概要・あらすじ
その身に殻をまとうように増築を続ける外殻都市。今ではその存在すら忘れられたその都市で、管理官として働く1組の男女が今日も調査に向かっていた。別居中の夫が自分のクローンを作って殺害しているとうったえる妻。妻に一言伝えるためだけに死体となっても逃走する男。調査中彼らはさまざまな人々とその想いに遭遇する。
登場人物・キャラクター
女管理官 (おんなかんりかん)
黒髪でショートカットの女性。外殻都市の管理官として任務をこなす。任務で銃を扱うこともあるが、危険な場面でも冷静に行動できる人物。
男管理官 (おとこかんりかん)
いつもうかない表情の男性管理官。女管理官とコンビを組んで任務にあたることが多く、車で移動する際は運転を担当する。女管理官に比べるとややおっちょこちょいで頼りない。
路上生活孤児の少女 (ろじょうせいかつこじのしょうじょ)
第2話「3年間の神」に登場する少女。路上生活孤児で餓死直前のところを、ある男に買われる。その男は3年で死に至る原因不明の性病にかかっており、少女も感染することとなる。
丙種遺体の男 (へいしゅいたいのおとこ)
第3話「生死者の聲」に登場する人物。北方戦域から遺体として送還された男性。丙種遺体と呼ばれるいわゆるゾンビとなって甦り、徴兵後すぐに離婚した妻に一言伝えるため逃走する。
渉猟子の少女 (しょうりょうしのしょうじょ)
第7話「渉猟子の愛」に登場する少女。生きた書庫として作られる渉猟子の少女で、愛玩家具として男に買われていた。暗唱した本が、外殻都市において発禁本に指定されているものだったため、管理官のもとへ送られてきた。
場所
外殻都市 (がいかくとし)
都市の上に都市を重ねる形で成長を続ける都市。グラスをふせたような形に殻構造のため、外殻都市と呼ばれる。上部階層を支える下部階層はいつ造られたのかさえ定かでないほど古い。下部階層は強度も低下しているため、定期的に調査し補強するが、もはや崩落を止められない地区もある。階層は15世代階層、17世代階層などの数字で呼ばれ、下層へ行くほど生活レベルは低下する。
その他キーワード
丙種遺体 (へいしゅいたい)
死後に甦った遺体のこと。いわゆるゾンビ。外殻都市にのみごくまれに発生するが、その存在は都市民には隠されている。意識はあり、しゃべることも可能だが、その体は気温が高ければ腐敗し、氷点下なら凍る。また、体から熱量を放出しないため、対人センサーには反応しない。
渉猟子 (しょうりょうし)
金持ちの道楽として作られる生きた書庫で、百万冊程度の本を暗唱する。地下生活者のクローン体などで作られ、朗読の優れているものは法外な値段で取引されている。しゃべることはできず、発声できるのはインプットされている本の暗唱のみだが、見た目は普通の人間で生活も通常どおりにできる。