失楽園

超エリート校「私立ユートピア学園」への入学が決まったソラは、騎士になるという夢に向かって第一歩を踏み出せることに胸を高鳴らせていた。しかし、初登校日に彼女が目にしたのは、男子生徒の所有物として女子生徒が虐げられる現実だった。蒼井ツキから学園の現状を知らされたソラは、女子生徒たちを救うために対戦型仮想現実ゲーム「エグザクラン」への参加を試みるが、女子であるという理由で拒絶されてしまう。そんな中、「イクス」と名乗る仮面の少女から、エグザクラン参加に必要な手袋を授けられる。ソラは、友人の伊咲コハルを所有物のように扱う梶原シンジをエグザクランで打ち破り、改めて「女の子を守る正義の騎士」として戦う決意を固めるのだった。

私立ユートピア学園は、全国から優秀な生徒が集められ、英才教育が行われる超エリート校。「学園島」と呼ばれる島にあり、全寮制のため外部からほとんど隔離されている。しかし、その実態は歪んでおり、スポンサーである岩聖グループの意向により、徹底した男尊女卑の校風が敷かれている。そのため、男子生徒が女子生徒をまるで奴隷のように扱う状況が常態化していた。ただし、こうした環境下でも楽しんでいる男子は少なく、むしろ女子以上に苛立ちを募らせる者も多く、男子同士や女子同士の諍（いさか）いも絶えない。

「エグザクラン」は、私立ユートピア学園の一角を舞台に繰り広げられる、決闘形式の対戦型仮想現実ゲーム。男子生徒の娯楽と、女子生徒を虐げる目的で、ソラが入学する3年前に導入された。このゲームでは、「誓約」と呼ばれる儀式を通じて、女子が男子に固有の武器を授ける。男子はその武器を用いて1対1の決闘を行い、勝利すれば敗者から武器を奪うことができる。本来、エグザクランへの参加は男子のみが許されているが、ソラはイクスから譲り受けた手袋を使うことで、例外的に参加が可能となった。なお、武器が傷つくと、そのダメージが契約相手の女子にフィードバックされる。この特徴は、女子を所有物として扱う男子にとっては大きな問題ではないが、女子を守りたいと願うソラにとっては深刻な制約となっている。