成人間。惑星リングロドを守る「5人の幽霊船」の一人。船体は流体金属で作られ、全てのエネルギーを反射する。頭脳体再生以前の記憶を持たない。過去にリプリムと共に逃亡したリプミラを追ったが、途中で行方不明となる。その際に他の惑星で育てられ、騎士として育っただけあって真面目すぎる性格。
リプリム・グァイス (りぷりむぐぁいす)
半有機合成人間。惑星リングロドを守る「5人の幽霊船」の一人。リープタイプの最年少で、外見も中身も子供。過去に旅芸人の一座にいたこともあり、演技派。頭脳体再生以前の記憶を持たない。ガッハによって船体を改造された後は、時空振動エンジンを搭載。外部からの衝撃をエネルギーへと変換し放射することができるが、エンジンの物理限界により上限がある。
ガタリオン
秘密結社ギドロに囚われていた宇宙民族学者だが、実は伝承族の幼生体。ギドロのボスたちの脳をコントロールして、伝説の勇者がやってくるのを待っていた。その後も伝承族内部で反乱を企て、最後はブゥアー内部に潜入しブゥアーと一体化しようとするが、共に消滅する。
ダード・ライ・ラグン (だーどらいらぐん)
男性型の合成人間。龍の種族・ライ族によって、リプミラの遺伝子をベースにした男性型ビメイダーとして作られた。戦闘により自己進化する。究極の強さを求めており、自らを一度倒したリプミラに固執する。後にクローンとなったラドウの1体を引き取りジェンド・ラドウはじめクローン体と戦うが、圧倒的な戦力差を前に倒れる。 残ったダードの船体を使って、十鬼島ゲンとリプミラはブゥアーの中枢を目指す。
神帝ブゥアー (しんていぶぅあー)
評議会の長で伝承族を統べる。勇者伝説を元に銀河が一つにまとまろうとした時、銀河系の生命を使った生贄砲を放つと宣言する。その正体は過去文明が宇宙の全てを記録しようとした生体装置。記憶の増大と共に巨大化し、その維持に必要なエネルギーが不足すると判明した段階で、記録によるシミュレートと現実の差異がない事を計算。 記憶を維持するために現実を消去して記憶の増加を防ぐという本末転倒な行動に出る。
ザザーン・クロマミス (ざざーんくろまみす)
ガッハ・カラカラの生贄砲計画を探るためにパズドマに潜入し、十鬼島ゲンたちと出会う。有尾人でレズビアン。男女比1:792の惑星ドドーの軍人。階級は劇中で少佐から大佐に昇進。「十の魔物」の一人として約2万人の女性で構成された直属の「愛人部隊」とドドーの装甲兵団を率いる。
メタル・ビーチ (めたるびーち)
正式には「メタル・ビーチボール」。ゲンは「オヤジ」と呼ぶ。惑星リングロドの正体で、伝承族。ゲンたちを助けた際に脳だけとなるが、ガッハによりサイボーグ化される。蒼き円卓(地球)を巡る戦いで月が破壊された後は、しばらく月の代わりを務めた。最終決戦では変形し機動要塞として、全軍の中心となった。 「十の魔物」の一人。
ガドリジン・ローム・ラム・ヘクススキー教授 (がどりじん・ろーむ・らむ・へくすすきーきょうじゅ)
頭脳養成機関、マド学院の院長。巨大な身体を持ち、爬虫類のような尻尾を持つ。外見から見える腕は作業用のマニピュレータで、ウェイトトレーニングで鍛えた自前の腕が下に隠されている。「十の魔物」の一人で銀河最大の学術グループ、マド学院を率いる。伝承族を調べるため、自らの体に伝承族の遺伝子を注入し、伝承族が生命の意識を乗っ取ってゆく過程を明らかにした。 最後は肉体を捨て、意識と記憶を外部記憶に移して生き延びる。
シスター・プテリス (しすたーぷてりす)
未確認宙域の住人。植物系生命体にして、大自然の調整者。人型の生命体だが二足歩行はあまりせず、透明カプセル状の宇宙服の中に入って浮かんでいる。妖精の羽や花糸のような器官を持ち、植物と対話したり融合することが可能。意外にドジっ娘。「十の魔物」の一人。
キャプテン・ヒイ (きゃぷてんひい)
伝承族の反乱軍、アマニ・オーダックが集めたA級コレクション兵器群の一つ。名前は無く自ら「彼(ヒイ)」と名乗った。銀河先住民族で、恒星に住むエネルギー生命体。伝承族に対抗するために肉体を手に入れるが、代償として永遠の命を失う。その後「最初の男」亡き後、彼の弟である「最後の男」が代わって彼(ヒイ)となった。 「十の魔物」の一人で銀河障壁を超えることのできる光破船団を率いる。
集団・組織
ビメイダー
『マップス』に登場する種族。人造生命体、および疑似生命体に対する総称。リプミラのような船の頭脳体に限らず、サイボーグや合成生物との共生体や、人の意識を移植されたロボットなど定義は広義。作者による造語。
伝承族 (でんしょうぞく)
『マップス』に登場する種族。伝説の種族と言われていたが、ダイナック伝説の広まりと共に姿を現した。外観は惑星サイズの巨大な生首で、巨大な脳によるESPや神経索があるので、手足は不要。二齢までは人間サイズだが、三齢に成長すると脱皮することで急激に巨大化してゆく。評議会と呼ばれる指導層があり、さらに上位には神帝と呼ばれるブゥアーがいる。 しかし評議会やブゥアーに密かに反抗する勢力も存在し、必ずしも一枚岩ではない。
その他キーワード
銀河障壁 (ぎんがしょうへき)
『マップス』に登場する用語。銀河の周囲に張り巡らされたエネルギーの障壁。50億年前から存在し、これにより銀河系内外を行き来することはできない。一種のサイコバリヤーであるという説もあった。惑星リングロドはこの障壁を超えて飛来する唯一の星。
マップス
半径6億光年の星と銀河など、宇宙のあらゆるデータを持つ地図。現在までに3枚発見されており、1枚目は地球の中心部に、2枚目は惑星リングロドからカミオ人に託された物がガッハの生贄砲中枢部に、3枚目はトゥルー・ラドウ内部の生贄砲中枢から発見された。神帝ブゥアーとの戦いで消失する。