あらすじ
第1巻
牧野つくしが通う超名門高校、英徳学園では、道明寺司、花沢類、西門総二郎、美作あきらという男子四人組が「F4」と呼ばれて絶対的な権力を持っていた。彼らに睨まれて赤札を貼られた生徒は、学園内で居場所がなくなるほどのいじめを受けるため、つくしはひたすら目立たないように、地味に高校生活を過ごそうと考えていた。しかしクラスメイトの真木子をかばい、F4の司にケンカを売ってしまった事で、つくしは赤札を張られ、学園内の全員から無視されたり、ひどい扱いを受け、あげく司から命令された男達に襲われそうになる。すんでのところで類に助けられたつくしは、翌日卑劣な行為をした司に対して顔面に飛び蹴りを喰らわす。つくしは報復を覚悟したが、司はそんなつくしに気の強い姉の道明寺椿を重ね合わせ、興味を抱くようになる。一方のつくしは、そっけない態度を取りながらも自分を助けてくれた類に惹かれていく。司はつくしをお金で懐柔しようとするが、つくしにはねつけられる。学園内でもつくしを見直す空気が広まり、クラスメイトの女子達ともなかよくなれるかに思われたが、実は彼女達は、F4と距離を縮めるつくしを苛(いじ)めて陥れようと企んでいたのだった。
第2巻
クラスメイトの女子から花沢類の思い人、藤堂静の存在を教えられた牧野つくしは、強いショックを受ける。やがてフランスに留学していた静が日本へ戻って類と再会するが、類は静から弟扱いされている事に不満を感じていた。一方、つくしは転校して来た幼なじみの青池和也との再会を喜び、親しくしていたところ、嫉妬に駆られた道明寺司の命令で、和也は学園内でいじめを受けてしまう。つくしは和也をかばった事により学校中からのいじめの標的にされてしまうが、そんなつくしを類がかばい、怒り狂った司は類に対して絶交宣言をする。つくしは汚れた服や顔を洗う手伝いをしてくれた静と親密になる。次の日、熱を出して学校を休んだつくしの家に司がお見舞にやって来る。夏休み、資金の都合で学校が主催するハワイでのサマースクールをあきらめたつくしは、熱海にある和也の別荘に招待される。そんなつくしを追いかけ、司はハワイ行きを取りやめて自前のクルーザーで、F4や大勢の学園の生徒達と共に熱海に現れる。船上パーティーに誘われたつくしは、静の好意で美しく装うが、カップルを作るために演出された暗闇の中でつまづいてしまい、司と唇が触れ合ってしまう。
第3巻
道明寺司とぶつかってキスしてしまった牧野つくしは、ファーストキスを奪われたショックよりも、花沢類の反応を気にしていた。しかし類は藤堂静に告白し、つくしはそれを聞いてショックを受ける。熱海の最後の夜に青池和也と司はイカ釣り対決をし、英徳学園の生徒達と焼きイカパーティーで盛り上がる。そこでつくしは類に、嫌わないでほしいという素直な気持ちを伝える。新学期が始まり、つくしと相思相愛になったと勘違いをしていた司は、つくしのクラスメイトの女子からつくしが類に好意を寄せていると聞いて怒り狂い、その感情を無差別に周囲にぶつける。そして誰もいない学校で、つくしに襲い掛かった司は強引にキスをするが、つくしの涙を見て思いとどまる。つくしは司の行動にショックを受けながらも、心をときめかせる。静に招待されたバースディパーティーに参加したつくしは、見知らぬ美少女の三条桜子がディレクターの中年男性にセクハラされているのを見て、思わずぶっ飛ばしてしまう。そして静はパーティーの最後に、再びフランスへ渡って弁護士を目指すと発表するのだった。
第4巻
藤堂静の電撃発表を聞き、牧野つくしは花沢類を独り占めしたいという欲望を抑える事ができなかった。しかしそんな自分の邪な部分を道明寺司から指摘され、卑怯な自分の心を恥じたつくしは静に土下座をして、類のために日本に残ってほしいと頼みこむ。しかし静は、その申し出を断る。類はつくしの強さに背中を押され、静を追いかけてフランスへ旅立つ。類を見送り、寂しい心を抱えるつくしを、司がデートに誘う。つくしを雪の中で待っていた司は、身体が冷え切ってしまい、高熱を出してしまう。司を介抱しているうちに、二人は少しずつ打ち解けていく。そんな二人の関係は学園内で噂となり、つくしは司の恋人だと認識され、周囲からちやほやされるようになる。そんな中、つくしはクラスメイトの女子達と訪れた夜の店で、類に面差しが似ている外人男性のトーマスと出会い、変な飲み物のせいで正体をなくしてしまう。朝になって意識を取り戻した時には、つくしはホテルの一室でトーマスと同じベッドにいた。
第5巻
トーマスは以前、牧野つくしが藤堂静のバースディパーティーで助けた三条桜子の幼なじみだった。桜子は、おとなしくて清楚なお嬢さまという学校での顔とは別に、夜のディスコでミニスカートで踊りまくり、人の男を奪っても何とも思わない厚顔無恥なもう一つの顔を持っていた。学校内にトーマスとつくしがホテルで過ごしている写真が貼りだされ、驚愕したつくしはトーマスを問い詰めにいく。しかしトーマスは命令されただけで、実際の黒幕は桜子だった。桜子はF4、とりわけ道明寺司に対して恨みを抱いており、つくしを利用して彼に復讐するつもりだったのだ。つくしは酷いいじめを受ける覚悟を持って学校に行くが、司を裏切ったという烙印を押されたつくしへのいじめは、想像を遥かに超えていた。司に対して噓を並べ立てる桜子に対して、つくしは涙ながらに無実を訴えるが、司はつくしの言葉を信じられずに逃げ出してしまう。
第6巻
誤解を解いた道明寺司からハッキリと気持ちを伝えられた牧野つくしは、司のキスを受け入れ、彼への思いをさらに強くしていく。そこへフランスから花沢類が戻って来る。一方、三条桜子はその美貌が整形手術によるもので、元はブスだった事が学園内に知られ、みんなから馬鹿にされるが、つくしにかばわれ、涙を流しながらつくしに謝罪する。久しぶりに会った類は以前と様子が少し変わっており、性格も軽くなっていた。つくしは司から強引に誘われ、F4のメンバー達と共に自家用ジェットで別荘へ出かける。つくしは司と同じ部屋に泊まる事になったが、司に対する自分の気持ちがまだ決められないでいた。しかしそれよりも、類がほかの女の子と親しくする姿に胸を痛める。類がフランスで静と破局して戻って来たという事情を知ったつくしは、傷ついた類を放っておけなかった。司に対する罪悪感を抱えながら、類の事を好きな自分の気持ちを止める事ができず、つくしは類とキスをしてしまう。
第7巻
