海の大陸NOA

海の大陸NOA

遠い未来の地球にただ一つ残された島、サンクルスを舞台に、愉快な住人たちが面白おかしく過ごす日々を描く。「コミックボンボン」1996年11月号から1998年2月号まで連載された、じゅきあきらの初連載作品。

正式名称
海の大陸NOA
ふりがな
うみのたいりくのあ
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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概要・あらすじ

遠い未来、地球は天災によってそのほとんどが海に没し、サンクルスと呼ばれる一つの孤島が残るのみとなっていた。ある時、サンクルスに住むリュークたちは、天空に浮かぶ天空都市テラから落ちてきた少女マリアと、彼女の相棒である生物兵器ダイダロスを島の住人として迎え入れる。だが、マリアは天空都市テラにとって重要な存在であり、天空都市テラの支配者であるミカエル・シャークマンは、彼女を奪還すべく追手の生物兵器を送り込む。

しかし、追手の生物兵器はどれもこれも地味な特徴しか持たないため、サンクルスの濃い面々の前に翻弄されるのだった。

登場人物・キャラクター

リューク

サンクルスに住む少年。島のボスということになっている。思い込みが激しいうえに恐ろしくノリが良く、しばしば物語の展開を脱線させてしまう。一方で面倒見が良く、島の住人たちには弄られつつも慕われている。他の人間にはない特異体質をいくつも持っているが、盲腸を消去させることができる、時間をかけて静電気をためることにより帯電体質になるなど、そのほとんどが役に立たないものばかりである。

キッチェ

サンクルスに住む少女。リュークの妹的存在で、彼に匹敵するほどノリが良い。サンクルスに流れ着いた生物たちに対しても極めて自然に接し、よくボケている。しかしリュークやドーカイテイオーの奇行には時折頭を悩まされており、彼らに対してはツッコミ役に専念している。食いしん坊で、食べ物が絡むネタに敏感に反応する。

マリア

天空都市テラから落ちてきた少女。リュークやキッチェたちに救助され、共に暮らすことになる。常識を持ったまともな人物で、エキセントリックなサンクルスの住人に迎合するため、無理にボケることがある心優しい性格。生物実験の失敗作を自称しているが、ミカエル・シャークマンからは重要な存在と認識されているようで、彼女を奪還するために追手を差し向けられている。

ダイダロス

天空都市テラからマリアと共に落ちてきた生物兵器。翼の生えた犬のような外見をしている。マリアと同じく良識的な人物なのだが、犬という外見が災いして割とぞんざいに扱われてしまうことが多い。ミカエル・シャークマンからはマリアを連れて逃げた反逆者と認定されているようで、抹殺指令が下されているが、マリア奪還に比べると重要度は低い。

ドーカイテイオー

天空都市テラの生物実験の失敗作。ウマ科。性別は自称乙女で、ことあるごとにリュークに対して求愛している。ウマを素体にしているからか、無駄に体力と走力に優れている。アホで埋め尽くされているサンクルス島民の中でもひときわ奇行に走ることが多く、リュークに並ぶトラブルメーカーとして認識されている。極めて奇怪な身体組織で、何故か体内にタバコ屋さんや会議室が存在する。

謎の吟遊詩人 (なぞのぎんゆうしじん)

帽子とマントに身を包む、手のひらサイズの詩人。本作『海の大陸NOA』の語り部であり、現在の世界の成り立ちについて知っている。台詞は一切発さず、立て札を使って意思疎通を図っている。竪琴を奏でることで対象を眠らせるという特技を持つ。普段は傍観者に徹しているが、時折リュークの要請に応じて力を貸すことがある。

ダンボールマン

サンクルスの住人で、天空都市テラの生物実験の失敗作。みかんを収納する段ボールに手足が生えたような外見をしている。客人に対して収納されているみかんをプレゼントすることがあるが、オレンジと呼ばれるとショックを受けてしまう。不気味な笑いを浮かべては突拍子のない行動に出ることがある。

ティターン

サンクルスに住む岩の巨人。一体化している岩壁から顔と手が出ており、耳には綺麗な花が咲いている。顔は怖いが心優しい性格で、島民が困った時に頼られることが多く、リュークには「困った時のティターン頼み」と言われるほどである。

カップヌードルマン

その名の通り、カップヌードルの姿をした生物兵器。マリア奪還のため、天空都市テラから派遣された。理由は不明だが関西弁を喋る。自らの中にお湯を注ぎ、できあがったヌードルで敵を縛り上げる攻撃を得意とする。3分でできあがりと自称しているにもかかわらず2分後に攻撃を仕掛けたため、リュークに盛大に突っ込まれている。 「マグカップヌードルマン」という子供がいる。

3代目パンチパーマン (さんだいめぱんちぱーまん)

