あらすじ
第1巻
彼氏がほしいと願う小学校6年生のひまりは、「これであなたも彼氏ができる」と書かれた「イケメンマスコットを作ろう」というキットを半信半疑で作る。翌日登校したひまりの前に、生地糸也という見慣れない男子が現れるが、ひまりの親友、夢乃は、当然のように糸也をひまりの彼氏として認識していた。優しくひまりを気遣う糸也を見て、夢乃は素敵な彼氏だと言うものの、ひまりは彼の身体に自分にしか見えていない縫い目を発見して、自分がキットで作った彼氏だと確信する。ひまりは不器用な自分が作った丸っこい糸也の外見に不満を抱き、望み通りのイケメンに作り直そうと、丸く大きかった頭に鋏を入れ、小さくするなどの改良を加えていく。(授業1「手作り彼氏」)
転入生の佐藤あんずは転校を繰り返していたため、友達ができない事を気にしており、転校後最初の自己紹介でも、「友達を作りたい」と語るほど強く願っていた。席がとなりになった西木めい子は、あんずにさっそく話し掛けてくれて、あんずも彼女に好感を抱く。しかし担任の教師が去った途端、めい子はクラスメイトの女子に袋叩きにされてしまう。あんずは、率先してめい子を虐めたクラスメイトの女子、華から、めい子がかつて酷い虐めをしていたので、その罰なのだと聞かされる。しかしあんずは、孤立しているめい子と友達になりたいと態度を変えずにいた。そんな中、華は通り魔に襲われて大ケガをしてしまう。クラスメイト達はめい子が犯人ではないかと疑惑の目を向ける。(授業2「悪魔の教室」)
古い団地に住む中学生の咲は、新築の家を自慢したいクラスメイトの明日美に何かにつけ比較対象にされ、笑われる日々を送っていた。そんなある日、咲は学校の帰りに弟の樹とその遊び仲間達から、かくれんぼに誘われる。膝を抱えて隠れていた咲は、ふと弟とその友達全員も隠れている事に気づく。では鬼は誰なのかと咲が疑問を抱いた直後、樹の姿が消えてしまう。いなくなってしまった弟を探していると、管理人からオニコ様の話を聞く。咲達の団地が建つあたりでかつて神隠しが多発したため、祠を各所に建てて祀ってきた事を知った咲は、幼い頃に自分も誰かから隠れていた経験を思い出す。そして咲は記憶を頼りに、オニコ様にかくれんぼ勝負を持ちかけるのだった。(授業3「かくれんぼ鬼」)
宙は、小学1年生の時からの友達である星子、銀といっしょに、宇宙人は本当にいるかを調べる事を学習のテーマに据える。宙はインターネットで「宇宙人にかけると顔が変わる試薬」の作り方を見つけ、さっそく作成し学校へ持って行く。有害な成分は含んでいなかった事もあり、宙達は軽い気持ちで通学路にいた猫のしっぽに試薬をふりかけてみると、三人の目の前で猫は目を見開き、見た事もない形相で奇声を発するのだった。不気味さを感じながらも、宙達はクラスで研究を発表する。だがその最中、うっかり試薬を浴びてしまった星子の表情も、今朝の猫のように目をぎょろつかせた異様なものへと変わってしまう。(授業4「宇宙人間」)
第2巻
中学校2年生の剛田あい子は、何でもはっきり意見を口にする事から性格がキツいと周囲に受け取られており、孤立した学校生活を送っていた。ある日、配布プリントを落とした前の席の野味さよりに、いつもの調子で厳しく注意をすると、さよりはその日からいっしょに帰りたいと、あい子に声を掛け始める。そして、あい子が思った事をポンポン口にしても、さよりはいつも笑って言葉を受け止め続けるのだった。そんなある日、あい子は、さよりとの関係は友人関係ではなく主従関係のようだと、クラスメイトの指摘を受ける。その言葉に怒ったあい子がクラスメイトに「死ね」と言い返すと、横で聞いていたさよりは突然分厚い本を手にして、クラスメイトに殴りかかるのだった。想像を超えた行動を見せるさよりに不気味さを感じたあい子は、彼女に対し消えてと怒鳴りつけてしまう。(授業5「友達さまの言う通り」)
ファンタジーパークに遊びに来たなかよし三人組の遊花、夢、リョーコは、さまざまな場所で写真を撮り、大きな声ではしゃぎ、テスト明けの解放感を満喫していた。アトラクションに乗っている時も興奮を抑え切れずに大声で叫び、後ろのカップルにうるさいと注意されてしまうほどだった。そんな中、遊びの合間にスマホで写真を確認する三人は、ぼろぼろの服を着て帽子をかぶった、青白い顔の少女が映りこんでいる事に気づく。そして遊花達は、先ほど遊花達を注意したカップルが、画像に映りこんでいる少女と似た子から「赤い風船を見つけて」と、必死の形相でお願いされているのを目撃する。ますます気味悪さを感じた遊花は、気分を落ち着かせようとトイレに入るが、そこで例の少女から「赤い風船を見つけて」と声を掛けられる。(授業6「赤い風船」)
陸上部に所属する中学3年生の亀梨ヒロは、1年生の時は頑張っていたが、今では実力不足を痛感し、記録係に専念していた。亀梨は1年生の宇佐美が実力を認められ、次の大会に出場すると聞き、しかも好意を寄せていたクラスメイトの速水とも仲がよさそうな姿を見て落ち込んでしまう。二人の仲を気にしてぼんやりとしていた亀梨は、ストップウォッチを運ぶ途中で速水にぶつかり、地面にストップウォッチをばらまいてしまう。慌てて拾い集め、いつもの通りにタイムを計る亀梨だったが、その日、手にしたストップウォッチは、ボタンを押す事で周囲の時間が止められるものだった。亀梨はその後、時間を止めるストップウォッチを駆使して、次回の大会の出場権を得る。しかし、亀梨とは対照的に速水のタイムは伸び悩み、彼は、息抜きすると言って部活を休んで帰ってしまう。そんな速水を気にしながらも部活に向かった亀梨は、ストップウォッチが鞄から消えている事に気づく。そして、まさかと思いながら速水を追いかける。(授業7「時間よ止まれ」)
幼なじみで同じ中学2年生の少年、蓮と奏の二人への恋心に優劣をつけられない相原園は、願いを叶えてくれるというスーパームーンの夜に月にお願いをする。翌日、世間では当然のように一人の女性が複数の男性と恋愛を楽しみ、結婚もできる一妻多夫制が常識の世界に変わっていた。公然と二人との交際が可能になった園はそれを喜ぶが、幼なじみの奏と蓮は別々の高校へ進学を決め、園にどちらかについて来てほしいと選択を迫る。どちらも選べない園は次に、「三人ずっといっしょにいたい」と願うが、その望みは文字通りの形で叶う事となる。(授業8「一妻多夫制」)
小学校5年1組に在籍する少女の静の家に弟の樹季が生まれた。そのかわいらしさに静はたちまち心を奪われるが、夜中にふと目覚めてベビーベッドを見に行った際、目を見開いて無表情で暗闇を見つめる樹季の様子に恐怖する。翌日、仕事に向かう父親がわき見運転で事故を起こし、入院してしまう。そして父親は、樹季が後部座席に座っているように見え、気を取られて事故を起こしてしまったと原因を語るのだった。樹季の夜中の表情を思い出し、不気味に感じた静がベビーベッドを覗くと、そこには飼っていた鳥の千切れた足といっしょに、血まみれの樹季が無邪気に笑っていた。(授業9「黒いゆりかご」)
第3巻
幼なじみの大塚アキオが好きなみつきは、アキオの誕生日にプレゼントを贈ろうと考え、クラスメイトにいいアルバイトがないかと尋ねる。しかし、高校生ができるアルバイトでは収入はたかが知れており、みつきはネットで高額アルバイトを検索。そこで「美少女限定アルバイト」と銘打たれた怪し気なサイトを見つけ、ついアクセスしてしまう。その後、指定された番号にTV電話をしたみつきは、応対した山田一郎がにこやかな初老の男性だった事で警戒心を解く。山田もみつきが気に入ったと言い、「日記をつける」1日500円、「ボクの名前を十行ノートに書く」1回1000円などの不思議な要求が書かれた料金表を提示するのだった。(授業10「美少女アルバイト」)