牧野つくしは、花沢類とキスをしているのを道明寺司に見られてしまい、司を傷つけてしまった事で自身も傷ついていた。類をF4から除外した司は、つくしと顔を合わせても完全に無視をする。つくしは類とデートをするが、緊張し過ぎてしまい、楽しむ事ができずに司と過ごした楽しい時間が脳裏によみがえってしまう。一方、司に以前から思いを寄せている三条桜子は、司を自分に振り向かせる、とつくしに宣戦布告する。桜子は司に、かつてブスだとなじられた事によりトラウマになった事を告げ、仮面を捨てて本心を見せた事で司と少しだけ打ち解ける。そんな二人の様子を見たつくしは、思いがけず寂しい気持ちになっている自分に気づく。そんな時、ひょんな事からアメリカから戻って来たばかりの司の姉、道明寺椿と知り合ったつくしは、強引に家に連れて行かれて、司と顔を合わせる事となる。しかし椿に気に入られたつくしは、椿から司の家庭環境についての思い出話を聞き、司の事を見捨てないでほしいと頼まれる。だが、司はつくしと類を学園内で完全に孤立させ、新しいF4のメンバーに青池和也を加え、つくしと類を学園から追放しようとする。
第8巻
怒りに任せて牧野つくしと花沢類を、英徳学園から追放しようとする道明寺司を道明寺椿がとりなし、退学をかけてバスケットボールで決着をつける事になる。しかし、つくしと類と青池和也のチームは、司と西門総二郎、美作あきらのチームに比べて明らかに実力が劣っていた。試合の前日、司はつくしのもとを訪れ、自分を選べば試合を取り消すと、つくしを強く抱きしめる。しかしつくしは、中途半端に流される事を嫌がり、司の申し出を断って正々堂々と試合に挑む。試合は大方の予想通りに司のチームが大差をつけるが、類はつくしを使って司の動揺を誘い、途中から追い上げていく。だが僅差で、つくしのチームが負けそうになる直前、司が突然試合を放棄してしまう。無事に退学の危機を脱したつくしと類は、椿に招待されて道明寺家で食事をし、そのままベッドルームに閉じ込められてしまう。ドキドキするつくしだったが、類からまだ藤堂静の事が忘れられないという正直な気持ちを打ち明けられ、つくしは傷つきながらも、類の気持ちを理解する。一方、街でひと暴れしてスッキリして戻って来た司は、つくしと類が結ばれたものと信じたまま、朝帰りしていくつくしの姿をそっと見送る。
第9巻
つくしの父がリストラになり、社宅を追い出されてしまう。家計を助けようと新しいアルバイトを探すつくしは、怪しげな男達に騙されて裸の写真を撮られそうになってしまう。危ないところを、偶然そばの出前にやって来た天草清之介に助けられたつくしは、清之介の紹介で新しいアルバイト先を見つける。一方、道明寺司はつくしが類と結ばれたと信じたまま、つくしの事を吹っ切るために、日本を離れてN.Y.に留学する事を決心する。それを聞いたつくしは、ショックと寂しさのあまり涙があふれてしまうが、アルバイト先にやって来た司に対して、憎まれ口を叩いてしまう。N.Y.へ旅立つ直前に、花沢類からつくしとは身体の関係になっていない事を告げられ、司は早計過ぎた事を後悔しながら飛行機に乗り込む。嫌々ながらN.Y.を観光していた司は、巷で売られている雑誌に載っていた清之介を見つけて驚愕する。つくしは同い年ながらアルバイトに精を出す清之介の事を、自分と同じく家が貧しいのだと思い込み、共にお金をかけないながらも楽しい休日を過ごしていた。しかし、そこに突如現れた司から、清之介は実は代議士の息子だという事実を告げられる。
第10巻
3日でN.Y.から戻って来た道明寺司は牧野つくしの家に泊まり、寝ているつくしに思いを込めてキスをする。次の日、登校したつくしのもとに天草清之介が訪ねて来て、自分は代議士の息子である事と、レールを敷かれた人生に嫌気がさして家を出る覚悟である事を告げ、つくしへの思いを伝える。清之介に誘われた政界のパーティーに出席したつくしは、清之介から大勢の前で告白されてしまう。そこに居合わせた司は清之介を殴り、つくしは司と清之介が取り合っている女性としてマスコミにスクープされてしまう。結果的に迷惑をかけてしまった事を詫びた清之介だったが、つくしへの思いを改めて伝える。一方、司はつくしに自分に相応しい肩書をつけようと、つくしを日本一の女子高校生を決めるコンテスト「ティーン・オブ・ジャパン」に出場させる事を計画する。初めは嫌がっていたつくしだったが、つくしの父がサラ金で借りた100万円を競馬で全部すってしまった事により、一家離散の危機に陥った家族を救うために、つくしはコンテストに出場する事を決意する。そして道明寺椿の指導のもと、司の家に居候しながら優勝を目指して特訓を始める。
第11巻
ティーン・オブ・ジャパンの優勝をかけて必死に特訓を重ねる牧野つくしだったが、天草清之介の幼なじみである栗巻あや乃という、すべてを兼ね備えた女性もまた出場すると聞き、自信をなくしてしまう。しかし、逃げ出そうとするつくしに発破をかけ、励ましてくれたのは道明寺司だった。気持ちを新たにしたつくしは、2週間という短い期間であらゆる事を吸収していく。そしてティーン・オブ・ジャパンが開催される。つくしは、第一審査であるファッション部門を奇をてらった着こなしで通過し、第二審査の英会話ではハプニングを運よく切り抜け、あや乃と共に第三審査に進む事になる。あや乃は清之介とは幼なじみの仲で、親同士が決めた婚約者でもあった。しかし、あや乃は本気で清之介を思っており、実は清之介とつくしのスクープを聞き、清之介への思いを伝えるためにアメリカの家を飛び出して来たのだった。第三審査は、つくしとあや乃が大勢の小さな子供達をどちらが楽しませられるかを競うもので、すぐに子供達の心を摑んだあや乃に対し、子供達に馬鹿にされたつくしは出遅れてしまう。
第12巻
子供達は美しく上品な栗巻あや乃に夢中になるが、身体を張って全力で遊んでくれる牧野つくしの魅力に次第に惹きつけられていく。やがてつくしは、子供達全員とあや乃も巻き込んで遊びの輪を広げ、第三審査は終了する。しかし子供達は二人を選ぶ事ができず、審査は無効になってしまう。そして協議の結果、優勝はあや乃に決まるが、つくしは審査員特別賞を獲得し、副賞の30万円を手にするのだった。残りの70万円を返すために、つくしは道明寺司からのデートの誘いを受ける。しかしデート当日、ティーン・オブ・ジャパンの時にいっしょに遊んだ子供の一人「葉山龍介」がつくしを訪ねてやって来る。つくしは独りぼっちのクリスマスを過ごす龍介に同情し、司とのデートに龍介を連れて行く。最初は嫌がりながらも、面倒見のいい優しい一面を見せる司を、つくしは少し見直すが、再びケンカになり、デートは台無しになってしまう。冬休みにつくしは友達の優紀と共に西門総二郎と美作あきらからカナダ旅行に誘われ、司の持つカナダの別荘へ行く事になる。しかし、つくしを目の敵にするクラスメイトの女子達もまた、旅行に同行するのだった。
