ブラック・テラー

ブラック・テラー

不気味で得体の知れない人間たちが住む街「クリーピー・サイド」を共通の舞台としたオムニバス作品。狂気あふれる世界の中に内包される愛や、ユーモアを描いたホラーヒューマンドラマ。「コミックタタン」2018年8月から2018年12月にかけて掲載された作品。

正式名称
ブラック・テラー
ふりがな
ぶらっくてらー
作者
ジャンル
ホラー
 
スプラッター・猟奇
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あらすじ

狂気ととなり合わせの街「クリーピー・サイド」では、つねに猟奇的な事件が発生していた。そんなある日、一人の少女が巨大なナイフを持ったウィルに追い回されていた。少女は、絶体絶命の危機に陥るが、そんな彼女に放たれた言葉は「はい、チーズ」とカメラのシャッター音だった。ウィルは、恐怖心から大きく拡大した瞳孔の写真を撮ることを趣味にしている人間だったのだ。しかしそんなウィルの前に、何をしても恐怖を感じない女性、マリィが現れる。(エピソード「注目せよ」)

登場人物・キャラクター

町長 (ちょうちょう)

エピソード「注目せよ」「クリーピー・サイド」に登場する。クリーピー・サイドの町長を務める男性。素顔や年齢は不明で、バケットハットを目深にかぶり、トレンチコートと杖を身につけている。不気味な雰囲気を醸し出し、癖のある住人たちを愛している。背中に特徴的な模様のある蜘蛛(くも)を飼っており、その蜘蛛は人間の狂気に惹かれると語っている。

ウィル

エピソード「注目せよ」に登場する。写真家を生業とする男性。年齢は30歳で、本名は「ウィラード」。ボーラーハットにベストスーツを身につけている。恐怖心で大きく拡大した瞳孔の写真を撮るために、クリーピー・サイドの住人たちに日夜凶器を突きつけているため、不審者として警察官からもマークされている。室内には恐怖に見開かれた目だけを撮影した写真が所狭しと飾られている。幼少期、ウィルに無関心だった両親がナイフを振り回した時だけ注目してくれたことをきっかけに、凶行に及ぶようになった。しかしマリィだけは、どんなに脅してもいっさい恐怖する様子を見せないため、なんとしても恐怖心を抱かせようと試行錯誤を繰り返している。

トビー

エピソード「ホラーナイト」に登場する。映画館の受付として働く男性。年齢は29歳。金髪のベリーショートヘアで、片腕と片足だけ柄の違う黒いタキシードを身につけている。スティーブンが殺人を繰り返していることを知っている唯一の人物で、ターゲットになる観客の情報をスティーブンに伝える役割を担っている。トビー自身もまた度を超したホラー映画マニアで、スティーブンの凶行を楽しんでいる様子が見られる。

フランク

エピソード「グリーンスキン」に登場する。本の装丁に魅せられた男性。外ハネ癖のある金髪を肩まで伸ばしている。年齢は28歳。幼少期から祖父の書庫に出入りし、本の装丁を見ては恍惚としていた。特に人間の皮で装丁された「人皮装丁本」に強く惹かれている。フランク自身も人皮装丁本を作ることにあこがれ、まずは布の裁ち方を覚えるためにニナのパッチワーク教室に通い始めた。

ジェシー

エピソード「思い出の味」に登場する。警察官の男性。階級は巡査で、年齢は25歳。大きなサングラスをかけている。クリーピー・サイドの住人からの苦情や通報に真摯に対応している。チェルシーの食事を不衛生で栄養が偏っていると考えており、栄養をつけさせるために自宅へ招いて面倒を見ている。ただし料理は苦手で、出来上がった料理は得体の知れない見た目で悪臭を放っている。

ダミアン・ダグラス

エピソード「イン・マイ・シューズ」に登場する。靴泥棒の男性。肩までの長い茶髪に前髪をポンパドールにしている。年齢は16歳。他人の履いている靴を片方だけ盗んで、家で収集している。しかし、自分がなぜ他人の履いた靴を片方だけ集めているのかを思い出せず苦悩している。人に危害を加えないことをモットーとしており、「ダグラス」という殺人鬼が被害者の靴を集めているらしいという噂を聞いたが、その的外れな話題を嘲笑している。

アダム

エピソード「ハロウィンパーティ」に登場する。顔の2か所に縦横に走る大きな縫い傷がある男性。年齢は22歳。ハロウィンの日だけは顔の傷に注目されないため、知らない家のパーティに参加して堂々と過ごすことを、年1度のささやかな楽しみにしている。ヘンリエッタのハロウィン用メイクを自分と同じ本物の傷だと思い込み、話しかけた。

ジェイムズ

エピソード「専門医」に登場する。医者を務める男性。白黒のツートンカラーの髪をオールバックに逆立て、丸いサングラスをかけている。大胆で複雑な手術をすると評判になっており、「指を2本増やしたい」「恋人と血液をすべて交換して欲しい」といった要望の客が多く来院するが、この手の依頼はすべて断っている。

