メモリーグラス

メモリーグラス

現実世界に絶望した時、誰もが願う「人生のやり直し」がもしも叶ったとしたら、というテーマを持ったサイコホラー漫画。飽くことなき人間の欲望と現代社会の不条理さがクールなタッチで描かれ、強欲さによって身を滅ぼす現代人の醜さをブラックユーモアを交えながら綴る1話完結の連作短編。ラストのどんでん返しに強烈なアイロニーと社会風刺が込められている。

正式名称
メモリーグラス
ふりがな
めもりーぐらす
作者
ジャンル
ホラー
関連商品
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概要・あらすじ

ある夜、1人の中年ヤクザが訪れたバーで、店主から「望みを叶えるカクテル」を勧められる。そのカクテルを飲んだ男は、望み通りに若き日の自分に転生する。自分の将来とこれからの世相のすべてを知っている彼は、大金持ちとなる未来を想い描いてほくそ笑む。そして男は、やり直し人生の第一歩として、恨みを持つ兄貴分の暗殺を実行する。成功したかに思えた狙撃であったが、横たわる死体の顔を見たその瞬間、男は意外な事実を思い出すのだった。

登場人物・キャラクター

魔星 (ますたー)

バー「メモリーグラス」の店主で、「マスター」に引っかけた名前を自称する中年男性。店を訪れた客の悩みを聞き出し、悩み事を解決するためにさまざまなカクテルを提供する。ただし、それを飲んだ客のほとんどが不幸な結末を迎えるという悪魔のような人物。物語の狂言回し的な存在。

オヤブン

ソフト帽をかぶって葉巻をくわえ、羽振りの良い格好をしたヤクザの親分。いつも2人の子分を引き連れて、繁華街を飲み歩いている。若いチンピラの時代に、敵対するヤクザの暗殺に成功し名を挙げた過去を持つ。バー「メモリーグラス」では、望みを叶えるカクテル「グリード」を注文する。

南雲 務 (なぐも つとむ)

アパートで一人暮しをしている23歳の男性工員。人付き合いが苦手で根暗な性格。ある女子高校生に一目惚れをするが、声をかける勇気がなく、盗撮した彼女の写真をながめて悶々とするだけの毎日を過ごしている。バー「メモリーグラス」では、時間を戻すカクテル「モア」を注文する。

志村 千帆 (しむら ちほ)

芸能界で活躍するスターの女性。年齢は50歳を超えているが、まるで20代にしか見えない美貌を保っている。鏡をタブーとしており、鏡に映る素顔を見た者は誰もいないといわれている。バー「メモリーグラス」では、永遠の若さを保つカクテル「ミラージュ」を注文する。

老紳士 (ろうしんし)

ロマンスグレーで上品な雰囲気を漂わせる初老の男性。戦時中、軍隊で特攻隊に属していた過去を持つ。軍隊では幸運にも戦死せずに生き長らえたが、空襲で身重の妻を亡くしてしまい、以来抜け殻のような人生を送っている。バー「メモリーグラス」では、青年時代の自分に戻るカクテル「チェンジ」を注文する。

黒部 史夫 (くろべ ふみお)

32歳の暴力団組員の男。パンチパーマで眉を剃り目付きが悪く、襟を立てた黒シャツと派手なジャケットという典型的なチンピラヤクザのスタイルをしている。対立する組のヤクザに命を狙われている。バー「メモリーグラス」では、不死身の体になるカクテル「エターナル」を注文する。

星 ひとみ (ほし ひとみ)

結婚してまだ2~3か月という、若くて美しい新妻。山崎慎一とは相思相愛の恋人同士だったが、家族の苦境を救うために離別し、30歳も年上の佐々木と結婚する。バー「メモリーグラス」では、ビールジョッキの中に映る意外な人物像を見る。

佐々木 (ささき)

恋愛もせずに、情熱のすべてを金もうけ一筋に注ぎ込んできた50代半ばの男性。若さを取り戻そうと財力にものを言わせて、歳の離れた美人の星ひとみと結婚する。バー「メモリーグラス」では、隣の席に座った山崎慎一とともに、「犠牲」という名のカクテル「サクリファイス」を注文する。

山崎 慎一 (やまざき しんいち)

若くてハンサムだが、出世の見込みがない安月給の青年サラリーマン。星ひとみとは相思相愛の恋人同士だったが、彼女の実家の都合で泣く泣く離別した。バー「メモリーグラス」では、隣の席に座った佐々木とともに、「犠牲」という名のカクテル「サクリファイス」を注文する。

おじいさん

85歳の老人男性。息子夫婦と孫夫婦との3世帯同居家庭で暮らす、5人家族の長老。女性経験は死んだ妻のみで、若くてスタイル抜群の孫の妻の肢体を見て、興奮が抑えられない毎日を過ごしている。バー「メモリーグラス」では、幽体離脱ができるカクテル「アストラル・トリップ」を注文する。