第13巻
道明寺司の別荘へ到着した牧野つくしらは、さっそくスキーを楽しむ。つくしと司がケンカしながらもなかよくしている姿を見て嫉妬をしたクラスメイトの女子達は、松田優紀が夜のスキーに行ったと噓をつき、つくしを夜の冬山に追い出す。つくしはあてもなく優紀を探しているうちに足をくじき、道に迷ってしまう。そんな中、雪の中で気を失っているつくしを助けたのは司だった。司はつくしを背負って近くの山小屋まで連れて行き、そこで暖を取る。冷え切ったつくしの身体を自分の体温で温めてくれる司に対して、つくしは不思議な感情が芽生える。次の日別荘に戻ったつくしは、自分を罠にはめたクラスメイトの女子達を寛大にも許すが、反省するふりだけの女子達をこらしめようと、噓の幽霊騒ぎで驚かせようとする。しかし予想外の方向からの足音に、本物の幽霊が出たと思った一同はパニックになる。実は足音の正体は藤堂静で、仕事の途中に立ち寄っただけだった。年が明け、つくしは中学のクラス会で織部という男子となかよく話していたが、そこに居合わせた司が織部に暴力を振るい、クラス会をめちゃくちゃにしてしまう。
第14巻
クラス会を台無しにされた事で、牧野つくしは道明寺司に対して大嫌いと言い放つ。次の日、つくしは織部の見舞いに行き、そこで織部順平と出会う。同じ英徳学園に通っているにもかかわらず、まったくその存在に気づかなかった理由は、順平がそのキレイな顔を眼鏡で隠し、地味に学生生活を送っていたからだった。面倒に巻き込まれないために学校では地味に過ごす順平に対して、つくしは興味をそそられる。順平は高校生ながらモデルの仕事をしており、つくしは順平に誘われてスタジオに行き、いっしょに写真を撮る事となる。どこにも掲載しないという約束だったにもかかわらず、その写真は雑誌の表紙になり、学校中に知れ渡ってしまう。その事で司から責められるが、つくしは拒絶の言葉を口にして、放っておいてほしいと言い放つ。司はそんなつくしに対して好きだという気持ちを素直に伝える。しかし司は次の日から姿を消してしまい、つくしの身の回りに相次いで危険な事が起こる。そしてつくしは2度目の赤札を張られ、再び学校中から標的にされる。学園中から攻撃され、追い込まれたつくしを、順平が救いにやって来る。
第15巻
織部順平に助けられたはずの牧野つくしは、古い体育倉庫に閉じ込められてしまう。順平はかつて、幼い頃にかわいがってもらった近所の男性が道明寺司に暴力を振るわれて大ケガを負ったにもかかわらず、事件がお金でもみ消された事を恨んでいた。順平は同じく司に恨みを持つ者達を使って、つくしを囮にして司を呼び出す。一人でやって来た司は、つくしが人質に取られているのを見て、無抵抗のまま殴られてケガを負ってしまう。司とつくしは病院へ担ぎ込まれるが、大事には至らなかった。司の行動に愛を感じつつも、つくしはその気持ちを受け入れる事ができない。そんな中、司のバースディパーティーに招待されたつくしはプレゼントに手作りクッキーを持参するが、パーティーは大規模なもので、司の母親、道明寺楓もN.Y.からパーティーのために戻って来ていた。道明寺椿に借りた服に着替え、お嬢さまのふりをしておとなしくやり過ごそうとしていたつくしは、司から楓に紹介されそうになって、勢い余ってテーブルの上にダイブしてしまう。つくしは楓につまみだされそうになるが、司は楓につくしを大切な女性だと紹介する。
第16巻
牧野つくしが庶民である事を知った道明寺楓は、道明寺司と付き合う事に反対する。すると司はつくしを連れてパーティーを飛び出し、クルーザーに乗って海に出る。そこで司から改めて思いを告げられるが、つくしは未だに司に対する自分の気持ちがわからないでいた。司はつくしが作ったクッキーを手放しで喜び、つくしにキスをする。一方、楓はつくしの素性を調べ上げ、司との仲を引き裂く計画を画策していた。楓はつくしの家を訪れ、つくしと両親の前で、司の将来を傷つけないために5000万円で司から手を引くように交渉する。つくしの母はその要求を拒絶、楓の頭から塩をかけて追い返してしまう。しかし後日、楓から呼び出されたつくしは、同じく楓から強引に連れて来られた司と大河原滋を引き合わされ、二人の婚約が決まった事を告げられる。母親の思惑に抵抗しようとした司は、つくしと間違えて、滋の手を取って逃げてしまう。それにショックを受けたつくしは、次の日学校で事情を話そうとする司に耳を貸そうともしない。そこへ滋が英徳学園にやって来て、自分の周囲にいないタイプである司の事が気に入ったので、自分の婚約者として調教すると宣言する。
第17巻
お嬢さまでありながら無邪気で奔放な性格の大河原滋は、牧野つくしに対して道明寺司との恋の橋渡しを協力してほしいと頼む。勢いに押されて引き受けてしまったつくしは、花沢類と世間話をしながら和やかな時間を過ごしているうちに、類に対する昔のときめきが蘇ってしまう。滋に付き合ってショッピングをしたつくしは、滋に対して親近感を抱きつつも、美しさと司同様の家柄を持っている滋に対して劣等感を抱く。そして、つくしの誤解を解こうとしてやって来た司に対して、滋の方が似合っていると発言し、司をふってしまう。つくしに対する真っ直ぐな恋心を拒絶された司は、大きなショックを受け、滋との仲を前向きに考える事を決める。滋はつくしに司と付き合う事になった事を報告し、たびたびつくしの家に遊びに来る仲となる。滋と司がキスする場面を目撃したつくしはショックを受けるが、類の前では強がって見せる。偶然会った類と二人でお茶をしていると、司と滋に出会い、滋の強引な誘いで四人で別荘へ行く事になってしまう。滋は司に強引に迫るが、司は滋に対して、つくしの事以外誰の事も好きになれないという正直な気持ちを告げる。
第18巻
道明寺司と大河原滋が結ばれたと誤解したままの牧野つくしは、心の中のモヤモヤについて深く考える事を放棄し、別荘から戻って来る。しかし帰宅すると、両親と牧野進はつくしの父の再就職で遠くの漁村に引っ越すという。そんな中、真夜中に滋が訪れ、司とはなにもなかった事を報告する。自分に対する司の一途な思いを知り、つくしは複雑な気持ちになる。滋と司はそれぞれに婚約破棄を求め、それを聞いた道明寺楓はつくしの家に乗り込んで、有無を言わさずにつくしの生活を馬鹿にするが、つくしは恥じる事なく生きていると、楓に対して正面切って言い返す。しかしアルバイト代では家賃と生活費は賄えず、西門総二郎、美作あきら、花沢類から送られて来た高級家具の重みに耐えかねてアパートの床が抜けてしまい、つくしは住むところがなくなってしまう。途方に暮れるつくしを助けてくれたのは、偶然再会した天草清之介だった。清之介から連絡をもらった道明寺椿は、つくしを道明寺家に住まわせようとするが、タダで住むのをよしとしないつくしは、住み込みで働く事を決意する。
