夏目アラタの結婚

夏目アラタの結婚

『第3のギデオン』の完結から約1年後に開始した、乃木坂太郎の連載作品。現代の日本を舞台に、児童相談所職員のアラタと、連続殺人事件の犯人とされる真珠との偶然の出会いから始まる物語。被害者遺族の少年から、「父の遺体のありかを探ってほしい」と依頼されたアラタは、彼女の気を引くために、とっさに「結婚しよう」と求婚。その後、面会中止を回避するため実際に婚姻届を提出したアラタは、真珠の無罪を信じる弁護士の宮前とともに、控訴審に向けた活動を始める。その過程で、虐待された真珠の過去や、事件の背景に隠された真実、「太ったピエロ」という犯人の特徴と華奢な真珠の姿の不一致など、様々な謎が浮かび上がっていく。本作は、ミステリーとサスペンスを基調とした人間ドラマである。「獄中結婚」という特殊な設定を軸に、アラタと真珠の心理戦や意外性のある展開が魅力となっている。また、現実の司法制度や児童福祉の仕組みに基づいたリアルな世界観が特徴となっている。小学館「ビッグコミックスペリオール」2019年14号から2024年4号まで連載。2020年に「次にくるマンガ大賞2020」コミックス部門U-NEXT特別賞、2025年に第70回「小学館漫画賞」を受賞。2024年9月6日に実写映画が公開された。

正式名称
夏目アラタの結婚
ふりがな
なつめあらたのけっこん
作者
ジャンル
その他恋愛・ラブコメ
 
サスペンス
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊12巻
関連商品
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作品の概要

基本情報

『第3のギデオン』の完結から約1年後に開始した、乃木坂太郎の連載作品。

要旨と舞台設定

舞台は現代の日本。児童相談所職員の夏目アラタが、連続殺人事件の犯人とされる品川真珠と獄中結婚し、事件の真相を解明していく過程を描く。アラタは事件の被害者遺族である少年の「父の遺体のありかを知りたい」という依頼を受け、真珠との面会に赴く。

ストーリー展開

面会ですぐに帰ろうとする真珠の気を引くため、とっさに「結婚しよう」と求婚したことから物語が動き出す。遺体のありかがわからない中、アラタは面会中止を回避するため、婚姻届を提出して真珠と夫婦になる。その後、真珠の無実を信じる弁護士の宮前光一と協力しながら、控訴審に向けた活動が始まる。その過程で、虐待されていた真珠の過去や、事件の背景に隠された真実、「太ったピエロ」という犯人の特徴と華奢な真珠の姿の不一致など、様々な謎が浮かび上がる。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、ミステリーとサスペンスを基調とした人間ドラマである。「獄中結婚」という特殊な設定を軸に、アラタと真珠の心理戦や意外性のある展開が魅力となっている。

世界観の構築と設定

本作は、現実の司法制度や児童福祉の仕組みに基づき、児童相談所の職務内容や、拘置所における面会制度、そして控訴審の法的手続きなどがリアルに描かれている。また、児童の虐待や家庭環境といった社会問題も作品の背景として組み込まれている点が特徴である。

連載状況

小学館「ビッグコミックスペリオール」2019年14号から2024年4号まで連載。

受賞歴

2020年「次にくるマンガ大賞2020」コミックス部門U-NEXT特別賞。

2025年第70回「小学館漫画賞」受賞。

メディアミックス情報

実写映画

2024年9月6日公開。監督は堤幸彦。主人公の夏目新を柳楽優弥、品川真珠を黒島結菜が演じる。

あらすじ

児童相談所に勤務する男、夏目新(アラタ)は担当児童の少年である山下卓斗から「自分の代わりにとある死刑囚に会いに行って欲しい」という依頼を受ける。その死刑囚とは、卓斗の父親を殺害し、死体をどこかに隠した連続殺人鬼の品川真珠。死体の隠し場所を探るため、アラタは拘置所にいる真珠と面会する。情報を引き出すために、アラタは真珠にプロポーズするという大胆な手段に出る。「どうせ死刑囚が釈放されることはない」と高をくくり、真珠を騙し通そうとするアラタ。しかし、高い知能を持つ真珠は、再審での無罪を勝ち取ろうと画策し始めるのだった。

登場人物・キャラクター

夏目 新 (あらた)

児童相談所に勤務する30代の独身男性。長身で細身。荒んだ家庭環境で育ち、両親や夫婦、婚姻といった関係には不信感を抱いている。深い洞察力を持ち、正義感も強い。しかし荒っぽい面もあり、自分の子供を虐待する親に暴力を振るうことも躊躇しない。児童相談所における自分の役割を、法律などに縛られずに動ける「鉄砲玉」だと表現している。担当児童の山下卓斗からの依頼で、死刑囚の品川真珠と接触。真珠に結婚を申し込み、自分に興味を引いて彼女から情報を引き出そうとする。

品川 真珠 (しながわ しんじゅ)

21歳の女性。四人の男性を殺害し、死体をどこかへ隠した罪で死刑判決を受け、再審のために拘置されている死刑囚。高校生の少女のようなあどけない容姿をしている。歯並びが悪く、一人称は「ボク」。犯行時は太っており、ピエロのメイクをして死体を解体していたところを逮捕されたことで、「品川ピエロ」という呼び名をつけられている。生い立ちには謎が多く、学業的には落ちこぼれだった。しかし、現在では高い知能を持っており、自分に結婚を申し込んできた夏目新の目的にも気づいている様子がある。犯行に関しては無罪を主張しており、アラタや弁護士の宮前光一などを利用し、釈放されようとしている。

山下 卓斗 (やました たくと)

14歳の少年。品川真珠に父親を殺害され、死体の首をどこかへ隠されている。真珠から死体の隠し場所を聞き出すために、児童相談所で自分の担当職員だった夏目新の名前を使い、真珠と文通を行っていた。その後、アラタに、真珠と直接会いに行ってほしいと依頼する。

宮前 光一 (みやまえ こういち)

品川真珠の私選弁護士。夏目新と同じくらいの長身の男性。かつて虐待されていた、少女時代の真珠と偶然出会ったことがある。真珠の生い立ちに同情心を抱いており、裁判では情状酌量を勝ち取ろうとしている。真珠からは「お人好し」と評されている。

書誌情報

夏目アラタの結婚 12巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2019-11-29発行、978-4098604845)

第2巻

(2020-03-30発行、978-4098606566)

第3巻

(2020-07-30発行、978-4098606825)

第4巻

(2020-11-30発行、978-4098607693)

第5巻

(2021-04-30発行、978-4098608720)

第6巻

(2021-08-30発行、978-4098611300)

第7巻

(2022-01-28発行、978-4098612383)

第8巻

(2022-06-30発行、978-4098613182)

第9巻

(2022-12-28発行、978-4098614882)

第10巻

(2023-04-28発行、978-4098616930)

第11巻

(2023-09-28発行、978-4098625260)

第12巻

(2024-03-29発行、978-4098626922)

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