俺様ティーチャー

俺様ティーチャー

編入先の高校で、不良撲滅を目指す風紀部に入部させられた元番長の少女・黒崎真冬の戦いを描く、ヤンキー高校生による学園バトルコメディ。「花とゆめ」2007年15号から連載の作品で、椿いずみの代表作。

正式名称
俺様ティーチャー
ふりがな
おれさまてぃーちゃー
作者
ジャンル
学園
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世界観

「不良」が題材となった作品で、風光明媚な山奥に存在する緑ヶ丘学園を舞台に、学園の権利を賭けた佐伯鷹臣による一世一大の勝負が描かれる。登場人物の多くは主人公である黒崎真冬をはじめ不良で、緑ヶ丘学園も治安の悪化によって不良が多くなり、入学志願者数が激減の一途を辿る学校である。学園を潰そうとするのは生徒会の人間達であり、真冬ら不良の人間達で構成された風紀部が学園を守るために奔走する形式となっている。不良達を取りまとめる存在である「番長」がカリスマ性を持つ個性的なキャラクターや立ち位置で描かれ、真冬も埼玉を統一した元番長という設定となっている。不良達の送るコミカルで楽しげな日常を描くと共に、彼らの抱える心の弱さや葛藤を真冬達が事件の中で解決していくのが物語の大きな魅力となっている。また、社会にうまく適応できなかった「心の弱い人間」が多く登場するのも本作の特徴であり、そうした人々が心の葛藤を乗り越えていく「成長の物語」が作品を通して、一つのテーマとなっている。

作品誕生のいきさつ

本作『俺様ティーチャー』ができあがるまでの経緯が、コミックス第1巻におまけ漫画として収録されている。当初は黒崎真冬早坂香が主人公の妖怪ものとして企画され、佐伯鷹臣が脇役の生徒として登場する予定だったが、その案は通らず、作者の椿いずみが小中高と一通りの教員免許を持っている事から、教師ものの企画がスタートする事となった。いじめを主題にした暗い漫画や、ハムスター先生である鷹臣が登場する不思議ストーリーなどの紆余曲折を経て、シンプルな現在の形に落ち着いた。また『俺様ティーチャー』というタイトルは、椿いずみの担当編集者が決めたもの。椿いずみが提案した数々の候補が全没になった末に担当編集者が提案したタイトルであり、これが不本意だった椿いずみとしては、4時間粘ったが最終的には押し切られたと語っている。本来は「俺様」の部分もカタカナで「オレサマ」だったが、その部分だけはどうしても譲れず、交渉の末に漢字に変更された。

あらすじ

風紀部編・風紀部入部(第1巻~第2巻)

埼玉統一を果たした女番長である黒崎真冬は、喧嘩が原因で警察に捕まり高校を退学となってしまう。どんな生徒でも編入できるという緑ヶ丘学園に編入する事となった真冬は心機一転、普通の女の子として学園生活をやり直す事を決める。しかし担任の教師として現れたのは、真冬を不良として育て上げた初恋の幼なじみ佐伯鷹臣だった。アパートの部屋までとなり合わせだった彼の影に怯えながら、初めてできた友達でクラスメイトの早坂香と交流を深める真冬だったが、彼は方々に喧嘩を売って回る不良だった。ある日、七人を相手に喧嘩をする事となった香を助けるため、真冬は兎の仮面をかぶり「ウサちゃんマン」となって彼を救い出す羽目になる。喧嘩の世界に舞い戻ってしまった事を嘆く真冬だったが、翌日、様子のおかしい鷹臣の手によって彼の設立した風紀部という部活に入部させられてしまう。部の目的は鷹臣が理事長と交わした賭けに勝つため、不良と戦い、学園の治安をよくするというもの。それは真冬の望む学校生活とは、正反対の内容だった。

風紀部編・埼玉帰省(第3巻)

初めての一人暮らしで、日々の食事を作るのに早々と飽きてしまった黒崎真冬は、土日の休日を利用して埼玉の実家へと帰省する事にする。久々の地元をぶらついていたところ、女の子が不良の集団に襲われているのを発見し、反射的に助けてしまう。だが、それは真冬が所属していた東校と対立する西校の番長・桜田旭による罠だった。囚われた真冬は監禁先の廃墟で、かつての子分であり現東校の番長・寒川航平と元No.3の舞苑誘人に、同じ囚われの身として再会する。三人で協力し、囚われの身を脱した真冬だったが、この数時間後に西校と東校の上下を決める戦いが行われる事を知ってしまう。仲間として参加しようとする真冬だったが、かつての子分である寒川と舞苑の二人ににべもなく参加を拒絶されてしまうのだった。

風紀部編・対用心棒部(第4巻)

ある日、生徒会からの指示で、活動内容の似ている風紀部用心棒部のどちらかを廃部、または吸収合併するという知らせが出された。顧問である佐伯鷹臣の命令で黒崎真冬は、番長・桶川恭太郎と戦った際に扮した男装姿の「夏男」となって、早坂香と共に、用心棒部と戦う羽目になってしまう。しかし、喧嘩を正当化したい人間の集まりである用心棒部は、正攻法ではなく相手が一人でいるところを多人数で狙う卑劣な集団だった。襲われては勝てそうにない香を鍛え上げる事に決めた真冬は、早速受け身から教えるも、香はうまくこなす事ができない。不安を抱えていたある日、真冬は一人でいたところを用心棒部に襲われさらわれてしまう。一方その頃、香もまた真冬を人質に取ったという手紙で用心棒部に呼び出されていたのだった。

風紀部編・対由井忍(第5巻~第6巻)

学校へ登校した黒崎真冬早坂香の下駄箱に、「三百六十度注意」と書かれた謎の巻物が入れられていた。その日から二人を付け狙う忍者の姿を真冬は度々目撃するが、香の行動によって偶然の撃退を重ね、忍者の正体が生徒会由井忍である事が判明する。秘密裏の調査任務に失敗した由井から、決闘を申し込まれる真冬だったが、「真冬」として戦うわけにいかない彼女は、ウサちゃんマンに再び扮して決闘の場に赴く事にする。しかしウサちゃんマンにあこがれる香も、偶然決闘の場に現れてしまい、なし崩し的に二人で本気になった由井を相手にする事になる。予想外に強かった由井を相手に苦戦する真冬達だったが、砂煙を利用して辛くも撃退する事に成功する。忍者・由井を撃退した事で平和な毎日に戻れると安堵する真冬だったが、後日、彼女の前に生徒会を辞めて風紀部の新入部員となった由井が姿を現す。

風紀部編・対佐伯鷹臣(第6巻~第7巻)

由井忍によって暴かれた緑ヶ丘学園の違和感は、佐伯鷹臣が交わした賭けの内容に通じていた。鷹臣を問い詰めた真冬は、彼が自分達にウソをついていた事を直感的に見破る。だが、問い詰めようとしたところ、鷹臣から示されたのは拒絶と退部の勧告だった。怒りの余り真冬は、胸に秘めていた「普通の女の子」として過ごしたかったという願いを声高に叫んでしまう。偶然、その言葉を早坂香にも聞かれてしまい、翌日にはみんながみんな、よそよそしい態度で過ごす日々が始まった。当初こそ普通の女子グループに混ざって女の子らしい生活を満喫する真冬だったが、他人のように振る舞う香や鷹臣の態度に我慢ならなくなり、「普通の女の子」ではなく不良側の人間として過ごす事を決意する。そして、再び鷹臣と対面した真冬は、負けたらすべてを忘れて過ごす事を条件に、すべての真実を語る事を賭けた「鬼ごっこ」勝負を挑むのだった。

生徒会編・対高坂俊太郎(第8巻~第9巻)

中止になっていた文化祭が復活するという事で盛り上がりを見せる緑ヶ丘学園だったが、その背後で、再び文化祭を中止に追い込もうとする不穏な動きが見え隠れしていた。夏男に扮して準備に明け暮れる学校を見回っていた黒崎真冬は、午後5時に一人で廊下を歩いていると神隠しに遭う、という噂を耳にし、調査を始める。自ら囮になって神隠しに遭った真冬は、その正体が、1年2組による女装メイド喫茶の訓練のために客をさらっていたのだと突き止める。そして、自らがメイド喫茶のイロハを叩き込む事で、それ以上の犠牲者が出るのを防ぐが、文化祭の当日、元番長である桶川恭太郎によって裏で進行していた乱闘を引き起こす計画の存在を知らされる。それは隣校である黄山高校の生徒に喧嘩を売る事で敵愾心を煽り、文化祭を襲わせるという、かつての事件をなぞるものだった。桶川と共に真冬は文化祭を成功裏に終わらせるため奔走する。