第19巻
使用人頭のタマから道明寺家の使用人としてビシビシしごかれる牧野つくしは、道明寺司専用の使用人として司の身の回りの世話をする事になった。司から12時に部屋に来るように命じられたつくしは、天体望遠鏡を見せられる。そして土星を見せた司は、土星をかたどったアクセサリーをつくしにプレゼントする。司はつくしを抱きしめてキスをし、つくしはそれを受け入れるが、それ以上の関係に進む事を拒んでしまう。しかし司は、これまでのようにうやむやにしようとせず、つくしに対して真摯な態度で、付き合ってくれるよう告白する。悩むつくしの気持ちを汲んで、司は2か月間という期間を設け、つくしはそれを受け入れる。二人が付き合い始めた事は学園中にすぐに広まり、つくしは周囲から注目を浴びてしまう。しかし親友の松岡優紀のアドバイスを受け入れ、司からつくしのレベルに合わせてもらうため、Wデートを計画する。司は優紀の彼氏、中塚から無礼な態度を取られても、つくしのために必死で我慢する。しかしつくしへの思いを軽く扱われた事に怒り、中塚を殴ってしまう。
第20巻
道明寺司が中塚を殴ってしまった事でWデートは台無しになり、中塚と松岡優紀の仲も気まずくなってしまう。しかし後日、中塚が優紀を侮辱したうえに、ほかの女の子にちょっかいを出しているところに遭遇し、牧野つくしは中塚を殴り飛ばす。一方、中塚に侮辱され逃げ出した優紀は、偶然会った西門総二郎に家に招かれ、事情を話す。総二郎は優紀を連れて中塚が遊んでいたクラブに乗り込み、中塚の連れていた女の子を自分に惚れさせてから、優紀を本命の女性だと紹介し、中塚の鼻をあかす。これで優紀は中塚の事を完全に吹っ切り、つくしもまた司と仲直りする事に成功する。そんな中、総二郎と優紀のデートを心配したつくしは、司を連れて二人を尾行する。尾行しながらも共にデートコースをまわっているうちに、つくしは司が自分を思ってくれている気持ちに心を打たれる。総二郎と優紀がホテルに入るのを追いかけて、司と共に入ったつくしは、そこが道明寺楓の経営しているホテルであり、そこで楓がN.Y.から戻って来た事を知る。
第21巻
道明寺楓が日本へ戻って来た事を知り、牧野つくしは道明寺家を出て行こうと荷物をまとめていると、ちょうど戻って来た楓とタイミング悪く出くわしてしまう。そんなつくしをかばったのはタマだった。タマは60年間道明寺家で働き、道明寺の父親や楓は仕事の忙しさにかまけて家を空け続け、道明寺司はケンカを繰り返し、家の中がすさんでいくのを見続けて来た。そして、そんな司を変えたつくしの事を高く評価していたのだ。タマの部屋にかくまわれたつくしは、楓からの仕打ちについては司に黙っていた。つくしのために家を出る覚悟をした司だったが、つくしは一方的に守られる事をよしとせず、自分の力で切り抜けようとしていた。しかし楓は、つくしの友達の松岡優紀や青池和也の父親の会社などに圧力をかけて、彼らに害を及ぼそうとする。つくしは優紀や和也を巻き込む事をやめさせる代わりに、楓に対して司とは今後いっさいかかわらないという約束をして、つくしは司に別れを告げる。
第22巻
道明寺司に別れを告げた牧野つくしは、英徳学園に休学届を出し、漁村に住む家族のもとへ向かう。しかし、つくしと司が結ばれて今のどん底の状況から抜け出す事を夢見ている家族には、司と別れた事や英徳学園を休学している事は伝えられなかった。両親は近所の人達に、つくしが大金持ちの御曹司と付き合っている事を触れ回っており、ますます本当の事が言えなくなってしまう。一方、司はつくしを失った事により、以前よりもさらにすさんでしまい、友達の西門総二郎、美作あきら、花沢類に対してさえ心を閉ざし、イライラを募らせていた。その頃、つくしは屋台でアルバイトをしており、アルバイト仲間である吉松松太郎と出会う。彼はまじめに仕事をしようともせず、人の話も聞かないいい加減な性格だったが、ふられた女性の里香を忘れられずにいた。芸術家を志す松太郎を応援するつくしに、漁村の人達から松太郎との仲を疑われ、御曹司の恋人は作り話だと疑われてしまい、両親が作った借金をすぐに返すように迫られる。しかしそこに、たまたまテレビに映っていたつくしを発見した類に連れられた司が現れる。
第23巻
牧野つくしのもとを訪れた道明寺司は、つくしに東京へ戻って来るように勧める。大河原滋の持つマンションに、格安で住ませてもらう事になったつくしと家族は、再びいっしょに暮らし始める。英徳学園に戻っても、司とはかかわらないという約束が心に引っかかっているつくしは、司の姿を見掛けても避けていた。そんなつくしを見かねて、三条桜子は男性グループとの合コンで、つくしを元気づけようとする。しかしやって来た男性は、司にそっくりの顔をしていた。動揺するつくしはその男性に対して司と同じようにそっけなく接してしまい、その男性の気を悪くしてしまう。帰り道、その男性に裏路地に引っ張り込まれ、自分は司の従兄の清永だと名乗るのだった。つくしは清永を振り切りったあと、偶然司に遭遇する。自分を避けずに普通に接してほしいとだけ伝えるつもりだった司は、つくしが合コンに行った事を知り、清永の話を噓だと決めつけ、つくしが返したアクセサリーを川に投げ捨ててしまう。
第24巻
道明寺司が川に放り投げたアクセサリーを取り戻すために、夜の冬の川に飛び込んだ牧野つくしは、清永に助けられる。つくしは40度の高熱を出してしまい、2日間清永の看病を受ける。清永に送られて家に戻ったつくしのもとに、三条桜子や大河原滋に事情を聞いた司が、つくしに酷い態度を取ってしまった事を謝るために訪れる。清永は司に顔を合わせたくないと、窓から飛び降りて帰ってしまう。清永の存在を不審に思った司は、会った事のない従兄について調べようと、タマに詳しい話を聞く。タマと、清永を知る道明寺椿から話を聞いた司は、自分と同じ境遇に生まれながらも、苦労人の清永に対してコンプレックスを抱く。一方、清永について調べていた桜子と滋は、合コンで会ったほかの男性メンバーに接触し、清永について尋ねる。しかしそこでわかったのは、清永は男性メンバー達とは初対面で、金で頼まれてやって来たという事実だった。司と椿は清永に対面するが、本物の清永は太っており、つくし達が清永だと思っている人物は、実は偽物である事が判明する。彼が自分を誘惑するために道明寺楓から雇われたと知ったつくしは、怒りに燃える。
