概要・あらすじ
霊が見える体質のため、いつも損ばかりしている主人公弐村剣輔は、ある日の放課後怨霊に追われている所を謎の美少女に助けられる。霊獣を操り怨霊たちを消滅させたその少女は、なんと政府の除霊専門機関でバイトする退魔師だったのだ。その体質と除霊の素質を見込まれた剣輔は、彼女に誘われるまま組織のメンバーに加わることに。
だが、彼を待ち受けていたのは生易しい除霊活動などではなく、世界の滅亡をかけた過酷な戦いだった。
登場人物・キャラクター
弐村 剣輔 (にむら けんすけ)
高校生。ルックスはそれなりにいいが、霊が見える体質のため昔から変人扱いされ続け、恋愛経験がない。悪霊から追いかけられている最中、退魔師の少女・土宮神楽に出会う。神楽に霊感と勇気を買われ、政府の除霊組織である対策室でバイトをしないかと進められてしまう。幼い頃から剣術家の両親から剣を叩き込まれたため、戦闘では退魔刀である舞蹴レボリューションを使う。 闇の家系に生まれ、退魔師としての悲運な宿命抱えた神楽を救いたいと思うようになる。物語の終盤、自身に霊力を吸収する特殊能力があることが発覚し、神楽とともに九尾の狐による世界滅亡を食い止めようとする。
土宮 神楽 (つちみや かぐら)
主人公弐村剣輔を対策室に誘った退魔師。スレンダーでかなりの美少女。日本の霊的守護を担ってきた帝家の影で、常に荒事を任されてきた土宮家の28代目当主。土宮家の頭首が代々受け継いできた霊獣白叡を体内に宿している。白叡とは魂を鎖で繋がれており、「喰霊解放」の呪文とともに体外に出し、霊との戦いに使用する。 剣術、法術ともにずば抜けた才能を持つ。偶然出会った剣輔が自分のように霊が見え、しかも戦いから逃げ事に興味を抱き、友人になりたい一心で同じ高校に転校した。白叡の妖力を維持しするためだけに存在する呪われた家系に生まれながら、常に自分の未来を変えようと突き進む。
諫山 黄泉 (いさやま きよみ)
土宮神楽の姉のような存在。土宮家の分家に属し、10歳で母親を亡くした神楽を引き取り剣術や法術を伝授した。対策室のエージェントであったが、殺生石の妖力に憑りつかれてしまい、仲間や心霊業界の人間を70人以上を殺害したのち悪霊と化してしまう。宝刀に霊獣鵺を従え、首都滅亡のために地下に封印された不滅なるものの復活を企てる。 一度は主人公弐村剣輔や神楽によって消滅させられたが、九尾の狐の地球滅亡プランが発動した際、その鍵を握る巫女として選ばれ、魂が蘇った。
飯綱 紀之 (いづな のりゆき)
諫山黄泉の元許嫁。元対策室のエージェント。現在は心霊業界の情報屋をしている。管狐を連れており、情報収集や戦闘で使用する。全国を放浪して詐欺まがいの除霊をしたり、女性に目がなかったりとかなりダメ人間に思われるが、実は頭がキレ、戦闘能力や法術・封印術に長けている。悪霊化した黄泉から逃げ出してしまった自分を責め続けていたが、黄泉の魂が蘇ったあとは、自らの命を犠牲にして守った。
忌野 静流 (いまわの しずる)
主人公弐村剣輔、土宮神楽の戦友。陰陽道と対立の立場にある、呪禁道宗家(じゅごんどうそうけ)の次期頭首。鉄刀に宿る雷獣「黒四駑(九ロフォード)」を操る退魔師。突如剣輔たちの高校に転校してきた。幼い頃から人を殺すような過酷な環境で育ってきたため、なかり危険な少女。 殺生石を集め九尾の妖力を得ようとしており、家系、目的ともに敵対関係である神楽を挑発してくる。姉が父親を虐殺し、自分も命を狙われるようになるが、神楽たち対策室メンバーに助けられた。剣輔たちと行動をともにするようになり、徐々に心を開くようになる。神楽とはいつも口喧嘩をしているが、強い絆で繋がっている。 後に、フリーの退魔師として飯綱紀之と各地を旅し、民間から依頼された除霊活動を行って稼ぐようになる。