生徒会編・対北条若菜(第10巻)

緑ヶ丘学園では毎年恒例の生徒会による各部活に対する「監査」が始まろうとしていた。部活の乱立を防ぐため活動内容を調べ上げ、不適当な部活は廃部とする。明確な活動実績のない風紀部にとって、それは迫りつつある廃部の危機にほかならなかった。真っ当な監査の突破を早々にあきらめた顧問の佐伯鷹臣は、次善策である許可印の奪取という方法を選択する。かくして黒崎真冬由井忍は、許可印を手に入れるため生徒会の監査代表を狙う事となる。だが、監査代表に就いた北条若菜はつねに周囲を護衛に囲まれ、自身も竹刀を持ち歩いた隙のない態勢で監査の日々を過ごしていた。若菜と中学1年からの付き合いである由井と共に、許可印奪取作戦を遂行するも、失敗ばかりが重なっていく。しかし由井を相手取った若菜の反応から、真冬は一つの可能性に思い当たってしまう。それは、若菜が由井に思いを寄せているのではないか、という疑惑であった。

生徒会編・対綾部麗人(第11巻~第12巻)

生徒会に嫌々ながら所属させられていた綾部麗人は、生徒会から解放されるため、生徒会長である花房雅の示した方針に従い風紀部を潰すために動き始める。一方の黒崎真冬もまた、生徒会を嫌がっていたはずの綾部が何故、生徒会に所属する事になったのかと彼自身へ興味を抱いていた。そんなある日、手紙によって綾部本人から呼び出された真冬は旧校舎で戦いを挑まれる。最初は優位に戦いを進めていた真冬だったが、突然動きの鋭くなった彼を前に為す術もなく敗北を喫してしまう。負けてしまったショックから綾部を極端に恐れるようになった真冬だったが、佐伯鷹臣に発破を掛けられる事で心機を改め、もっと強くなりたいと願うようになる。強くなるために真っ先に真冬が手を付けたのは、自身に勝った綾部について、徹底的に調べ上げる事だった。

生徒会編・対野々口歌音(第13巻~第14巻)

新たに風紀部を潰すため動き始めた生徒会役員は、男性嫌いの少女・野々口歌音だった。その頃、黒崎真冬達は歌音が所属する女性のみで構成されるクラス、通称「女クラ」が文化祭で恨みを買った黄山高校の人間に狙われているという噂を耳にする。夏男に扮した真冬と情報通の渋谷亜希は、調査のため街へ降りて来ていたところを路地裏で待ち伏せていた歌音による襲撃を受け、拘束されてしまう。歌音による周到な罠だったと気づく真冬だったが、偶然通りかかった本物の黄山高校の生徒に、「女クラ」の生徒が絡まれてしまう。歌音は黄山高校の人間を過剰に煽り立てながら「女クラ」の生徒をかばいに入るが、男性恐怖症が災いし、動きを止めてしまう。さらに男の集団に襲い掛かられそうになるが、そんな彼女を救ったのは、拘束されたまま歌音を追いかけて来ていた、夏男に扮した真冬だった。なし崩し的にそのまま帰る事を許された真冬と渋谷は、今回の一件から、事件が大事になっていく予感をひしひしと感じ取っていたのだった。

生徒会編・対雪岡小鞠(第15巻~第16巻)

黒崎真冬達が修学旅行へ旅立っているあいだ、緑ヶ丘学園では生徒会役員の雪岡小鞠が動き始めていた。彼女の目的は、風紀部の2年生がいない隙に、学校に残された部員・渋谷亜希を色仕掛けで引き込み、生徒会に加える事。喋る事のできない小鞠は自分の庇護欲を誘う容姿が、他人を誘導できる事を自覚していた。女子に囲まれている渋谷の集まりに加わり、さっそく誘惑を始める小鞠。しかし一方の渋谷は、彼女に対して恐怖と苛立ちを感じ始めていた。女性の心の機微に聡い渋谷は、ほとんどの女性の気持ちをうっすらと感じ取る事ができる。だが無口であるが故に、自分の欲求を伝えるのに長けた小鞠からは、彼女のわかりやすすぎる要望以外の気持ちを読み取る事ができずにいたのだ。彼女の目的もわからぬまま、なし崩し的に生徒会室へ連れ去られようとした渋谷は咄嗟に、渡り廊下を歩いていた桶川恭太郎に声を掛ける事で難を逃れる。しかし、小鞠の渋谷に対するアプローチはまだ始まったばかりだった。

生徒会編・対由井忍(第16巻~第17巻)

風紀部は未曾有の危機に陥っていた。部員達に届けられた脅迫の手紙によって、桶川恭太郎をはじめ、渋谷亜希由井忍らが立て続けに退部届を提出したのだ。監査の日が近づきつつある今、このままでは生徒会に復帰した由井の監査によって風紀部が潰されてしまう。事態を打開するために行動を始める黒崎真冬だったが、彼女のもとにも脅迫の手紙は届けられていた。大切な物を預かったという言葉に慌てて真冬が確認すると、ウサちゃんマンと夏男に変装するために使用していた仮面とカツラが失われていた。出張から帰って来た佐伯鷹臣は状況を把握すると、これ以上の退部者を出さないため、唯一手紙を送られていない早坂香と真冬に一日中張りつくと宣言する。三人で行動を共にする日々が続いたある日、忘れ物をしたという香のために第二資料室へ向かうと、三人が室内に入ったところで突然ドアが施錠されてしまう。資料室に閉じ込められた三人は、このあとに開かれる、退部届の取り扱いを決める職員会議に思い至る。会議の時間が迫る中、面々は鷹臣を出席させるため、この部屋を出る方法を考え始めるのだった。

生徒会編・対百地瑠奈(第18巻~第20巻)

夏休み明け、早坂香生徒会から百地瑠奈が抜けていたという話を聞いた黒崎真冬は早速調査を始める。綾部麗人に事情を尋ねた真冬は、百地が受験勉強のために生徒会を抜けたと言う答えを得る。突然敵が減った事に釈然としない思いを抱える香と真冬だったが、そんな彼らの前に当事者である百地本人が現れ、突如、「あの子達を解放してあげて」と頭を下げる。混乱した二人に百地から語られたのは、花房雅が好きだったという彼女の赤裸々な思いだった。傍にいたくて生徒会に入ったものの、彼は後輩を巻き込んで賭け事をするほどに歪んでいた。しかし、どうしても嫌いになる事ができなかったと語る百地を前に、いたたまれなくなった二人は差し出された紅茶を飲む事で場をごまかそうとする。だが、紅茶を飲んでから暫くすると二人はソファーの上で眠りに落ちてしまうのだった。数日後、香は己の身に異変が生じているのに気がつく。他人の語る過去と自分の記憶が一致しなくなっていたのだ。混乱した香は桶川恭太郎に、自分達が初めて出会ったのはいつかと問いかけるのだった。

生徒会編・対花房雅(第21巻~第22巻)

冬休みが明けて早々、生徒会に衝撃が走っていた。生徒会長の花房雅が階段から転げ落ち、手首と足の骨にひびが入ってしまったのだ。痛々しい雅に変わり北条若菜を代理の生徒会長として活動を始める生徒会だったが、今度は高坂俊太郎の教本がごっそりと失われる事件が起こる。綾部麗人もギターケースごと掃除用具を奪い去られ、被害は拡大の一途を辿る。同時期、学園には兎の仮面をかぶった奇妙な生徒を見かけたという噂が広範囲に広がっていた。ギターケースを奪われた綾部も目撃しており、俊太郎も見かけていたその人物は、風紀部黒崎真冬早坂香にとって見慣れたウサちゃんマンそっくりだった。そんな偽物のウサちゃんマンが緑ヶ丘学園を騒がせる中、真冬達と生徒会の役員達は渦中の人物を捕まえようと学園中を奔走し始める。

