銀河英雄伝説

銀河英雄伝説

田中芳樹による同名小説を漫画化した作品。銀河宇宙を二分する勢力でそれぞれ頭角を現した2人の英雄を軸に、両陣営の戦いを描くスペースオペラである。なお、『銀河英雄伝説』のタイトルで漫画化されているのは、原作第2巻「野望編」までに相当する部分だが、その後第3巻以降のエピソードを元にした『銀河英雄伝説 英雄たちの肖像』が同作者によって発表されている。

概要・あらすじ

人類が宇宙に進出してから数百年、銀河宇宙は専制政治を敷く銀河帝国と民主共和制を唱える自由惑星同盟とに二分されていた。両勢力の対立は、決め手を欠いたまま150年以上の長きに渡り、双方の社会に深刻な影響を与えていった。しかし、2人の英雄ライハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーが歴史の表舞台に登場したことで、停滞した銀河の歴史が動き始めるのだった。

登場人物・キャラクター

ラインハルト・フォン・ローエングラム

豪奢な美貌と他を圧倒するカリスマ性を持ち、政軍両略に秀でる稀代の天才。銀河帝国の禄を食む下級貴族ミューゼル家の子として生まれるが、敬愛する姉アンネローゼが時の皇帝フリードリヒ4世の後宮に召されてしまったことから、体制に疑問を抱き、現王朝であるゴールデンバウム王朝の打倒を目指し、軍内での出世を重ねていく。

ジークフリード・キルヒアイス

赤毛で長身、柔らかい物腰で事に当たる軍人。ラインハルトの幼馴染にして無二の親友で、才気に溢れるラインハルトに箴言することができる唯一の人物であった。「弟をお願い」というアンネローゼの言葉に従い、常にラインハルトを支え続けたが、銀河帝国の内乱であるリップシュタット戦役終結直後に、ラインハルトの盾となり命を失う。

アンネローゼ・フォン・グリューネワルト

ラインハルトとは5歳違いの実姉。旧姓はミューゼル。15歳のときに皇帝フリードリヒ4世の寵妃として後宮入りし、グリューネワルト伯爵夫人と呼ばれるようになる。これにより姉を奪われたラインハルトは、ゴールデンバウム王朝打倒を目指すことになる。

フリードリヒ4世

銀河帝国第36代皇帝。ラインハルトが立志する原因となった人物である。物語開始時点ですでにかなりの高齢であり、政務はすべて側近に委ね、バラの世話を大事とする無能な皇帝として描かれている。臨終の際には「望まぬ玉座に着かされた運命への意趣返しとして、何一つ決めてやらなかった」との独白を残した。

ウォルフガング・ミッターマイヤー

ラインハルト旗下の提督のひとりで、親友であるロイエンタールと共に「帝国の双璧」と呼ばれる実力者である。艦隊指揮から白兵戦まで、多くの面で高い能力を持つが、中でも艦隊の高速運用では他の追随を許さず「疾風ウォルフ」の異名で知られている。人柄は精錬かつ公明正大で同僚・部下からの信頼も厚い。

オスカー・フォン・ロイエンタール

ラインハルト旗下の提督のひとりで、親友であるミッターマイヤーと共に「帝国の双璧」と呼ばれる実力者である。長身の美形であるが、常に冷静であるためか、やや冷たい印象を与える。また、外見上の大きな特徴として左右の瞳の色が異なる「金銀妖瞳(ヘテロクロミア)」であることが挙げられる。私生活では非常な猟色家であり、愛妻家としても有名なミッターマイヤーとは好対照を成している。

ヤン・ウェンリー

自由惑星同盟所属の軍人。劇中でも屈指の用兵家であり、圧倒的に不利な戦況を、敵の心理を突く奇策を持って何度も覆したことから「魔術師」「ミラクル・ヤン」と呼ばれる。事実上、自由惑星同盟側の軍事的成功をひとりで担っており、本作のもう一人の主人公と言ってよい。権力を求めず、常に文民統制下の軍人たることを基本姿勢とするなど、ラインハルトとは非常に対照的な人物として描かれる。

ユリアン・ミンツ

ヤン・ウェンリーの養子となった戦争孤児。文武両道の優等生で、私生活ではぐうたらなヤンから家事一切を任されていた。ヤンへの尊敬の念から後に軍に志願し、ヤンの配下となる。

フレデリカ・グリーンヒル

ヤン・ウェンリーの副官を務める女性士官。自由惑星同盟宇宙艦隊総参謀長ドワイト・グリーンヒル大将を父とする。14歳のときに惑星エル・ファシルで民間人救出の指揮を執ることになったヤンに一目惚れし、彼に少しでも近づくために軍人となった。まだ、20代前半の若さだが、卓越した事務処理能力と記憶力でヤンの軍務を支えている。

