あらすじ
第1巻
中学2年生の未來は、ある日、自分が軍服を着て武器を持ち、弟妹の鈴と錬らしき人物と共に戦う夢を見る。翌朝、未來はきょうだい五人そろってお花見に出掛けるが、途中で姉の流歌が行方不明になり、探しに行った先で迷子になってしまう。しかも昼間の公園を歩いていたはずが、いつの間にか辺りは夜になっており、自分の服装さえも変わっていたのである。そんな未來に、謎の男性が襲い掛かる。すぐさまきょうだいたちが駆けつけたために未來は事なきを得るが、きょうだいと思われた彼らは瓜二つの別人で、未來は混乱する。この日はひとまず彼らの家に泊まった未來は、翌日衝撃の事実を知る。未來は現代から大正100年のこの世界へ、なんらかの理由で転移してしまっていたのである。さらに未來は、自分によく似た別人「初音未來」と認識されており、彼女の代わりに初音未來としての生活を送らざるを得なくなるのだった。周囲には記憶障害者として扱われる中で、少しずつ大正100年の世界の知識を得ながら、未來は大日本帝国「神憑特殊桜小隊」の一員として、影憑と呼ばれる悪しき存在と戦う事になる。
第2巻
大正100年の世界の生活にも慣れてきたある日、未來は巡音流歌から、「御影様教団」という宗教団体について聞かされる。その活動内容に怪しさを感じる未來だったが、体験入信中の流歌はすっかり夢中らしく、偶然やって来た御前賀悠那まで勧誘するのだった。また、この日悠那から今度鹿鳴館で行われる舞踏会について知らされた未來は、今後も「初音未來」を演じ続けるのであれば、舞踏会への参加は避けられないと判断し、一からダンスを学ぶ事になる。そして当日、未來は靑音海斗と共に会場へ向かうが、そこで悠那の兄である御前賀忠志に熱烈なアプローチをされてとまどうものの、海斗と踊り、楽しい時間を過ごすのだった。その直後、未來、鏡音錬、鏡音鈴の三人は、海斗と紅音鳴子から、正式に御影様教団について調査するように命じられる。そこで三人はさっそく流歌のアルバイト先に話を聞きに行くが、流歌は先日ミスをして店主にクビを言い渡されて以来、行方不明なのだという。これを案じた三人は体験入信希望者のふりをして、御影様教団の本部へ潜入。そこで同じように潜入していた海斗と鳴子と合流した未來たちは教祖の部屋に向かうが、そこにいたのは、大正100年の世界に来た最初の日に、未來を襲った男性だった。
メディアミックス
楽曲
2011年9月、楽曲『千本桜 feat.初音ミク』が、ニコニコ動画にて公開された。作詞・作曲・編曲は黒うさP、ギターはhajime、イラストは一斗まる、PV制作は三重の人が担当している。この楽曲が、本作『千本桜』の原作小説である『小説 千本桜』のもととなった。
小説
2013年3月から2016年7月にかけて、本作『千本桜』の原作小説である『小説 千本桜』がアスキー・メディアワークス、KADOKAWAから刊行された。こちらは、楽曲『千本桜 feat.初音ミク』においてイメージイラストを担当した一斗まるがイラストと文章の両方を手掛けている。また、2018年1月から2019年4月にかけては、これに加筆修正を加えた文庫版が、角川ビーンズ文庫から刊行された。
登場人物・キャラクター
未來 (みく)
平成25年の世界で暮らす、中学2年生の女子。年齢は14歳。モチーフはVOCALOIDの「初音ミク」。前髪を目の上で切り、太ももの高さまで伸ばした暗い水色のロングヘアを、頭の高い位置で結んだツインテールにしている。大正100年の世界では自分とよく似た別人「初音未來」として扱われている。明るく元気な性格で、一人称は「ボク」。中学2年生の春、兄の海斗たちきょうだいと共にお花見に行ったところ、会場の公園で姉の流歌が迷子になり、彼女を探すうちに大正100年の世界に迷い込んでしまう。さらに、そこで生きる少女「初音未來」の体に精神が宿ってしまったため、彼女のふりをして靑音子爵家の一員となり、大日本帝国「神憑特殊桜小隊」に所属し、帝都桜京(おうきょう)學院中等科女子部2年桜組に通う事になる。大正100年の世界に来た当初は混乱していたが、もし自分が現代から来た事を主張し続けた場合、不審人物と思われるかもしれないうえに、靑音海斗たちに迷惑をかけてしまうだろうと判断する。そこで、初音として生きる決意をして少しずつなじんでいく。未來自身は覚えていないが、幼い頃にもお花見会場の公園で迷子になった事がある。歌が得意。