3年生編(第23巻~第25巻)

花房雅桶川恭太郎達も無事卒業し、3年生となった黒崎真冬早坂香は新学期早々、緑ヶ丘学園の新入生に美少女がいるという噂を渋谷亜希に知らされる。由井忍を呼びに行くと告げた男子二人に放置された真冬は、現れた佐伯鷹臣によって藪に放り込まれると、道を歩いて来る一人の少女を目にする。彼女の名は花房藤子。卒業した前生徒会長「花房雅」の実の妹だった。彼女の存在に学園中がざわめく中、担任となった鷹臣は彼女に1週間、べったりと張りつかれてしまう。そして、学級委員に立候補した彼女を伴い荷物を運び込んだ資料室で、鷹臣は藤子の真意を知らされる。それは、今までの行動のすべてが鷹臣と自分が恋人であるという噂を学園中に広め、彼をクビにするという、藤子の謀略のためにあったというものだった。廊下を歩いていたところ、偶然、立ち尽くす鷹臣に出会った真冬は彼から、自分がいないあいだ、緑ヶ丘学園を守ってくれと頼まれる。鷹臣の様子を訝しむ真冬だが、彼女が言葉の意味を知る間もなく、翌日鷹臣は教職を辞め、学園から消え去っていたのだった。

メディアミックス

ドラマCD

掲載誌である「花とゆめ」の全員応募企画や雑誌付録、ドラマCD付きの限定版単行本の発売などで、五度のドラマCD化が行われている。第1弾『ウキウキ♥ドラマCD』は「花とゆめ」2009年3号、4号と「ザ 花とゆめ」2009年2月1日増刊号の応募者全員サービスとして制作された。第2弾『緑ヶ丘高校プレゼンツドラマCD』は「花とゆめ4号連続ふろくディスク企画」の一つとして、「花とゆめ」2012年19号の付録となっている。第3弾『真冬里帰りリターンズ!』は「花とゆめ」2013年5号の付録。第4弾『冬だけど夏のお話スペシャル』は「花とゆめ」2015年15号の付録。第5弾は連載10周年を記念してサイドAとサイドB、2本のドラマCDが製作されており、それぞれ『10thアニバーサリーDISC サイドA』が単行本24巻のドラマCD付初回限定版として。『10アニバーサリーDISC サイドB』が4号連続ドラマCDふろくの第1弾として「花とゆめ」2017年16号の付録となっている。各ドラマCDでキャストの変更はなく、主人公の黒崎真冬役を喜多村英梨、早坂香役を水島大宙、佐伯鷹臣役を成田剣が務めている。

登場人物・キャラクター

黒崎 真冬 (くろさき まふゆ)

緑ヶ丘学園に編入して来た女子高校生。クラスは1年から3年まで1組。誕生日は12月21日。血液型はO型で、身長は155センチの一人っ子である。埼玉で東校の不良を束ねる番長として鳴らしていたが、1か月前に起こした喧嘩騒ぎが原因で警察に捕まり、退学となったため、緑ヶ丘学園へ編入して来た。編入を機に普通の女子高生としてやり直そうと考えていたが、担任教師で昔となりに住んでいた不良の佐伯鷹臣の野望に巻き込まれ、学園の権利を賭けた勝負の手駒として、クラスでとなりの席だった早坂香ともども風紀部に入部させられてしまう。 がさつな日常を送って来たため、アクセサリーの好みをはじめ、節々に女の子らしからぬ趣味や行動が滲む。元番長だった事を緑ヶ丘学園の生徒に隠しているため、ウサちゃんマンという兎の被り物をかぶった謎のヒーローとして活動しているほか、「夏男」という男性に扮して学園の番長である桶川恭太郎を倒し、現番長の座を継いだりと度々身分を隠して活動している。 また、伝書鳩を助けた事をきっかけに、飼い主の「イチゴラブ」という人物と、「スノウ」という偽名で文通を行っている。

佐伯 鷹臣 (さえき たかおみ)

緑ヶ丘学園で数学教諭を務める男性。年齢は22歳。黒崎真冬のとなりの家に住んでいた幼なじみで、埼玉を統一した過去を持つ元番長。真冬らのクラスである1年1組の担任でもある。母親の再婚で苗字が変わっており、旧姓は「五条鷹臣」。緑ヶ丘学園の前理事長の孫で、祖父が花房俊雄に騙され、学園の経営権を失ったと聞き、教師を志した。 咄嗟の機転で土地の権利書を守った鷹臣は俊雄に権利書を賭けた勝負を持ち掛け、3年で入学志願者数を倍にできたら祖父から奪い取った学園の経営権を返して貰うという取り決めを交わしている。賭けに勝利するため、手駒として風紀部を創設した張本人であり、偶然入学して来た真冬を巻き込み、学園のために奔走している。 しかし順調に入学志願者数を増やしていた矢先、現理事長の娘で花房雅の妹である花房藤子の謀略により、藤子と恋人関係にあるという不祥事をねつ造されそうになり教師を辞任している。

早坂 香 (はやさか かおり)

緑ヶ丘学園に通う男子高校生。クラスは1年から3年まで1組で、黒崎真冬が編入した当初から、座席もずっととなり。誕生日は4月16日で、血液型はA型、身長は175センチ。父親は早坂香一で、早坂美咲と早坂百合花という二人の義理の姉がいる。まじめで優等生ながら日夜喧嘩に明け暮れる不良で、髪の色は金髪。 真冬に巻き込まれる形で風紀部に入部し、対立している生徒会との騒動の数々を仲間達と解決に導いた。どこか天然なところがある鈍感な人間と周囲から認識されていたが、実は幼い頃に母親であるリディアを亡くした事をうまく受け止められなかったために、記憶と認識に障害を持っている。症状は安定していたが、百地瑠奈の催眠術によって悪化し、緑ヶ丘学園での記憶を失った事で喧嘩に明け暮れてしまう。 結果、学園から停学処分を受け実家へ引き籠もったが、押しかけて来た風紀部の面々の尽力で母親の死と再び向き合い、トラウマを乗り越えると同時、記憶を取り戻す事に成功する。名前を嫌っていたため名字以外を黒崎真冬らにも明らかにしていなかったが、本名は「早坂アメリア香」。 また瑠奈とは、昔遊んだ幼なじみの関係にある。

桶川 恭太郎 (おけがわ きょうたろう)

緑ヶ丘学園に通う男子高校生で、黒崎真冬達よりも2学年上にあたる。誕生日は5月15日で、血液型はA型。身長は186センチで、家族は両親のほかに成人した二人の兄がいる。旧校舎を根城にしている不良達を取りまとめる番長として君臨していたが、真冬が扮する夏男に負け、番長の座を退いた。不良ながらロマンチストで趣味は伝書鳩を通じた文通。 ほかにも、かわいいもの好きで「ネコマタさん」というマスコットキャラを溺愛しているなど、乙女ちっくな趣味を多く持っている。また、文通の際には「イチゴラブ」というペンネームを使用しており、主に「スノウ」という相手と交流を深めている。ほかにモールス信号が打てる特技があり、同じ特技を持つ真冬との秘密会話に用いられている。 のちに、卒業のかかった追試に部下である河内智広や後藤大吉らの妨害で参加できず留年し、河内らと同学年・同クラスとなった。夏男の正体が真冬であると知る数少ない人物の一人でもある。

由井 忍 (ゆい しのぶ)

緑ヶ丘学園に通う男子高校生。生徒会役員を務めており、生徒会長・花房雅に忠誠を誓っている。黒崎真冬らと同学年で、クラスは1年から3年まで2組。誕生日は12月24日で、血液型はAB型。身長は176センチで、兄弟のいない一人っ子である。趣味で忍術を嗜んでおり、水遁の術から手裏剣投げまで、さまざまな忍術を駆使できる。 生徒会と対立している風紀部を敵対視しており、独断行動で真冬と早坂香を排除しようと動くも失敗。その後は風紀部に入部し、スパイとして活動している。しかし、真冬や香と行動を共にするうちに親しくなり、風紀部と生徒会の対立が進んでいくと板挟みの立場に苦しむようになった。雅と北条若菜とは中学時代からの知り合いで、特に若菜とは同級生のクラスメイトだった。 雅に忍者として仕えていた忍と、実質的な付き人として過ごしていた若菜の二人で親衛隊と呼ばれていた仲だが、互いに互いを意識していないドライな関係にある。しかし、一方で若菜のピンチを人知れず救ったり、わざわざ彼女の好物である「おしるこ缶」を手にいれて謝罪したりと、無意識下で気にしている素振りがある。

