変人のサラダボウル@comic

変人のサラダボウル@comic

平坂読の小説『変人のサラダボウル』のコミカライズ作品。現代の岐阜市を舞台に、貧乏探偵・鏑矢惣助と彼のもとに転がり込んできた異世界の皇女サラ・ダ・オディン、そして二人を取り巻く変人たちが巻き起こすさまざまな騒動を描いたファンタジー群像喜劇。ホームレス女騎士、宗教団体の教祖さま、夢見る風俗嬢など、個性豊かなキャラクターが次々と登場する。また、有名作品のパロディや、インターネットミームなどのネタが間断なく繰り出される点も特徴となっている。小学館のWebサイト「サンデーうぇぶり」で2022年9月27日から連載の作品。2024年4月4日から原作小説のテレビアニメ版『変人のサラダボウル』がTBS、CBCテレビ、とちぎテレビ、BS11、AT-Xで放送。鏑矢惣助を古川慎、サラ・ダ・オディンを矢野妃菜喜が演じている。2024年4月から一定期間、テレビアニメ版と岐阜バスのコラボレーションが行われ、ラッピング車両が運行された。また、同年5月から一定期間、テレビアニメ版とJR東海のコラボレーション「そなたが東海道新幹線で岐阜へ向かうフラグが立っておる件。」が実施された。

正式名称
変人のサラダボウル@comic
ふりがな
へんじんのさらだぼうるあっとこみっく
原作者
平坂 読
作画
ジャンル
日常
 
転生
レーベル
サンデーうぇぶりコミックス(小学館)
巻数
既刊5巻
関連商品
Amazon 楽天 小学館eコミックストア

貧乏探偵×異世界の皇女

汚い手段もいとわない大手探偵社に勤めていた鏑矢惣助は、物語に登場するような正義の名探偵への憧憬を胸に退職し、鏑矢探偵事務所を設立する。しかし、お世辞にも繁盛しているとは言い難く、貧しい生活を強いられていた。舞い込んでくる依頼も浮気調査、いじめ調査などの興味のない案件ばかりで、警察に協力して難事件に立ち向かう正義の探偵の姿とは程遠い状況だった。そんな惣助の前に突然、異世界の皇女サラ・ダ・オディンが現れる。惣助は漫画を読んで探偵に興味を持ったサラに、現実の探偵はヒーローではないと訴えるが、「自分が正義の名探偵になる」「世のため人のために働いてこそ正義の名探偵」と主張して止まないサラに感化され、決意を新たにして探偵業に取り組むようになる。

変人たちが岐阜市で繰り広げる群像喜劇

『変人のサラダボウル』に登場するキャラクターは、バッタを食べて飢えを凌ぐホームレス女騎士リヴィア・ド・ウーディス、リヴィアを救世主と崇めるカルト宗教団体の指導者・皆神望愛、上京の資金を風俗店で稼ぐミュージシャン志望の少女「プリケツ(弓指明日美)」など、アクが強く個性的な人物ばかり。このような変人たちの生活にスポットライトが当たるエピソードも多く、愉快な群像喜劇として楽しめる。また、岐阜県出身の原作者による自虐ネタ、ご当地ネタが盛り込まれている点も特徴で、黄金の織田信長公像や長良川などの名所、高級ブランド飛騨牛や喫茶店のモーニングサービスなどの名物も描かれている。現実の岐阜市も『変人のサラダボウル』を認知しており、ラッピング車両の運行など、聖地巡礼を後押しするコラボレーション企画も行われている。

有名作品のパロディがてんこ盛り

インターネットミーム化した有名作品のパロディが、次々と繰り出される軽妙な会話劇も本作の特徴となっている。『美味しんぼ』や「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ、「シャーロック・ホームズ」シリーズなど作品を挙げれば枚挙にいとまがないほどで、エンターテインメントに造詣が深いほど変人たちの会話劇を楽しむことができる。『名探偵コナン』に関しては、ネタが随所に散りばめられているのみならず、鏑矢惣助とサラ・ダ・オディンの人生に影響を与えたバイブルとして扱われている。たとえば、惣助が設立した鏑矢探偵事務所の階下ではカラオケ喫茶「らいてう」が営業しているが、これは『名探偵コナン』に登場する毛利探偵事務所と喫茶ポアロの位置関係と同じで、惣助も毛利探偵事務所を意識して物件を選んだことを認めている。

登場人物・キャラクター

鏑矢 惣助 (かぶらや そうすけ)

探偵事務所を営む男性。年齢は29歳。独身で恋人もいない。地味で目立たないが、それが尾行を生業とする探偵には長所となっている。システマという格闘技の心得があり、チンピラ相手ならば容易に制圧できる。かつて岐阜県で最大の草薙探偵事務所のエースだったが、交際中の人たちを引き離す「別れさせ工作員」を用意するなど、報酬のためなら罪なき者を不幸にすることもいとわない事務所の方針に反発し、理想の探偵になると啖呵を切って退職した。現在は岐阜市にあるビルの二階に住居を兼ねた鏑矢探偵事務所を構えているが、客足もまばらで貧しい生活を強いられている。ある日、異世界の皇女サラ・ダ・オディンと遭遇し、この世界の常識をまったく知らない彼女を置き去りにもできず、衣食住の面倒を見ることになる。当初、探偵業は子供がかかわるような仕事ではないとサラの協力を拒んでいたが、「成長期には情操教育より食生活の方が重要」という斜め上からの説得に屈して、二人三脚で貧乏からの脱却を目指すようになった。サラを相棒と認めているが、依頼人の前では助手と説明している。

サラ・ダ・オディン

異世界の皇女。年齢は13歳。金髪金眼で顔立ちは整っており、肌は真珠のように美しい。膝に届くほどのツインテールで、織田木瓜(おだもっこう)の髪飾りをつけている。古風な口調で、「妾」という一人称を用いる。魔術でケガを治したり、姿を消したり、空を飛んだりできる。封魔兵器を扱う反乱軍に追われ、「門(ポータル)」と呼ばれる穴から別世界へ亡命し、貧乏探偵・鏑矢惣助と出会う。半信半疑の惣助を説得するために得意の攻撃魔術で公園の遊具を爆破するなど、この世界の常識をまったく理解していないため、その倫理観は惣助から「ファンタジー仕様」と揶揄されている。脅迫まがいの交渉を経て、惣助の鏑矢探偵事務所に居座るようになった。一般人に対しては、スウェーデンからの留学生と説明しており、魔術についてはかたくなに中国拳法と言い張って誤魔化している。新しいものが好きで、いつもはゲームや漫画などの娯楽を楽しんでいる。特に『名探偵コナン』や、『三国志』を題材とした作品に夢中になっている。ウィキペディアなどで不要な知識を蓄えることにも熱心で、インターネットミームまで使いこなしている。「探偵業の業務の適正化に関する法律」を暗記するなど、生真面目で優秀な一面もあり、正義の名探偵を目指して半ば強引に探偵業を手伝うようになった。

クレジット

原作

平坂 読

キャラクター原案

カントク

書誌情報

変人のサラダボウル@comic 5巻 小学館〈サンデーうぇぶりコミックス〉

第1巻

(2023-02-10発行、 978-4098516407)

第2巻

(2023-06-12発行、 978-4098520947)

第3巻

(2023-11-10発行、 978-4098530113)

第4巻

(2024-04-12発行、 978-4098531998)

第5巻

(2024-06-11発行、 978-4098533435)

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