いとこのお姉さんの結婚式に参列した小学生の女の子、花は、教会の芝生に落ちていた綺麗な指輪をつい指にはめてしまう。すぐに外そうとしたが、何故か指輪は外れない。親には言いだせないまま一晩過ごした花は、自身がバージンロードを進んで行き、祭壇の前で待つ花婿のもとに向かう夢を見る。翌日親に打ち明け、医師と消防署に相談するものの、指輪はまったく外れない。しかも夢を見るたびに、花と新郎の距離は次第に近づいていくのだった。悩んだ末、花はいとこのお姉さんに電話を掛け、結婚式場に何か変な噂などはないかと質問する。するとお姉さんは、ずっと昔に結婚式当日に花婿が交通事故で亡くなり、花嫁もそのあとを追ったという都市伝説を教えてくれるのだった。(授業11「血ぬれた花嫁」)
動画投稿サイト「Mytube(マイチューブ)」に夢中な小学6年生の舞田加映は、有名なMytuber(マイチューバー)にあこがれて、母親に隠れて利用者登録し、動画を上げ始める。しかし、自信作の動画は再生回数12回、やっとついたコメントは批判的なものだった。ショックを受けた加映は、有名なMytuberの真似をして、お部屋公開動画をアップロードする。するとアクセスは一気に上がり、気をよくした加映はメイク動画、テスト結果公開など次々に動画をアップロードし始める。ある日、クラスメイトにも登録名を知られるようになった加映は、今朝も動画を上げていたね、と声を掛けられる。ところが加映自身にはそんな覚えはなく、確認してみるとスマートフォンを握って登校する加映の動画が上げられていたのだった。帰宅して映像を削除した加映は、再び、学内で撮られたと思われる新しい映像を発見する。(授業12「みえざる視線」)
中学校の2年B組に在籍する少女の吹石誠子は、話を大げさに人に伝える自分の癖を悪いと思いつつ、止められないでいた。そんな誠子は、いつも友達に囲まれているクラスメイトの颯香のようになりたいとあこがれていた。ある日、事故があったと噂のある踏切の傍を通りかかった際、颯香がどんな人が事故に遭ったのか気になると口にするのを耳にした誠子は、咄嗟に事故に遭った子は親友だったと噓をついてしまう。それを聞いた颯香とそのグループのクラスメイトの女子は、親友が死んでしまった誠子の事を励まし、気にかけてくれるようになる。噓がきっかけであこがれの颯香のLINEグループにも入れてもらえた誠子はラッキーだと喜ぶが、生活の中で不意に耳に届く、自分にしか聞こえない踏切の音に悩まされ始める。(授業13「冷たい警告音」)
小学生の女の子の良は、話題になっている漫画の無料アップロード版をダウンロードし、要領よく楽しんでいた。クラスメイトがお小遣いのやりくりをして漫画を買っているのを「バカ正直」と内心見下し、無料のものを楽しむ事が当然の権利と思っていた。良の考えを具現化したかのように街には無料のものが増え、レストランの新作ランチメニューまで無料になる。やっと時代が私に追いついた、と無邪気に喜んでいた良だったが、無料のものが増えて倒産する会社が増えた事で、政府はこれまで値段のつかなかった、国民の生活に必要最低限のものに対価を設定するようになっていく。良はある時、家庭に届いた「酸素代」1か月分1万2829円の明細を見つけ、愕然とする。(授業14「無料生活」)
第4巻
ハルヒは友人の愛里から、隣町に目々子さんが出たとの噂を聞く。目々子さんから名を呼ばれて肩を叩かれた際、振り向いてその姿を見てしまうと、24時間後に目をえぐられてしまうとの内容だったが、ハルヒは愛里の言葉を疑わしく思いながら聞いていた。帰宅し、都市伝説が好きな兄のチハルに話したところ、彼はその手の話は噂になるだけの理由があると口にする。翌日登校すると、愛里は昨日、目々子さんに会ってしまったと怯えながら話す。噂によれば、目々子さんに会っても、ほかの子の肩を叩いて呪いを移せば助かるのだという。そのためクラスメイトは愛里を露骨に避けるようになり、その姿を見ていられなくなったハルヒは、自分に呪いを移すよう提案する。その後、愛里は自分が受けた呪いを肩代わりしてくれたハルヒをあからさまに避け、彼女の事を気にもかけなくなる。そんな中、一人恐怖に耐えるハルヒの肩に、背後から目々子さんの手がかけられる。(授業15「目々子さんの呪い」)
あこがれの秋田と付き合う事になって、初めてのハロウィンパーティーに浮かれていた西藤百菓は、手作りのお菓子を用意していたが、パーティー直前に弟に食べつくされてしまう。買って持って行く時間もなくなった百菓は、パーティー会場に向かう途中、売地と看板が下がっている洋館の門柱に置かれていた、ジャックオーランタンの飾りに供えられていた菓子を持って行ってしまう。みんなで楽しくお菓子を食べていると、チャイムが鳴り、応対に出た、パーティー場所を提供していた家の母親はかぼちゃ頭に「トリックオアトリート」と声を掛けられ、その直後食べられてしまう。会場に侵入したかぼちゃ頭は、口からちぎれた人の腕をさらしながら「トリックオアトリート」と百菓達に声を掛けるのだった。あわてて家に逃げ帰った百菓は、安否確認のため友達に電話を掛けるがつながらない。そんな中、お菓子を渡せば助かるかもと思いついた百菓は、あり合わせの材料を使い、やっと一つだけプリンを完成させる。そこへ、百菓を心配した秋田が駆けつけるが、その直後、かぼちゃ頭も姿を現す。(授業16「ハロウィンホラーナイト」)
15歳の少女の叶夢路は、昔から理想の男の子が登場し、話し掛けてくれる夢をずっと見続けていた。ある日、いつものように夢に現れる理想の男の子が、見覚えのある学校の制服を身につけている事から、夢路は友達のタケ子と共にその学校へ行ってみる事にする。すると夢で見ていた少年の作田真が現れ、夢路の事を幼い時からずっと夢で見ていたと話し掛けて来るのだった。運命の相手だと感じた二人は、そのまま付き合い始めるが、友達のタケ子はそんな夢路の様子を浮かない顔で見守る。タケ子は夢路がロマンチストな事は理解していたものの、彼女が一人でいるにもかかわらず、まるで彼氏といっしょにいるように振る舞う姿を見て、内心で心配していたのである。(授業17「運命の王子様」)
高校生の真雪は、お得な料金設定の旅行プランを見つけ、友人を誘ってコテージを借り切っての1泊2日旅行に来ていた。メンバーは13人で、真雪はその中の一人、冬矢の事がずっと好きだった。今回の旅行で告白しようと思い、夜のうちに気持ちを伝えるつもりだったが、招いた覚えのない男子、楽の提案で怖い話をする事となる。二人きりになるチャンスをなくした真雪は、楽の事が思いだせないままのもどかしさを抱えつつ、彼の様子に注目する。真雪は、燃え盛る暖炉の傍に立っているのに、涼し気な表情のままの楽に薄気味悪さを感じつつ話に加わるのだった。そこである男子が、コテージに男女12人で泊りに行き、リーダー格の女子の反感を買った地味な一人の女子が部屋に閉じ込められ、その後火災が発生して逃げ遅れた話をする。続いて冬矢は、自分も似た話を知っていると、ろうそくの火の不始末で、コテージに来た全員が亡くなったという話をする。その後、冬だというのに部屋が次第に暑くなり始め、真雪達が微かな不快感と不気味さを感じる中、楽は、地元のお坊さんから、このコテージには幽霊が出る事を聞いたと話し出す。そして、今もこのコテージの中に、8年前に起きた事件の犠牲者の霊が閉じ込められている、と楽が話し終えたその直後、地下室の方から変な声が聞こえ始める。(授業18「13人目の宿泊者」)
第5巻
小学6年生の女の子の大山育は、既に170センチもある身長に悩んでいた。友人達はモデルみたいで恰好いいと励ましてくれるものの、同じクラスで身長168センチの高田くんが好きな育は、彼よりも小柄になりたいと密かに願う。ある日、バス停で見かけた背の高い女性の傍で、思わず「こんな身長いらない」と呟いた翌日から背が縮み始める。背の高い女性に出会う度に身長が縮む法則を見つけた育は、背の高い女性の姿を探し、複数回遭遇する事で148センチまで背が縮んでいた。だが、これ以上背が低くならなくてもいいと気づいた瞬間、育の周囲に背の高い女性が頻繁に現れるようになる。ついに幼女のような姿になってしまった育は隠れ場所を探し、身を隠す。(授業19「見下ろす女」)