帝 京子 (みかど きょうこ)
対策室室長である峰不死子の孫。帝綜左衛門の実妹。安倍晴明を祖とする土御門家が母体の陰陽道本家の娘。式神使いで法術も使う。京都から上京した後、主人公弐村剣輔や土宮神楽と共に除霊活動を行っている。神楽や剣輔の力を認めながらも、常に負けたくないと思い努力を重ねるなどプライドが高い。 神楽たちの一つ年下で、後に同じ高校に入学してきた。
岩端 晃司 (いわはた こうじ)
対策室の現場責任者で優秀な退魔師。土宮神楽と行動を共にし除霊活動を行っている。陸上自衛隊を経て海外の傭兵会社を渡り歩いた軍人くずれだったが、その霊感を見込ま対策室にスカウトされた。神楽や飯綱紀之からはホモだと思われており、弐村剣輔に好意があるとよおくネタにされている。
忌野 刹那 (いまわの せつな)
忌野静流の実姉。父親を殺し呪禁道を総率した。霊獣水狐(すいこ)を操る。チベットの寺院で、人の思考が読める「サトリの眼」を手に入れてしまったため、自分の威厳を案じた父から何度も殺されそうになる。父から逃れるため世界各地を逃亡した末、紛争地帯にたどり着く。そこで忠誠者を集めた後に日本に帰国し、父親に対しクーデターを起こした。 九尾の妖力を得て、不死の身体やこの世界における永遠の戦闘を望んでいる。
三途河 カズヒロ (みとがわ かずひろ)
諫山黄泉に殺生石を渡し、悪霊化させた張本人。代々殺生石の探索と保管を担う家系に生まれた。バチカンの封印された書庫で、九尾の先代継承者玉藻御前に出会い、亡くなった母親を生き返らせるという条件で御前の後継者を見つけるという使命を与えられた。九尾復活のため黄泉に殺生石を与え利用することになる。 霊の動きを封じる退魔手裏剣の使い手。殺生石の力によって若さを保っている。
狸 (たぬき)
主人公弐村剣輔の霊獣。霊感の強い衝立て狸。恋人の狸が街で殺生石を拾って悪霊化してしまい、そこに居合わせた剣輔を殺そうとしたのを、塗り壁に変身して助けた。恋人を失ったあと、剣輔に拾われ霊獣としての役割を担っている。塗り壁意外の変身は得意じゃないが、何度も剣輔のピンチを救ってきた頼りになる狸。 鳴き声は「ポゴ」。
帝 綜左衛門 (みかど そうざえもん)
帝京子の実兄。陰陽道本家の跡取り。対策室関西支部の次期室長。「朱悪津(シュワルツ)」という巨大な式神を操る。奈落(封鎖地区)の消滅に当たり京都から上京、自ら志願して対策室の室長に就任した。奈落の出現で世間が霊の存在を認知しはじめたのを機に、歴史の影で身を削ってきた退魔師の宿命を変えたいと願っている。 言葉や態度は冷たいが、心優しい性格。自分に惚れている滝口ツイナを長年あしらっていたが、最後は自らプロポーズしている。
滝口 ツイナ (たきぐち ついな)
飯綱紀之の弟子。主人公弐村剣輔同様、相手の霊気を吸い取る能力を持つ退魔師。自らも開発に携わった霊気吸収ロボット「武庵駄無(ヴァンダム)」も操る。帝綜左衛門に長い事片想いしており、彼の愛の言葉を、強い能力を出すための原動力としている。世界滅亡をかけた戦いでは、白き巫女に選ばれた土宮神楽の護衛として剣輔とともに活躍した。