渋谷 亜希 (しぶや あき)

緑ヶ丘学園に通う男子高校生。黒崎真冬らの1学年下にあたり、クラスは1年から2年まで2組。誕生日は7月2日で、血液型はO型。身長は180センチで、家族は両親のほかに祖父と三人の姉がいる。女性に囲まれて育ったため女性の心の機微を理解して優しいが、反面、恋愛に発展しそうになると逃げ出す臆病な性格をしている。真冬と同じ埼玉の出身で、不良ではないが寒川航平の中学時代の友人。 女性関係で問題が発生し不良に絡まれてしまった際などに、よく寒川を頼っていた。緑ヶ丘学園に入学してからは寒川に代わる新たな依存先として真冬に目を付け、引き起こした女性問題の責任を擦り付けていた。入学時に真冬の事を尋ねた事がきっかけで雪岡小鞠に一目惚れされて、のちに猛烈なアプローチをされる事となった。 しかし小鞠は、渋谷亜希にとって本心の読み取れない希有な女性であったため、距離感の取り方がわからず渋谷らしからぬ辛辣な態度を取ってしまっていた。騒動を経て小鞠自身の口から発せられた言葉で会話ができるようになると、純粋に好意を寄せられていた事を理解し、以後親しく交流を深めている。

花房 雅 (はなぶさ みやび)

緑ヶ丘学園に通う男子高校生。理事長の息子で、生徒会の会長を務めている。黒崎真冬らの1学年上にあたり、クラスは2年から3年まで3組。キラキラとしたオーラを放つ絶世の美少年で、見た者を魅了して止まないカリスマ性の持ち主。父親である花房俊雄が学園の権利を掛けて佐伯鷹臣と賭けを行っている事を知っており、学園事情にも通じている。 3歳歳の離れた妹の花房藤子とは、両親の教育方針の違いから分けて育てられた複雑な家庭事情があり、母親に引き取られた雅は自由奔放に育てられた。そのため、一般常識に疎い部分があり、力加減を知らないなど浮き世離れした部分が多々ある。一方で心根の優しい人物で、心の弱い生徒達に声を掛けて生徒会役員として取り立てる事で、モラトリアムを与えていた。 弱者を追い詰める性癖の持ち主である百地瑠奈との賭けによって自身は動き出せなかったが、風紀部とのやりとりを通して役員のみんなが成長していくのを温かく見守っていた。由井忍や北条若菜とは中学時代からの友人でお目付役とも言える存在。特に若菜とは彼女の父親が雅の母親の秘書という関係にある。

花房 藤子 (はなぶさ とうこ)

黒崎真冬らが3年生の時に、緑ヶ丘学園に入学して来た女子高校生で、花房雅の実の妹。母親に自由に育てられた雅とは異なり、父親である花房俊雄の手によって英才教育を施されて来た。そのため、雅と同じく見目麗しい外見ながら性格は大きく異なっており、自分の定めた事を一度始めたならば周囲の迷惑を省みず邁進する、果断で容赦のない性格をしている。 佐伯鷹臣と父親のあいだで交わされた賭けの内容を知っており、入学早々、鷹臣と自分の恋愛関係をでっち上げ解雇に追い込もうとした。また、外面のよさを利用して方々へ影響力を広げており、文化祭実行委員の委員長に1年生ながら就任し、影で騒動起こそうと企んでいる。雅の妹という立場であるため、古くから雅と交流のあった由井忍や北条若菜とは面識がある。 しかし、再会した忍を面罵するなど良好な関係とは言いがたい状態にある。

百地 瑠奈 (ももち るな)

緑ヶ丘学園に通う女子高校生で、生徒会役員を務めている。黒崎真冬らの1学年上にあたり、クラスは2年から3年まで3組。他人を哀れむ事で悦に浸る性癖を持った問題児で、数多くの心の弱い生徒を退学に追い込んでいた。しかし、花房雅によってそれらの問題行動が妨害され始めると、今度は弱者を生徒会に所属させる事で守っていた雅に、彼らを風紀部とぶつける事で、誰かが退学するか、自分が我慢できず弱者に手を出しまうか、どちらが先かという賭けを持ち掛けた。 歪んだ性癖が生まれた原因は幼い頃の家庭環境にあり、離婚した事で精神不安定になった母親の、ヒステリーのはけ口となっていた事に起因している。早坂香は、そんな一番ひどい時期に偶然出会った幼なじみであり、彼に「るなお姉さん」と呼ばれるほど親しかった。 だが、香が彼の母親の死によって記憶障害を抱えた事で存在を忘れられると同時に、哀れまれた事で関係は崩壊した。学園で再会した香に催眠術を駆使して暗示を掛け、記憶を再び失わせるなどしたが、最終的にトラウマを乗り越えた香の機転によって目論見を見抜かれた。その際、佐伯鷹臣にこっぴどく哀れまれた事が原因で新たな性癖に目覚めている。

高坂 俊太郎 (こうさか しゅんたろう)

緑ヶ丘学園に通う男子高校生で、生徒会役員を務めている。黒崎真冬らと同学年で、クラスは1年から3年まで3組。誕生日は8月18日で、血液型はA型、身長は174センチ。家族は両親のほか、二人の妹がいる。学業優秀で地頭はいいが、反面行きすぎたマニュアル人間で、少しでもマニュアルから外れるとまともに行動できない欠点がある。 そのため、いつもアクシデントによる失敗を重ねており、周囲の人間より優れているはずなのにうまくできないという、鬱屈した劣等感を抱えている。学園の文化祭が復活した際、生徒会の一員として妨害工作を行い、緑ヶ丘学園の不良である河内智広を傀儡に、黄山高校を巻き込んだ乱闘騒ぎを発生させようとしていた。しかし、予想外の動きを見せた河内の造反により計画は失敗に終わる。 のちに、風紀部との直接対決でことごとく敗れたのをきっかけに自身の殻を破り、マニュアルに囚われていた価値観から徐々に解放されはじめるなど、人間としての成長を遂げた。雪岡小鞠とはクラスメイトで仲がよく、小鞠が与えられるお菓子の管理をしている。また、生徒会では北条若菜と仲がいい。

綾部 麗人 (あやべ れいと)

緑ヶ丘学園に通う男子高校生で、生徒会役員を務めている。黒崎真冬らと同学年で、クラスは1年から3年まで4組。誕生日は9月24日で、血液型はO型、身長は163センチ。トラック運転手の父親に看護師の母親、そして弟三人に妹が二人という八人家族の長男で、仕事で家を離れがちな両親に代わって一家の家事全般を切り盛りして来た。 生来の掃除好きであり、家を清潔に保つ事に誇りを持っていたが、負担も感じており、友人と遊びに出たある日、家の事を弟妹に任せるもいっさい家事をしてくれていなかった事に絶望し、寮生活が可能で奨学金の出る緑ヶ丘学園へ進学した。家を飛び出した事で罪悪感を感じており、潔癖症に近い症状が出るようになったところを花房雅に脅され、なし崩し的に生徒会に所属している。 いつも背負っているギターケースには箒やちりとりといった掃除用具が入っており、発作を抑えながら戦う汚れた空間では真冬すら圧倒する戦闘力を見せる。掃除用具には箒の藤島さんをはじめ、バケツの篠宮という風に各道具に名前を付け愛用している。真冬とは生徒会と風紀部のやりとりを通してなかよくなっており、彼女から「あやべん」と呼ばれている。

野々口 歌音 (ののぐち かのん)