本田一伽はある日、自分そっくりな子を見かけたと友人に言われ、確認しに向かう。物影から覗いた相手は、自分と見分けがつかないほどよく似た小学6年生の女の子で、名門小学校に通っていた。その夜、自分そっくりな人を見たと、家族に興奮気味に語る一伽に対し、弟の和人は、見たら死ぬといわれているドッペルゲンガーについて説明する。母親もどうでもいいような反応を示す事につまらなさを感じた一伽は、そっくりな女の子を尾行。その裕福な暮らしぶりに驚きと羨望を抱くが、彼女の家族もまた、一伽の家族と外見がそっくりだった。様子を窺っていた一伽は女の子に気づかれてしまい、お互いの瓜二つぶりに驚きながらも自己紹介をする。本田二伽と名前まで似ていた二人は、二伽の提案で3日間だけ入れ替わって生活してみる事にする。一伽は美味しいご飯やおやつが食べられ、優しく構ってくれる両親のいる二伽の家庭を理想的だと感じる。一方の二伽は母親が和人や二人の将来を考え、今から節約している事を知り、親の有難みを感じるのだった。約束の日、元に戻ろうと言う二伽に対し、一伽はあと1日だけでも入れ替わっていたいと強く訴え、渋る二伽を説き伏せて、二伽の家族のもとに帰って行く。しかし、そこでは予想もしていなかった残酷な結末が待っていた。(授業20「ドッペルゲンガーの街」)
大学1年生の女性の檻野愛は、彼氏の斉藤の部屋で夕食を作りながら帰りを待っていた。付き合って3か月の斉藤との距離感がつかめず、今日は何をしていたのかと尋ねても、斉藤は素っ気ない返事を返すばかり。そんな中、愛は大学で仲のいい女子友達のLINEグループで恋の相談をして勇気をもらい、斉藤に積極的に話掛ける。そして愛は斉藤に、最近ストーカーされているようで怖いという悩みを打ち明ける。そのストーカーとは死人であるらしく、風呂にずっと浸かって頭の先だけを覗かせていたり、天上から首吊りしてぶら下がっていたりするのだという。話しているうちにまた愛の耳にはいつものように風呂からの水音が聞こえ、背後には縄の軋む音と共に首吊りをした霊が現れる。怯えて叫ぶ愛に対し斉藤は、鍋やスマホを確認してみるよう提案する。たくさん作ったはずの料理は空っぽで、愛が相談していた女子友達のLINEグループには、愛以外誰もいなかった。そして斉藤は、愛には都合いい事だけしか見えていないと冷淡に告げる。さらに斉藤が口にした決定的な一言を受けて豹変した愛は、斉藤の頭を灰皿で殴りつける。(授業21「追われる者」)
中学校の卒業式を終えた繰山毎美は、1年生の時に一目惚れした唯人に告白しようとしていた。しかし勇気が出せず、言葉も交わさずに卒業してしまう。がっかりしてその夜眠りについた毎美だったが、翌朝、卒業式に遅れるわよと母親に起こされる。毎美はデジャヴを感じながらも、神様がくれたチャンスかもと、勇気を出して卒業式終了後に唯人に近寄る。だが、そこで唯人に彼女がいる事を知ってしまう。落胆する毎美だったが、翌日、またも卒業式の朝が巡って来る。繰り返す卒業式に意味を見いだせなくなった毎美は、カラオケに入り浸って、高校生の男子に混じって平気で遊ぶような太々しさを身につける。数か月間にも及ぶ繰り返しの日々を経て、遊び飽きた毎美は卒業式に久しぶりに参加。そして、どうせ同じ日が繰り返されるのだからと唯人を呼び出し、強引にキスして既成事実を作ろうとする。唯人はそんな毎美を気味悪がり、逃げる途中で足を踏み外し、階段を転げ落ちてしまう。(授業22「100回目の卒業式」)
洋花の一家が、外観はまだ新しい中古の一戸建てに引っ越して来た。洋花はその翌朝、飼い猫のモカが見当たらない事を気にしていた。朝食の時には家が「グウウウウ」と妙な音を立て、洋花の両親は不動産屋に聞いてみようと話しあう。その後、洋花は学校のクラスメイトに新しい家に行ってみたいと言われ、友達二人を連れて帰るが、母親はテレビを点けたままいなくなっていた。夜になっても母親は帰らず、心当たりに連絡しても行方はわからないままだった。パパはどこか友達のところにいるのだろうと、洋花と弟のあつしを慰めるが、そのあいだも家は「グウウウウ」と妙な音を立てていた。翌朝、洋花が目覚めると食卓に朝食を残したまま、父親の姿が消えていた。(授業23「無人の家」)
第6巻
美術部員の村井は、ほかの女子生徒達と同様に、美術部顧問の雨月先生にあこがれていた。ある日、村井が準備室を片付けていると、雨月先生の鞄から絵が少しはみ出していた肖像画と目が合う。気になった村井がその絵に触れると、なぜか学生時代の雨月先生らしい少年の姿が目の前に浮かぶのだった。興味が湧き、その絵を思わず持ち帰ってしまった村井は、卒業アルバムから肖像画に描かれているモデルが、清葉末花という少女である事を知る。清葉はかつて、卒業間際に美術室で落ちて来た絵の下敷きになって亡くなった人物であった。村井はその肖像画から、清葉と学生時代の雨月先生の二人が交際していた事を知る。この肖像画をずっと大事に持っている雨月先生は、清葉の事を忘れられないのだろうと思いつつも、村井は自分の気持ちに正直であろうと、雨月先生に告白する事を決心する。そして村井は肖像画に向かって、雨月先生に言いたい事があればいっしょに伝えてあげると語り掛ける。すると村井の目の前に、過去の雨月先生と清葉の新たな姿が浮かび上がるのだった。(授業24「肖像画の恋」)
小学生の女の子、緑川ハルヒは小さい頃からオカルト好きな兄の緑川チハルの話を聞かされて育っており、怪奇現象や都市伝説に動じないクールさを身につけていた。ある日、ハルヒは下校中に友達から、6年前に落盤事故に遭った小学生を乗せたバスがあり、なぜかその遺体が一体も見つかっていないとの不思議な話を聞く。その時も、ハルヒは「作り話じゃないか」と冷静に告げるが、帰宅したあと、6年前の世界に突然転送されてしまう。転送された先は、チハルが5年生の時に起きた、遠足で朝からバスに乗り、往路で落盤事故に遭うまでを繰り返す世界だった。そこではハルヒは当然のように事故に遭う5年1組のメンバーとして扱われ、学校の外に出ようとしても弾き返されてしまう。チハルと通話できるスマホと、繰り返しの世界にいる事を理解しているただ一人のクラスメイト、優木直人の存在を頼りに、ハルヒはこの繰り返しを断ち切るために奔走するのだった。(授業25~27「繰り返すコドモタチ」)
小学生の女の子、信木栞は料理もうまく、仕事もできる優しい母親を尊敬していた。そんな自慢の母親を持つ栞に対抗意識を燃やしているのか、クラスメイトでPTA会長もしている美人の母親を持つ安野は、栞にきつく当たる。安野が今日もきつい言葉を栞に投げかけるのを見たクラスメイトは、処刑人にチクればいいと栞に提案する。それはソーシャルネットワークサービス・ミシッターのアカウント名「Shokeinin」に許せない人の写真を送り、1000人以上に拡散されると処刑人が処刑してくれるというものだった。その情報に、栞は怖いと思いながらも少し興味を抱く。そんなある日、栞は母親が知らない男の人と抱き合っている姿を見てしまう。その日からすべてに対し疑いを持つようになり、沈んだ表情を浮かべるようになった栞のもとに安野が現れ、栞の母親の不倫現場を見てしまったと告げる。さらに安野は処刑人にチクっておいてあげたからとも言い、もう拡散され始めていると栞に伝える。栞は母親を助けるため、自分と同様に処刑人を消したい人を探し始める。(授業28「拡散希望」)
第7巻
