学校はイケメンだらけの逆ハーレム状態
元男子校で最近共学になった虹星学園高等学校に編入した周は、学校でも寮でも女子が自分一人という状況に陥る。2棟続きの男子学生寮のうち、1棟が簡易的な女子寮として部屋が用意されているものの、寮は老朽化して夜になると風の鳴る音が響いて不気味さを増す。一人ぼっちの心細さに耐え兼ねた周は、部屋を出てラウンジの片隅で爆睡してしまう。そこでほかの男子生徒に発見されるものの、廉星のおかげで事なきを得る。そんな中、上級生の訪問に無防備にもパジャマ姿で部屋のドアを開けた周は、上級生から襲われそうになるも、再び廉星に助けられる。こうして、廉星の優しさに安心感を抱くと共に、女子寮に一人で暮らすことに恐怖心を感じるようになった周は、ほかの生徒には秘密で廉星の部屋で生活を始めるようになる。
周と廉星が運命の再会を果たす
周と廉星は、実は小学校4年生の時に出会っている。当時、廉星は政治家の父親のせいで自宅に居場所をなくし、近所の公園で時間を潰すことが日常となっていた。無力な自分に為す術(すべ)もなく従うしかなかった時に、声をかけてくれたのが周だった。その時、周も同級生の男子たちからいじめられており、体中傷だらけの状態だったが、それでも周は自分のお弁当と味噌汁を廉星に渡し、気遣かってくれた。お人好しな周の優しさが嬉しくて、廉星は彼女をいじめから守ってあげると約束するが、間もなく二人の関係が父親にバレてしまい、周はお前にはふさわしくないからと引っ越しを余儀なくされる。こうして周の前から突然姿を消した日から時は流れ、周と廉星は高校2年生で運命の再会を果たすことになり、初恋だった二人の恋が再び動き始める。
父親と息子の確執
廉星の父親は政治家の栄一で、廉星が幼い頃から家庭を顧みない厳格な人物だった。廉星の母親は栄一から辛く当たられる日々に耐え兼ね、廉星を置いて家を出て行ってしまう。自らの地盤を託すつもりである廉星には、自分が認めた女性としか交際を許さず、それに反するものはあらゆる手段で排除しようとしていた。そんな父親から大切な人を守りたい一心で、廉星は再会した周とはできる限り距離を置こうとしていた。しかし、周への気持ちがあふれ出して互いの思いを伝え合うと、廉星は父親に反旗を翻す。そして父親の敷いた道を歩むつもりはないこと、それが許されないのであれば勘当してほしいと父親に伝える。
登場人物・キャラクター
向坂 周 (さきさか しゅう)
高校2年生の女子。年齢は16歳。実家の店が倒産し、学費と寮費が免除になる特待生として虹星学園高等学校に転入してきた。もともと男子に苦手意識があったにもかかわらず、共学になった高校には自分以外の女子は一人もいないという、逆ハーレム状態となってしまう。気丈に振る舞ってはいるが、幼い頃から繊細で傷つきやすい性格で、男子からいじめを受けていたこともある。その頃、よく助けてくれた初恋の男の子「廉くん」に思いを寄せており、今でも思い出のキーホルダーを大切に持ち歩いている。入学後は男子寮の一部に設けられた名ばかりの女子寮で生活を始めるが、心細さでくじけそうになったり、上級生に襲われそうになるものの、その度にクラスメイトの廉星に助けられている。気を許した相手には無防備になりがちで、よく廉星に注意されている。その後、廉星の好意によって寮では彼の部屋で過ごすようになるが、廉星の部屋に出入りしていることを誰にも悟られないように注意深く行動している。そんな廉星の優しさや気遣いを感じ取り、廉星を意識するようになる。急な眠気に襲われ、一度眠ると朝まで目を覚まさない。
司波 廉星 (しば れんせい)
虹星学園高等学校2年生の男子。年齢は16歳。銀髪で両耳にピアスを複数つけるなど派手な見た目をしている。授業をまともに受けることは少ないものの、成績は学年トップの秀才で周囲からは一目置かれている。転入生の周を気にかけており、女子一人で何かと心細い思いをしている周を気遣い、危険な目に遭っていた彼女を助けた。これを機に、安心して寮生活を送れるようにと、自分の部屋に周を寝泊りさせるようになる。実は幼い頃いじめられている周をいつも助けていた「廉くん」本人で、その事実を周には打ち明けていない。時間と共に心を許し、無防備になっていく周に翻弄されることとなる。また、鶏肉やトマトが食べられないなど好き嫌いが激しく、かなりの偏食。しっかりしているように見えて食べるのが面倒だからと、食事は栄養ドリンクで済ませることが多く、友人からは「イヤイヤ期の赤ちゃん」と揶揄(やゆ)されることもある。実は政治家の息子で、父親からは将来政治家になるように教育されており、現在の学校に通うことも寮生活も反対されている。
書誌情報
初恋のつづきは男子寮で 6巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2023-04-26発行、 978-4098721382)
第2巻
(2023-08-25発行、 978-4098721429)
第3巻
(2023-12-26発行、 978-4098724482)
第4巻
(2024-03-26発行、 978-4098725472)
第5巻
(2024-06-26発行、 978-4098725991)
第6巻
(2024-10-24発行、 978-4098727605)