あらすじ
第1巻
かつては花の都と謳われた王都だったが、現在は春が失われ、終わらない冬に閉ざされていた。そんなある日、王都の最底辺「レベルゼロ」でくすぶっていた元騎士の老人ガル=ガルゥは、上層から落ちてきた一人の少女を拾う。ナルと名乗った少女は春をもたらす不思議な力を持ち、彼女は母親に逃がされてレベルゼロまで逃げ延びてきたのだった。ナルの母親が囚われ、酷使されていることを知ったガルは、変わり果てた王宮の実態に憤怒し、ナルを守り抜くことを誓う。ガルの心意気を知ったナルは彼に心を開き、ガルに大きな力を与えるのだった。そして二人はナルの母親を助けるため、王都の最上層「レベルセブン」を目指して旅立つ。レベルゼロを抜けてレベルワンにたどり着いた二人は、民たちに無体を働く王宮騎士オイゲンの姿を見かける。民を助けるために二人は飛び出し、オイゲンと戦う。氷の力をあやつるオイゲンに苦戦するナルだったが、ガルを信じ続けたナルの思いは通じ、オイゲンを打倒するのだった。オイゲンを倒して次の階層にたどり着く二人だったが、そこにガルの因縁の相手であるヨークトルが出現。ヨークトルはその圧倒的な力で二人をあっという間に追い詰める。
登場人物・キャラクター
ガル=ガルゥ
元騎士団長の老爺。右腕を失った隻腕の男性で、白いヒゲと髪を伸ばし放題にしている。弱者を守り、主君に忠実な騎士の鑑ともいうべき人物で、かつて王より聖剣「ユグドラシル」を授かった。しかし、現在はレベルゼロに落とされ、変わり果てた王都の姿に心を痛めている。ある日、上層から落ちてきたナルを保し、彼女の境遇に憤り、彼女のために戦うことを誓う。ナルと心を通じ合わせたことで、彼女の持つシルフィードの力を受け、失った右腕の所から新たに樹木でできた腕が生える。さらに戦闘の際には右腕とユグドラシルが融合し、全身が若返って往年の騎士としての姿となって戦う。若かりし頃は精悍な顔立ちをした赤毛の騎士で、ユグドラシルを振るった際の一撃は強力な威力を誇る。しかし若返った姿は一時的なもので、戦闘終了後は再び老人の姿へと戻る。王都騎士ヨークトルは因縁の相手で、彼に対しては強い憎悪をあらわにする。
ナル
不思議な力を持つ謎の少女。「シルフィード」と呼ばれる存在の一人で、泣くと春を呼び寄せる不思議な力を持つ。王都のレベルセブンは、彼女たちシルフィードの力で常春の地となっている。その身を王宮の人間に狙われており、その経験から人間を嫌い、彼らに不信感を抱いている。母親に逃がされて命からがらレベルゼロにたどり着き、行き倒れていたところをガル=ガルゥに救われた。その後、事情を知ったガルと共に母親を助けるため、レベルセブンを目指す。気丈に振る舞っているが、実際は母親と別れて以降、一人でいることを心細く思っていた。ガルに対しても最初は警戒心を抱いていたが、身を挺して自分を守ってくれる彼を見て心を開き、信頼するようになる。春を呼ぶ力は氷をあやつる王都騎士とは真逆の力で、その力を使うことで王宮騎士の氷の攻撃を防ぐことができる。また、シルフィードの真の力は誰かを労り守るためのもので、誰かと心を通じ合わせることでその者の傷を癒やし、力を与えることができる。ナルがガルに対して真の力を使った際には、彼を若返らせ、失った右腕に樹木でできた義手を作り出した。
オイゲン
王都騎士(キングスナイト)の男性。残虐な性格をした冷血漢で、レベルワンの住人たちから恐れられている。レベルワンの若い住人を軒並み労働力として連行し、彼らを家族と引き離した。また氷をあやつる力を持ち、彼に反抗した者たちを片っ端から氷づけにしている。住人をかばったナルが春をもたらすシルフィードと知り、彼女を捕えるために戦う。通用門を開けるために忍び込んだナルと相対し、彼女を圧倒的な力で追い詰める。しかし、ナルの思わぬ反撃で通用門を破壊されてしまい、自らも駆けつけたガル=ガルゥに叩きのめされた。その後は逃げ延び、ヨークトルにナルのことを報告するが、ナルたちに敗北したことを理由にヨークトルに粛清される。
場所
王都 (おうと)
かつて「麗しき花の都」と謳われた都市。しかし、そう呼ばれていたのも今は昔で、現在は雪と氷に閉ざされた、とこしえの冬の国となっている。厳格な階級制度を取っており、住人は身分によって住む場所が厳密に決まっている。最下層の「レベルゼロ」から上層に行くにつれてレベルは上がり、最上階は王族の暮らす「レベルセブン」となっている。
レベルゼロ
王都の最下層。本来は敵や賊の侵入を阻む堀だったが、現在は王都の中からあぶれた者たちの住まう地となっている。周囲が雪と氷の壁に囲まれた牢獄と化し、脱出は不可能。住人は上層から落ちてくるわずかな食料を奪い合って生活しており、殺伐とした空気で包まれている。ガル=ガルゥがユグドラシルの力を解放し、その力で壁に亀裂を作り出したことで上層への道ができ、ガルとナルはその道を通って上層へ向かった。
レベルワン
王都の平民街。かつては人々の笑顔に満ちた活気ある街並みだったが、現在は街中が凍り付き、閑散とした地となっている。オイゲンによって若い住民は連行されているため、街には老人しか残っていない。上層から最低限の食料は支給されているため、住人はオイゲンに怯えながら細々と暮らしている。上層の「レベルツー」に行くためには通用門を通るしかないが、通用門は内側からしか開かない頑強な造りをしている。
その他キーワード
ユグドラシル
ガル=ガルゥの愛剣。50年前、国王がガルの多大なる功績に応えるべく、彼に与えられた。国に伝わる伝説の聖剣だが刃がなく、柄のみしか存在しない。意思のある存在で、自ら「世界の樹」とナルに名乗った。加えて、持ち主であるガルのことをかなり気に入っているともナルに伝えている。戦闘の際にはナルの力によってガルの腕に生えた樹の腕と融合し、強烈無比な一撃を放つことができる。
書誌情報
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