偽書ゲッターロボ ダークネス

偽書ゲッターロボ ダークネス

永井豪と石川賢によるロボット漫画『ゲッターロボ』を原作に、西川秀明独自の作風で生まれ変わった作品。主な登場人物は名前こそ原作と同じだが、設定やキャラクター性はまったく異なったものとなっている。その一方で、西川秀明の『Z MAN』とは、イデアという名前や誕生の経緯など、設定に共通点が見られる。「ヤングアニマル嵐」2009年6号から2012年3号にかけて連載された。その直前には導入エピソードにあたる「偽書ゲッターロボ ダークネス 始動編」も掲載されていたが、本作『偽書ゲッターロボ ダークネス』のコミックスには未収録となっている。

正式名称
偽書ゲッターロボ ダークネス
ふりがな
ぎしょげったーろぼ だーくねす
作画
原作
原作
ジャンル
ロボット
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概要・あらすじ

狂気の科学者・早乙女賢が浅間山麓の大規模爆発事件を引き起こしたことを機に、ゲッター線が日本中に拡散。これにより、日本の国としての機能は崩壊した。それから8年後、ゲッター線を浴びてしまった人間たちは、異形の怪物イデアに成り果て、世界各地で暴虐の限りを尽くしていた。生き残った人々も政府から見捨てられ、ゲッター線照射障害に苦しむ日々を送ることになってしまう。

誰もが希望を失った地獄のような世界の中で、ゲッターロボを駆る3人の少年少女がGETTER(奪還者)としてイデアへの反抗を開始する。

登場人物・キャラクター

(りょう)

ゲッターⅠのメインパイロットを務める少年で、チーム・ゲッターのリーダーでもある。野生児のように荒々しい外見と性格で無鉄砲な行動も目立つが、イデアに真っ向から立ち向かう強靭な精神と勇気を持っている。また両腕が機械化されているために、素手でもイデアを打倒するほどの腕力も併せ持つ。機械の義手はゲッターロボのアンチ・ゲッター線増幅装置と繋がっている他、義手の動きと操縦が連動している。

ハヤト

ゲッターⅡのメインパイロットを務める美青年。クールな性格で、真逆のタイプといえる了とはたびたび衝突している。ゲッターロボの操縦技術はチーム・ゲッターの中でも随一の腕前を誇るが、革命の針の副作用によって暴走状態に陥ってしまうことがあるため、精神安定剤を恒常的に服用している。3年前までは「ハヤトの軍」という反社会派組織を率いていたが、イデアによって仲間を皆殺しにされ、自身も殺されそうになったところを了に助けられて、チーム・ゲッターに加入した。

ムサシ

ゲッターⅢのメインパイロットを務める少女。真面目で心優しい性格の持ち主で、暴走しがちな了たちの行動にいつも振り回されている。しかし残虐な行いを繰り返すイデアに対しては、一切の容赦がない。生身でイデアと渡り合える了やハヤトに比べると白兵戦能力では劣っており、レーザー機銃を駆使して戦う。その出生には秘密が隠されており、早乙女達人だけがその真相を知っている。

早乙女 達人 (さおとめ たつひと)

GETTER(奪還者)の司令官を務める男性。早乙女賢の息子で、早乙女ミチルの兄。良識的な感覚と性格の持ち主で、性格に癖のある面々を見事にまとめ上げている。かつては自身もゲッターⅢのメインパイロットとチーム・ゲッターのリーダーを務めていたが、了やハヤトと違って生身の人間ということもあり、たび重なる戦闘により肉体的に限界を迎えてしまっている。 そのため、ムサシにゲッターⅢを託し、司令官としてサポートに徹するようになった。

敷島 (しきしま)

ゲッターロボの開発者である老齢の男性。世界一の武器や兵器の開発者として知られているが、本人の究極の願いは「自らの開発した兵器で殺されること」という、マッドサイエンティスト。その狂気の度合いは、ハヤトから「メルトダウン級」と評されている。

早乙女 賢 (さおとめ けん)

