「声優」をテーマにした業界ドラマ
本作は全編にわたって声優にスポットを当てたドラマが展開され、凰生為人をはじめとした声優たちが収録や芝居を行う際にそのアニメの背景が浮かび上がるなど、漫画ならではのさまざまな工夫が凝らされている。作者のひらかわあやは、学生時代に漫画家を目指す傍らで、放送部や朗読劇のクラブに所属しており、その時の経験が本作の制作に生かされていると語っている。なお、本作の巻末には、スペシャルサンクスとして声優事務所「青二プロダクション」の附属養成所である「青二塾」がクレジットされている。
ハイトーンボイスを武器に声優業界に挑む
凰生為人は容姿端麗・頭脳明晰・スポーツ万能で、大物政治家を父親に持つハイスペック高校生。しかし、傍若無人な態度でクラスメートたちを見下しているため、周囲から腫れ物扱いされている。また、女性のような独特なハイトーンボイスをからかわれているが、まったく気にも止めていなかった。そんな中、為人は人気声優として知られる中学生の隣人・春坂なりから、文化祭のアニメ研究会の出し物「ロミオとジュリエット」に、ジュリエット役として共演するように頼まれる。面倒事を嫌う為人は即座にその申し出を断ろうとするが、彼女が自分の内面を見抜いていたことに動揺し、勢いのまま共演を承諾してしまう。その結果、自らの空虚な人生に潤いを感じた為人は、声優という職業に興味を持ち、やがて七星プロダクションの附属養成所に所属し、本格的に声優業界へと足を踏み入れていく。
個性的な声優仲間と切磋琢磨しながら成長する
為人は入塾した「七星プロダクション附属声優養成所」で、お調子者ながら独自のハスキーボイスの持ち主・鳥羽嵐士や、その美しい所作が魅力ながら極端な上がり症という弱点を持つ天央翔など、個性的なメンバーと共に声優を目指すことになる。入塾後も為人の自己中心的な性格は変わらなかったが、慣れない環境ゆえにたびたびトラブルに巻き込まれる。また、なりや総世鳳也といった人気声優の圧倒的な才能に打ちのめされるなど、かつての順風満帆な生活とは程遠い境遇を強いられる。しかし為人の、声優という仕事に対する姿勢はどこまでも生真面目で、自身や仲間の隠れた才能を見いだし、声優業界に新たな風を吹き込む。
登場人物・キャラクター
凰生 為人 (いくるみ あくと)
偏差値72以上の超難関校「神王寺学園」に通う高校2年生の少年。声優事務所「七星プロダクション」に所属している。全国模試1位になるなど成績優秀のため、父親と同じ有名大学へ進学して財務省、政治家の道に進むと思われている。眉目秀麗で文武両道ながら、頑固かつ自己中心的な性格で、クラスメートたちを「ゴミ虫扱い」して見下しているため、彼らから距離を置かれている。女性のようなハイトーンボイスなことから、一部の生徒にからかわれている。しかし、凰生為人自身は周囲の声を気にも止めず、政治家になるべく勉強に励んでいる。そんな中、文化祭で春坂なりとアニメ「ロミオとジュリエット」の共演を経て、声優という仕事に興味を持ち、声優業界へと足を踏み入れる。七星プロダクションに所属するようになっても傍若無人な性格は変わらなかったが、個性を重視する芸能界では問題になることはなかった。その後、持ち前の行動力と責任感の強さから、養成所や声優業界でも信頼されるようになり、超人気声優の総世鳳也にも気に入られるなど、人間関係も改善していく。声優になるまではコンプレックスだったハイトーンボイスも強烈な個性になることを自覚し、その声を生かした演技で数々の女性キャラの役をみごとに演じている。また、声優を始めた頃は音痴だったが、なりが提案した訓練を受けて改善した。身長175センチで、血液型はA型。
春坂 なり (はるさか なり)
神王寺学園の中等部に通う少女。凰生為人のとなりの家に住んでいる。声優事務所「七星プロダクション」に所属している。弱冠13歳ながら男女問わずさまざまなキャラクターを完璧に演じ分けられるほどの技量を誇る。人気アニメの主役を演じていることから知名度も高く、世代を問わずファンも多い。また、さまざまな役を演じてきたことから、為人が内面に抱えていた孤独を指摘するなど、人の心の機微を敏感に察知することができる。声優という仕事に誇りを持っており、現状に妥協することはなく、つねに新しい役に挑戦することを信条としている。当初から才能ある存在として為人に注目していたが、彼の声が唯一無二の個性であることを認識すると、その声を生かすべく声優への道を勧めた。身長150センチで、血液型はB型。
書誌情報
天使とアクト!! 全17巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2015-04-17発行、978-4091258182)
第2巻
(2015-07-01発行、978-4091260246)
第3巻
(2015-09-01発行、978-4091262288)
第4巻
(2015-11-01発行、978-4091264817)
第5巻
(2016-02-01発行、978-4091268150)
第6巻
(2016-05-01発行、978-4091271402)
第7巻
(2016-08-01発行、978-4091273284)
第8巻
(2016-11-01発行、978-4091274175)
第9巻
(2017-01-01発行、978-4091274830)
第10巻
(2017-05-01発行、978-4091275721)
第11巻
(2017-08-01発行、978-4091276803)
第12巻
(2017-10-01発行、978-4091278555)
第13巻
(2018-01-01発行、978-4091280787)
第14巻
(2018-03-01発行、978-4091282095)
第15巻
(2018-05-01発行、978-4091282521)
第16巻
(2018-07-01発行、978-4091283382)
第17巻
(2018-08-17発行、978-4091283887)