磯山 泉 (いそやま いずみ)
主人公弐村剣輔の高校に転校してきた謎の少女。九尾の暴走の被災者で、その時父親を亡くしている。見た目が諫山黄泉と瓜二つな事から剣輔に警戒されている。実は九尾の暴走の際に黄泉の魂と同化してしまい、本人の気づかない所で魂の完全な融合が進んでしまっていた。黄泉の感情が働き、土宮神楽に対して友情以上の強い気持ちを抱くようになってしまい、自分を同性愛者であると思い込み戸惑うようになる。
峰 不死子 (みね ふじこ)
帝京子、帝綜左衛門の祖母。超自然対策室室長。陰陽道の本家で、古来より日本の霊的守護を担ってきた帝家に属する退魔師。戦後、政府にコネを作り除霊専門機関である対策室を立ち上げた人物。複数の飛び道具を霊力で操って戦う。
マイケル小原 (まいけるこはら)
オーストラリア出身のフリーの刀匠。主人公弐村剣輔の退魔刀である舞蹴レボリューション(マイケルレボリューション)の生みの親でもある。自身も中級クラスの霊能力者。退魔刀を作る際は、自らの霊気を込めながら数か月をかけ打ち上げる。群馬の山奥にフンドシ姿で暮らしている。対策室で使う武器のほとんどを製造している。
岡間 斬九郎 (おかま ざんくろう)
世界滅亡のカギを握る黒き巫女を護衛するため、奈落から遣わされた霊。数百年前の戦国時代に存在していた退魔師で、剣輔の前世である少年を拾い剣術を教えた。霊が見える少年の体質を見込んで、ともに除霊活動の旅を続けていたが、やがて殺生石の妖力に憑りつかれ悪霊化してしまい、少年によって斬られたという過去がある。 白き御子の護衛として対立関係にある剣輔とは因縁めいた戦いを繰り広げたが、最終的に麒麟の攻撃から土宮神楽や剣輔を庇い消滅した。
土地神 (とちがみ)
九尾の狐による世界滅亡プランが発動した後、土宮神楽や諫山黄泉の前に現れ、滅亡の鍵は2人が握っていると伝える。古の大地から生まれた完全な霊体であり、消滅することはない。大地の記録係とも呼ばれている。
白叡 (びゃくえい)
『喰霊』に登場する霊獣。土宮神楽が操る霊獣。千年以上に渡って、土宮家の頭首の体内に受け継がれてきた。「喰霊解放」の呪文とともに体内から現れ、零体を食べてしまう。もともとは九尾の狐の魂のカケラである殺生石から生まれた不死なる獣だが、政府の大規模な対策によって個人の体内に封印し、除霊のために使役されるようになった。 身体に維持し続ける術者は相当の霊力が必要とされるので、早死にする運命と言われている。
九尾の狐 (きゅうびのきつね)
『喰霊』に登場する霊獣。千年前の京都に突如現れた大妖怪。実は大地が産んだ下浄化装置であり、人間の憎悪を一定まで吸収すると、世界を滅ぼすようプログラミングされている。世界が誕生したその日から存在し、長きにわたり輪廻転生の基盤となる霊脈を守りつづけ、いつか全てを無に帰すことが決まっている。
土宮 瑠璃 (つちみや るり)
土宮神楽の祖母。土宮家24代目当主。戦争の空襲で両親を亡くし、白叡を受け継いだ。峰不死子とともに政府にコネを作り、日本に除霊専門機関をを作るのに貢献した。
帝 伊右衛門 (みかど いえもん)
帝京子、帝綜左衛門の祖父。陰陽道本家の血筋。環境省超自然対策室の関西支部室長。最強の式神使い。
田中 (たなか)