大仏のような姿をした生物で、マリア奪還のため天空都市テラから派遣された。背負っている光輪を使うことでパンチエネルギーと呼ばれる物質を寄生させ、如何なる生物をもパンチパーマに変えることができる。島のボスであるリュークに対し、島民をパンチパーマにされたくなければマリアをよこせと脅して次々に島民をパンチパーマにしていくが、全島民のパンチエネルギーを自分に集めたリュークの姿の前に降参。 4代目パンチパーマンの座をリュークに譲る。のちにリーゼントヘアとなり、「スッポンのひろし」と名乗るようになった。

睡魔 (すいま)

競泳選手の格好をした謎の生物。ビート板をサーフィンのように乗りこなす。上半身に顔が描かれており、心境に応じてそちらの表情が変化する。徹夜に励むリュークの前に現れ、美しい泳ぎ(スイム)を見せることで眠りに誘おうとする。

枕返し (まくらがえし)

天空都市テラから派遣された生物。子鬼のような外見をしている小心者。リュークが眠っている隙に近づいて、頭を乗せていた枕を足元に置いて逃げるという、おかしな奇襲を仕掛ける。この攻撃によりリュークは大いに驚いたが、驚いた理由はこの行いに何の意味があるのかわからないためだった。

もしも魔王 (もしもまおう)

天空都市テラから流されてきた生物。漂流して行き倒れていたところをドーカイテイオーに発見され、リュークたち島民に救助される。しかし実態はとんでもなくネガティブな男で、天空都市テラから流れてきた原因は身投げによるものだった。「もしも○○なら」という題材で嫌な想像をさせることで、リュークたちにじわじわと精神的ダメージを与えていく。

ミカエル・シャークマン (みかえるしゃーくまん)

天空都市テラの支配者として君臨している科学者。カプチーノが好物で、指令の際には常に持ち歩いている。物腰は優雅だが冷酷な男で、「月色の塔」と呼ばれる研究施設でマリアを実験素材として扱っていた。さらに、部下の科学者であったノエルを、自らの開発した生物兵器の頭脳に搭載させるため、殺害している。

ザクロチトセオー

ミカエル・シャークマンの側近を務める生物兵器。ウマ科。ドーカイテイオーを黒くしたような風貌を持つが、彼女とは対照的にシリアスな性格をしている。ミカエルには忠実で、彼のために先手を打って行動することもあるが、スタンドプレーを嫌うミカエルにはその姿勢を快く思われていない。

サミアド

天空都市テラで研究されていた、巨大なサボテンの姿をした生物兵器。一向につぼみを付けないので、例によって失敗作としてサンクルスに廃棄されたが、キッチェの懸命な介護によって無事につぼみを付ける。ザクロチトセオーの差し金によって成長の妨害をされるも、リュークとキッチェの活躍により花を開き、中から棘の生えた子供が生まれた。

ヘクトパスカル

天空都市テラの住人。ブラジル出身と自称している。ザクロチトセオーの命により、サミアドを破壊するためにサンクルスへ降り立つ。大型ハリケーンを自称しているが、大型ホースを持参しており、ひたすら放水することで腐らせるという地味な方法でサミアドを攻撃する。

ミリバール

天空都市テラの住人。ドーカイテイオー曰く、腕がパンパンで下腹が出ている女性。ザクロチトセオーの命により、サミアドを破壊するためにサンクルスへ降り立つ。「忘れ去られた大型タイフーン」を自称し、強風でつぼみを吹き飛ばすというやり方でサミアドの破壊を目論んだ。

梅雨田 雨男 (つゆた あめお)

天空都市テラの住人。「TTV(テラテレビ)」と呼ばれるテレビ局の台風実況アナウンサーで、暑苦しい外見をしている。ザクロチトセオーの命により、サミアドを破壊するためにサンクルスへ降り立つ。サミアドの破壊をキッチェに阻まれたため、「第1回水に流そう選手権」という企画を無理やり作り上げ、そのなかで放送的に危険なネタを連発した。

リューヤ

リュークの父親。典型的な放蕩親父で、リュークにサンクルスのボスの座を押しつけ、失われた大地を探すと称して旅に出ていた。こんな性格なので当然のごとくリュークには快く思われていないが、島民には慕われている。歯磨き粉を取りに来たという、しょうもない理由でサンクルスに帰還。それを怒ったリュークの反発を受けるが、仲直りを望むマリアの活躍である程度は打ち解けた。 ちなみに、リューヤ自身はいつもどおり、この事態をまったく気にかけてはいなかった。

巨大貝 (きょだいがい)

天空都市テラで開発された生物兵器。その名の通り巨大な貝の姿をしているが、何故か人間の手足が生えているので水陸問わず自由に移動できる。真珠を大量に作るというコンセプトで開発されたが、凶暴な性格のため地球の深海に沈められていた。「ウィ ムッシュ」が口癖で、その掛け声と共に目の前にあるものを手当たり次第に食べ始める。 その対象は人間すら含まれているため、極めて危険な生物と言える。捕食された生物は真珠と化してしまうが、真珠化する前に巨大貝を倒せば無傷で帰ってくる。

フェリア・スー (ふぇりあすー)