高校生の如月愛香は、卒業してから5年経った小学校に、タイムカプセルを開けるという行事に来ていた。当時虐められていた記憶に今も苦しむ愛香は、開始早々行事に参加した事を後悔し、タイムカプセルから出て来た自分の小箱を開け終わったらすぐ帰ろうと考えていた。当時、自分を唯一助けてくれていた秋元は不参加で、着席した当時の自分の机には、虐めの首謀者に呪いをかけるという内容の恨みの文言が残っていた。そんな言葉を自分が書いたのか思いだせない愛香が顔を上げると、クラス全員が自分を冷淡な目で見つめ、「何か思い出した?」と尋ねて来る。愛香は書いた覚えのない呪いの落書きに、自分が虐めに耐え切れずに加害者を呪い殺したのかと怯える。そこに秋元が現れ、愛香に小箱を開ければすべてが解ると語り掛ける。(授業29「掘り起こされた記憶」)
高校生の早乙女ちかは異性受けのいい容姿を利用し、言い寄る男子達を自分からは一人に絞らずに要領よく競わせ、よりよい男との交際を求めていた。そんなちかのもとに、ある日黒崎創と名乗る美男子が現れる。ほかの男子とは違う雰囲気の黒崎に、ちかは興味を引かれ、家庭環境や学校生活の様子などを知らないままで、結婚を前提とした交際申し込みを受け入れてしまう。そんなちかを、家族に紹介すると言って黒崎が連れて行ったのは、閉園時間が過ぎた動物園だった。(授業30「オリの恋人」)
小学6年生の金本シホは、幼なじみの桜井響の事がずっと好きだった。シホは響と両思いな事は、もう一人の幼なじみの千葉唯菜も理解していると思っていたが、唯菜も響の事が好きで、告白するつもりだとシホに打ち明ける。その翌日、校内にある古いボードに、響と唯菜の相合傘が書かれていた。そのボードに相合傘を書き、1週間消されなければ両思いになれるとのジンクスがあるため、みんなは色めき立つ。そんな中、唯菜は嫌なら消していいが、自分は嫌じゃないと響に堂々と告白する。男子達はジンクスの成立が見られるのかと面白がり、消してはダメだと周囲に告げ回る。消すとからかわれると女子が静観するうちに1週間が過ぎ、響と唯菜は交際を始めるのだった。だがシホは、自分も5年前に相合傘を書いていたと告げ、最近相合傘を書いた唯菜に入る余地はないと語る。それに対し唯菜は、不思議な力のせいで交際する事になる事を拒み、実際は1週間ギリギリで自ら相合傘を消したのだと告げる。その言葉を聞いた響は、唯菜と互いの好意を再確認するが、認められないシホは突然唯菜を屋上から突き落としてしまう。(授業31「乙女の相合傘」)
ユウキはいつものコンビニで、妹に頼まれた品を買おうとするが、最後の一つだったそれに同時に手を伸ばしていた小柄な少女に譲ってあげた。妹と同じ中学校1年の制服を着ていた事から親近感を持ったユウキは、翌日またコンビニで小柄な少女に再会する。小柄な少女の手が届かない品を取ってあげると彼女は泣き出し、ユウキが優しかった死んだ兄に似ていると打ち明けるのだった。ユウキは兄を使い走りのように扱う妹と違い、おとなしく素直な小柄な少女に癒しを感じ、兄と思ってくれて構わないと言葉を掛ける。翌日、それを聞いたユウキの友人は、似た話をソーシャルネットワークサービスで見たと話す。ユウキが「かわいい妹」で検索してみると、小柄な少女と似た特徴の人物と知り合い、「お兄ちゃん」と呼ばれていると呟いていた男性が、ある日、足を切られて殺されたとの投稿を見つける。(授業32「かわいい妹」)
小学1年生の内木あかりのランドセルは、親戚のお姉さんが是非使ってほしいと託したおさがりの品だった。あかりはクラスメイトの男子からランドセルがボロいと悪口を言われ、45万円のランドセルが自慢のクラスメイトの花倉から笑われてしまう。しかし、あかりのランドセルは入れ忘れたはずのさんすうセットを出してくれたり、嫌な宿題をしてくれたり、かわいい絵を描いて出してくれたりと、とても便利で楽しい不思議なランドセルだった。次第にみんなの注目を集めるようになったあかりの様子を見て、花倉はランドセルが関係しているに違いないと思い、ある時、ランドセルから手が出て男の子を突き落としたと言い出す。そして、あかりのランドセルを怖がったクラスメイトは、あかりのランドセルをゴミ捨て場に捨ててしまう。(授業33「ランドセルの中の友人」)
登場人物・キャラクター
下半身のないセーラー服姿の少女の霊
セーラー服姿の少女の霊。肩の下まである長い黒髪を流しており、下半身部分を失っている。各エピソードの冒頭で宙に浮いた状態で現れ、読者に向けて授業形式でさまざまな怖い話を紹介する。
ひまり
授業1「手作り彼氏」に登場する。小学校6年生の女子。自分と、友達の夢乃以外、クラスメイトの全員に彼氏がいる事に焦り、見栄を張りたい気持ちと仲間はずれになりたくない気持ちから、彼氏をほしがった。虚栄心が強く、見た目を重視する性質で、友人の夢乃の事を、内心では自分よりも格下だと考えている。
佐藤 あんず (さとう あんず)
授業2「悪魔の教室」に登場する。中学校の1年A組に転入して来た女子。転入して来てすぐに、クラスでいじめの標的にされている西木めい子に、自ら友達になりたいと声を掛けた。前の学校では友達ができなかったと自己紹介で言っているが、実際は友達になりたい相手に気に入られたい一心で、邪魔になる女子を密かに殺傷するという行為を繰り返していた。 自分では、友達との絆を深めるのに邪魔な子を排除しただけであり、友達のために尽くそうとしているのに、いつも裏切られると感じている。
咲 (さき)
授業3「かくれんぼ鬼」に登場する。中学校の1年A組に在籍している少女。小学生の弟、樹がいる。住んでいる団地がおんぼろな事を恰好悪いと気にしており、かくれんぼをした弟が行方不明になった事も重なり、こんな団地に住まなればよかったと、母親に愚痴をこぼしてしまった。かくれんぼがうまく、オニコ様に一晩中見つけ出されずに過ごした経験を持っている。
宙 (そら)
授業4「宇宙人間」に登場する。小学生の女子。小学1年生の時からいっしょに過ごしている銀、星子とはタイプも好みも違うが、これからもずっといっしょに過ごしたいと考えている。銀が提案した、宇宙人はいるのかとの調べ学習のテーマについて、インターネットで調べた際に目にした情報どおりに、宇宙人かどうかを調べられる試薬を作成した。
剛田 あい子 (ごうだ あいこ)
授業5「友達さまの言う通り」に登場する。中学校の2年A組に在籍する女子。思った事を即口にする性格で、その言動がきついと、クラスメイトの女子達からは敬遠されている。
遊花 (ゆうか)
授業6「赤い風船」に登場する。テスト明けに、親友の夢とリョーコといっしょにテーマパークへ遊びに来た少女。園内で不幸な死を迎えてしまった幼女の霊を目撃してしまう。その霊の望んでいる赤い風船を見つける事ができなければ、園内に閉じ込められると知り、慌てて探し回った。声が大きく、友達と騒ぎ過ぎてカップルに注意されたほどだが、反省せずに無視するなど、自己中心的な性格をしている。
亀梨 ヒロ (かめなし ひろ)
授業7「時間よ止まれ」に登場する。中学3年生の女子。陸上部所属で、中学1年生の頃から努力を重ねていたものの記録が伸びず、注目を浴びた事がない。当時から速水に好意を抱いていた。時間を止められるストップウォッチを、速水のものと知らずに偶然手に入れ、それを使って足が速くなったように見せかける。
相原 園 (あいはら その)
授業8「一妻多夫制」に登場する。中学2年生の女子。幼なじみで同じ学年の男の子、奏と蓮の二人が大好きで、ずっといっしょにいたいと願っている。しかし、学校内では人気のある奏と蓮を独り占めしていると女子達の嫉妬を買っており、かわいくもないのに幼なじみだからいっしょにいられる、と聞こえよがしに悪口を言われている。願いを叶えてくれるといわれている「スーパームーン」の夜に、ずっと二人といっしょにいたいと願い、文字通りに願いが叶った。
