概要・あらすじ
静かな田舎の村、十三里村は、その地下に建設されている地下都市によって平和な暮らしを壊されようとしていた。建設に反対する村人たちは、地下都市の秘密を探ろうとする2重スパイに煽動され、暴徒となって地下都市を占拠するの。一方、大量破壊兵器の発明者たちが、それぞれの遺書で同じように警告を書き残した謎の存在、デモノバースの正体をつきとめるため村を訪れたヒゲオヤジは、地下都市でついにデモノバースと対面する。
登場人物・キャラクター
福井 英二 (ふくい えいじ)
『地球の悪魔』の主人公のひとり。福井英三の双子の兄。ボクシングを習っている。村の暮らしを壊す地下都市の建設に反対していたが、高野博士の話を聞き、条件付きの交渉をする道を探る。
福井 英三 (ふくい えいぞう)
『地球の悪魔』の主人公のひとり。福井英二の双子の弟。地下都市建設の工事場のトラックにはねられて死んだ孝行息子、謙吉の友だち。スパイである村のパチンコ屋、ニコニコパチンコのおやじにあやつられ、地下都市を襲う暴徒の仲間になった。
ヒゲオヤジ
『地球の悪魔』の主人公のひとり。私立探偵。なぞの怪人デモノバースを捕らえるために十三里村を訪れる。手塚治虫作品のレギュラー・キャラクター。
高野 (たかの)
工学博士。十三里村に原爆戦を人類が生き延びるための地下都市を建設する。酒におぼれた生活を妹にたしなめられている。自分でも気がつかぬまま、破壊兵器を地下都市に設置する。仮面をかぶった怪人デモノバースとしてヒゲオヤジの前に現れる。
高野 スミ子 (たかの すみこ)
高野の妹。兄が建設している地下都市工事の犠牲となった謙吉に変装して、その母の前に現れる。兄の死後は、その養女となり謙吉に変わって孝行をする。
デモノバース
英語のデモン・オブ・アース(地球の悪魔)からきている。地下都市でヒゲオヤジの前に現れた仮面の怪人。みずからをデモノバースと名のる。ガンマ線の武器を備えた地下都市の建設者、高野博士がその正体。また、デモノバースは、原爆の発明者の一人、エマー博士、水爆の発明者、ログレ博士、さらにコバルト爆弾の発明者がそれぞれの遺書で、同じように警告した謎の存在でもあった。 高野博士の遺書によれば、地球人の頭に寄生して殺人的発明を重ねさせ人間を自滅させようとする地球外の存在である。一方で、高野博士を診察したことがある村の医師、手塚藪虫によれば、博士は脳に大きな癌があり、そのせいで二重人格者になったのではないかという説明がなされている。
馬場 (ばば)
タヌキが多く住む十三里村でオタヌキ教をひろめる修験者。実在のマンガ家、馬場のぼるがモデル。
手塚 藪虫 (てづか やぶむし)
十三里村の医師。トラックにはねられた村一番の孝行息子、謙吉の治療に向かうが、爆走するトラックの列に行く手を阻まれて、手遅れとなる。十三里村に地下都市を建設しようとした高野博士が仮面の怪人デモノバースとなったことについて、脳腫瘍による二重人格と推測する。
ニコニコパチンコのおやじ
パチンコ屋をアジトに、ミス・ゾルゲとともに地下都市建設の反対派をあやつり、地下都市の秘密を探る二重スパイ。造形は手塚治虫作品のレギュラー・キャラクター、ハム・エッグ。
ミス・ゾルゲ
パチンコやをアジトに、ニコニコパチンコのおやじとともに地下都市建設の反対派をあやつり、地下都市の秘密を探る二重スパイ。
謙吉 (けんきち)
村一番の孝行息子であったが、高野博士が進める地下都市建設のトラックにはねられて死亡。
花丸 (はなまる)
高野博士の友人。
場所
十三里村
福井英二と福井英三が住む小さな村。地球滅亡の危機に備えるという名目で、地下要塞の建設が進められている。
地下都市
工学博士高野が人生をかけて十三里村の地下に建設を進める。原爆戦にそなえて、人々が地下で生きられるように設計され、山や野を模したパノラマや電気仕掛けの鳥や蝶、日光浴のための施設、さらには美術、芸術品を保管する建物もあり、高野博士は平和のための発明とするが、デモノバースにあやつられた博士は、自分でも気がつかぬまま破壊兵器をそなえた要塞都市としてしまっていた。