第25巻
ニセ清永の正体は、国沢亜門という大学生だった。憤慨する牧野つくしだったが、N.Y.にいる道明寺楓に対してなにもする事ができず、少しずつ冷静になっていく。亜門から、道明寺司とは住む世界が違う事を諭され、つくしは道明寺椿にだけ司への本当の思いを打ち明け、司との恋をあきらめる事を決意し、周囲の人達にもそのように振る舞う。つくしから拒絶されて荒れる司を見ていられない大河原滋は、司への思いが再燃するが、つくしへの友情を重んじて自分の気持ちを抑え込む。つくしは、意外なところで亜門のよさを知り、司を忘れるために亜門と友達として付き合っていく事を決意するが、亜門から強引に迫られて、心と身体が拒絶している事を自覚してしまう。しかし、親友の松岡優紀の家庭を壊される事だけは避けようと、自分の気持ちを抑えて、少しずつ亜門を好きになろうと努力する。そんな中、司はつくしに対する思いを正面からぶつける覚悟で、亜門とのデートに出かけるつくしの前に立ちはだかる。
第26巻
道明寺司から本気の思いを伝えられた牧野つくしは、国沢亜門と立ち去ろうとしたものの、自分の気持ちに噓をつき通す事はできなかった。司のもとに戻ったつくしは、自分の本心を亜門へ打ち明け、謝罪する。つくしに本気で惹かれ始めていた亜門は、道明寺楓に噓の報告をして、つくしと司の関係を手助けする。つくしと司は付き合う事を決めるが、つくしは楓に再び無理やり引き離される事を恐れて、周囲には内緒で付き合う事を提案する。親友の松岡優紀やF4のメンバーの花沢類、西門総二郎、美作あきらにも打ち明けられない事をもどかしく感じる二人だったが、依然として楓の監視が続けられている状況を亜門から教えられ、やむを得ず納得する。しかし何も知らないF4のメンバーは、二人の仲を取り持とうと、つくしと司を密室に閉じ込めてしまう。二人きりになり、ドキドキが止まらないつくしだったが、司の過去の女性遍歴を聞き、嫉妬の気持ちも手伝って、売り言葉に買い言葉で司とケンカになってしまう。そこへ二人を探すために、楓に雇われたSP達が迫っていた。
第27巻
道明寺司と共にいるところを踏み込まれた牧野つくしは、すんでのところでSPに見つかる前に逃げだす事に成功する。しかし家に帰ると、両親は再びお金がない事で頭を抱えており、また親友の松岡優紀から西門総二郎に対して本気で恋をしてしまった事を打ち明けられる。つくしと司は内緒での付き合いを続けるが、二人の事を心から心配する友達に真実を打ち明けられない事に、つくしは罪悪感を感じていた。そこでつくしは、勇気を出してみんなに二人は付き合っている事を伝える。一方、優紀は総二郎に対して真っ直ぐに気持ちを打ち明けるが、総二郎はのらりくらりと返事をかわし、優紀に対して本心を見せようとしない。しかし、捨て身の優紀に対して総二郎は、かつて本気で好きになった相手がいた事を打ち明ける。そんな中、つくしは両親と別居して安アパートに牧野進との二人暮らしを始めるが、さっそく怪しい侵入者の被害に遭いそうになる。そんなつくしを心配して、司はとなりの空き部屋を借りて寝泊まりする事になる。
第28巻
牧野つくしは自分を心配して、安アパートに寝泊まりしてくれる道明寺司の事を、どんどん好きになっていく。ある日つくしは、司を捕まえようとSPが待ち構えている事を知り、先回りして司を捕まえる。そして、逆に手薄になった道明寺家に戻った二人は、司の部屋でそのまま結ばれそうになるが、つくしは寸前で怖くなってしまう。そこへやって来た道明寺椿は、つくしと司が付き合っているという事に大喜びする。一方、松岡優紀は西門総二郎がかつて好きだった女性、日向更との約束を破った事を心残りに感じている事を聞き、その約束の場所を探していた。総二郎は子供の頃、更といつもなかよく遊んでいた。16歳になった総二郎は不特定多数の女性と付き合っていたが、ある日、更が異性である事や、自分に対して思いを寄せている事に気づく。しかし幼なじみとしての更を失いたくないと考えた総二郎は気づかないふりをし、更は姿を消してしまう。しかし優紀は、その2年前の約束の場所を探し出し、更が伝えたかった事を突き止めるのだった。
第29巻
道明寺司と牧野つくしが付き合っている事を知った道明寺楓は、司のクレジットカードを差し止めてしまうが、貧乏デートを楽しむ二人は、無料でもらったチケットで野球観戦をしていた。しかしホームランボールをキャッチしたつくしは、司と共にテレビに映ってしまい、怒りに燃えた楓は特殊訓練をした男性達を派遣して司を拉致する。そして次の日、英徳学園に司の退学届けが出される。つくしは楓に正面から切り込もうと、自腹を切ってN.Y.へ向かう。しかし到着してさっそく置き引きに遭ってしまい、つくしは知らない土地で途方に暮れる。そんな中、つくしはかつて三条桜子の家に居候していたトーマスに再会する。事情を聞いたトーマスは、N.Y.の道明寺邸の警備が厳しい事を伝えるが、つくしはあきらめるつもりはなかった。そして、道明寺邸の前で押し問答するつくしの前に現れたタマによって、中に入る事ができたものの、司から拒絶され、日本へ帰るように言われてしまう。道明寺邸を飛び出したつくしを救ったのは、心配して日本から駆けつけた花沢類だった。
第30巻
牧野つくしは、以前公園で知り合ったおじさんと再会する。つくしは落ち込んでいる様子のおじさんから取引がうまくいっていないという事情を聞き、「ごめんなさい」と「ありがとう」の言葉さえ使えば、仲直りできない事はないと助言する。おじさんに気に入られたつくしはランチに誘われ、おじさんの経営する会社に行くと、なんとおじさんはアメリカでも1,2位を争う企業家であり、その取引相手が道明寺楓だった。しかしおじさんと楓の取引は暗礁に乗り上げており、交渉は決裂する。つくしは二人のあいだに入り、交渉を成功させたいなら、自分から仲直りするべきだとおじさんを促す。花沢類と日本へ帰国しようと空港を訪れたつくしのもとに、おじさんと楓がそれぞれ交渉成立のお礼を言いに現れ、続いて道明寺司も現れる。つくしと類の親密な様子を見てキレかける司だが、一方の類も感情をあらわにする。日本に戻ったつくしのもとに、司が1日だけ顔を出す。別れを決意した二人は共に最後の食事をするが、そこに現れた男達に拉致されてしまい、気づいた時には二人は無人の船の上にいた。
第31巻