静 (しずか)
授業9「黒いゆりかご」に登場する。小学校の5年1組に在籍している女子。肩の下までの長さのストレートヘアで、眼鏡をかけている。弟の誕生を楽しみにしていたが、家に帰って来た弟の樹季が、時折見せる不気味な表情に、次第に不安を募らせていく。樹季が飼っていた鳥を引き裂いて殺したと母親に訴えたが、信じてもらえなかった。芯が強く、その後は友人にアドバイスを求める。
みつき
授業10「美少女アルバイト」に登場する。高校1年生の女子。容姿端麗なため、先輩から告白されたりと非常にモテる。クラスメイトからは彼氏を作らない事を不思議がられているが、実は幼なじみの大塚アキオに恋心を抱いている。以前のようにアキオと仲よくなりたいと思っており、アキオの誕生日がもうすぐなので、高価なプレゼントを買ってあげようと考えていた。 高額なアルバイトを探し、「美少女限定アルバイト」の告知をネットで見つけて、それに申し込んでしまう。
花 (はな)
授業11「血ぬれた花嫁」に登場する。小学生の女子。いとこのお姉さんの結婚式に出席して、その教会の芝生の中に落ちていた結婚指輪を、何気なく指にはめたところ、それが取れなくなってしまった。消防署や、医者に見てもらってもがっちり嵌って抜けず、夜ごとにバージンロードを歩く夢を見るようになっていく。
舞田 加映 (まいた かえ)
授業12「みえざる視線」に登場する。小学生6年生の女子。マイチューバーという動画投稿サイトにはまっており、再生回数の多い「はじけしゃちょー」にあこがれて、親に内緒で会員登録し、動画を上げていた。有名人の投稿を真似し、お部屋公開やテスト公開など、個人情報特定につながる情報を上げている。反応が多くなるのが楽しくなってしまい、どんどん顔出しで動画を上げていく。
吹石 誠子 (ふきいし せいこ)
授業13「冷たい警告音」に登場する。中学校の2年B組に在籍する女子。年齢は14歳。話を盛ってしまう癖に悩みつつ、人気者になりたい、注目されたい欲求に負けてしまい、つい大げさに話を作ってしまう。颯香にあこがれて彼女の気を引きたい一心で、踏切事故で亡くなった少女の事をよく知りもしないのに、咄嗟に親友だったと話を作ってしまった。
良 (りょう)
授業14「無料生活」に登場する。小学生の女子。無料で手に入るものを活用すればお得だと考え、漫画のネットアップロード版なども公開元を確認せずに楽しんでいた。何でも無料になって来た世の中に疑問を持たず、やっと時代が自分に追い付いて来たのだと喜んでいた。
ハルヒ
授業15「目々子さんの呪い」に登場する。小学生の女子。友人の愛里から目々子さんの呪いの噂を聞き、半信半疑ながら受け止めたクールで理性的な少女。兄のチハルから都市伝説系の話をよく聞かされて育っているため、怖い話の知識は多い。愛里が目々子さんから呪いを受けたと怯えているのを見かね、自分から申し出て肩代わりした優しい性格。
西藤 百菓 (さいとう ももか)
授業16「ハロウィンホラーナイト」に登場する。10代前半から半ばほどの少女。ずっと好きだった秋田と友人達とで、初めて過ごすハロウィンパーティーを楽しみにしていた。手作りマフィンを用意し、仮装もばっちり決めていたが、出かける間際に弟にマフィンを食べつくされていた事に気づく。代わりを買いに行く時間もなく、仕方なく空き家の門柱の上にかぼちゃ頭と共に置かれていたお菓子を持って行ってしまう。 その自己中心的な行動の結果、かぼちゃ頭に襲われ、惨劇の被害者となる。
叶 夢路 (かのう ゆめじ)
授業17「運命の王子様」に登場する。15歳の少女。夢見がちなロマンチストで、幼なじみのタケ子には昔からその性格を知られている。幼い頃は絵本の王子を気に入り、夢で逢うために枕の下に入れて眠っていた。幼い頃から理想の男の子が話し掛けて来る夢を毎晩見続けていた。夢の中の少年が見覚えのある制服を着ていたため、記憶を頼りにその制服を使用している学校の傍にまで実際に足を運び、夢で毎晩逢っている作田真と出会った。 その後、作田と交際を始める。
真雪 (まゆき)
授業18「13人目の宿泊客」に登場する。高校生の女子。大人数だと安くなる旅行パックを見つけ、友達に声を掛けて冬のある日、12人で旅行に出かけた。高校に入って一番のなかよしの冬矢に、旅行中に告白したいと思っていたが、グループの中で地味な存在だった典子が冬矢となかよくしていたのを嫉妬し、典子をコテージの地下室に閉じ込めてしまった。 その後、コテージで火災が発生し、真雪を含めてみんな死んでしまう。しかし、その事実に気づかないまま、雨が降る夜にはコテージの跡地で騒いでいた。
大山 育 (おおやま いく)
授業19「見下ろす女」に登場する。小学校6年生の女子。年齢は12歳。成長し続け、既に170センチある身長に悩んでいた。同じクラスで自分より背の低い男子の高田くんが好きで、彼よりも小柄になりたいと密かに願いながら暮らしていた。ある日、バス停で見かけた背の高い女性の傍で、思わず「こんな身長いらない」と呟いた翌日から背が縮み始める。 背の高い女性に出会う度に身長が縮む法則を見つけた育は、それを活用してどんどん背が低くなっていく。しかし願った以上に背が縮んでしまったうえ、それを止める手立てが分からず、逆に背の高い女性に付きまとわれるようになり、幼女ほどの大きさにされてしまう。
本田 一伽 (ほんだ いちか)
授業20「ドッペルゲンガーの街」に登場する。小学校6年生の女子。家族に無関心でぼんやりした父親、固くて不味い肉を使った料理を出す母親、生意気な弟に囲まれた日々の暮らしをつまらないと思っていた。そんな時に友達からそっくりな子を見かけたと言われ、興味本位で見に出かけ、名門小学校に通う同学年の女の子、本田二伽に出会う。 豪邸に暮らす二伽の毎日は、自分の親と似た外見を持ちながらも優し気で構ってくれる両親に、弟と似た外観を持ちながらも無邪気に懐いて来る弟に囲まれ、おやつも食事も豪華そのもの。その生活をうらやみ、二伽から提案された3日間の入れ替わり生活を快く承諾する。
檻野 愛 (おりの まな)
授業21「追われる者」に登場する。大学1年生の女子。彼氏の斎藤の部屋でご飯を作って帰りを待っている、健気で尽くすタイプ。恋愛にまつわる悩みを相談し合う友人に恵まれているが、最近お風呂に沈んだ人影を見たり、夜ふと目覚めると首を吊った人影を目撃したりと、死人に付きまとわれている事に悩んでいる。
繰山 毎美 (くりやま まいみ)
授業22「100回目の卒業式」に登場する。中学3年生の女子。教室の隅でいつも本を読んで過ごしており、中学生活は皆勤賞を取るほどのまじめな性格をしている。中学校に入ってから一目惚れした唯人に、卒業式終了後に告白しようとしたが、言い出せずに終わる。しかし翌朝起きてみると、再び卒業式当日の朝を迎えており、同じ1日を繰り返している事に気づく。 これを神様が告白のために与えてくれたチャンスと考え、思い切って告白しようとするが、唯人には彼女がいる事を知る。その後も何度も卒業式当日を繰り返し続けたが、自棄的になり、どうせ何度もやり直せるとサボって遊び倒していた。さぼって何か月も過ごすうちにふてぶてしい性格に豹変してしまい、遊び飽きてから再び卒業式に参加し、唯人を呼び出して強引に迫った。
洋花 (ようか)
授業23「無人の家」に登場する。小学生の女子。顎上ラインのボブカットの髪型で、額の左脇に林檎の模様が描かれたヘアピンを付けている。母親と父親、弟のあつしと猫のモカとで中古の一戸建てに引っ越して来たが、家の中で違和感を感じたり、「グウウウウ」という妙な物音を何度か耳にし、気味の悪さを感じていた。引っ越しの翌朝に飼い猫のモカが行方不明になり、その日の放課後に母親が消え、さらに次の日には父親も食べかけの朝食を残して消えてしまった。 弟のあつしを励まし、家の怪異の原因を突き止めようとしたが、洋花自身も被害に遭ってしまう。