野々村 (ののむら)

売れない漫画家の青年。少年時代から絵がうまく漫画家となったが、アイディアが出ずに行き詰まり、現在では食うのがやっとという生活に悩んでいる。バー「メモリーグラス」では、次々とアイディアが湧き出して傑作が描けるカクテル「エスカルバン」を注文する。

原田 (はらだ)

テレビ局のADを務める青年。まだ駆け出しで先輩たちにはこき使われ、アイドルやタレントにはバカにされる鬱屈した毎日を送っている。バー「メモリーグラス」では、手に触れた女性をメロメロにするカクテル「キング・マイダス」を注文する。

河原 (かわはら)

会社をクビになり、退職金を注ぎ込んでプロギャンブラーを目指している青年。パチンコで大勝ちと大負けを繰り返しながら、一発逆転の道を探っている。バー「メモリーグラス」では、「玉」の勝負なら常に大当たりというカクテル「ジャック・ポット」を注文する。

水無月 えり (みなづき えり)

「CMの女王」と評される売れっ子アイドル。CMなどでは可愛い笑顔を振りまいて大人気だが、実生活では忙し過ぎて休みがとれないことにイラつき、周りに八つ当たりする傲慢な性格。バー「メモリーグラス」では、自分の分身が作れるカクテル「ドッペル」を注文する。

長田 一 (おさだ はじめ)

地下プロレスのシュートスタイルレスラーの青年。バクチと女遊びで返済不可能なほどの借金を抱えている。借金返済のために、高額賞金がかかった最強の空手家との決戦を控えている。バー「メモリーグラス」では、痛みをまったく感じなくなるカクテル「アサシン」を注文する。

梅沢 (うめざわ)

なんの取り柄もない平凡な青年サラリーマン。入社して3年になるが、上司に怒鳴られてばかりで、同僚にもバカにされる毎日を送っており、会社になじめず特別な能力もない自分に嫌気がさしている。バー「メモリーグラス」では、隠された超能力を引き出すカクテル「オラクル」を注文する。

総理大臣 (そうりだいじん)

政局のパワーバランスによって、タナボタ的に首相となった政治家の老人。日米経済摩擦における困難な状況に直面しており、周囲から決断を迫られているが、優柔不断な性格のせいでお手上げの状態にある。バー「メモリーグラス」では、人生の岐路でやり直しができるカクテル「グリーンドア」を注文する。

教師A (きょうしえー)

女子高等学校の男性教師。生徒指導に取り組む実直な人物だが、不真面目なうえに色気で惑わす女生徒たちにいつもやり込められており、教育者としての威厳がない自分の性格に自己嫌悪に陥っている。バー「メモリーグラス」では、催眠術の達人になれるカクテル「ヒュプノス」を注文する。

当麻 峻 (とうま しゅん)

「史上最強のアイドル」と評される人気男性歌手。300万枚以上を売り上げたヒット曲を持つ当代一の人気アイドルだが、写真週刊誌に女性タレントとの密会場面を盗撮されむしゃくしゃしている。バー「メモリーグラス」では、虫に変身できるカクテル「ザムザ」を注文する。

会田 (あいだ)

愛煙家の青年サラリーマン。アメリカ資本の会社の方針により、社内での喫煙が全面禁止となり、タバコが吸えない職場環境にイライラを募らせている。バー「メモリーグラス」では、タバコの煙を嗅ぐとまるで桃源郷にいるかのような気分となるカクテル「シャングリラ」を注文する。

大日向 正義 (おおひなた まさよし)

ヘビー級プロボクサーの25歳の青年。パンチ力もテクニックも一流で世界を狙える逸材だが、生来のチキンハートが災いして連敗が続き、失意のどん底にある。バー「メモリーグラス」では、すべての力を出し切ることができるカクテル「アレス」を注文する。

石原 雅司 (いしはら まさし)

ごく普通の平凡な青年サラリーマン。会社の秘書室において、女性社員No.1との呼び声高い美人秘書に恋心を抱いている。彼女に話しかけたいが叶わず、いつも夢の中でデートするという毎日。バー「メモリーグラス」では、夢を支配できるカクテル「オネイロス」を注文する。

梶山 (かじやま)

8人を殺害し、指名手配中の凶悪な連続殺人犯の男。捕まったが最後、死刑は確実なため、あと何人殺そうが同じとさらに凶暴化している。バー「メモリーグラス」では、透明人間になれるカクテル「インビジュアル」を強引に入手する。

場所

メモリーグラス

東京のとある繁華街の場末の路地裏にひっそりと建つバー。店内で働くのはマスター兼バーテンダーの魔星ただ1人で、客席はカウンターだけという小さな店。客の望みを叶えるカクテルがあるとの噂を聞きつけて、悩みを持った者たちがやって来る。

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