アイビー

エピソード「死の匂い」に登場する。嗅覚の鋭い女性。毛先がカールした腰下までの金髪を下ろしたままにしている。年齢は20歳。死ぬ間際の人間や枯れそうな植物が出す匂いを好んでいる。その匂いだけで対象のおおよその余命までわかることから、周囲の人々からは避けられていた。物乞いをしていたジャックにも死ぬ間際の匂いを感じ取り、ジャックの許可を得て寄り添う。

ザカリー

エピソード「スペースオペラ」に登場する。郵便局員の男性。浅黒い肌をしている。年齢は27歳。生真面目な性格で、誠実な態度で仕事に取り組んでいる。ピーターが投函した葉書が、すべての単語から1文字ずつ抜けていたため、差出人住所を解読して届けた。動物に対しても愛情深く、虐待から守ろうとする勇敢な一面を見せる。

マリィ

エピソード「注目せよ」に登場する。町長の家でメイドとして働く女性。年齢は20歳で、本名は「マリィゴールド」。金髪のショートボブヘアで、ツギハギだらけのメイド服を身につけている。偶然出会ったウィルにナイフで脅されたが、いっさい恐怖する様子を見せなかったため、それ以降執拗(しつよう)にウィルに脅されるようになる。しかしどんな脅しにも恐怖心を抱くことなく、飄々(ひょうひょう)と受け流している。かわいそうな人生を歩んできた異性を嗜好しており、ウィルの過去を知ってからは彼に恋心を抱くようになる。

ジェイソン

エピソード「ホラーナイト」に登場する。大学生の青年。短い髪を白黒のツートンカラーに染め分け、パンクロック調の服を身につけている。年齢は21歳。スティーブンが経営している映画館の常連客で、特に金曜日のホラーナイトには必ず訪れている。ホラー映画が恋人であると豪語しており、友人も映画に登場する亡霊だけだと語っている。親に気兼ねすることなく夜遊びをするために、実家から遠いクリーピー・サイドで生活している。

スティーブン

エピソード「ホラーナイト」に登場する。映画館を経営している男性。年齢は54歳。痩せた体型で口ひげを生やし、黒髪をびっちりと七三分けにしている。ホラー映画好きが高じて、友人や恋人のいない一人暮らしの客を狙って殺人を繰り返しており、人間が本当の恐怖に直面する姿を楽しんでいる。かつて結婚していたが、現在は離婚して友人もいない。

ニナ

エピソード「グリーンスキン」に登場する。パッチワーク教室を開いている女性。長い茶髪を頭頂部で大きなお団子ヘアにしている。年齢は26歳。穏やかな優しい性格で、パッチワークの教え方もわかりやすいと生徒から高評価を得ている。初心者ながら、覚えの早いフランクに好意を抱いている。

チェルシー

エピソード「思い出の味」に登場する。動物の内臓を食べている女性。年齢は18歳で、長い金髪を編み込みにし、うなじでお団子にしている。野生動物を捕まえては、生のまま内臓をすすって食べており、近隣住民から警戒されていた。幼い頃から父親に食べさせられた、得体の知れないグロテスクな見た目で悪臭を放つ食べ物が好物だった。その食べ物がなんだったかは今もわかっていないが、動物の内臓だった可能性が高いと考えているため、現在も動物を捕まえては食している。

ダニエル・ダグラス

エピソード「イン・マイ・シューズ」に登場する。ダミアン・ダグラスの父親。肩下までの長い茶髪をうなじで一つにまとめている。年齢は47歳。ダミアンが幼い頃、仕事に行ったまま帰宅しなかった。それ以来、息子のダミアンのことは忘れて生きてきたが、自分の落としたハイヒールパンプスをダミアンが拾ったことがきっかけで再会した。ダミアンが靴を集める癖は、自分に似ていると考えている。

ヘンリエッタ

エピソード「ハロウィンパーティ」に登場する。芸術家の女性。ウェーブがかった腰までの長い金髪を下ろしたままにしている。年齢は22歳。ふだんから作品を発表しているが、ハロウィンの日だけは特別な作品をパーティで展示し、参加者が作り物だと思い込んでいるのを見て、愉悦に浸っている。ハロウィンパーティでは顔の2か所を縦横に走る大きな縫い傷をメイクで表現し、それがアダムの傷と左右対称になっていたことから親しく話すようになった。

ジャック

エピソード「死の匂い」に登場する。ホームレスの男性。肘や膝に当て布がされたスーツを身につけている。年齢は35歳。道で物乞いをしていたところアイビーと出会い、余命5日ほどの匂いがすると指摘される。しかし、ジャック自身の生活習慣から妥当な余命だろうと受け入れ、死の匂いを好むアイビーを恐れることなく受け入れた。

ピーター

エピソード「スペースオペラ」に登場する。アクロトモフィリアの男性。年齢は26歳。茶髪をマッシュルームカットにしており、まゆ毛が太い。欠損を愛しており、欠損部分を想像することが真の芸術だと考えている。そのため文字や家具、ペットなどもあえてどこかを欠けさせることで、想像の余地を残していると語っている。

場所

クリーピー・サイド

狂気と隣り合わせの街。昼でも薄暗く不気味な雰囲気を漂わせており、全体的に彩度に欠けている。住人の半数が犯罪者で、残り半数が犯罪者予備軍で構成され、日常的に猟奇的な事件が起きている。街の住人であれば幼い子供でも気味の悪い虫などを、平気で触ることができる。

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