村井 (むらい)
授業24「肖像画の恋」に登場する。学生の少女。美術部に所属している。顧問の雨月先生にあこがれていたが、ある日、準備室で見つけた清葉末花の肖像画を見つけた事で、雨月先生の隠された過去を知る事となる。雨月先生にあこがれているが、自分から積極的に話す事ができない引っ込み思案な性格。
緑川 ハルヒ (みどりかわ はるひ)
授業25~27「繰り返すコドモタチ」に登場する。小学生の女子。年齢は12歳。学校から帰宅し、過去の写真を整理していた兄の緑川チハルと話をしていた時に、うっかりチハルが小学校在学中に撮影された遠足の写真を踏み、撮影された時間に転送されてしまった。友人達が下校時に怖い話をしていた時も、作り話ではないかと冷静に指摘した現実主義者な性格。 昔からオカルトが好きなチハルからさまざまな話を聞かされており、過去に転送されてしまった現実を早い段階で受け止めた。唯一現代とつなががっていたスマホを介したチハルとの会話を頼りに、現代に帰るために奔走する。
信木 栞 (のぶき しおり)
授業28「拡散希望」に登場する。小学6年生の女子。美人で、仕事もできて料理もうまく、髪も綺麗に結ってくれる母親の事が大好きで、自慢に思っていたが、不倫している現場を目撃してしまい、不信感に苛まれる。クラスメイトで、同じく美人でPTA会長も務める母親を持つ安野から対抗意識を持たれていて、きつく当たられていた。
如月 愛香 (きさらぎ あいか)
授業29「掘り起こされた記憶」に登場する。高校生の女子。小学校時代に酷い虐めに遭った記憶のために、それ以降の学校生活でもトラウマを抱え、孤立し続けている。高校生になった今でもノートにも落書きされるなど、辛い日々を送っている。しかし、小学校の時に埋めたタイムカプセルを掘り起こす行事に参加した事で、虐められていたという記憶は、実際は自分が虐めていた渦島ちえのものだった事を思い出す。
早乙女 ちか (さおとめ ちか)
授業30「オリの恋人」に登場する。高校生の女子。年齢は16歳。異性受けのいい容姿を最大限に使い、言い寄って来る男性達を自分からは一人に絞らず、競わせて一番いい男と交際しようと思っている。突然結婚を前提に交際を申し込んで来た黒崎創を怪しいと感じながらも、外見目当てで交際を申し込んで来るほかの男性達と違い、自分なら早乙女ちかを満たしてあげられると、内面に寄り添う告白をした事で、創の告白を受け入れた。
金本 シホ
授業31「乙女の相合傘」に登場する。小学生の女子。千葉唯菜と桜井響と家が近所なため、幼なじみとして昔からいっしょに過ごして来た。学校内にある、古い掲示板に相合傘を書き、1週間消されなければ両思いになれると言うジンクスを信じ、1年生の時にそれを使って響と両思いになったと思っていた。来年に卒業を控えた唯菜に、響が好きで告白するつもりだと打ち明けられても、金本シホは自分が過去に相合傘を書いた事を明かさなかった。 ジンクス任せで、自分から響の気持ちをはっきり確かめる事を後回しにしており、その結果、響が唯菜を選んだ事実を受け止めきれずに、唯菜を排除しようとする。
ユウキ
授業32「かわいい妹」に登場する。高校生の男子。実の妹に使い走りのように扱われている事に不満を感じていた。コンビニで妹とは正反対な、素直でおとなしい雰囲気の小柄な少女と出会い、その少女に癒されて妹のように接していた。ところが、その話を聞いた友人から、ソーシャルネットワークサービス内で似たような話を見たと聞かされ、小柄な少女を不気味に感じるようになっていく。
内木 あかり (うちき あかり)
授業33「ランドセルの中の友人」に登場する。小学1年生の女子。親戚のお姉さんから小学校が楽しくなるから是非使ってほしい、とランドセルのおさがりをもらった。周りの子がみんな新品のランドセルを持っているのに、一人だけ古びたランドセルを使う事を最初は残念がっていた。だが、やがて忘れ物を出してくれたり、宿題を解いてくれたりするランドセルとの生活を楽しむようになる。
生地 糸也 (なまち いとや)
授業1「手作り彼氏」に登場する。手作り彼氏キットで作られた存在。小学校6年生の男子としてひまりの前に現れる。ひまりには身体に糸の縫い目らしきものが見えていたが、夢乃をはじめとする同じクラスの生徒達には、違和感なくとなりのクラスの男子だと認識されていた。当初はひまりの不器用さから、起伏に乏しいふくよかな体格の少年として現れたが、すらりと痩身の彼氏がほしかったひまりにより、夜にぬいぐるみに戻った状態の時に頭の両端を切られたり、身体を切って継ぎ足されたりと改造を繰り返されている。 最終的に自身で手入れをした事により、ひまりのクラスメイトがどよめくほどの美少年になる。
夢乃 (ゆめの)
授業1「手作り彼氏」に登場する。小学6年生の女子。ひまりのクラスメイトであり親友。ひまりの事をかわいくて楽しいと思っており、彼氏ができないと焦るひまりを励ましていた。しかし、そんなひまりより先にとなりのクラスの男子に告白され、交際を始める。生地糸也がひまりの彼氏として現れた事を心から祝福しているが、糸也を邪険に扱うひまりの様子を見かねて、もっと誠実に向き合うべきだと忠告する。
西木 めい子 (にしき めいこ)
授業2「悪魔の教室」に登場する。中学校の1年A組に在籍する女子。以前クラスの中でいじめがあった時は加害者だったが、今は逆にその事を責められて孤立している。転入して来た佐藤あんずに気に入られ、共に過ごすようになる。ある日、西木めい子を率先していじめていたクラスメイトの華が通り魔に襲われて大ケガを負い、それがきっかけであんずの事を疑い始める。
華 (はな)
授業2「悪魔の教室」に登場する。中学校の1年A組に在籍する女子。転入して来た佐藤あんずが西木めい子と友達になろうとしているのを見て、それを邪魔するために割って入った。のちに通り魔に襲われ、大ケガを負う。
樹 (いつき)
状業3「かくれんぼ鬼」に登場する。小学生の男子。姉は中学生の咲。姉弟の仲は良好で、学校帰りの咲を捕まえて友達同士のかくれんぼの仲間に誘った。しかし、そのかくれんぼが原因でオニコ様に攫われてしまう。
明日美 (あすみ)
授業3「かくれんぼ鬼」に登場する。中学校の1年A組に在籍する少女。自分の家は新築で立派なため、クラスメイトの咲の家が古い団地なのを軽んじている。事あるごとにおんぼろ団地である咲の家を比較対象として口にし、自分の家を自慢している。
オニコ様 (おにこさま)
授業3「かくれんぼ鬼」に登場する。乱れて腿のあたりまで伸びた黒髪と、ぼろぼろの和服を着た少女で、人形のようなものを手に持っている。咲の住む団地の管理人の老人が語るところによると、昔近所で土地の子供達が行方不明になっており、それはオニコ様の仕業とされていたという。そのため、敷地のところどころにオニコ様のために祠を立ててお祓いしていた。
星子 (せいこ)
授業4「宇宙人間」に登場する。小学生の女子。肩につくくらいの黒髪をセンター分けにしている。小学1年生の時からいっしょに過ごしている宙、銀の話を傍らで微笑んで聞いている事の多い、おっとりした性格の持ち主。
銀 (ぎん)
授業4「宇宙人間」に登場する。小学生の女子。長くウエーブのかかった髪をツーテールにしている。しっかりとした性格で、小学1年生の時からいっしょに過ごしている宙、星子の中では、リーダー的な立場となっている。宇宙人はいるのかとのテーマをクラスの調べ学習のテーマとして提案した。
野味 さより (のみ さより)
授業5「友達さまの言う通り」に登場する。中学校の2年A組に在籍する女子。クラスメイトの剛田あい子の何でもはっきり言える性格にあこがれ、友達になりたいと近づく。しかし何でも素直に従う野味さよりの性格は、あい子の想像を超えるほどの自主性のなさから来るもので、ついにあい子を怒らせてしまう。
