概要・あらすじ
薬師(くすし)のコレットは、山間の村で毎日激務に追われて疲労困憊し、仕事から逃げたいあまり、つい井戸に飛び込んでしまう。そんな彼女がたどり着いた先は、なんと死後の世界「冥府」。強い衝撃を受けるコレットだが、王のハデスが深刻な病状にあると知り、彼の薬師として働くことになる。
登場人物・キャラクター
コレット
薬師(くすし)を務める17歳の少女。6歳の頃に流行り病で家族や親しい人を亡くし、ふさぎ込んでいた際に薬師のアンノと出会い、彼に憧れて薬師になった。前髪を眉の高さで切りそろえ、腰まで伸ばした金髪を三つ編みにしている。勤勉で一生懸命な働き者だったが、激務に心が折れ、衝動的に井戸に飛び込んでしまう。そして冥府にたどり着き、ハデスの治療を始めることになった。 職業こそ違うが仕事への強い熱意からハデスと通じ合い、彼を強く尊敬している。そのため、地上と冥府、2つの世界を行き来しながら活動することを決意する。
ハデス
冥府を治める若い男性の神様。ふんわりとした黒髪を目が隠れるほどに伸ばし、ひとつに結んでいる。自分のことよりも役目を優先する生真面目な性格で、ぶっきらぼうに見えるがコレットにも部下たちにも非常に優しい。冥府では亡くなった人間を「死後裁判」にかけ、善人か悪人を判断する役目を担っている。以前牢から脱走した悪人を取り押さえた際に日光を浴び、自身が太陽アレルギーであることを知る。 しかし症状を隠して一人で苦しんでいたところにコレットが現れ、彼女と親しくなっていく。投獄した悪人たちの管理も行っており、悪人たちの間では恐ろしい王として通っている。黄色いスイセンの花が好き。
ゼウス
コレットの勤める診療所に運ばれてきた若い男性。胸のあたりまで伸ばした長髪を低い位置でひとつに結び、左目の下にほくろがあるのが特徴。誤って毒キノコを食べて死にかけていたが運よく回復し、コレットを気に入り彼女と親しくなる。大の女好きでセクハラもするが、話し上手で人を楽しませるのが好き。正体は天界と空の王で、ハデスの弟。 冥府でのコレットのうわさを聞きつけやってきた。声を「猫なで声」と評されることから、周囲からは「タマ」と呼ばれている。過去に不正を働いたことから、ハデスに嫌われていると思い込んでいる。猫の姿に変身できる。
カロン
死者を運ぶ「舟渡し」を務める男性。黒ずくめの服装で全身を覆い、目元だけを露出させている。かつては天界で働いていたが、仕事にやりがいを見いだせず悩んでいたところにハデスと知り合う。その後、ある事件がきっかけで冥府で働くことになった。ハデスから特別な「加護」を2つ受けており、ハデスのことを強く慕っている。公正で物怖じしない性格で、ハデスからも仕事への姿勢を高く評価されている。
アンノ
コレットの師匠。薬師(くすし)を務める年配の男性で、遍歴医として旅をしている。コレットとは彼女が6歳の頃に出会い、流行り病で天涯孤独になった彼女と8年間一緒に暮らしながら薬師に育て上げた。コレットが噂になるほど優秀な薬師になったら再び会いに来るという約束を交わしていたが、その前に亡くなり冥府に送られる。30年前に妻を病気で亡くしているが、実際は病死ではなくアンノが彼女を殺害した疑いがある。
ヘラクレス
コレットの勤める診療所に運ばれてきた若い男性。行き倒れているところを運び込まれ、コレットと知り合う。短髪に獣の頭を模したフードつきマントを羽織り、目の下にクマのような化粧をしている。正体は半人半神の戦士で、毎晩家族が亡くなった日の夢を見て苦しめられており、悪夢から解放されるため旅をしていた。コレットの勧めでお茶に目覚める。
針子のガイコツ (はりこのがいこつ)
冥府でハデスの衣装を作る仕事をしているガイコツ。極端な人見知りで、針子部屋から出ずに暮らしている。針子という仕事に生きがいを感じており、尊敬するハデスのために日夜仕事に励んでいる。激務が原因でハデスの外出が減り、新しい服を必要としなくなっても、彼を想ってデザイン画を描きためていた。記憶力に優れ、自分のした仕事はすべて細かく覚えている。 コレットからは「ハリー」とあだ名で呼ばれている。
アポロン
光明と医療の神様。ハデスとゼウスのひとつ下の世代に当たる存在で、天界で薬師(くすし)を務めている。音楽・芸術・弓・牧畜などの多彩な才能を持つが、ある日突然バカンスに出かけてしまう。ゼウスはその間の代役としてコレットを指名し、コレットはアポロンが戻るまで天界で働くことになる。
ポーラ