緑ヶ丘学園に通う女子高校生で、生徒会役員を務めている。黒崎真冬らと同学年で、クラスは1年から3年まで5組。誕生日は2月22日で、血液型はA型、身長は156センチ。家族は両親のほかに祖父がいる。実家が武術道場で、祖父によって幼い頃から武道を仕込まれていた。小学生の時に、男子生徒の集団にいじめられた事をきっかけに男性恐怖症となっている。 そのため、女子校に通っていたが祖父の老婆心によって緑ヶ丘学園へ入学させられた。花房雅の手助けや、彼によって創立された女性のみの学級の存在によって、共学ながら学校生活は普通にこなしている。雅への恩返しと個人的な男性への敵愾心から風紀部と対立し、真冬扮する夏男を罠にかけるも、喧嘩っ早い性分が原因で事態が大事になった結果、黄山高校の番長である野上健斗の手によってさらわれてしまう。 その際、夏男の手によって救出された事で男性恐怖症が緩和され、人間的な成長を遂げるきっかけとなった。野上とは小学生の時の幼なじみにあたり、その後、図書館で偶然再会したのをきっかけに交流を深めている。

雪岡 小鞠 (ゆきおか こまり)

緑ヶ丘学園に通う女子高校生で、生徒会役員を務めている。黒崎真冬らと同学年で、クラスは1年から3年まで3組。誕生日は5月5日で、血液型はB型の一人っ子である。小柄な体型と人形のように整った外見から、周囲の人間にいつもちやほやされている。極度に無口でありながら、言葉を使わずに意思を伝える独特のコミュニケーション術に長けており、意思の疎通に困った事はほとんどない。 実は口を開くと方言のきついしゃべり口調をしており、話す内容も趣味であるイケメン観察に根ざしたオッサンのような内容が多い。外見とのイメージが余りにも乖離しているため、幼少時からしゃべらなければかわいいのにと言われた結果、今のように口を開かずともコミュニケーションが取れるようになった。 1学年年下の渋谷亜希に一目惚れしており、風紀部の面々が修学旅行に出かけた隙を突いて猛アプローチを仕掛けた。しかし、コミュニケーション術が裏目に出て女心の機微に聡い渋谷の不興を買い、疎まれる事になる。だが風邪で倒れた渋谷を助けるために声を出した事をきっかけに和解。以後、会話を通しての交流を深めている。

北条 若菜 (ほうじょう わかな)

緑ヶ丘学園に通う女子高校生で、生徒会役員を務めている。黒崎真冬らと同学年で、クラスは1年から3年まで4組。誕生日は10月25日で、血液型はA型、身長は167センチ。家族は両親のほかに弟がいる。生徒会の中で唯一常識人といえる価値観の持ち主で、いつも竹刀を携えている。花房雅とは中学校時代からの付き合いで、父親が雅の母親の秘書をしているつながりから、雅のお目付役として行動を共にしていた。 また、同じく中学校時代から雅を主と仰ぎ、忍者として仕えていた由井忍とはある種の親衛隊として、同僚のような関係にあった。由井が生徒会を抜けて風紀部に入部してからは、彼の役割であった監査代表を継ぎ、部活の監査を行っている。当初は生徒会を裏切った由井と確執があり、人の手を借りないと意固地になっていた事もあって追い詰められていたが、のちに人の手を借りる事を覚え始め、人間としての成長を遂げた。 由井に対しては複雑な感情を抱いており、仲間であると感じると同時に、自分でも気づかぬうちに思いを寄せている。しかし、自分に対して関心を払わない由井に対していらだつ事も多く、恋愛関係とはほど遠い距離感にある。

河内 智広 (かわうち ともひろ)

緑ヶ丘学園に通う男子高校生。黒崎真冬らの1学年上にあたり、クラスは2年から3年まで4組。誕生日は6月2日で、血液型はAB型、身長は173センチ。家族は両親のほかに妹がいる。緑ヶ丘学園の旧校舎を根城にしていた不良のNo.2で、桶川恭太郎の子分。中学時代は髪を金髪に染め上げ不良をやっていたが、高校進学を機に更生を決意して髪を黒色に戻している。 入学して早々に桶川が集団に絡まれながらも圧倒的な強さと存在感で返り討ちにした場面と遭遇し、以後は桶川にあこがれを抱いている。そのため桶川が夏男に負けたのを機に丸くなってしまった事にショックを受けており、自暴自棄になっていたところを高坂俊太郎による文化祭を中止にさせる計画に誘われる。 頭脳派として実質的な黒幕となって活動していたが最後には桶川の手によって計画を阻止され、再び以前の関係性に戻った。しかし、桶川が卒業を掛けた試験を妨害して留年させるなど、ひねくれた愛情の寄せ方をしている。留年後の桶川と同クラスになり、席もとなりになった。同じ子分である後藤大吉とはクラスメイトでもあり、仲がいい。

後藤 大吉 (ごとう だいきち)

緑ヶ丘学園に通う男子高校生。黒崎真冬らの1学年上にあたり、クラスは2年から3年まで4組。誕生日は2月9日で、血液型はO型、身長は169センチ。家族は両親のほかに弟と妹がいる。緑ヶ丘学園の旧校舎を根城にしていた不良のNo.3で、桶川恭太郎の子分。運のよさだけで世の中を渡り歩いて来たほどの強運の持ち主で、試験の出題箇所をはじめ、トラップの配置などありとあらゆる事が彼にとって運のいい方向へ傾く。 不良ではあるが、桶川や河内智広らほどに目立つ存在ではなく、比較的地味な立ち位置をしている。桶川が卒業したあとの番長の座を心配しており、不良としては運がいいだけの自分や、裏切った経験のある河内の下に就く事になる子分達を不憫に思っていた。 桶川を留年させる計画が発覚し、当初は河内とは反対に桶川の卒業を応援していたが、土壇場で裏切り、それが桶川留年の決定打となった。同じ子分である河内とは入学前からの知り合いで、クラスメイトでもあり、仲がいい。また、留年したあとの桶川も同クラスとなった。

野上 健斗 (のがみ けんと)

黄山高校に通う男子高校生で、番長を務めている。野々口歌音と同学年で同じ小学校を出ており、彼女が幼い頃の初恋相手だった。歌音に自分を見てもらおうとして行った悪戯がエスカレートした結果、歌音が男性恐怖症となる事件を起こしてしまい、疎遠になる。歌音が転校した事によって彼女に変な噂が立ったのに激怒し、暴れた事で問題児となり、以後不良として過ごして来た。 中学時代に更生の機会を与えられるも、偶然見かけた歌音が以前とまったく異なる雰囲気の少女となっていたのに絶望し、自分だけが更生するのを拒み続けている。黄山高校へ入学後、内部の混乱をきっかけに番長となる。近隣を騒がしている騒動の中心に歌音がいる事に気がついた際には、番長の力で秘密裏に彼女を守ろうと歌音をさらう。 黒崎真冬が扮する夏男と風紀部の面々の介入で当初の目論見通りには行かなかったものの、再会した歌音に当時の出来事を謝る事に成功し、以後は呪縛から解き放たれる事となった。事件のあとは進学を考えて図書館で勉強していたところを歌音に見つかり、以後は勉強を教えてもらうようになる。

真木 清一郎 (まき せいいちろう)

緑ヶ丘学園の男性教師。黒崎真冬らが3年生の時に赴任して来た新任の教師で、佐伯鷹臣に代わって真冬らのクラス担任となった。人の顔と名前を覚えるのが非常に苦手で、担任であるクラスの生徒の顔をほとんど覚えておらず、金髪の早坂香のようなわかりやすい外見的特徴の人物しか名前が覚えられずにいる。そのひどさは赴任当初から親しくしていた女子生徒の神田時子の事を、ある時を境に完全に忘れ去ってしまうほどで、真冬らにもその異常性を認識されていた。 そのような特徴を持ちながら、真冬とかかわりを持ってからは異様に真冬をかわいがるようになった。実は真冬の地元である埼玉の出身で、西校の不良だった過去があり、7年前に西校で一人の男によって不良が壊滅に追い込まれた事件にかかわっている疑惑がある。 また、幼少時の真冬とは夏祭りで偶然出会っていた事実も発覚した。記憶の中の「トウコ」という少女の影に事あるごとにうなされており、彼女を守らなければいけないという強迫観念に囚われている。

花房 俊雄 (はなぶさ としお)

