概要・あらすじ
十六夜、カイ、ジェンドの3人は、それぞれ違う目的で幻想大陸と呼ばれる地を一緒に旅している。魔物による混乱が大きいこの大陸にあっては、当然魔物を倒すことが平和への道であり、人々の生活のためだと考えられていたが、十六夜だけは魔物との共存を主張していた。その言葉どおり、十六夜は無垢で純粋な気持ちで相手と接することで、この旅の中で何度もギスギスした人の心を溶かし、魔物とさえも仲良くなっていく。
そんな彼と共に旅をするカイとジェンドも次第に考えを改め、そして3人と接した人々もまた、前向きに生きる希望を抱いていく。
登場人物・キャラクター
十六夜 (いざよい)
13歳の少年だが、言動は年よりもだいぶ幼い。家の場所がわからない迷子で、故郷を探して旅をしている。感受性が豊かで、魔物に対して問答無用で攻撃を仕掛けようとするジェンドに対して毎回止めに入っている。魔物に関する件に関してはとにかく強情で、どんな危険な状況下にあっても考えを曲げることはない。そんな彼の優しさと純粋さに触れ、気性を和らげる魔物も少なくない。 もちろんこの思いは、魔物に対してのみならず、あらゆる生き物に対しても向けられ、話し合えば分かり合えることを強く信じている。
カイ
ノリが軽くて優しい青年。騎士と名乗っているが、どこの国の所属なのか、なぜ1人で行動をしているのかは誰にも明かしていない。剣の腕は一流だが、その信条は自分を守るための戦いである。3人の中で一番常識があり、まとめ役を担っている。ジェンドが十六夜を邪険に扱い、皆が分断されそうになるのを繋ぎとめるのも彼の役目。その一方で、かなりの女好きで芸達者。 もともと魔物は倒すというのが当たり前だと思っていたが、十六夜の考えに触れていくうちに、本当にこれでいいのかと考え始める。
ジェンド
魔物に一族を皆殺しにされたダークエルフの生き残り。だが彼自身にその記憶はなく、そう人から聞いただけのこと。もともと名乗る名も持ち合わせていなかったが、ジェンドの森で出会ったことから、十六夜に「ジェンド」と名付けられた。基本的に愛想が悪く、1人でいることを好む。剣の腕はカイを唸らせるほどに凄まじく、まともにぶつかり合ったら彼の右に出る者はまずいないとされる。 だが頭に血が上りやすいため、策に嵌(はま)りやすい一面も。魔物には強い恨みを抱いており、殺す対象としか認識していない。仲間には多少気は許しているようで、ふざけているカイに岩を投げつけてツッコミを入れる特技を持つ。
ツァル
正式にはケツァルコアトルという名前の魔物。怪我をしていたところを十六夜に助けられ、十六夜に懐いて一緒に行動するようになる。当然その時にもジェンドと一悶着あったが、とりあえず同行することに納得はされている。小さなヘビに羽が付いた姿で、十六夜の肩に乗れる大きさ。狂暴性はなく、戦闘でもほぼ役には立たない、マスコット的存在。 自身は喋れないが人の言葉は理解していて、一緒に泣いたり笑ったりする。
邪神竜 (じゃしんりゅう)
オッツ・キイム全土を魔物による混乱に陥れている魔物のボス。世界征服を企んでいる。ダークエルフはこの邪神竜によって滅ぼされた。
場所
オッツ・キイム (おっつきいむ)
『幻想大陸』の世界にある大陸を総称した呼び方。オッツ・キイム以外にも大陸があるのか、はたまたこの世界のすべてをオッツ・キイムと呼んでいるのかは不明。