暗号学園の成り立ち
暗号学園は、来たる世界大戦に備え、暗号解読を得意とする15歳の少女たちが集う軍事学校。GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が、占領下の日本から没収した財産である「M資金」の一部を使って新設された。また、公にはされていないが、学園一の暗号解読者には報奨金が与えられる。時節柄、女子だけが暗号解読に取り組むのは好ましくないという理由で、各クラスに約1名ずつどうでもいい男子が入学させられており、主人公のいろは坂いろはは、そんな男子の一人。新設校なので1年しか存在せず、それぞれ専門学科が異なるA組からF組の6クラスで構成されているが、それとは別に洞ヶ峠凍が所属する存在しないはずのM組がある。
暗号バトルと高度な心理戦
物語の軸となるのは、次から次へと繰り出される暗号の数々。学級リーダーのような存在の、学級兵長選抜といった、学校主催の暗号バトルのほか、ペナルティを課し、生徒同士が行う暗号バトルもある。その種類は、「いろは歌」のようにすべての文字を使った文章「パングラム」や、違う方向から読んでも読み取れる言葉「アンビグラム」を利用したもの、「モールス信号」で綴られた暗号など多種多様。基本的には読者が登場人物同様、暗号に挑戦できるようになっている。また、物語途中からは手札が暗号になっているインディアン・ポーカー「筒抜ポーカー」のように、高度な駆け引きを要する心理戦が行われるようになった。
暗号学園に眠る莫大な暗号資産がターゲット
生徒たちの目的は、暗号学園に眠る500億モルグという莫大な暗号資産の発掘である。そのための「つるはし」となるのが、凍が開発した「眼鏡兵器」。暗号解読を支援するスマートグラス「眼鏡兵器」は、アップデートによってVR仕様となり、M組があるメタバースに侵入可能となる。このメタバースは、いわば「デジタル暗号学園」といったもので、ここに暗号資産が眠っていると推測されている。「眼鏡兵器」をアップデートするための6つのパスワードは、各クラスの学級兵長が保有する。のちに、学級兵長講和会議で話し合いが持たれ、互いのパスワードを賭け、勝者総取りのクラス対抗暗号バトルが開催されることになった。
登場人物・キャラクター
いろは坂 いろは (いろはざか いろは)
暗号学園1年A組1番の男子生徒。11月21日生まれの15歳。A組唯一の男子だが、見た目は女の子にしか見えない。学費も入学試験もなく、ほかにあてもなかったことから何も知らずに暗号学園に入学。暗号に関してはまったくの素人だったが、洞ヶ峠凍にもらった暗号解読を支援する「眼鏡兵器」に助けられ、問題を解いているうちに解読の面白さに目覚める。中学時代はチア部に所属しており、ダンスが得意。またチア部で難民キャンプを慰問した際、自分以外の仲間が野盗になぶり殺しにされた経験を持つ。女の子(のよう)だからという理由で生かされ、救出されるまで野盗のご機嫌をとっていたため、他人の表情を読むのが得意になった。数々の暗号バトルを乗り越え、学級兵長になる。親友の絣縁沙に「いろいろ」というあだ名を付けられた。「いろはのいだよ」が口癖。
洞ヶ峠 凍 (ほらがとうげ こごえ)
暗号学園1年M組0番の生徒。6月7日生まれの15歳。ゴーグルメガネをかけており、アメリカンドッグを食べていることが多い。一人称は「俺」。東洲斎享楽の実家である兵器メーカー「踏襲図(キックアタックプランニング)」の元技術顧問。暗号解読のヒントが見えるスマートグラス「眼鏡兵器」を開発し、クラスメートたちにばらまいている。暗号学園に眠る500億モルグの暗号資産を狙い、暗躍する謎の多い人物。暗号資産で「世界の戦争の半分を停めることができる」といろは坂いろはを仲間にしようとしているが、どこまで本気かはわからない。享楽によれば、凍は戦争を売り買いする「戦争屋」だという。
東洲斎 享楽 (とうしゅうさい きょら)
暗号学園1年A組8番の女子生徒。5月1日生まれの15歳。黒髪お嬢様カットのロングヘアーが特徴。兵器メーカー「踏襲図(キックアタックプランニング)」の跡取り娘で「死の商人」と揶揄されることがある。徐綿菓子、夕方多夕を従えた東洲斎派のリーダーで高飛車なキャラ。暗号解読ではトップクラスの実力を持つ。ある事情から、臀部にまつわるスラングを1日に10回以上言うことを義務付けられている。幼なじみの濃姫家雪には「きょらりん」と呼ばれている。
クレジット
- 原作
書誌情報
暗号学園のいろは 7巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2023-03-03発行、 978-4088834399)
第2巻
(2023-05-02発行、 978-4088835310)
第3巻
(2023-08-04発行、 978-4088835945)
第4巻
(2023-10-04発行、 978-4088836690)
第5巻
(2024-01-04発行、 978-4088837956)
第6巻
(2024-03-04発行、 978-4088838465)
第7巻
(2024-05-02発行、 978-4088840215)