花房雅と花房藤子の父親で、緑ヶ丘学園の現理事長兼校長を務めている。本職は不動産業を営んでいるが、山の上の広大な敷地にある緑ヶ丘学園の潜在的な価値を目当てに佐伯鷹臣の祖父である先代理事長を騙す形で乗っ取りを謀った。鷹臣の機転によって土地の権利書を手に入れられず、経営権のみを手にしている。学校教育に対して興味がないため、実質放置している状況にあり、杜撰な経営が学校の偏差値や校風の悪化を招いている。 また、一家の長としても真っ当とはいえない人間で、妻と子供の教育方針を巡り対立した結果、雅と藤子を別々の家で、別々の教育方針のもとに育て上げた過去がある。その際には、藤子を自らの教育方針の下で育て、さまざまな英才教育を施した。

桜田 旭 (さくらだ あさひ)

埼玉の西校に通う男子高校生。黒崎真冬らと同学年ながら、西高の番長を務めている。整った顔立ちの人物で、度々女装をする性癖の持ち主。女装時には清楚系の女子に扮装する。女装時の周囲の受けがよく、真冬に男だと気づかれないばかりか、北校へ侵入した際には番長に惚れられていたほどの魅力がある。そのため、女装時の容姿には絶対の自信を持っているのだが、自分の子分や真冬の子分達にはすぐさま見破られてしまう。 しかし、真冬が渋谷亜希とその姉からメイクを施された際には、周囲からの注目度で負けている。番長の割に喧嘩がそれほど強いわけではなく、善良な性格をしている。また、女子が喧嘩をしている際には顔に傷がつく事を心配してしまったりと、フェミニストの一面を見せる事もあった。 周囲からの人望が厚く、不思議と守りたくなる魅力がある。

舞苑 誘人 (まいぞの ゆうと)

埼玉の東校に通う男子高校生。誕生日は11月19日で、血液型はAB型、身長は174センチ。家族は両親のほかに祖父がおり、また、大学生の姉がいる。黒崎真冬より1歳年上だが、かつて彼女の子分だった。真冬が番長をしていた時に東校のNo.3を務めていた人物で、誰かに殴られる事に快楽を覚えるマゾヒスト。そのため、喧嘩をしている理由も誰かにひどい事をされたいためという不埒な理由からである。 真冬にされたひどい仕打ちが忘れられず、現在も彼女を慕っている。南校に通う姫路龍之介とは小学生の頃からの幼なじみで、親友の間柄にある。東校の不良仲間では特に山下匠や大久保寿と親しい。また、真冬に会うために緑ヶ丘学園を訪れた際や、山で道に迷った際など、長期休暇の度に早坂香と交流を深めており、果ては香の家族と遊園地で遊びに行くほどの関係にある。 趣味は小説を書く事と餃子作り。好きなタイプは単純で大らかで善良な人で、苦手なのは人の顔を覚える事。

寒川 航平 (かんがわ こうへい)

埼玉の東校に通う男子中学生。誕生日は12月5日で、血液型はA型、身長は172センチ。黒崎真冬より1歳年下で、かつて真冬の子分だった。真冬が番長をしていた時は東校のNo.2だったが、その後は番長の座を受け継いだ。実直な性格をしており、番長であった真冬に対して、その強さにあこがれると共に異性として思いを寄せている。 真冬が緑ヶ丘学園へ編入してからは、向こうの学園で友人らとなかよくしているという話のを漏れ聞く度にやきもきとした感情を抱いていた。真冬がほかの男となかよくしているだけですぐに嫉妬し、勝負を挑んだり、また自分に気を向かせようと努力するなど涙ぐましい行動がよく見られる。好きな食べ物はハンバーグ、カレー。家族は両親のほか、1歳年下の寒川港という妹がおり、自分の子分にあたる大久保寿に思いを寄せていたが、のちに港のアプローチが功を奏して二人は恋人関係となった。 東校の不良仲間では特に真冬のほか、現No.2である舞苑誘人と仲がいい。また、中学時代にかかわりのあった渋谷亜希とも親しい。のちに、東校へ進学している。

山下 匠 (やました たくみ)

埼玉の東校に通う男子高校生。誕生日は11月22日で、血液型はA型、身長は167センチ。家族は父親、妹、弟がいる。黒崎真冬より1歳年上だが、かつて彼女の子分だった。砂浜で彫像を作れるほどに手先が器用。緑ヶ丘学園へ編入した真冬にクッキーを作ったりと、不良らしからぬ趣味を持っている。一方で、砂浜で作り出した彫像のモチーフがオッサンであったりと男子学生らしいセンスの持ち主でもある。 東校の不良の中では大久保寿や舞苑誘人と仲がいい。好きな食べ物は自分のために作って貰った手料理だが、真冬の手料理だけは嫌い。趣味はアメフト観戦。

大久保 寿 (おおくぼ ことぶき)

埼玉の東校に通う男子高校生。誕生日は3月14日で、血液型はO型、身長は180センチ。家族は両親のほか、歳の離れた弟が一人いる。黒崎真冬より1歳年上だが、かつて彼女の子分だった。異常な不幸体質で、自転車のサドルが大根に変わっているのは序の口で、毎日決まった場所で大量の鳥の糞が降って来たり、道を歩いていると頻繁にバナナの皮で滑ったりする。 寒川航平が忘れた弁当を届けに来た妹の寒川港に東校を案内し、いっしょに兄探しを手伝った事をきっかけに思いを寄せられている。好きなタイプは自分の不運に影響されない人であり、のちに、大久保寿の不幸体質を気に留めない港のアプローチが功を奏してデートを繰り返す仲になる。港とは3歳の年の差があるため、高校生同士でデートをした事はない。 高校卒業後は大学へ進学せず、就職の道を選んだ。不幸体質な事からギャンブルが苦手。趣味は寺めぐりで、好きな食べ物はバター入りの大根の味噌汁。東校の不良仲間では特に舞苑誘人と山下匠と仲がいい。

葵 孝明 (あおい たかあき)

埼玉の北校に通う男子高校生。黒崎真冬らの1歳年上にあたる。北校の番長を務めているが、本人は柔道の県大会への出場を目指しているため、北校の不良達に喧嘩の禁止を指示している。その結果、北校の不良達はスポーツ系の部活に所属する事となり、地域4校の中で最もスポーツの盛んな高校へと変貌を果たした。北校に女装して侵入していた桜田旭に「ごきげんよう」と挨拶された事をきっかけに、男だと気づかずに思いを寄せている。 のちに女装した桜田とデートする機会を手にするが、夏男に扮した黒崎真冬が桜田の彼氏役として参加したり、勘違いした寒川航平が乱入して来たりしたため、失敗に終わっている。

寒川 港 (かんがわ みなと)

埼玉の南校に通う女子中学生で、東校の番長である寒川航平の1歳年下の妹。伸ばした髪を2本のお下げにしている。兄が忘れた弁当を届けに東校へ行った際、学校を案内してくれた大久保寿の事が気にかかっている。不良である兄の航平とは違い普通の女子生徒だが、一方で大久保に貰った大根を背中に斜めがけしたり、庭先に干して眺めていたりと、おかしな行動を取る事がある。 また、大久保を気に入った影響から不良っぽい経歴の人間でなければときめかなくなっている。大久保の不幸体質を見ても必要以上に動じない精神性の持ち主で、猛烈なアプローチのあと、半ば事故ではあるが大久保に告白し、恋人となった。

姫路 龍之介 (ひめじ りゅうのすけ)

埼玉の南校に通う男子高校生で、黒崎真冬より1歳年上。舞苑誘人とは小学生の頃からの幼なじみで、現在でも親友関係にある。オールバックの髪型で眼鏡をかけた、クールで頭がよさそうな風貌で、つっけんどんな話し方をする。しかしメールの文面は、外見の印象とは正反対に砕けた言葉づかいをしており、乙女チックで顔文字を多用するなどギャルっぽい文体で書く。 内心で思っている事をメールやノートなどの文字でなければ表現できないという難儀な性格をしており、誘人だけがその性格を正しく理解していた。

大宮 正義 (おおみや まさよし)

埼玉の西高に通う男子高校生。桜田旭の子分の一人で、パンの買い出し係を務めている。西高の伝統である他校侵入という遊びの覇者とされている。基本的に考え方が打算的で、冷めた性格をしている。その一方で遊びに本気になる負けず嫌いな面があり、西校の番長である桜田と共に北校へ女装し潜入した際には、桜田の方が受けがよかった事に屈辱を覚えていた。 西校のサバイバル部の隊長も務めている。