自動操縦で完全に無人の船に乗せられた牧野つくしと道明寺司は、ひとまず船がどこかに到着するまで待つ事に決める。船酔いしたつくしを乱暴ながらも優しく介抱する司に、つくしは頼もしく思う。司はつくしを守れなかった事を謝罪し、花沢類との幸せを願うと告げる。しかしつくしは、自分は人に幸せにしてもらいたいわけではなく、自分は司の事を好きなのだと気持ちを伝える。船は無人島にたどり着き、司とつくしはサバイバル生活をしているうちに、それぞれの立場を忘れ、一人の男女として向かい合う。N.Y.で司がつくしを突き放した時の事情を聞き、つくしは司ともう二度と離れたくないという気持ちを伝える。ほかには何もいらないという、自分の気持ちに正直になれた二人は、無人島だと思っていた島で西門総二郎、美作あきら、大河原滋と出会う。二人を誘拐したのも、この島の持ち主である滋の企てだった。司はつくしのために家を捨てる覚悟を決め、一行は日本へ戻る。しかし船が港についた途端、大勢のマスコミに紛れた、道明寺家に怨恨を持つ男によって司が刺されてしまい、意識不明の重体に陥ってしまう。
第32巻
病院に訪れた道明寺楓の冷たい言葉を聞き、牧野つくしは楓を殴ってしまう。しかし楓は、本当は道明寺司の事を心配していた。それを知ったつくしはN.Y.に戻ろうとする楓のもとへ駆けつけて謝罪し、楓はつくしに対して1年間だけ司との付き合いを認める。やっと楓にも認められ、公認の仲になった二人だったが、回復して意識を取り戻した司は、なぜかつくしに関する記憶だけがすっぽり抜け落ちており、つくしが誰だかわからない状態になっていた。司から冷たい目で見られたつくしはショックを受け、なんとかして司の記憶を取り戻そうとするが、司の記憶は一向に戻らない。同じ病院に入院している中島海は社交的で、病院内で誰からも慕われていた。海は司にも親密に話し掛け、少しずつ打ち解けていく。自分に対して心を閉ざしたままの司が海となかよくなっていく姿を見て、つくしはショックを受ける。大切な記憶を失くしたと思い悩む司に、海は無理に思い出さない事を勧め、見舞いに来たF4や大河原滋らともなかよくなる。居場所を奪われたつくしは疎外感を感じるが、そんなつくしの気持ちを理解してかばってくれたのは花沢類だった。つくしが本当に困っている時にいつも助けてくれる類に、つくしは感謝する。
第33巻
牧野つくしは、寝ている道明寺司の枕元にお弁当だけ置いて帰るが、目が覚めた司のもとに、退院した中島海が見舞いにやって来る。司は弁当の味から何か大切な事を思い出しそうになり、その弁当は海が作って来たと思い込んでしまう。司が退院してからも海は道明寺家に通っては、司の心の隙間に入り込んでいく。記憶を失って別の女性を好きになるのなら、そんな司は受け入れる事はできないとつくしは見限る。司は涙を流して立ち去るつくしの事が気になるが、そんな司に対して海は自分の気持ちを打ち明ける。海は司に告白した事をつくしに伝え、それでもつくしとは友達でいたいと無神経な発言をする。しかし翌日、海が作って来た弁当を食べた司は、前の弁当が海の作ったものではない事を知り、なおかつ自分が忘れてしまっている大切な記憶は海とは関係ないと直感する。つくしは司に関する大切な宝物を返そうと道明寺家にやって来て、司に思い出のボールを思いっきりぶつけて立ち去る。そのショックですべてを思い出し、司はつくしのもとに戻って来る。仲間達との司の復帰パーティーで、司とつくしは二人きりで夜の街へと抜け出す。
第34巻
これまでのようにこそこそせずに、堂々と街中を歩けるようになった道明寺司と牧野つくしは、大喜びのつくしの両親に誘われ、つくしの家を訪れる。一方、西門総二郎は松岡優紀に対して感謝の気持ちを表したいと、優紀の頼みを聞いて産休で休んでいる高校の茶道部の、一日講師を務める。しかしそこで、総二郎は日向更に再会する。総二郎は動揺するが、更とは何もなかったかのように振る舞う事を決める。しかし家の前をうろついていた更と優紀が、総二郎の母親に招かれて共に家に上がり込んでいた事に対して、総二郎は優紀だけを責める。総二郎と更は懐かしい思い出話をし、かつてお互いを思い合っていた時に時間を戻そうとする。一方、仲のいい二人の様子を見た優紀は、自分の恋をあきらめるつもりでいた。そんな優紀を見て心配でたまらないつくしは、司にすべてを打ち明け、共に励ますために優紀のもとを訪ねる。傷つき、眠れない夜を過ごしていた優紀を連れ出したつくしと司は、甘いものを食べながら三人で共に過ごす。そして総二郎と更は、失われた時間を取り戻すために、果たされなかった2年前の約束の場所で待ち合わせをする。
第35巻
朝になって帰ろうとした松岡優紀は、西門総二郎からの連絡を受ける。日向更の秘められたメッセージがあるビルは壊されており、総二郎と更の関係は2年前で止まったまま、先に進む事はできなかった。しかし笑顔で別れた二人は清々しい気持ちで、総二郎は過去にけりをつけられた事を優紀に感謝する。そして優紀もまた、総二郎にハッキリとふられて失恋するが、最後に自分の殻を破って総二郎と肉体的に結ばれる事で総二郎との恋を卒業する。一方、道明寺司は牧野つくしに突然のプロポーズをするが、実は司の父親が倒れてしまい、司は跡取りとしての勉強をするためにN.Y.に行く事を決意していた。いっしょにいられるのは卒業までの数日しかないと知ったつくしは、寂しさのあまり涙があふれる。しかし司が決めた事を応援する事を決意し、司もまた記者会見で必ずつくしを迎えに来る事を宣言する。久しぶりに天草清之介と再会したつくしと司は、清之介の握る寿司を食べ、栗巻あや乃となかよくしているところを見届ける。道明寺家で道明寺椿に再会したつくしは、椿から司との仲を祝福される。そして司とつくしはヘリコプターで東京の夜の空をデートする。
第36巻
二人きりでオープン前のコテージに来た道明寺司と牧野つくしは、ようやく結ばれるはずだったが、つくしの突然の発熱によりそれは叶わなかった。そして二人は、抱き合って眠る。つくしは英徳学園に入学したばかりの頃の自分を思い出していた。出世しないつくしの父に対して怒り狂うつくしの母の気持ちをなだめるために英徳学園に入学したものの、クラスメイトの女子達とは話が合わず、目立たないようにひたすら地味に過ごしていた。F4や司の存在は知りつつも、到底交わる事などないと思っていた。卒業式のあとはプロムが予定されており、つくしは司からドレスを贈られていたが、つくしの父がまたしても失業した事で、とうとう英徳学園の授業料が払えなくなってしまう。引っ越しを終えたつくしは破れてしまったドレスを抱えてプロムへ駆けつける。つくしは美作あきら、西門総二郎、花沢類と踊り、もう1年間英徳学園に残れるようにがんばる事を決意する。最後に遅れてやって来た司と踊ったつくしは司のプロポーズを断り、4年後に再会する事を約束して、二人はそれぞれの場所で前向きに生きていく。