靑音 海斗 (せいね かいと)
大正100年の世界の住人。大日本帝国の准佐で「神憑特殊桜小隊」の隊長を務める男性。年齢は20歳。また、神憑でもある。モチーフはVOCALOIDの「KAITO」。未來の兄の海斗に瓜二つだが、二人の関係性は不明。前髪を目の上で切った紺色の短髪。まじめで融通のきかない性格だが、根は優しく面倒見がいい。「初音未來」とは血のつながりはないが、ある日天涯孤独となった初音を靑音家が引き取ったため、ずっといっしょに暮らしてきた。また鏡音姉弟とも、二人が神憑である事から、いっしょに暮らしている。特に初音の事は実の妹以上に大切に育て、面倒を見てきたため、自分の手で完璧な淑女に育てたと考えていた。そのため、初音の体に未來の精神が入り、人が変わってしまってからは現実を受け入れられず、初音が記憶障害になってしまったうえ、時々おかしな事を言い出すようになったと考えている。神器は初音の「桜大幣(さくらおおぬさ)」と同じ力を持つ、魔のみを祓う武器「雪清(せっせい)」。知識はできるだけ誰かに頼らず、自分で調べて得るべきであるという考えを持っており、口癖は「辞書を引け」。特技はピアノで、作曲もする。
紅音 鳴子 (あかね めいこ)
大正100年の世界の住人。大日本帝国軍「神憑特殊桜小隊」に所属する女性。階級は少尉。モチーフはVOCALOIDの「MEIKO」。未來の姉の鳴子に瓜二つだが、二人の関係性は不明。隊の中での役割は密偵で、帝都桜京(おうきょう)學院の学生や教師として潜入したり、花魁にも変装したりする。また、神憑であり、花魁としての名前は「椿」。前髪を左寄りの位置で分けたショートボブヘアにしており、右目は前髪に隠れていて見えない。明るく気さくな性格をしている。「神憑特殊桜小隊」の中では特に靑音海斗と親しい。
巡音 流歌 (めぐりね るか)
大正100年の世界の住人。カフェ「みるくほおる」で働く女子。年齢は18歳。モチーフはVOCALOIDの「巡音ルカ」。未來の姉の流歌に瓜二つだが、二人の関係性は不明。前髪を目の上で切り、お尻まで伸ばしたロングヘアを大きなリボンでまとめたハーフアップにしている。穏やかでおっとりとした性格で、極度のドジっ子。そのため「みるくほおる」の店主からは、流歌は3日もあれば店のお皿を全部割ってしまうほど、ドジであると評されている。「初音未來」との関係は友人と思われるが、ある日未來に、自分は初音に多くの秘密を隠していると公言するなど、謎が多い。新興宗教「御影様教団」が流行した際には特典につられて体験入信し、その直後「みるくほおる」の店主と揉めた事で一度は住み込み先を飛び出して、御影様教団の本部に身を寄せる。しかし、事態を知った未來たちに助けられ、事なきを得た。高いところが苦手。
鏡音 鈴 (かがみね りん)
大正100年の世界で暮らす女子。年齢は12歳。大日本帝国「神憑特殊桜小隊」に所属し、帝都桜京(おうきょう)學院初等科女子部の6年生でもある。また、神憑であり、鏡音錬の双子の姉。モチーフはVOCALOIDの「鏡音リン」。未來の妹の鈴に瓜二つだが、二人の関係性は不明。前髪を長く伸ばして、右寄りの位置で斜めに分け、顎の高さまで伸ばした外はねボブヘアにしている。右目に眼帯をつけている。言葉を話す事ができず、しゃべるぬいぐるみを携帯し、これを介して意思疎通をしている。靑音海斗や「初音未來」とは血のつながりはないが、神憑であるという理由で錬と共に靑音家に住まわせてもらっており、いっしょに暮らしている。離れた場所からでも影憑を察知できる能力があり、まだ訓練中ではあるが、精度は高い。神器は毒蛾で、身の危険を察知すると鏡音鈴の体からこの蛾が飛び出し、対象の体を麻痺させる毒の鱗粉をまく。
