あらすじ
上巻
不死の少女のπは、人類がいなくなって1万年以上が経過した地球で、同じく不死の少年のマッキと、二人の母親であるママと暮らしている。πは人類がいなくなって廃墟や動物、自然だけが残された地球で元気に日々を過ごし、即興のラップを口ずさむのが大好きだった。ある夜、πとマッキは近くに不時着した宇宙船を発見する。乗っていた女性は、二人の前で女の子を出産して息絶えた。二人が初めて目にした自分たち以外の人間と、そして死であった。πとマッキは、ミラと名付けられたその赤ん坊を、ママには内緒で育てることを決意する。
下巻
πとマッキによって育てられたミラは、元気な少女へと成長する。やがて二人の背も追い越し、初潮も迎えた。好奇心旺盛なミラは次々と知識を吸収していき、いずれは自分だけが年を取り、死んでいくことも理解していた。そんな中、ミラは自分を生んだ母親が遺した端末を読み、母体が受けた汚染物質によって自分の寿命が十数年であることを知る。
登場人物・キャラクター
π (ぱい)
人類がいなくなった地球で暮らす不死の少女。金髪のショートカットで、ワンピースを着用している。明るく元気一杯で、外で遊び回るのが大好き。不死のために年を取ることはなく、クジラに丸のみにされたり、ハイエナに肉体を食べられたりしても、失った肉体は再生される。気が遠くなるような長い歳月、マッキとママといっしょに暮らしてきた。ラップが大好きで、即興でよく口ずさんでいる。
マッキ
人類がいなくなった地球で暮らす不死の少年。眠たげな目つきで、パーカーを着用している。外で遊び回るのが好きなπとは対照的に内向的な性格で、本を読むのが大好き。ペットを飼うことはママから禁じられていたが、これまでに無数のペットを飼っており、その死も見てきた。生きている人間を探す、という目標を掲げている。
ミラ
地球に不時着したミラの母から生まれたふつうの人間の少女。πとマッキによって育てられた。外は危険だという理由で、πとマッキには廃墟となった遊園地から外へ出ることを禁じられていたが、好奇心旺盛なためによく外へ飛び出している。その後、親代わりだったπとマッキよりも背が大きくなる。
ママ
人類がいなくなった地球で暮らす不死の女性。ドレスを着ており、物静かな性格をしている。πからは「ママ」、マッキからは「母さん」と呼ばれている。πとマッキを育て、二人にいろいろなことを教えている。手を触れずに動物を一瞬でつぶして殺すなど、不思議な力を持つ。
ミラの母 (みらのはは)
ミラを生んだ女性。宇宙船で地球へ不時着し、そこへ駆けつけたπとマッキの前でミラを出産した。そして二人に世話を頼み、赤ちゃんの名前はミラと伝えて息絶えた。