浅間山麓の爆発事件を起こした元凶で、イデアの誕生に深く関わっている男性。早乙女達人と早乙女ミチルの父親でもある。宇宙に行ってゲッター線の源にたどり着くことを目的としており、その達成に足りないゲッター線を集めるために、強い生命力を持つ人間を集めようとイデアを手駒にしている。

早乙女 ミチル (さおとめ みちる)

イデアの中でも最上級の位にある女性。早乙女賢の娘で、早乙女達人の妹。他のイデアたちからは、「光の御方様」として聖母のごとく崇められている。全身を光に包まれているような容姿をしており、一切表情は見せない。仲間からなぶり殺しにされかけていたアスタルテを助けるなど、性格は慈悲深い。

アバドン

イデアの中でも大幹部にあたる1人。巨大な金属製の肉体を有しており、腹部にはひげ面の男性の顔が付いている。イデアの掟に厳格で、敗者は仲間であれども躊躇なく殺そうとするが、早乙女ミチルの言葉には忠実に従う。

エリゴル

イデアの中でも大幹部にあたる1人。女性のような体つきをした巨大なイデアだが、顔には両目しかなく正確な性別は不明。「死喰い蟲」という小型の怪物を背中から出して、アスタルテをなぶり殺しにしようとした。

バルベリト

イデアの中でも大幹部にあたる1人。体格は普通の人間と同じくらいで、非常に整った顔立ちをしている男性タイプのイデア。半人半馬の騎士のような外見をした、巨大なイデアロボの頭部に常に搭乗している。

ズジ

巨漢の男性型のイデア。人気のない廃墟に女性を拉致し、陵辱と殺戮をして楽しむという下劣な行いをしていた。そこにやって来たチーム・ゲッターと交戦になり、イデアロボと融合するがあっけなく返り討ちに遭ってしまう。

アスタルテ

上級イデアの1人で、人間サイズの女性の姿をしている。色欲に溺れた性格の持ち主で、ほかの上級イデアからはその点を忌み嫌われていた。了が秘めている生命力を狙おうと画策し、自らアスタルティアを駆って戦うが、謎の力を発揮したゲッターⅠの前に敗北。逃げ帰ったことを仲間の上級イデアたちにとがめられ、なぶり殺しにされそうになる。

アベルト

人間サイズのイデアでアバドンの直属の部下。「阿部」という男性を名乗って、ハヤトがかつて率いていた「ハヤトの軍」に潜入していた。この世に存在するあらゆる力を、ゲッター線に比べれば矮小なものであると考えている。

イオナス

上級イデアの1人で、自らを「美しき天才」と称しているが、実際には醜悪な容貌の持ち主。部下のイデアたちに世界各地から女性を集めさせて、気に入った体の各部を繋ぎ合わせて愛玩用の人造人間を作り出していた。

集団・組織

GETTER(奪還者) (げったー)

イデアに対抗する者たちを呼び表す名称だが、公的に編成された組織ではなく、司令官である早乙女達人が集めたメンバーという意味合いが強い。実際にイデアの打倒にあたるのは、ゲッターロボを駆って戦うチーム・ゲッターのメンバーたちとなる。

チーム・ゲッター (ちーむげったー)

GETTER(奪還者)の中でも、イデアと直接戦うメンバーたちを指す。現在のメンバーは了、ハヤト、ムサシの3人。並のイデア相手であれば白兵戦でも引けを取らない戦闘力を持つが、上級イデアが駆るイデアロボを相手にする際には、ゲッターロボに乗って戦う。

イデア

8年前の爆発事件を契機に、突如出現し始めた異形の怪物。残虐かつ凶暴なうえに、人間の欲望から理性を取り除いたような性質まで持つ。各地で人間を捕まえて、自己の快楽を満たすために非道な行いを繰り返している。その正体はゲッター線を浴びた人間の中でも、特に生命力が高い者たちが変わり果てた姿。

その他キーワード

ゲッターロボ

イデアを討ち滅ぼすために、アンチ・ゲッター線をエネルギー源にして敷島が開発した巨大ロボ。イーグル号、ジャガー号、ベアー号という3機の戦闘機の合体する順番によって、ゲッターⅠ、ゲッターⅡ、ゲッターⅢという3つの戦闘形態に変形が可能。イーグル号は了、ジャガー号はハヤト、ベアー号はムサシがパイロットを務めている。

