概要・あらすじ
プロのボートレーサーを養成するやまと競艇学校に入学、努力を重ねて卒業して、プロの競艇選手として競艇の世界に飛び込んだ主人公の波多野憲二。周囲の全てがライバルという非常に厳しい競艇の世界だが、持ち前の負けん気の強さで着実に実力をつけ、ボートレーサーのトップを目指して奮闘していく。
登場人物・キャラクター
波多野 憲二 (はたの けんじ)
競艇場で初めて乗ったペアボート、そして初めて見た「モンキーターン」に魅了されてプロのボートレーサーになることを決意した。82期生としてやまと競艇学校に入学、卒業記念レースで優勝する実力をつけ、東京支部に所属して選手生活を開始する。 明るく素直で義理堅い人情派だが、お調子者の一面もある。そして、やや気性は激しいが人懐っこく憎めない性格で、周囲の競艇選手やファンからも愛される存在である。 そんな性格からか、弟子を取らない主義だったベテラン選手の古池勘一の心を動かして弟子入りし、同じく一匹狼だった和久井錠司をグループに引き入れるなど、ボートレースの知識や技術だけでなく、人間関係も充実させていく。 ただし、誰にでも優しく平等に接するため、生方澄と青島優子との恋の板挟みになったこともある。自他共に認めるライバルは、やまと競艇学校で同期生だった洞口雄大で、お互いの実力は認め合っている。 しかし性格的に合わず、顔を合わせると互いに憎まれ口を叩くなど、いがみ合っていることが多い。積極的なレース展開が持ち味だが、それ故にターンでの転覆が非常に多いなど欠点も見られる。
和久井 錠司 (わくい じょうじ)
東京支部所属のボートレーサー。レースに対しては人一倍ストイックで、他人を寄せ付けない雰囲気を醸し出していたためか、レーサー同士のグループに属さず一匹狼として技術を磨いてきた。 しかし、波多野憲二からのしつこい誘いに負けて古池グループに加入する。関東では名の知れたプロペラ巧者で、プロペラに対する豊富な知識のみならず、自作のプロペラを提供するなど、よき先輩として波多野憲二と接している。
榎木 祐介 (えのきゆうすけ)
山口支部所属のボートレーサー。自他共に認める競艇界のトップレーサーで「艇王」の異名を持つ。ボートのテクニックはもちろん状況に合わせた柔軟なレース戦術、モーター整備、プロペラ製作など、ボートレースの全てにおいて高い実力と技術、知識を持ち合わせている。 また優れた人間性でファンや他の選手、記者など周囲に慕われている。波多野憲二が超えようとしている選手の1人である。
青島 優子 (あおしま ゆうこ)
やまと競艇学校の82期生。波多野憲二とは同期の女性ボートレーサーで福岡支部所属。亡き父の借金と家族を支えるためにボートレーサーになった苦労人。プロデビュー後は低迷していた時期もあったが、波多野憲二など周囲からのアドバイスで徐々に立ち直っていき、その後は小柄な体格と軽い体重を生かした直線でのスピードを武器に、地道な努力を繰り返してトップ選手の仲間入りをする。 諦めを知らず、いつも明るく前向きに努力する波多野憲二に魅かれている。 褐色の肌とペンギン柄のヘルメットがトレードマーク。
城ヶ崎 ありさ (じょうがさき ありさ)
波多野憲二や生方澄の高校時代の同級生。3人とも古くから顔見知りの友人で、波多野憲二の実家の向かいに住んでいる。丸い顔に丸い体格の、いわゆる太った女性で、ふてぶてしい言動や個性的な態度が特徴。 波多野憲二の応援として競艇に通うが、的確なレース展開の読みで舟券を当てたり、実生活では社長秘書として辣腕を発揮するなど、波多野憲二や周囲からは「謎の生物」と呼ばれている。
洞口 雄大 (どうぐち たけひろ)
やまと競艇学校の82期生で、波多野憲二とは同期でありライバルでもあるボートレーサーで愛知支部所属。競艇界の名選手である洞口武雄の息子で、期待のホープとしてデビュー以来、数々のレースで勝利した若手ナンバーワンの実力を誇る。 性格は冷静沈着でクール。端正な顔立ちで女性ファンも多いが、激情家の一面もあり、また自信家で自然に他人を見下す言動や態度が出てしまう。また、勝利のためにラフプレーも厭わない強引なレース展開をするなど、そのレーススタイルを巡ってのトラブルも多い。 元々はレースにのめり込んで家庭を顧みない父である洞口武雄を倒すためにボートレーサーを志した。
生方 澄 (うぶかた すみ)
波多野憲二の実家である豆腐屋の隣にある小料理屋の娘。波多野憲二とは幼馴染で周囲も認める恋人のような存在だが、関係は遅々として進んでいない。競艇選手になった波多野憲二を陰ながら応援、協力している。 城ヶ崎ありさと付き合いで競艇場に応援に通ううち、競艇にも詳しくなってくる。
洞口 武雄 (どうぐち たけお)
愛知支部所属のボートレーサーで洞口雄大の実の父親。「愛知の巨人」と称されるベテランレーサーで、数々のタイトルを獲得した強豪でもある。勝利のためならラフプレーも厭わないスタイルで、危険なレースも多いためか周囲との軋轢も多く、長年一匹狼を貫いている。 50歳を超えても第一線で活躍するなど実力は衰えていない。やまと競艇学校の卒業レースの時に見た波多野憲二に実力と可能性を感じて注目している。
古池 勘一 (こいけ かんいち)
ダービー制覇経験もあるベテランボートレーサーで東京支部所属。波多野憲二の第二の父親的存在である。かつての愛弟子を事故で引退させてしまったことから15年も弟子を取らなかったが、波多野憲二の懇願に負けて弟子に迎える。 プロペラ製作やモーター整備の技術にも長けており、その教えは波多野憲二の躍進の原動力になっている。性格は頑固で口うるさい、昔ながらの頑固親父。 しかし人情家でもあり、心を許した後輩の面倒は積極的に請け負っている。過去の経験から、意図的なラフプレーに対しては非常に厳しい態度で接する。
その他キーワード
モンキーターン
『モンキーターン』に登場する旋回テクニックのひとつ。ボートの操縦席で前傾姿勢になって立ち上がり、旋回方向の外側を蹴り、ボートの外側に荷重をかけて旋回するテクニック。通常のターンよりも高速で旋回することが可能で、膝への負担が少なくなったことから普及したテクニックだが、旋回中に不安定になるボートのバランスを取るのが難しく、十分に練習しないと転覆する可能性が高くなる。 名前の由来は、競馬の「モンキー乗り」に似ていることからきている。