ヨブ・トリューニヒト

自由惑星同盟の政治家で国防委員長を務める。巧みな弁舌と洗練を感じさせる容姿や所作から、国民の支持を集めており、政治家としての能力も高い。しかし、その実態は、愛国心を煽り、戦争を賛美しながら、自身は安全な場所から利益を伺うという人間であり、これを看破したヤン・ウェンリーら一部の人間からは、蛇蝎のごとく嫌われていた。

アドリアーナ・ルビンスカヤ

フェザーン自治領領主を務めるスキンヘッドの女性。優れた知性を持ち、様々な手段を用いてフェザーン自治領の地位を守ろうと画策する。その行動自体は領主として正しいとも言えるが、陰謀そのものに楽しみを見出しているかのような描写がなされており、危険さを感じさせる人物となっている。

場所

銀河宇宙

地球が存在するこの銀河系宇宙の未来の姿である。ワープ航法の実現から数世紀を経て、全銀河のおよそ1/3にまで広がった人類の居住圏は、銀河帝国と自由惑星同盟によって二分されている。両者の勢力圏の間にはワープ航法でも越えられない航行不能宙域が広がっており、双方の行き来はトンネル状に伸びた通常空間であるフェザーン回廊およびイゼルローン回廊のどちらかを通過するしかない状態にある。 また、既知の宇宙内には人類以外の知性体(いわゆる宇宙人)は発見されていない。

銀河帝国

『銀河英雄伝説』に登場する国家。英雄ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムによって樹立された帝政独裁国家であり、不敗と停滞の中にあった銀河連邦に代わって、人類を統一する政体となった。ルドルフは、共和主義者を初めとする反対勢力を厳しく弾圧し、体制を支持する有力者には貴族として特権を与えた。以後、ルドルフを開祖とするゴールデンバウム王朝の血を継ぐ者たちが代々の皇帝となり、貴族階級を支配者層とした強固な階級社会として発展するが、門閥貴族の専横と自由惑星同盟との戦争により社会は疲弊している。

自由惑星同盟

『銀河英雄伝説』に登場する国家。銀河帝国から脱出した共和主義者たちが、航行不能宙域を越えた先に広がる宇宙に建国した民主共和制国家。銀河帝国領域からの脱出行を指揮したアーレ・ハイネセンを国父とする。建国から1世紀余りを経て、その存在が銀河帝国に知られ、以来戦争状態が続いている。戦争による人材の消耗や継戦のためのプロパガンダにより、衆愚政治化が進行し、社会は疲弊の極みにある。 なお、銀河帝国側からは国家とは認められておらず、単に「叛徒」と呼称されている。

フェザーン自治領

『銀河英雄伝説』に登場する商業国家。銀河帝国と自由惑星同盟を結ぶフェザーン回廊内の惑星を領地とする。法的には銀河帝国に所属する自治領だが、経済力を背景とした高い政治力により高度な自治権を維持し、銀河帝国はもちろん自由惑星同盟とも貿易を行っている。歴代の領主は、2つの大国の間で、侮られず、しかし脅威を感じさせないことを主眼としてこの国を運営してきたとされるが、現領主であるアドリアーナ・ルビンスカヤの言動からは、意図的に両国の衝突を煽っていた節も見て取れる。

イゼルローン要塞

『銀河英雄伝説』に登場する軍事拠点。銀河帝国によって、自由惑星同盟との通路となるイゼルローン回廊内に建造された人工惑星である。戦艦2万隻の収容を可能とし、軍人・民間人合わせて500万人が居住するという巨大極まりない拠点であり、一撃で数千隻の艦艇を消滅させる主要兵装雷神の槌(トゥールハンマー)の絶大な威力もあって、難攻不落の要塞として自由惑星同盟の侵攻を阻み続けた。 しかし、自由惑星同盟による7度目の侵攻においてヤン・ウェンリー率いる第13艦隊によって奪取され、以後は自由惑星同盟の拠点として運用されることとなった。

ベース

銀河英雄伝説

書誌情報

銀河英雄伝説 全11巻 徳間書店〈少年キャプテンコミックススペシャル〉 完結

第1巻

(1990年2月発行、 978-4198300210)

第2巻

(1990年11月発行、 978-4198301224)

第3巻

(1991年9月発行、 978-4198311001)

第4巻 アムリッツァ大会戦

(1992年4月発行、 978-4198320416)

第5巻

(1994年1月発行、 978-4198340100)

第6巻

(1994年11月発行、 978-4198300364)

第7巻

(1995年9月発行、 978-4199600043)

第8巻

(1996年9月発行、 978-4199600289)

第9巻

(1998年2月1日発行、 978-4199600630)

第10巻

(1998年12月発行、 978-4199600876)

第11巻

(2000年3月1日発行、 978-4199601224)

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