主人公弐村剣輔の友人。高校では剣輔の一番親しい友人に当たり、剣輔が霊感体質である事や、そのために恋愛が上手くいかない事をよくからかっている。基本的に細かいことは気にしない、いい加減な性格で、かなりのお調子者。霊は見えない体質でありながら、ネット上で心霊コンサルティングというサービスを立ち上げ、土宮神楽と剣輔、磯山泉とともに除霊活動を行った。
土宮家 (つちみやけ)
土宮神楽の血筋。千年に渡って日本の霊的守護のため存在してきた闇の家系。頭首になる者は、霊を喰いつくしてしまう忌まわしき霊獣白叡を身体に封印・保管しなくてはいけない。その強力な霊力を身体に維持し続けるため、頭首は早死にする宿命にある。土宮神楽は28代目頭首。歴史の裏で、ただ白叡を維持するために存在してきたため、心霊業界では呪われた家系と呼ばれる。
不滅なる者 (ふめつなるもの)
森羅万象を司る大地の精。巨大な身体に長い鼻をしており、日本では古くから天狗の名で呼ばれている。善悪や生死の概念からもはけ離れた完全な霊体。何百年も日比谷公園の地下に封印されていたが、諫山黄泉によって封印が解かれる。主人公・弐村剣輔や土宮神楽によって首都壊滅前に封印することができたが、その叫び声で、全国に眠っていた殺生石を呼び覚ましてしまった。
玉藻御前 (たまもごぜん)
千年前の妖術師。京を闇に落とした九尾の狐の先代継承者。古から自分の後継者を待ち望んでおり、狐の魂のカケラである殺生石を集めきった者にその権利を与えると宣言している。最後の殺生石を巡る戦いの幹事を三途河カズヒロに任せた。
集団・組織
超自然対策室
『喰霊』に登場する組織。環境省の除霊組織で、オカルト専門機関。古くから国家の霊的守護のため存在してきた機密組織。その裏では常に土宮家が関わっており、頭首が身体の中に受け継いでいく最強霊獣、白叡を頼りに除霊活動をしてきた。
呪禁道 (じゅごんどう)
『喰霊』に登場する組織。忌野静流が属する組織。古来に陰陽五行論などを背景に発展した日本独自の道教呪術であり、呪術的医療機関でもあったが、奈良時代末期に吉備真備によって廃止され陰陽道に吸収された。その後長い歴史を経て政権を追われる事になり、多くが海外へと逃亡、暗黒街に身をひそめた末に現在では武器密売の巨大組織となった。
陰陽道長老会 (おんみょうどうちょうろうかい)
『喰霊』に登場する組織。陰陽道分家の当主4人で構成された組織。それぞれが対策室の各支部室長であり、北海道、東北、関西、九州・四国にそれぞれ拠点を持つ。
場所
玉藻の庭
殺生石と繋がる異次元世界。玉藻御前によって生み出されたプライベートガーデンで、殺生石を持ってる人物が霊体にならないと出入りできない。ここで、忌野刹那、土宮神楽による九尾の狐の継承を懸けた戦いが行われた。
奈落 (ならく)
東京中心に出来た世界最大の心霊スポット。九尾の狐が暴走した結果、瘴気がまき散らされて悪霊が大量に引き寄せられたため、対策室により応急的に結界が張られた。はじめただの封鎖地区と呼ばれていたが、次第に「奈落」の名で呼ばれるようになる。
その他キーワード
殺生石 (さっしょうせき)
千年前、京都に現れた大妖怪九尾の狐の魂のかけら。九尾が陰陽師に殺された際、魂が妖力の結晶となって各地に散らばったもの。全部で10個存在する。物の怪へと姿を変え、日本全国に災いをもたらしてきたが、長い間妖力を失い眠っていた。人体に埋めると悪霊化してしまう。悪霊化を呪術で阻止できても、強い妖力が身体から垂れ流しになってしまうため、自然に霊を集めてしまう。 10個集め切った者が、九尾の力を手に入れることができる。