早坂 香一 (はやさか こういち)

早坂香の父親で、資産家。大きな豪邸に住んでいる。香のほかに早坂美咲と早坂百合花という娘がいるがこの二人は実の娘ではなく、トラック事故により早逝した姉である早坂明子の娘を養女として引き取っている。大学時代に知り合い、のちに結婚したリディアとのあいだに香をもうけているが、お互いの思い込みの激しい性格が災いし、普通の結婚生活を営めなかった過去がある。 体の弱いリディアが本国に帰っていたあいだに、明子と結婚して子供をもうけていたとリディアに誤解されており、その誤解を早く解けなかった事を今でも悔いている。夫婦間の行き違いによって香と親子らしい関係を築けなかった事が、香が母親の死をうまく受け止められず、記憶と認識に障害を持つ原因となってしまったため、香の身をなにかと案じている。

リディア

早坂香の母親で、外国人。大学時代に知り合った早坂香一と恋人関係にあったが、生来の体の弱さから本国で治療する事になり遠距離恋愛をしていた。昼ドラ好きの性格が災いし、香一に内緒で日本を訪れた際に早坂明子の娘を抱いている香一の姿を目撃して勘違い。香一が自分に隠れて他人と結婚したあげく、娘を儲けたと思い込んでしまった。 のちに香一の息子である香を出産し、その知らせを聞いた香一の頼みもあって結婚した。だが自分の事を愛人だと思い込み、香を香一から遠ざけ、女の子の格好で育てていた。のちに、病床に伏していた時に交わした香一との会話で誤解が解け和解するも、夫婦としてのまともな生活を送る間もなくこの世を去ってしまった。しかし、リディアと香一の夫婦間に生じた勘違いは息子である香の心に深いダメージを与えており、母親が死んだ事をうまく受け止められなかった香に記憶と認識の障害として刻まれる事となる。

早坂 明子 (はやさか あきこ)

早坂香一の実の姉。また、早坂香の姉達の実の母親でもある。両親と仲が悪く、勘当同然の身で早坂美咲と早坂百合花という二人の娘を産みシングルマザーとなった人物で、弟である香一に娘を預けながら自身も働いていた。しかしある日、急な仕事で出かけたところトラック事故に巻き込まれ、娘達を置いて早逝する。二人の娘を香一に預けていたところを香一の恋人であるリディアに目撃されており、のちの香一とリディアの夫婦仲に深い陰を落とす勘違いの原因となった。

早坂 美咲 (はやさか みさき)

早坂香の義理の姉。母親である早坂明子をトラック事故で亡くしており、叔父である早坂香一に養女として引き取られた。そのため、香とは本来なら従姉弟の関係にあたる。また、早坂百合花という実の妹がいる。長髪をハーフアップの形に結んだ髪型をしており、しとやかな口調で話す穏やかな性格の人物。弟である香の事を父親や妹と共に溺愛しており、事あるごとに隠し撮りしてはアルバムにひっそりと仕舞い込んでいた。

早坂 百合花 (はやさか ゆりか)

早坂香の義理の姉。母親である早坂明子をトラック事故で亡くしており、叔父である早坂香一に養女として引き取られた。そのため、香とは本来なら従姉弟の関係にあたる。早坂美咲という実の姉がいる。母親似の外見をしているため、どことなく香一に近しい雰囲気をしている。姉と同様、しとやかな口調で話す人物で、美咲の事を「お姉さま」と日頃から呼んでいる。 弟の香を溺愛する姿勢も父親や姉と同様だが、家族写真を撮る際に香に「坊っちゃんぽいから」と半ズボンを履かせようとするなど、姉妹間での趣味性の違いが垣間見える。

茉莉花 (まりか)

佐伯鷹臣と黒崎真冬が出会ったお嬢様。漫画のようにお嬢様然とした口調で話す人物ながら、いじけたら木に登って上から物を投げるなど、おおよそお嬢様の印象からかけ離れた、野性味にあふれた行動を取る。幼い頃から自分付きの執事である三ツ林に好意を抱いており、ストーカーまがいの行為を行い続けて来た。あらゆる手段を用いて三ツ林を自分好みの男に仕立て上げるなどしながら現在に至るまで月日を重ねて来たが、素直になれない性格から自分の気持ちを正直に打ち明ける事ができず、三ツ林の方からアプローチをしてほしいと願うあまり関係を深められずにいる。 ヤキモキとした気持ちを抱いて日々を過ごしていた中、三ツ林が茉莉花の父親のイギリス出張に付き合って長期間日本を離れる事になったため、焦燥感を抱えている。

三ツ林 (みつばやし)

茉莉花の屋敷で働く執事の男性。主人である茉莉花とは彼女が幼少の頃からの付き合いだが、10歳以上の年の差がある。まじめで実直な性格をしており、茉莉花から思いを寄せられている事に気がついているものの、立場や年の差を言い訳に、自分の気持ちを直視できずにいる。そのため、茉莉花の父親がイギリスへ年単位の仕事で出かけるのに帯同する予定でいるが、同時に茉莉花と離ればなれになる寂しさを振り切れておらず、鬱屈した気持ちを抱えていた。 のちに偶然、茉莉花の屋敷で世話になる事になった佐伯鷹臣と黒崎真冬の策略に嵌まり、自身の思いを吐露するはめになり、茉莉花と結ばれる事となった。

柿本 (かきもと)

佐伯鷹臣の大学時代の友人の男性。教育学部だった鷹臣に対して、柿本は経営学部だった。鷹臣が経営学部の授業を取りまくっていた事をきっかけに知り合うも、彼女をことごとく奪われるなど散々な目に遭わされ続けている。そのため、鷹臣に対して劣等感を抱いており、何かにつけて鷹臣より優秀である事を証明しようとする。その一方で、自分が設立した会社に社員として参加しないかと鷹臣を誘うなど、認めている部分もある。 生来のお母さん気質で、料理がうまく、アフターサービスの行き届いた性格をしている。しかし完璧主義者であり過ぎるため、彼女の生活をよくしようとする余り干渉しすぎ、分かれる羽目になっている事に気がついていない。だが、元カノ達には人間として愛されており、一方的に頼られる形ではあるものの現在も付き合いがある。

世田谷 (せたがや)

緑ヶ丘学園の男性教師で、若々しい外見をしている。放課後に下校時間後の見回りをしていた際、風紀部のほかの部員に放置されていた由井忍を発見した。その後も度々、一人だけ部室に放置されている忍を発見しては、彼の身を案じていた。

四津谷 (よつや)

緑ヶ丘学園に通う男子高校生で、男子寮に住んでいる。怪談話が得意で、夏休みに男子寮の男達で集まった際には一人で百物語を語り尽くそうとしていたほどのこだわりがある。また、学校の七不思議にも詳しく、百物語の中にこっそりと混ぜ込んでいた。

有栖川 (ありすがわ)

緑ヶ丘学園に通う男子高校生。黒崎真冬らと同学年で、クラスは1年から3年まで2組。文化祭の際にはクラスの出し物としてメイド喫茶を勝ち取った、2組のメイド達の中心人物であり、ほかのメイド達からは級長と呼ばれている。メイド喫茶のメイドとしてはツンデレメイドの「アリス」と名乗っており、役回りを完璧にこなすために特訓を積み重ねていた。 外見は筋骨逞しく、厳つい相貌も相まって女性らしさとは真逆に位置するメイドとなっている。出し物の対決で有栖川達に敗れた1組の男子がメイド服を着る事を嘆いていたのを見た際には、彼らがズボンを穿いて執事として行動する事を許可し、実のところ自分達がスカートを履ければそれで構わないのだと、本音を吐露していた。

海野 (うみの)

緑ヶ丘学園に通う男子高校生。黒崎真冬らと同学年で、クラスは1年から3年まで2組。文化祭の出し物でメイド喫茶のメイドとして参加していた、筋骨逞しい女装メイドの一人。「どじっこ☆メイド」の「マリン」ちゃんという設定だったが、衣服を上下逆さまに来てしまった事を「ドジ」と称するなどどこかズレた感性をしている。一方でケーキに対する造詣が非常に深く、夏男に扮していた真冬が何気なく尋ねたケーキについて、生み出された経緯から使用されているチーズの説明に至るまで、そらで解説できたほどの知識を持っていた。 のちに夏男の特訓を受ける事でどじっこ☆メイドから知性派メイドへと方針を転向した。