速水 (はやみ)
授業7「時間よ止まれ」に登場する。中学3年生の男子。亀梨ヒロのクラスメイト。ヒロと同じく陸上部に所属しており、部内で一番速い記録を持っている。亀梨が速水が持っていた時間を止める事のできるストップウォッチを偶然手に入れ、自分と同じようにそれを使って足が速いように細工していた事を知り、口封じのために殺そうとした。 利己的で冷淡な性格をしている。
奏 (かなで)
授業8「一妻多夫制」に登場する。中学2年生の男子。優しい性格で、女子に非常にモテる。同じくモテる幼なじみの蓮と共に、幼なじみの相原園を巡って三角関係に陥った。しかし相原が「スーパームーン」に願いをかけ、一妻多夫制が認められる日本になった事で、三人で交際をする事となった。
蓮 (れん)
授業8「一妻多夫制」に登場する。中学2年生の男子。バスケットボール部に所属している。悪ぶった雰囲気と口調で、学校内の女子に非常にモテる。同じくモテる幼なじみの奏と共に、幼なじみの相原園を巡って三角関係に陥った。しかし相原が「スーパームーン」に願いをかけ、一妻多夫制が認められる日本になった事で、三人で交際をする事となった。
樹季 (たつき)
授業9「黒いゆりかご」に登場する。静の弟の乳児。樹季が家に来てから、父親は何かの視線を感じる気がして不眠がちになり、出勤する車の後部座席に樹季がいるような気がして、わき見運転から事故を起こした。さらに父親の見舞いに行った先で母親が階段から転落するなど、周囲に不幸をまき散らしている。母親に連れられて病院に行っているはずなのに一人で家に戻っていたりと、行動の読めない不気味な存在。
大塚 アキオ (おおつか あきお)
授業10「美少女アルバイト」に登場する。高校1年生の男子。みつきの幼なじみ。クラスメイトの女子からは、華やかなみつきとは住む世界が違うとの印象を抱かれている、口数の少ない体育会系の少年。みつきとは挨拶を交わす程度の距離感になっているが、昔と変わらず気にかけていた。
山田 一郎 (やまだ いちろう)
授業10「美少女アルバイト」に登場する。物腰と表情の柔らかい初老の男性。昔から美少女が好きで、好き過ぎていつか自分が美少女になりたいと夢見ている。男性と話すだけでお金がもらえるとの誘い文句でみつきとTV電話をし、自身がみつきと入れ替わるためだと教えずに、「日記を書く」や「山田一郎の名前を10行書く」などの要望に従事させ、高額のお金を支払う対価とした。
颯香 (そうか)
授業13「冷たい警告音」に登場する。中学校の2年B組に在籍する女子。社交的な性格からクラスの中心人物となっており、吹石誠子にあこがれられている。注目されたいと噓をついてしまった誠子が友人達から責められている中で、きちんと誠子がそういう事をしてしまった理由を聞き、冷静に謝罪を受け入れている。
チハル
授業15「目々子さんの呪い」に登場する。ハルヒの兄。都市伝説が好きな少年。成績優秀でスポーツも得意。妹のハルヒが目々子さんの噂を仕入れてきたのを興味深く聞き、噂が広まるには原因があるはずだと自説を述べた。目々子さんの呪いを肩代わりしてしまったハルヒのために、24時間寝ないで呪いを回避する方法を探した。
愛里 (あいり)
授業15「目々子さんの呪い」に登場する。ハルヒの友達の女子。肩を叩かれ、振り返ると目を失うと噂になっている目々子さんと遭遇してしまった。目を失う恐怖に耐え切れず怯え、呪いを移していいと名乗り出てくれたハルヒに呪いを移した。移してしまったあとはハルヒの事を心配もせず、自分が助かった事だけを喜んでいた自己中心的な性格。
目々子さん (めめこさん)
授業15「目々子さんの呪い」に登場する。14年前に自殺した少女の霊だと推察されている存在。享年は14歳の少女で、カラーコンタクトの間違った使用により失明し、それを苦に自殺してしまった事を、チハルが図書館の記事から見つけ出した。噂になっているのは、目々子さんを見た人は24時間後に眼をえぐり取られてしまう、との内容の都市伝説だった。 チハルの妹、ハルヒが愛里が受けた目々子さんの呪いを肩代わりした。
秋田 (あきた)
授業16「ハロウィンホラーナイト」に登場する。10代前半から半ばほどの男の子。西藤百菓と付き合い始めたばかりで、周囲の友人達にからかわれていた。かぼちゃ頭が会場の家の母親を食べてしまった時も、百菓の手を引いて素早い判断で避難した。女子達に家に帰るよう指示し、自分を含む男子メンバー数人で警察に電話しようとしところをかぼちゃ頭に襲われ、何とか警察に通報したものの、一人だけになってしまった。 そんな状態でも百菓を案じて駆けつけたが、土壇場で恐怖に負けてしまい、百菓を見捨てて自分だけ助かろうとした。
かぼちゃ頭 (かぼちゃあたま)
授業16「ハロウィンホラーナイト」に登場する。少年ほどの見た目で、両目の箇所に傷のついたジャックオーランタンのかぶりりものをして、長いマントをまとっている。西藤百菓が空き家の門柱の上に置かれていた、同じ特徴を持つジャックオーランタンの飾りに供えられていたお菓子を持って行ってしまった事がきっかけで現れた。ハロウィンパーティー会場を提供していた母親は、その小柄さからパーティー参加者の一人だと判断した。 しかし「トリックオアトリート」の言葉を受け入れず、会場に案内しようとした母親を大きな口でかみ砕いた。続いてハロウィンパーティー会場に血まみれで侵入し、母親の千切れた腕を口からさらしながら、参加者を恐慌状態に陥らせる。その後、次々と参加者達を襲い、最後に百菓の家にやって来る。
作田 真
授業17「運命の王子様」に登場する。「3年B組」と書かれた名札を付けた十代の少年。叶夢路の夢に毎晩現れる、夢路の理想が詰まったような人物。夢路と現実でも出会い、喫茶店でデートしたり、待ち合わせをしたりと交遊を深めていく。夢路の事なら何でも知っており、爪を切った長さをミリ単位で指摘して夢路を怯えさせた。なお、夢路と初対面の時、傍らにいた夢路の友達のタケ子にはその姿が見えていないなど、夢路の作り出した妄想の可能性のある、実在するかどうか不明瞭な存在。
楽 (らく)
授業18「13人目の宿泊客」に登場する。高校生の男子。真雪のグループに入っていて、いっしょにコテージで12人で過ごす一泊旅行に参加した。なぜか真雪は楽の名前をすぐに思いだせなかったり、暑いはずの暖炉のすぐ傍に立っていても汗ひとつかかないなど、不思議な印象を抱かせる少年。実はコテージでグループ旅行をしていた真雪達の友人ではなく、除霊のために参加していた。
背の高い女性 (せのたかいじょせい)
授業19「見下ろす女」に登場する。大山育の使っているバス停で先に並んでいた女性。ワンピース姿で黒髪をロングヘアにしている。170センチある育よりも背が高い。しかし、それは育が初めて姿を見た時の身長で、育の身長がが縮む度に次第に大きくなっていく。その不気味さに育が遭遇を避けたいと願うようになった途端、育の周りに頻繁に姿を現すようになる。 育の2階にある部屋の窓から背の高い女性が顔を覗かせた時、急激に育は小さくなって幼女くらいの姿となった。いつも同じ服装で、声を発する事はない。
本田 二伽 (ほんだ にか)
授業20「ドッペルゲンガーの街」に登場する。名門小学校に通う6年生の女子。豪邸に住んでいる。優しく遊んでくれる両親に、自分に懐き慕ってくれる弟に囲まれた生活をしている。自分とそっくりな女の子の本田一伽と偶然知り合い、3日間の入れ替わり生活を提案した。実は父親の会社が倒産し、生活を維持できない事、両親が思い詰めている事を知っていた。 そのため最後の思い出作りにと、入れ替わりを提案していたつもりだったが、一伽が元の生活に戻る事を強く拒否したため、それが取り返しのつかない決断だと知りつつも、入れ替わり続ける事を承諾する。
