今日も王子が尊いです。

超過疎化が進む島出身の海は、唯一の肉親である祖母が東京の病院に入院したことをきっかけに上京することになった。海が住み込みで働くことになったのは、彼女が大好きなアイドルグループ「RISE」のメンバーが共同生活を送る寮だった。しかし、ファンであることがバレれば即解雇という厳しい条件の中、海は自らの正体を隠しながらRISEのために尽力しつつ、陰で推し活を続けることにした。当初、RISEのメンバーはスキャンダルを恐れて海に警戒心を抱いていたが、彼女の一生懸命な姿勢に次第に心を開いていく。そして、最後まで海を厄介者扱いしていた陽向も、多忙のあまり倒れてしまったことをきっかけに、海と急接近する。海もまた、陽向を推しとしてではなく、一人の男性として意識するようになっていく。

RISEは、東京の大型スタジアムを満員にするほどの超人気アイドルグループ。音楽番組はもちろん、ドラマや映画、バラエティ番組にも引っ張りだこで、多忙な日々を送っている。メンバーの陽向は、ファンから「笑顔の王子」と称される好青年で、グループの中でも特に端正な顔立ちと爽やかな笑顔で人気が高い。しかし、私生活ではクールで無愛想な一面もあり、家政婦の海にも冷たく接することもあるが、その裏には真面目で努力家としての一面を隠し持っている。メンバーの一人、偉月は、憂いを帯びたセクシーなビジュアル担当で、人懐っこく、小悪魔的な魅力で周囲を翻弄している。もう一人のメンバー、風舞は、柔らかな雰囲気を持つ癒し系担当で、ふだんは穏やかで優しいが、天然ボケながらも核心を突く発言をすることがある。そんな個性豊かな推したちに囲まれ、海の刺激的で落ち着かない毎日が始まる。

二人の恋を阻む最大の障壁は、一般人と国民的アイドルという立場の違いにある。女性といっしょにいるだけで週刊誌にスクープされる日常を送る陽向は、つねに世間の目に晒され、息苦しい毎日を過ごしている。しかし、そんな彼も海のことになると理性を失い、衝動的な行動をとってしまう。念願の大河ドラマの主演が決まった矢先、海とのツーショット写真をファンに撮影され、SNSで拡散されるなど、苦労は絶えない。スキャンダルと隣り合わせの緊張感の中で、二人は世間の目を避けるように、ひっそりと愛を育んでいく。