ゲッターⅠ (げったーわん)

ゲッターロボの戦闘形態の1つで、空中戦を得意としている。メインパイロットを務めるのは了。他の二形態がレバー式の操縦であるのに対し、了の機械化した両腕の動きと連動しているのが特徴。了の強い感情にアンチ・ゲッター線が反応すると、漆黒の姿に変容を遂げる。この形態になると、アンチ・ゲッター線を収束した最強の武器である「ゲッタービーム」を腹部から放つことができる。

ゲッターⅡ (げったーつー)

ゲッターロボの戦闘形態の1つで、スピードを活かした戦いを得意とする地上戦用の形態。メインパイロットを務めるのはハヤト。左腕に装着したドリルアームや、右腕から発射する触手型のドリルといった武器を有している。

ゲッターⅢ (げったーすりー)

ゲッターロボの戦闘形態の1つで、海中戦を得意としている。現在のメインパイロットを務めるのはムサシだが、以前は早乙女達人がパイロットだった。竜巻状のエネルギー波を発射する「ゲッタートルネード」が必殺技で、そのためのスクリューが両肩に装備されている。

万能移動要塞ゲットボマー (ばんのういどうようさいげっとぼまー)

GETTER(奪還者)が母艦として運用している、巨大な移動要塞。万能と冠しているだけあって、陸海空すべてを自在に移動することが可能。司令部としての役割を果たすほか、ゲッターロボの格納庫としても機能している。

スカイ・ホエール (すかいほえーる)

GETTER(奪還者)が運用している、鯨の形状をした無人回収艇。ゲッターロボが大破して、チーム・ゲッターが自力での帰還が難しくなってしまった際に出動している。

イデアロボ

幹部クラスのイデアだけに与えられた、戦闘用の巨大ロボ。このイデアロボ自体もイデアの一種で、機械というよりは生物に近い。主に人間大のイデアが、ゲッターロボと交戦する際に使われる。

アスタルティア

アスタルテが搭乗する巨大なイデアロボ。移動時は球状、戦闘時は女性型という変形が可能。少なくとも2機存在していることが、作中で明らかになっている。俊敏な動きを活かした格闘戦を得意とするほか、右腕から放つ光弾や両肩から放つ巨大光線といった武器を持つ。

マヲウ鬼 (まをうき)

アベルトが搭乗する巨大なイデアロボ。自身の体を細胞レベルまで分解し、別の形態に再構成できる能力を持つ。この能力を活かして、ドリルのような弾丸を飛ばしたり、全身を巨大なドリルに変えて突撃するといった攻撃方法でゲッターⅡを追い詰めた。

ラ・ムー (らむー)

イオナスが根城にしている、巨大な魚型のイデアロボ。その大きさは一つの島ほどもあるうえに、全身にミサイルやビームの砲門を多数搭載しており、通常の軍事兵器ではまるで太刀打ちできない。また背面には、イオナスが独自に築き上げた豪華絢爛な宮殿都市がある。

ゲッター線 (げったーせん)

宇宙から飛来した未知なるエネルギー。次世代のエネルギーとして早乙女賢によって真っ当な研究が行われていた。イデアにとっては生命力の源でもある。

アンチ・ゲッター線 (あんちげったーせん)

ゲッターロボのエネルギー源。名前の通り、ゲッター線とは対になる存在。人間の強い感情、特に怒りのような負の感情に反応を示して、力を発揮するという性質がある。ゲッターⅠが漆黒に変容するのは、この性質によるもの。

ゲッター線照射障害 (げったーせんしょうしゃしょうがい)

高濃度のゲッター線を浴びることで、ほかの生物や機械と融合してしまう現象のこと。姿形もイデアのような異形の怪物に変容してしまい、人間としての意志も失われている。

革命の針 (かくめいのはり)

ハヤトの脳に打ち込まれている針。通常は20~30%しか使われることがない人間の脳の機能を、100%発揮させる効果がある。あらゆる身体機能を爆発的に増幅させるが、人間の原始的欲求である破壊衝動も高めてしまう危険な副作用がある。

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