ラブパック

ラブパック

平安時代の長編物語「源氏物語」をベースにしたラブ・コメディ。平安朝を舞台に、平凡な女の子の恋模様を描く。「週刊少女フレンド」1973年第17号から第49号にかけて掲載された作品。

正式名称
ラブパック
ふりがな
らぶぱっく
作者
ジャンル
ラブコメ
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概要・あらすじ

時は平安王朝時代。とある貧乏貴族の幼い姫が、同い年の皇子と運命的な出会いを果たす。仲良くなった2人は、互いを「若君」「奈の君」と呼び、幼いながらも将来を誓い合う。だが、若君が都に戻らなければならなくなり、2人は互いの素性も知らぬまま別れることとなった。時は流れ、光るように美しい貴公子に成長した若君は、「光源氏」と呼ばれる世紀のプレイボーイとなっていた。

一方その頃、奈の君は和歌や手習いといった勉強を拒否し続け、すっかり男勝りのお転婆な姫に成長。女官試験を受けて宮中に入ってほしい、という母親の希望をよそに、若君が自分を迎えに来る日を待ち続けていた。

登場人物・キャラクター

奈々 (なな)

中流貴族の娘。妹が1人いる。女官となって宮中に入り、身分の高い殿方に見初められるよう、母君から期待されていた。ところが、5歳のときに、自分を「奈の君」と呼ぶ少年「若君」と出会う。互いに将来を誓い合ったため、女官試験のための勉強をすべてさぼるようになった。男勝りのお転婆な姫に成長し、母君に無理矢理受けさせられた女官試験も、合格する気ゼロで適当にこなす。 しかし、試験官を務めていた源氏の君になぜか気に入られ、世話係として彼の屋敷に住み込みで働くことになった。その際、源氏の君に呼び名を聞かれて「奈々」と名乗り、以後この名で呼ばれるようになった。あるとき、源氏の使いとして訪れた貴族の屋敷で、野盗疾風と出会い、彼に恋するようになる。 一方、源氏の君が、幼い頃に出会った初恋の若君であることが分かり、2人の間で心を痛める。実は、源氏の君と疾風が同一人物であることは、気づいていない。

源氏の君 (げんじのきみ)

帝の皇子。母親は更衣の桐壺。5歳のときに、桐壺の療養先で出会った姫を「奈の君」と呼び、将来を誓い合った。桐壺が早世した後は、帝に引き取られて宮中で育つ。その際、帝より源氏の姓を賜り、皇族から臣下の身分に降った。やがて、光るように美しく、誰からも愛される貴公子に成長。「光源氏」と呼ばれる、名うてのプレイボーイになった。 女官試験を受けに来た奈々のユニークな行動を気に入り、世話係として自分の側に置く。源氏の君は、少しずつ彼女との距離を縮めていく。桐壺から今際の際に授かったお守り袋を、形見としていつも身につけている。これには桐壺の霊が潜んでおり、源氏の君が人々から愛されるように仕向けている。また、このお守りは、世の不条理に対する彼の怒りも抑えている。 お守りを外すと、抑圧されていたもう1つの人格が目覚め、京の都を騒がせる義賊・疾風となる。

疾風 (かぜ)

正体不明の夜盗の頭目。貴族の家を専門に狙う義賊で、京の都を騒がせている。盗んだ金品は貧しい者たちに分け与えてため、庶民の人気者となっている。盗みに入った館で出会った奈々に運命的なものを感じ、彼女との仲を深めていく。その正体は、源氏の君の別人格で、堕落した貴族社会への怒りや、自由を希求する心から生まれたもの。 当初は、自身も己が源氏の君であることに気づいていなかったが、のちに自覚するようになる。

夜叉姫 (やしゃひめ)

源氏の君の乳兄弟。女性ながら検非違使庁長官を任されている。部下の木野鬼面に代わって、自ら疾風捕縛の陣頭指揮に乗り出す。切れ者で剣の腕も立ち、たびたび疾風を追いつめる。その一方で、自分と互角以上に戦う疾風に、少しずつ心惹かれていく。当初から、疾風の正体が源氏の君ではないかと疑っており、やがて2人が同一人物であると確信する。 同時に、自身の恋心も自覚して職務との狭間で苦しむ。

木野 鬼面 (きの おにつら)

検非違使の尉(じょう)。夜叉姫の部下の男性。京の町を見回っていた際、若君を探すため家出をしようとしていた奈々と出会い、彼女に片想いするようになった。その名のとおり、鬼のようないかつい顔をしているが、気は優しく、何かと奈々の気を引こうとする。しかし、まったく相手にされていない。

桐壺 (きりつぼ)

源氏の君の母親。身分の低い更衣の身ながら、帝に見初められて源氏の君を産む。身体が弱く、若くしてこの世を去る。だが、愛する息子への未練から、死後に霊となって源氏の君のお守り袋に潜む。そして、彼への悪意を取り除いて、皆から愛されるように仕向けていた。だが、息子が自分から離れて、誰かのものになることは許せず、源氏の君と深い仲になった女人たちに、次々と害を加える。