鏡音 錬 (かがみね れん)
大正100年の世界で暮らす男子。年齢は12歳。大日本帝国「神憑特殊桜小隊」に所属し、帝都桜京(おうきょう)學院初等科男子部の6年生でもある。また、神憑であり、鏡音鈴の双子の弟。モチーフはVOCALOIDの「鏡音レン」。未來の弟の錬に瓜二つだが、二人の関係性は不明。しかし、未來の兄弟の中では、錬と鏡音錬は比較的性格も立場も似ている。前髪を目の上で切り、癖のある金色のボブヘアを、頭の高い位置で結んだポニーテールにしている。明るく元気で人懐っこい性格の持ち主。靑音海斗や「初音未來」とは血のつながりはないが、神憑であるという理由で鈴と共に靑音家に住まわせてもらっており、いっしょに暮らしている。そのため初音を実の姉のように慕っており、初音の体に現代人の未來の精神が宿ってしまってからは、初音がケガをしたショックで記憶障害になったと認識している。また、初音の失った記憶を補うために、自分たちの境遇を説明したり、御前賀悠那に意地悪を言われてもかばったりしているが、記憶障害を「頭の状態が悪い」と表現するために、未來はひそかに自分が馬鹿になってしまったようではないかとショックを受けている。
海斗 (かいと)
平成25年の世界で暮らす若い男性。鳴子、未來、鈴、錬の兄。モチーフはVOCALOIDの「KAITO」。大正100年の住人の靑音海斗に瓜二つだが、二人の関係性は不明。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした短髪にしている。心優しくおっとりした性格で、長男だが鳴子には頭が上がらない。きょうだいでお花見に行った日も、一人で場所取り役をする事になってしまう。お酒には弱く、すぐに酔っぱらってしまう。やや単純なところがあり、未來の冗談を真に受けて実行してしまう事がある。
鳴子 (めいこ)
平成25年の世界で暮らす若い女性。未來、鈴、錬の姉で、海斗の妹でもある。モチーフはVOCALOIDの「MEIKO」。大正100年の人間・紅音鳴子に瓜二つだが、二人の関係性は不明。前髪を左寄りの位置で分け、顎の高さまで伸ばしたショートボブヘアにしている。右目は前髪に完全で隠れており見えず、胸が大きい。明るく気の強い性格の姉御肌で、きょうだいの中ではリーダー的な存在。料理が得意で、お酒が非常に強い。
流歌 (るか)
平成25年の世界で暮らす若い女性。海斗、鳴子の妹で、未來、鈴、錬の姉でもある。モチーフはVOCALOIDの「巡音ルカ」。大正100年の住人の巡音流歌に瓜二つだが、二人の関係性は不明。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばしたロングヘアをまとめたハーフアップにしている。兄と姉だけでなく、弟と妹に対しても敬語で話す。穏やかでおっとりとした性格で、ややドジっ子。そのため、朝に未來を起こそうとして、自分がそのまま未來のベッドで眠ってしまうといった事がある。また方向音痴で、1年前に兄弟でお花見へ行った際に迷子になり、1週間も行方不明だった事がある。そして翌春、きょうだい揃ってお花見に出かけた際も行方知れずとなり、2年連続で迷子になる。未來は、そんな流歌を探しに行った事がきっかけで大正100年の世界に迷い込んだ。明治時代や大正時代のアンティークが好き。
鈴 (りん)
平成25年の世界で暮らす少女。海斗、鳴子、流歌、未來の妹で、錬の双子の姉。モチーフはVOCALOIDの「鏡音リン」。大正100年の人間の鏡音鈴に瓜二つだが、二人の関係性は不明。前髪を右寄りの位置で斜めに分けてヘアピンでまとめ、顎の高さまで伸ばした金色の外はねボブヘアにしている。リボンカチューシャをつけている。明るくにぎやかな性格の持ち主。特に錬とは仲がいい。