第37巻
英徳学園の高等部を卒業した牧野つくしは、不動産会社に就職する。遠距離恋愛中の道明寺司とは、連絡すらなかなか取れずにすれ違いが続いていたが、そんなつくしの日常を賑わしてくれるのが花沢類だった。そんなある日、藤堂静からの結婚式の招待状を受けて、つくしは類、西門総二郎、美作あきらと共にフランスへ向かう。そこで通り魔に襲われたつくしは、突然現れた司に助けられる。司はつくしの就職した会社を買収し、代わりに英徳大学の4年分の学費を払ってくれていたのだ。これにより、つくしはあきらめていた大学進学を決める。一方、類はつくしへの気持ちを封印し、その恋を応援すると心に決めていた。しかしつくしから女性を紹介された事で心が痛み、つくしへの思いがあふれてしまう。動揺したつくしは、ビル清掃のアルバイト中に転んで頭を強打してしまう。慌てて駆けつけた司はつくしに婚約指輪を渡すが、類の事を気にかけるつくしは、受け取る事ができない。類はそんな二人をイタリアのピサの斜塔に呼び出し、プロポーズのセッティングをする。
登場人物・キャラクター
牧野 つくし (まきの つくし)
女子高生。両親と弟の四人家族。一般的な家庭に育つが、玉の輿に乗ってほしいという母親の強い希望で富裕層の通う名門、英徳学園に高校から入学する。学園中から集団いじめにあっても、反撃したり、相手に啖呵を切って、いじめに屈することはない。自らを「雑草のつくし」と呼び、どんな困難にも立ち向かう強い精神力を持つ。 性格は明るく、前向きで、正義感の強い人情派。花沢類に恋心を抱くが、一途につくしを想う道明寺司にしだいに気持ちが傾いていく。
道明寺 司 (どうみょうじ つかさ)
学園を牛耳るF4のリーダー。道明寺財閥の長男で跡取り息子。父が英徳学園に多額の寄付をしており、学園内で絶対的な権力を持つ。背が高く容姿端麗。キツい天然パーマでコロネのような巻き髪。わがままなオレ様で、いつも威張っており、何でもお金で解決できると思っている。屈折した性格。喧嘩も強く、乱暴者でキレると手が付けられない。 幼い頃から親と離れ、姉に育てられたため、姉には頭が上がらない。姉のような強い女性が好きで、牧野つくしにケリの制裁を加えられたことで、惚れてしまう。言葉をよく間違え、周りからつっこみを入れられる。「凶暴なバカ」とも言われている。
花沢 類 (はなざわ るい)
学園を牛耳るF4のメンバー。花沢物産の跡取り息子。不愛想でビー玉のような瞳のクールな王子様。F4の面々とつるんでいるが、赤札を貼ることに興味がなく、参加しない。マイペースで少し変わり者。眠るのが大好き。独特でおだやかな空気感を持つ。跡取りとして父親に厳しく育てられた花沢類は、幼稚舎の頃、根暗で引きこもりがちになっていた。 二つ年上の藤堂静に少しずつ外へ連れ出してもらい、通常の生活ができるようになる。藤堂静は初恋の人で、フランスへ行ってもずっと一途に想っていた。バイオリンが上手。
西門 総二郎 (にしかど そうじろう)
学園を牛耳るF4のメンバー。茶道家元の次男。長男が医者になったため、跡継ぎとして育てられる。黒髪で前髪は真ん中分け。女の子はみんな好きというかなりのプレイボーイで、日替わりで女性を変える。座右の銘は「一期一会」。口説き文句にも使う。特定の女性は作らない。社交的で口が軽い。要領が良く、仲間想いでもある。
美作 あきら (みまさか あきら)
学園を牛耳るF4のメンバー。マダムキラー。乙女チックで見た目が少女のようにかわいい。母親と甘えんぼの双子の妹がいるためか、10歳以上年上の大人の女性が好き。よく不倫をしている。プレイボーイに見えるが、本人は純愛だと豪語する。ワンレングスのウエーブヘア。後にストレートヘアに変更する。常識的で気配りやさん。
松岡 優紀 (まつおか ゆうき)
牧野つくしの中学時代からの友人で親友。都立高校に通う。銘菓千石屋でつくしと一緒にアルバイトをしている。優しく、控えめでおとなしい。ミーハーなところもある普通の女の子。見かけによらず芯は強く、信念のためには行動的にもなる。失恋し落ち込んでいるときに助けてくれた西門総二郎のことが好きになる。 つくしの相談相手で、よき理解者。
青池 和也 (あおいけ かずや)
牧野つくしの小学校時代のクラスメイトで幼なじみ。実家は農家だったが、土地を売ってお金持ちになったため、自らを土地成金と連呼する。英徳学園に転校し、つくしと仲良くしていたため、道明寺司に嫉妬され、赤札を貼られてしまう。集団いじめにあい、生ごみをかけられたり、追いかけまわされるが、その状況をスリリングだったと楽しめる大物。 またみなが恐れる道明寺にも文句を言える強者。能天気で明るく茶目っ気がある。つくしのことが好きだが、なかなか気づいてもらえない。
三条 桜子 (さんじょう さくらこ)
英徳学園に通う一年生。両親は飛行機事故で亡くなり、祖父母と三人で暮らす。男子が噂するほど可愛いが、実は整形美人。ドイツ人男性を使って牧野つくしを罠にはめ、道明寺司に近づこうとする策略家。幼稚舎の頃、好きだった道明寺に「ドブス」と言われ、整形した顔で道明寺に復讐するつもりだった。 しかし、今でも道明寺が好きな自分に気づく。屈折しており、かなりしたたかな人物。ディスコのお立ち台に立つイケイケギャルだが、猫を被ってブリッコを演じるのは得意。
天草 清之介 (あまくさ せいのすけ)
父親は代議士で、祖父は総理大臣という政治家一家の長男。永林学園に通う17歳。権力を振りかざすのがイヤで、跡は継がず、一般人として生きたいと思っている。そば屋で出前のバイト中、ヌード写真を撮られそうになっていた牧野つくしを救い出し、安全なバイトの世話までしてくれたつくしの恩人。 熱血で正義感にあふれ、喧嘩も強い。義理と人情で生きており、江戸言葉で話す。「遠山の金さん」のようだと思ったつくしが、勝手に金さんと呼んでいた。困った人を放っておけない世話焼き。
藤堂 静 (とうどう しずか)
藤堂商事の社長令嬢で一人娘。F4のメンバーとは幼稚舎時代からの幼なじみで、彼らより2歳上。英徳大学を休学し、フランスのソルボンヌ大学に留学していた。3歳からピアノとバレエを習う。1992年ミス・ティーンズ・オブ・フランス受賞。全日本航空のキャンペーンガールにも選ばれる。 気品のある美人。優しく芯の強い完璧な女性。負けず嫌いで、自分が決めたことは譲らない。牧野つくしの憧れの存在。20歳の誕生日に藤堂の姓を捨て、貧しい人のための弁護士になると宣言する。
道明寺 椿 (どうみょうじ つばき)