紫の宮 (むさらきのみや)

盲目の美少年。桐壺に似た、女人のような顔立ちをしている。先代の帝の皇子だが、母親の身分が低かったため皇族に数えられず、ゆかりの古寺で育てられていた。右大臣の手兵に追われていた疾風と出会い、彼を匿った。これがきっかけで、自分と似た境遇に同情した源氏の君に引き取られる。男だが、源氏の君に恋心を抱く。 その想いを、奈々と源氏の君の間を裂こうとする桐壺の霊に、利用されてしまう。

東宮 (とうぐう)

帝と大后の息子。源氏の君の異母兄。東宮(皇太子)の座にあり、父親である帝が崩御した後、次の帝となる。乳母が庵主をしている尼寺に逗留していたとき、崖から落ちて気絶していた奈々を保護。彼女を気に入り、女御として宮中に迎えようとする。温和な人物であり、源氏の君には、母親のような敵意を持っていない。

(みかど)

源氏の君と東宮の父親。桐壺を深く愛している。彼女が早世した後、まだ若君と呼ばれていた幼い源氏の君を引き取って、忘れ形見として大切に育てた。後継争いを避けるため、「源氏」の姓を与えて臣下の位としたが、母親の桐壺同様に源氏の君を愛している。病で弱っていることもあり、源氏の君には早く身を固めてほしいと願っている。

平賀 言外 (ひらが げんがい)

疾風の手下の男性。疾風からの信頼厚く、彼の右腕というべき存在。疾風の正体は知らされていない。普段は十二単衣のデザイナーで、店を構えるほどの人気を誇る。他の子分たちも、それぞれ表の仕事を持っており、疾風の呼び出しがあると集結する。

須藤 仁麿 (すどうの ひとまろ)

旅の陰陽師の男性。源氏の君に桐壺の霊が取り憑いていることを見抜き、除霊を試みる。しかし、桐壺にまったく歯が立たず敗北。源氏の君の身を案じる奈々に、「この人を救えるのは、彼を心から愛する女性だけ」と告げ、再び桐壺に挑む日を期して、全国修行の旅に出る。

加藤の少将 (かとうのしょうしょう)

「もてる方法おせーて」が口癖の貴族。奈々から源氏の君のお守り袋について聞き出し、女子にもてたいあまりに、源氏の君から無理矢理奪い取ろうとする。だが、お守り袋を奪われた源氏の君が、もう1つの人格である疾風へと変貌するところを目撃。ショックと恐怖から気がふれてしまう。当時の「週刊少女フレンド」の編集者をモデルにしたキャラクター。

大后 (おおきさき)

帝の正室で、東宮の母親。帝の心を奪った桐壺の子・源氏の君を毛嫌いしている。同時に、人気者の源氏の君が、息子の東宮を差し置いて、次の帝に推されるのではないかと恐れており、機会があれば彼を陥れようと狙っている。

菊姫 (きくひめ)

大后の姪で、右大臣の姫君。源氏の君に片想いしている女人の1人。彼の取り巻きの中でもひときわ美しく、教養も申し分ない。そのため、有力な北の方(正室)候補と目されている。奈々の協力を得て源氏の君に接近するが、桐壺の霊に襲われて患ってしまう。

母君 (ははぎみ)

奈々の母親。典型的な教育ママで、奈々を女官にして宮中に入れるため、奈々が幼い頃から和歌、手習い、作法などを習わせていた。本人にやる気がなく困っていたところ、源氏の君から奈々を世話係に、と望まれ大喜びする。ことあるごとに、自分の老後対策をしてほしいと、奈々に泣きついている。何かと口うるさいのは、娘の将来を思っての親心である。

右大臣 (うだいじん)

大后の兄弟で、菊姫の父親。源氏の君への敵愾心はない。むしろ、帝の寵愛を受けている源氏の君に自分の娘を嫁がせれば、関白、太政大臣への道が開けるのでは、と考えている。一方で、京を騒がす夜盗である疾風を苦々しく思っており、飛彈の職人に作らせた黄金の厨子を京に取り寄せた際に疾風を捕え、死刑に処そうとする。

庵主 (あんじゅ)

出家を志した奈々を保護した尼寺の主人。かつて東宮の乳母をしていた女人で、母親同然に慕われている。東宮の意向を受け、奈々を女御として宮中に迎えるためのお膳立てをする。

その他キーワード

お守り袋 (おまもりぶくろ)

桐壺の家に伝わるお守り。桐壺が今際の際に、形見として源氏の君に与えた。桐壺の霊が潜んでいて、源氏の君が人々からもてはやされ、愛されるように仕向けている。また、源氏の君の心のブレーキにもなっている。これを身に着けている間は、宮廷の貴公子、光源氏として振る舞っているが、これを外すと、抑えていたもう1つの心が解き放たれ、夜盗疾風となる。

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