錬 (れん)
平成25年の世界で暮らす少年。海斗、鳴子、流歌、未來の弟で、鈴の双子の弟である。モチーフはVOCALOIDの「鏡音レン」。大正100年の住人の鏡音錬に瓜二つだが、二人の関係性は不明。しかし、未來の兄弟の中では、錬と鏡音錬は比較的性格も立場も似ている。前髪を目の上で切り、癖のある金色のボブヘアを頭の低い位置で一つに結んでいる。明るく人懐っこい性格で、特に鈴とは仲がいい。
御前賀 悠那 (おまえが ゆうな)
大正100年の世界で暮らす女子。年齢は16歳。帝都桜京(おうきょう)學院中等科女子部の3年生で、生徒会長を務めている。御前賀忠志の妹。大日本帝国軍大将の娘であるお嬢様。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばした巻き髪ロングヘアを大きなリボンでまとめたハーフアップにしている。丁寧なお嬢様口調で話す。高飛車で意地悪な性格で、容姿や家柄、能力のすべてに恵まれていると自負する自信家。「初音未來」とは幼なじみで家が近いが、昔から何かにつけて初音に絡んでおり、そのために鏡音錬とは仲が悪い。しかし、初音の体に現代人の未來が入ってしまってからは、彼女が記憶障害になったのだととらえ、なんだかんだで心配している。また、靑音海斗に思いを寄せているが、海斗には今一つ相手にされていない。ある日、巡音流歌から新興宗教「御影様教団」の存在を教えられた事で関心を持つ。そして体験入信してしまったが、最終的には未來たちに助けられた。
御前賀 忠志 (おまえが ただし)
大正100年の世界で暮らす若い男性。大日本帝国軍大将の息子で、御前賀悠那の兄。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、ふんわりとした短髪にしている。背が高く、たれ目。父親の仕事で5年間海外にいたが、ある日帰国して鹿鳴館の舞踏会に参加する。未來とはそこで知り合うが、彼女が「初音未來」ではない事には気づかず、熱烈なアプローチをする。大日本帝国軍入りが決まっている。
多々良 琴子 (たたら ことこ)
大正100年の世界で暮らす女子。帝都桜京(おうきょう)學院中等科女子部2年桜組に在籍する。前髪を目の上で切りそろえ、胸の下まで伸ばしたロングヘアを二本の三つ編みにしている。丸眼鏡をかけている。穏やかで心優しい性格で、涙もろい。「初音未來」とは席がとなりで、ある朝登校してきた未來の様子がおかしい事に気づく。しかし、初音の体に現代人の未來の精神が宿ってしまった事は知らず、初音が記憶障害になってしまったという教師からの説明を信じ、何かと親切にするようになる。九条蘭の事は、爵位という身分をお金で買った、卑しい家の女性だととらえている。
九条 蘭 (くじょう らん)
大正100年の世界で暮らす女子。帝都桜京(おうきょう)學院中等科女子部3年生。前髪を目の上で切り、お尻の高さまで伸ばしたストレートロングヘアをリボンでまとめたハーフアップにしている。たれ目で、丁寧なお嬢様口調で話す。実家が爵位の身分をお金で買った事により、多々良琴子や一部の人々には軽蔑されている。未來とは、ある日未來が御前賀悠那に意地悪され、服を汚して困っているのを発見し、ハンカチを貸した事で知り合った。しかし、その時にはすでに影憑に魅入られており、未來に声を掛けた事自体、誰かの手引きによるものであると、不審な発言をしている。その直後、影憑に嚙まれ、九条蘭自身も影憑と化してしまうが、事態を知った靑音海斗が駆けつけ、「雪清(せっせい)」で祓った事によって人間に戻り、一命を取り留めた。
教祖 (きょうそ)