綾部 一華 (あやべ いちか)

綾部麗人の1歳年下の妹。中学生で、ツインテールにした髪をカールに巻き上げた特徴的な髪型をしている。不器用で、自分の髪を自分でコテでカールできず、いつも兄の麗人に髪を巻き上げて貰っていた。麗人が家を出てからは他校の男子生徒をコテ係に任命し、カールが解ける度に呼び出しては巻き上げさせている。

綾部 梅次 (あやべ うめつぐ)

綾部麗人の2歳年下の弟。中学生で、黒崎真冬にヤンキーとしての対応をされてもまったく動じずに会話していたほどマイペースな性格をしている。また、他人のご飯をちゃっかりと奪い取ったり、見ず知らずの人から躊躇なくお菓子を貰うなど欲求に素直な面がある。

綾部 秋三 (あやべ あきみつ)

綾部麗人の7歳年下の弟。「綾部幸四郎」という双子の弟と、いつも行動を共にしている。やんちゃ盛りで、遊んだものを仕舞わず散らかしっぱなしにしては、麗人に叱られてばかりいた。双子同士で感性が近いらしく、どちらが早く世話をして貰えるかといった些細な事から、ごっこ遊びの役柄までいつも喧嘩ばかりしている。また、黒崎真冬が家を訪ねた際には真冬を巻き込んで、いっしょになって喧嘩していた。

綾部 小末 (あやべ こずえ)

綾部麗人の8歳年下の妹。麗人のきょうだいの中では末っ子にあたる。自分達弟妹の不出来から兄の麗人が家を出てしまった事を悔やんでおり、兄がいなくなってから「いい子」であろうと努力を重ね続けて来た。兄の担当であるおつかいを肩代わりし自主的にお手伝いをするけなげな性格をしているが、同時に小学生らしい幼い勘違いを見せる事もあり、テレビでアシカが「いい子」と褒められているのを見て自分もボールを鼻に乗せる芸の練習をするなどしていた。

神田 時子 (かんだ ときこ)

緑ヶ丘学園の女子生徒で学年は2年生。黒崎真冬らの一つ年下にあたる。真木清一郎と仲がよかったが、最近では疎遠になっていた。その後、清一郎が真冬らと親しくしているのを発見したため、真冬に嫉妬している。走っている神田時子に歩きの真冬が簡単に追いつけるくらいに足が遅い。

集団・組織

風紀部 (ふうきぶ)

緑ヶ丘学園に設立された部活で、教師である佐伯鷹臣の発案によって創部された。部活の内容は、鷹臣が理事長である花房俊雄と交わした学校の権利を賭けた賭け事に勝利するための手助けであり、学校の風紀紊乱を取り締まり、学校のイメージを改善する事で入学者数を2倍にする事を目的としている。初期の所属部員は鷹臣の幼なじみである黒崎真冬と、真冬のクラスメイトである早坂香の二人だった。 のちに由井忍、桶川恭太郎、渋谷亜希が入部した。ほかに、真冬の変装であるウサちゃんマンや夏男が部員として所属している事になっている。

用心棒部 (ようじんぼうぶ)

緑ヶ丘学園に存在する部活。学校のいざこざを解決する正義の部活を標榜しているが、実態は喧嘩を正当化したい人間が所属し、好き勝手に暴れている。相手の弱みにつけ込み、集団で一人を襲うなど数多くの問題行為を働いてきていたが、現場を押さえられた事がない。個人的な恨みから、部や学年全体からの恨みなど、学校中の恨みを買っている。 その一方で所属している部員達はさらって来た人間の前でボードゲームを行い、一人だけ仲間はずれにする事で疎外感を与える嫌がらせを行うなど、どこか間の抜けたところのある人物が多い。部長を含め、友人同士で群れる事をよしとしない人間が多かったが、実のところ部員間の仲はいい。

生徒会 (せいとかい)

緑ヶ丘学園の生徒会で、生徒会長は花房雅が務めている。学園の理事長である花房俊雄が佐伯鷹臣と交わした賭けに理事長側として参加しており、鷹臣の実質的な手駒である風紀部と対立している。生徒会役員のほとんどは生徒会長である雅の意向によって集められたメンバーで構成されており、雅の意図によって、学園に対してさまざまな嫌がらせ行為が行われている。 のちに、生徒会の役員達は雅によって集められた心の弱い人間達である事が明らかになり、弱者を追い詰めて退学に追い込む事を性癖としていた百地瑠奈から彼らを守るために存在していた事が明らかとなる。実際には理事長と鷹臣の賭けから離れた立ち位置にあり、雅と瑠奈のあいだで交わされていた約束事に縛られ行動していたに過ぎなかった。 雅と瑠奈が卒業後の生徒会長は北条若菜が継いだ。

場所

緑ヶ丘学園 (みどりがおかがくえん)

田舎の山の上にある私立高校。資産家の子女が通う学校だが、理事長が代わってから校内の治安が悪化しており、それに伴い偏差値も低下した。結果、誰でも即編入ができる高校となったため、他校で問題を起こした不良達が多く通っている。街からはバスで15分の距離にあるため、生徒のほとんどは学生寮で生活している。そのため、街へ出かけるのは休日のみという学生が多い。 元は佐伯鷹臣の祖父が経営していた学園で、風光明媚な土地にある、校風が穏やかな評判のいい学園だったが、恵まれた立地に目をつけた不動産屋の花房俊雄が鷹臣の祖父を騙す形で学園の権利書を手に入れた。しかし鷹臣の咄嗟の機転によって、土地の権利書を含む重要な書類が守られたため買収ができず、結果なし崩し的に俊雄が無気力ながら学園を経営している。 黒崎真冬が編入した年から鷹臣と俊雄によって入学者数を3年以内に倍にできるかという賭けが行われており、勝者には学園の権利のすべてが譲渡される事となっている。

埼玉 (さいたま)

黒崎真冬らの地元。東西南北にそれぞれ特色を持った学校が存在している。四方の学校はそれぞれ、中学校と高校が隣接した作りとなっており、中学校卒業者はそのほとんどが同地区の高校へ進学する。そのため、進学しても所属する地域はほぼ変わらず、学生の所属を表す時には中学・高校の区別なく「東校」や「西校」といった名称がそのまま使われている。 ただし、ほかの地区への進学を拘束するようなものではなく、特に希望があった場合は他地区の学校へ通う事もできる。真冬の母校である東校と桜田旭らが所属する西校はライバル関係にあり、不良達が番長を担ぎ出し日夜喧嘩や闘争に励んでいる。真冬は番長だった頃に、埼玉の不良達を統一する偉業を達成した。また、佐伯鷹臣や真木清一郎らも埼玉が地元であり、彼らの時代にも鷹臣によって埼玉の東西南北すべてが統一されていた過去がある。

黄山高校 (きやまこうこう)

緑ヶ丘学園の近隣に位置する高校。緑ヶ丘学園とは対立関係にあり、3年前に緑ヶ丘学園の文化祭が禁止される事となった乱闘事件にも絡んでいた。河内智広と高坂俊太郎が企てた緑ヶ丘学園文化祭復活阻止の計画に利用された事で、不良達が桶川恭太郎に情けない形で負ける事となった。結果、負けた不良達はグループ内での地位を大きく落とす事となり、大きな混乱が発生したが、その後、新たに入学した1年生を取りまとめた野上健斗が新たな番長の座につく事となる。 緑ヶ丘学園の治安が回復し、不良人気が低下していくに従って不良達の受け皿となりつつある。

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他校侵入 (たこうしんにゅう)

埼玉の西校に伝わる伝統的な遊び。他校に侵入して、あみだくじで指定された任務をこなして来るというもので、その内容は女装して番長に挨拶して来る、バスケットボール部に交じってゴールを決めるなど、無茶ぶりに近いものが多い。西校の不良達はこの遊びを常日頃から繰り返しており、他校に人知れず忍び込んでいる。大宮正義はこのゲームの覇者といわれるほど他校侵入がうまく、番長である桜田旭が女装で北校へ侵入する事態となった際には道案内として同行するほど、他校に通じていた。

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