斉藤 (さいとう)
授業21「追われる者」に登場する。黒髪の大学生くらいの男性。檻野愛の彼氏。だが、実際は「斉藤」のアパートに姿を現した別人であり、彼氏というのも単なる愛の思い込みである。その正体は、かつて愛にストーカーされて殺された三人の男性の霊に、無念を晴らしてほしいと依頼されて行動を起こした人物。
雨月先生 (うづきせんせい)
授業24「肖像画の恋」に登場する。若い男性の教師。村井が所属する美術部の顧問を務めている。有名なコンクールで賞をもらっている、みんなのあこがれの存在。美術部員は、絵を見てもらうためにいつも雨月先生のまわりを囲んでいる。かつて別れ話のもつれから、事故に見せかけて殺害した清葉末花の肖像画をずっと保有していた。肖像画には清葉が幸せそうに微笑んで椅子に座る姿が描かれているが、その下には縛られて恐怖に引き攣(つ)る顔の肖像画を描いていた。
清葉 末花
授業24「肖像画の恋」に登場する。雨月先生が学生時代に好きだった少女。肖像画を見た村井は綺麗な人だとの感想を抱いた。学生時代に雨月先生からの告白で交際を始めていたが、卒業間際に親の転勤で離れなければならなくなり、別れを雨月先生に切り出した事で怒りを買い、事故に見せかけて殺されてしまった。
緑川 チハル (みどりかわ ちはる)
授業25~27「繰り返すコドモタチ」に登場する。若い男性。勉強もスポーツも何でもこなす。妹は小学生で12歳の緑川ハルヒ。昔からハルヒに怖い話を語って聞かせていたオカルト好きな人物。過去の写真を整理していた時、6年前の小学5年生に在籍時に撮った写真を踏んだハルヒが、過去の世界に入ってしまったが、冷静に分析して励まし続けた。
優木 直人 (ゆうき なおと)
授業25~27「繰り返すコドモタチ」に登場する。小学校の5年1組に在籍していた男子。遠足の往路で落盤事故に巻き込まれてしまい、命を落とした。母親が1日中働いているため、年の離れた妹の面倒をよく見ていた。クラスメイトのみんなが事故で死んでしまった事を、認めたくない気持ちの強さに巻き込まれている。優木直人は意識を手放す寸前まで母親と妹の写真を見つめ、自分が死んでしまったら母親と妹がどうなるか心配していたため、一人だけ死んで、なお繰り返しの中にいると理解していた。 そのため、緑川ハルヒが突然クラスメイトとして紛れ込んだ事を5年1組の中で一人だけ理解しており、ハルヒに繰り返しを断ち切るため力を貸す。
安野 (あんの)
授業28「拡散希望」に登場する。小学6年生の女子。美人でPTA会長も務める母親の事を誇らしく思っている。信木栞のクラスメイトで、栞を一方的にライバル視してきつく当たっていた。栞の母親が知らない男の人と食事をしていたのを目撃して不倫ととらえ、正義感から処刑人にチクり、その事を栞に伝えた。思った事をストレートに相手に伝える、行動力のある性格。
処刑人 (しょけいにん)
授業28「拡散希望」に登場する。ぼさぼさの髪で、大きく三日月型に裂けた口にギザギザの歯を持つ、正体不明の存在。ソーシャルネットワークサービスのミシッター内で、アカウント名「Shokeinin」に許せない人の写真を送り、1000人以上に拡散されるとその写真の人のところに現れ、本当に処刑すると噂されている。実際に、いじめ事件の主犯格の中学生三人が、拡散されたあとに首を吊って亡くなり、その後に拡散された不倫した芸能人も不審死を遂げている。
渦島 ちえ (うずしま ちえ)
授業29「掘り起こされた記憶」に登場する。小学校在籍中に、如月愛香からのいじめを苦に自殺した少女。命を絶つ前に、クラスメイトでノートを写させてくれたり、話し相手になってくれていた秋元から、誰にも解けない強力な呪いのかけ方を教わり、愛香にそれをかけたうえで屋上から飛び降りた。
秋元 (あきもと)
授業29「掘り起こされた記憶」に登場する。高校生の男子。小学校在学中、タイムカプセルを埋めた年に、如月愛香と渦島ちえのクラスメイトだった。その当時は虐められて苦しんでいた渦島の味方をしていた。タイムカプセルを掘り出す時には参加せず、タイムカプセルを掘り起こしたあとに校内に現れ、渦島の呪いによって渦島の記憶を自分のものと思い込んでいた如月に、すべてを思い出させる。
黒崎 創 (くろさき はじめ)
授業30「オリの恋人」に登場する。色黒のイケメン。年齢は16歳。男子に言い寄られるのに慣れて目の肥えた早乙女ちかも、学内でダントツのイケメンと認めている。ちかの通っている高校の門で花束を手にちかを出待ちし、結婚を前提の交際を申し込んだ。しかし本来の姿は、ちかがデートで立ち寄った事がある動物園で飼育されている黒い豚。
桜井 響
授業31「乙女の相合傘」に登場する。小学生の男子。金本シホとは家がとなり同士で、千葉唯菜とは近所なため、昔から三人でなかよく過ごしていた。同じ学年の女子達からモテており、少なくとも四人から交際を望まれていた。しかし本人はモテる事を自覚しておらず、特定の交際相手はいなかった。唯奈に交際を申し込まれ、付き合い始める。
千葉 唯菜
授業31「乙女の相合傘」に登場する。小学生の女子。金本シホと桜井響とは家が近所で、幼なじみ。来年に卒業を控え、みんなが同じ中学校に行けるとは限らないと考えていた。そこで校内にある、描いた相合傘を1週間消されなければ両思いになれる古いボードに自分の名前と響の名前を書き、響に気持ちを伝えた。幼なじみのシホには、響が好きで告白しようと思っている事を打ち明けていた。 隠し事を嫌い、真っ直ぐに自分の気持ちを主張できる性格が、響の心を射止める事となった。
小柄な少女 (こがらなしょうじょ)
授業32「かわいい妹」に登場する。小柄で中学生くらいに見える少女。かわいらしい感じの見た目で、テニスラケットをいつも持っている。コンビニで残り一つだったカフェラテの箱を同時に取ろうとした事がきっかけで、ユウキと会話するようになる。SNS内で都市伝説のように情報が流れている「かわいい妹」という通称で呼ばれる存在。ユウキには、ユウキに似た優しい兄がいたが亡くなってしまったと話していた。 インターネット上では、年の離れた兄にいつも虐められており、家が火事に遭った際に、家族で一人だけ助かった少女であるといわれている。
花倉 (はなくら)
授業33「ランドセルの中の友人」に登場する。小学1年生の女子。おじいちゃんが買ってくれた45万円のランドセルを自慢していたが、クラスメイトの内木あかりの持つおさがりのランドセルが色々な場面であかりを助け、クラス中の注目を集めているように思え、嫉妬心からランドセルを燃やそうとした。
書誌情報
絶叫学級 転生 23巻 集英社〈りぼんマスコットコミックス〉
第1巻
(2015-10-23発行、 978-4088673929)
第2巻
(2016-03-25発行、 978-4088674094)
第3巻
(2016-08-25発行、 978-4088674278)
第4巻
(2017-01-25発行、 978-4088674421)
第5巻
(2017-06-23発行、 978-4088674643)
第6巻
(2017-10-25発行、 978-4088674773)
第7巻
(2018-04-25発行、 978-4088674964)
第18巻
(2022-07-25発行、 978-4088676746)
第19巻
(2022-11-25発行、 978-4088676890)
第20巻
(2023-03-24発行、 978-4088677095)
第21巻
(2023-10-25発行、 978-4088677361)
第22巻
(2024-04-24発行、 978-4088677521)
第23巻
(2024-09-25発行、 978-4088677705)