コレットと共に働く新人薬師(くすし)の少女。前髪を真ん中で分け、肩につかない長さのボブヘアにバンダナを巻いている。コレット同様、薬師の証の青い服を着ている。腕前はまだ半人前で頼りないが、助産師不足からコレットと共に駆り出され、ミィナのお産を手伝うことになる。はじめは助産師の仕事に消極的だったが、次第に前向きになっていく。
セラ
コレットとともに働く新人薬師(くすし)の少年。前髪を眉の高さで切った短髪にバンダナを巻き、コレットとポーラ同様、薬師の証の青い服を着ている。ポーラと同時期にコレットの診療所に入り、腕前はまだ半人前で頼りない。しかしミィナのお産のためコレットとポーラが診療所を離れる間、一人残って診療を務めることになる。 はじめは業務に不安を感じていたが、激務にもめげず懸命に働くようになっていく。
柊 (ひいらぎ)
コレットが天界で知り合ったニンフ。アポロン宮殿の柊に宿った精で、コレットが天界で生活する間世話役を務めることになった。小柄で短髪、頭と首に柊の付いたアクセサリーをしている。子供のような容姿をしているが、長生きしており精神的には落ち着いている。クールで合理的な性格で、コレットの作業方針にはじめは納得していなかった。 しかし、コレットの人柄に触れ、次第に親しくなっていく。
ニケ
ゼウスの紹介でコレットの診療所にやってきた、勝利の女神。知恵と戦の女神アテナに仕えている。右から左に向かって斜めに分けた前髪を巻き、シニヨンヘアにしている、おっとりとしたかわいらしい雰囲気の人物。地上でのコレットの仕事ぶりを気に入り、天界で再会した後も好意的に接する。
ヘラ
アポロンの妻。前髪を左から右に向かって斜めに分け、ストレートロングヘアを腰まで伸ばしている。長い前髪で右目が隠れているのが特徴。奔放なアポロンに手を焼いており、非常に気が立っている。そのためコレットをアポロンの愛人と勘違いして襲いかかる。
メリノ
助産師を務める中年の女性。前髪を眉上で短く切り、髪をお団子にしてひとつにまとめている。体型はやや太め。骨折した部下の代わりにコレットとポーラに助産師の仕事を依頼する。助産師としてはベテランで、ミィナの出産まで、コレットとポーラの先生として講習することになる。
ミィナ
出産が迫る、妊娠中の若い女性。前髪を眉上で短く切り、胸のあたりまで伸ばしたストレートロングヘアをひとつに結んでいる。コレットとポーラがやってくるまでは、メリノと骨折した2人の助産師に診てもらっていた。そのため、助産未経験のコレットとポーラの存在に強い不安を感じている。自分自身よりもお腹の子供が注目されがちな現状に、密かに孤独を感じている。
豊穣神 (でめてる)
ハデスとゼウスの姉で、天界に暮らす豊穣の女神。前髪を上げて額を全開にし、ストレートロングヘアをいくつもの輪っかに巻いてまとめている。多忙なハデスとは150年ほど会っていなかったため、天界に訪れた彼の心境の変化に驚く。その際ハデスに彼の心を動かす、お気に入りの存在がいることを見抜く。
リュー
コレットとハデスが街に出た際に出会った18歳の男性。身体が弱く、頻繁に体調を崩すことをコンプレックスに感じている。しかしそれを気にしないコレットと出会い、彼女に結婚を申し込む。実家は裕福で、やや強引にコレットにアプローチをする。
ケルベロス
ハデスに仕える地獄の番犬。頭が3つある大きな黒い犬で、普段は獰猛。しかし、お腹がすくと「ケル」「ベロ」「スー」の3体に分裂し、かわいらしい子犬の姿に戻ってしまう。番犬としては優秀で、コレットのことも警戒している。
場所
冥府 (めいふ)
ハデスが治める死後の世界のこと。地下にあり、本来は亡者が暮らす場所だが、井戸に飛び込むことで、生きている人間も訪れることができる。死んだ人間はすべて冥府に送られ、ハデスの「死後裁判」を受ける。そこで善人と判定された者は天国に行けるが、悪人は冥府の牢屋に連れていかれてしまう。なかでも飛びぬけた悪と見なされた者たちが閉じ込められた「特別牢」なども存在する。
続編
コレットは死ぬことにした ―女神編― (これっとはしぬことにした めがみへん)
作者・幸村アルトの代表作『コレットは死ぬことにした』の続編。冥王ハデスとコレットが結ばれてから十数年後の、冥府や天界が主な舞台。女神ペルセポネとなったコレットとハデスの甘い結婚生活を描いた、ファンタジ... 関連ページ:コレットは死ぬことにした ―女神編―
書誌情報
コレットは死ぬことにした 20巻 白泉社〈花とゆめコミックス〉
第1巻
(2014-07-18発行、 978-4592213819)
第6巻
(2017-01-20発行、 978-4592213864)
第20巻
(2021-12-20発行、 978-4592223405)