道明寺司の姉。英徳学園伝説の人物。美人でスタイルも良く、パリコレモデル経験あり。大学の時にホテル王と結婚してビバリーヒルズに住んでいる。忙しい両親の代わりに、猛獣のような弟を調教し、やや乱暴に育てる。強引であまり人の話を聞かない。お嬢様なのに気取ったところがなく、サバサバしていて気前がいい。 牧野つくしを気に入っている。
道明寺 楓 (どうみょうじ かえで)
道明寺司の母親。いつも仕事で忙しく、日本にはほとんどいないため、息子の司とも年に数回しか会った事がない。仕事人間で、冷酷な性格の持ち主。牧野つくしを道明寺家の嫁として相応しくないと判断し、司に近づけないためにあらゆる画策をする。子供に対する愛情がまったく感じられないが、実は幼い頃に司が大事にしていたぬいぐるみを、大切に持ち続けているような意外な一面もある。
タマ
道明寺家の使用人頭をしている老女。道明寺家で60年働き続けている事にプライドを持っている。露頭に迷っていたところを、先代の道明寺家の当主に救われて使用人になった事に恩義を感じており、道明寺家に忠誠を誓っている。息を引き取るまで道明寺家の面倒を見ると心に決めており、その命懸けの決意に道明寺楓すらも逆らえない。牧野つくしの事を気に入っており、道明寺司との仲を応援している。
大河原 滋 (おおかわはら しげる)
石油を扱う大財閥の令嬢。道明寺司とは、親同士が勝手に政略結婚を決められた間柄。お嬢さまながら自由奔放な性格で、司の事を本気で好きになってしまい、猛烈にアタックする。しかし、牧野つくしに対する想いの深さを知り、またつくしとの友情に目覚めて潔く身を引く。すぐに暴走するタイプで、なかなか進展しない二人のために、よかれと思って余計な事をしてしまう事がある。変装やコスプレが大好き。
つくしの父 (つくしのちち)
牧野つくしの父親。万年ヒラ社員で出世できず、リストラに遭って長いあいだ住んでいた社宅を追い出されてしまう。その後も再就職してはクビを繰り返し、なかなか定職につけずにいる。性格的にどんな仕事にも向いておらず、いつもつくしの母から叱られている。寒いおやじギャグが大好き。
つくしの母 (つくしのはは)
牧野つくしの母親。失業を繰り返すつくしの父の不甲斐なさにいつも翻弄される苦労人。つくしには自分のような思いをさせたくないと、玉の輿に乗せるために英徳学園に入学する事を強く求めた。つくしの父が失業するたびに怒り狂うが、本気で離婚を考えたのはつくしの父がお金をギャンブルに使い込んだ時だけで、基本的には夫を支える肝っ玉母さん。
牧野 進 (まきの すすむ)
牧野つくしの弟。つくしより2歳年下。両親のせいで貧乏な生活を強いられているが、真っ直ぐな性格に育った。姉の迫力に押され気味なおとなしい少年で、道明寺司や花沢類ともすぐ親しくなるなど、人懐っこいところがある。つくしが英徳学園での進学をあきらめかけた時は、自分も家族の一員として働く事を決意し、姉を応援する。
織部 順平 (おりべ じゅんぺい)
牧野つくしの中学時代の友達、織部の弟。子供の頃に親しくしていた近所のお兄さんを、内臓破裂するほど殴った道明寺司に対して恨みを抱いており、司を陥れるためにつくしを利用する。美しい顔立ちで、モデルのアルバイトをしているが、学校では目立たないように地味な格好をしている。
栗巻 あや乃 (くりまき あやの)
永林学園に通う女子高校生。天草清之介の婚約者であり、親が決めた間柄ながら、清之介の事を愛している。父親は外務省で外交官を務めている。牧野つくしと共にティーン・オブ・ジャパンに出場し、決勝でつくしを降して優勝する。
吉松 松太郎 (よしまつ まつたろう)
芸術家志望の青年。牧野つくしの両親と牧野進が身を寄せていた漁村で暮らしている。つくしと同じ屋台の焼きもろこし屋でアルバイトをしていた。かつて交際していた女性、里香の事が忘れられず、彼女が戻って来るのを信じて待っている。のちに針金アートで世間から認められる。
国沢 亜門 (くにさわ あもん)
道明寺司にそっくりの顔をしたフリーターの男性。道明寺楓から司と牧野つくしの仲を引き裂く命令を受けて、司の従兄である「清永」を名乗り、つくしの気を引いた。現実主義者で本気の恋を信じていなかったが、つくしに本気で惹かれた事で、楓をあざむいてつくしと司の恋を応援するようになる。
中島 海 (なかじま うみ)
道明寺司が入院した病院に入院していた少女。明るく社交的で、誰からも愛される性格だが、他人の細やかな心の機微にうとい。よかれと思って行動する事が裏目に出てしまう事が多く、無神経な発言や行動を繰り返す。司の事を好きになり、牧野つくしの事を忘れてしまった彼の心の隙間に入り込もうとするが、司の本性を知って自ら離れていく。
日向 更 (ひなた さら)
松岡優紀と同じ都立高校に通う女子。西門総二郎の幼なじみで、彼の事を密かに思っていた。気持ちを伝えられないまま総二郎から離れ、ほかの異性と付き合ったが、すぐに破局を迎えた。お菓子が大好きで、いつも新発売のお菓子をチェックしている。
集団・組織
F4 (えふふぉー)
『花より男子』のグループ。英徳学園に通う道明寺司、花沢類、西門総二郎、美作あきらの4人グループ。花の4人組から「花=FLOWER」の頭文字を取ってF4と名付けられた。全員、モデルのように眉目秀麗で背も高く、学園でもトップクラスのお金持ち。ケンカも強く、学園を牛耳る権力者。生徒たちの憧れの存在であり、恐れられている存在でもある。 リーダーは道明寺司。英徳学園に制服はあるが、F4は私服で来ることが黙認されている。
英徳学園 (えいとくがくえん)
山の手にある幼稚舎から大学まで、エスカレーター式の名門私立。財閥や社長の子弟など富裕層が多く、登下校は高級車で送迎されている。高校から入学した中流階級の生徒は肩身が狭い。牧野つくしや道明寺司が通う。
その他キーワード
赤札 (あかふだ)
赤い札をロッカーに貼られた者は英徳学園全校生徒から集団いじめにあう。赤札を貼る権利があるのは学園を牛耳るF4だけ。主に気に入らない人間や彼らに歯向かった者に貼られる。赤札を貼られた生徒は集団いじめに耐えられず、数か月で学園を辞めてしまうことが多い。
続編
花のち晴れ ~花男 NextSeason~ (はなのちはれ はなだん ねくすと しーずん)
神尾葉子の代表作『花より男子』の続編。前作で英徳学園を牛耳っていた花の四人組、F4の卒業から2年後、学園内自治組織、コレクト5を結成した神楽木晴と、庶民である事を隠して英徳学園に通う江戸川音、二人の成... 関連ページ:花のち晴れ ~花男 NextSeason~