大正100年の世界の住人。新興宗教「御影様教団」の教祖を務める年老いた男性。男性だが性自認は女性で、オネエ口調で話す。教団の存続のために影憑となり、人間や神憑の魂を「吸魂」という方法で食らう事で、寿命を延ばし続けている。そのため吸魂直後は容姿が若々しいが、その効果が切れると老人に戻ってしまう。また自分の命に限界を感じており、吸魂そのものにも罪悪感があった。若返っている時は、前髪を長く伸ばして真ん中で分けて額を見せ、腰まで伸ばしたストレートロングヘアを頭の高い位置で一つに結んだポニーテールにしている。忍者のような服を身につけ、武器は鎖鎌を使う。体も女性化を目指しており、若返った状態の体形は女性的で胸も大きいが、胸は偽物。さらに声も低く、黙っていれば女性とまちがえられるが、話し始めると男性である事が気づかれてしまうため、女性全般に強いコンプレックスがあり、特に若い女性に対しては攻撃的。ある夜、公園で「初音未來」と戦っていたところ、途中から初音が平成25年の住人の未來に入れ替わってしまう。しかしそれに気づかないまま追い詰めたところ、鏡音錬たち大日本帝国「神憑特殊桜小隊」の面々が駆けつけ、撤退せざるを得なくなる。その後は教団に戻り、入信者の若い女性たちを吸魂して生き続けていたが、事態を知った未來たちに追い詰められ、倒された。
集団・組織
御影様教団 (おかげさまきょうだん)
教祖が運営する新興宗教。もともとは奉仕活動を主体とした善良な人々の集まりだったが、最近は若くて美しい女性を手当たり次第に勧誘しており、さらに入信者が次々に姿を消すという、不審な動きをしている。世界のあらゆる事や人、物に「おかげさま」と言って感謝し合うという活動を行っており、入信すると初回特典として、ありとあらゆる悩みから解放される効能を持つ、世界に一つしかない手作りのお守りがプレゼントされる。しかし、これは折り紙で作ったワッペンにしか見えないうえ、世界に一つしかないと言いながら、状況によってはいくつもプレゼントされるという、おかしな点が多い。その実態は、影憑である教祖が自分の命と教団を維持するため、入信者たちの魂を食らう悪行を繰り返す危険な集団。最終的には、これを知った未來たちに滅ぼされた。
その他キーワード
神憑 (かみつき)
魂に、神様が憑りついている人間。靑音海斗、紅音鳴子、「初音未來」、鏡音錬、鏡音鈴などが該当する。神憑の人間にはそれぞれ違う神様が憑いており、神様の加護によってほかの生物よりも高い能力を得ている。対義語として「影憑」があり、これは神憑の天敵である。神憑には、影憑のような平和を脅かす悪しき者たちから帝都を守るという役目があり、初音たちが軍人となれたのは、神憑であった事が大きい。また神憑には、それぞれ「神器」という武器や特殊能力があり、たとえば初音の神器はお祓い棒「桜大弊(さくらおおぬさ)」である。
影憑 (かげつき)
人間の悪しき心を食い物にして、肥大化する化け物。あるいは、影憑に嚙まれ、自身も影憑となってしまった元人間。対義語として「神憑」があり、これは影憑の天敵である。影憑となってしまった人間は「桜大弊(さくらおおぬさ)」や「雪清(せっせい)」のような、神憑の持つお祓い能力のある神器を使う事で祓える。また、影憑になりかけた人間は影虫という生き物に魅入られるという前兆がある。たとえば、紅音鳴子と鏡音錬は、九条蘭の鞄に影虫がぎっしり入っていた事で、蘭の危機的状況を察した。
神器 (しんき)
「神憑」がそれぞれ持つ、「影憑」を倒すための武器。形状や能力は、神憑によって大きく異なる。たとえば、「初音未來」の神器はお祓い棒の「桜大弊(さくらおおぬさ)」だが、鏡音鈴の神器は、毒蛾である。ふだんは実体化しておらず、神憑が祓詞(はらえことば)に言霊を込める事で具現化する。しかし、これには鍛錬が必要で、初音の体に精神を宿してしまった直後の未來は、方法がよくわからずに桜大弊を出すのに苦労した。
クレジット
- 作曲
-
黒うさP/WhiteFlame
- 原作
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一斗 まる
- キャラクターデザイン
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一斗 まる