天空都市テラの住人。21歳のボーイッシュな女性で、自分の体重の2倍あるラーメンを完食したという武勇伝を持っている。天空都市テラではマリアの監視役を任されていたが、今では姉代わりとして慕われている。マリアを逃したとして指名手配されているダイダロスの抹殺のため、サンクルスを訪れる。しかしその真意は、サンクルスで発見された、恋人ノエルの死体を収めた柩を確認するためだった。

ノエル

天空都市テラの住人。「月色の塔」と呼ばれる研究機関に勤務する科学者だったが、ミカエル・シャークマンの手により殺害され、生物兵器の頭脳として使われてしまう。しかしその死体が、柩型の保存装置に格納されたままの状態で、サンクルスで発見される。フェリア・スーとは恋人同士で、彼女曰く、かっこ良く頭も良くて冷静、しかし説教くさくて偉そうで、時々人を見下す人物とのこと。

ヒジリ・アレックスローゼンフィールド (ひじりあれっくすろーぜんふぃーるど)

巨大空母「アトランティス号」の11代目艦長。2代目艦長であるヒジリ・カナメの子孫で、15000人もの連合艦隊を率いている。何らかの密命を帯びてサンクルスにやってきたが、そこで出会ったキッチェに一目惚れ。彼女が嫌がるにもかかわらず、強引に結婚しようと教会に連れ込もうとした。また、リュークをサンクルスの指導者だと認めようとせず、どちらがサンクルスのボスに相応しいかと、チキチキ第1回風船撃破サバイバル戦争などの熾烈な戦いを仕掛けてくる。

ヒジリ・カナメ (ひじりかなめ)

巨大空母「アトランティス号」の2代目艦長。サンクルス初代指導者の友人で、何故現在の地球がサンクルスを残して水没したかを知っている。子孫に対してカナメの書と呼ばれる記録を残し、その中には子孫に託した願いが記されている。ヒジリ・アレックスローゼンフィールドは、その願いを遂行するために行動していた。

ノア

サンクルスと天空都市テラの両方で神とあがめられているクジラ。大陸ほどの巨体で、頭部に一本の木が植えられている。ヒジリ・カナメの現役時代、すべての陸地が海に沈もうとした時、人類の切なる祈りに応えて顕現し、避難先であった天空都市テラやサンクルスの住民を津波から守ったという言い伝えがある。

中村 (なかむら)

サンクルスの住人。くたびれた中年サラリーマンのような容姿をしている。リュークとヒジリ・アレックスローゼンフィールドの選挙戦において、何故か2人を差し置いて当選を果たす。2人の対決を邪魔されたことを怒ったアレックスに銃撃された際には指で弾丸をつまみ取るなど、底知れない能力を見せる。さらに、彼が本気を出すと地球が破壊されると宣言したため、リュークとアレックスの間には、彼には極力関わらないようにするという合意が結ばれた。

集団・組織

FCサンクルス

天空都市テラの生物兵器たちがサンクルスに遊びに来た際に行った、サッカーの親善試合のために結成されたサンクルス代表チーム。フォワードにリュークとドーカイテイオー、ミッドフィールダーにダイダロス、ディフェンダーにキッチェとダンボールマン、ゴールキーパーにはマリアが選出されている。 個々の能力は高いが、ドーカイテイオーは何の役にも立たなかった。

FCテラれんごー

天空都市テラの生物兵器たちがサンクルスに遊びに来た際に行った、サッカーの親善試合のために結成された天空都市テラのメンバーによる代表チーム。フォワードにフェリア・スーと3代目パンチパーマン改め「スッポンのひろし」、ミッドフィールダーにミリバールとヘクトパスカル、ディフェンダーにもしも魔王、ゴールキーパーにはカップヌードルマンが加わっている。 ベテランであるヘクトパスカルの攻撃と、もしも魔王の精神攻撃によるディフェンスでFCサンクルスの面々を苦しめた。

場所

サンクルス

地球にただ一つ残された孤島。ほぼ砂浜と密林で構成されている。11年前、ウィルスが流行したことによって島民がほぼ全滅してしまった。現在は島のボスを引き継いだリュークと妹的存在であるキッチェが暮らしているが、それ以外の住人は皆、天空都市テラから廃棄された生物実験の失敗作である。

天空都市テラ (てんくうとしてら)

天高く浮かぶ、球型の都市。サンクルスとは対照的に近代的な施設が立ち並んでいる。現在は科学者であるミカエル・シャークマンによって統治され、「月色の塔」と呼ばれる研究施設では、ミカエル主導のもと、数多くの生物兵器が開発されている。

その他キーワード

大食い大会 (おおぐいたいかい)

サンクルスで行われている大会。サンクルスの温泉では月に一度温泉まんじゅうが大量発生するが、いずれそのまんじゅうが島を沈没させてしまうと誤解、危惧したリュークが、沈没を防ごうと発案した。対決というよりはお祭り的な側面が強く、キッチェのような食いしん坊にとってはありがたいイベントだが、島民は強制的に参加させられるうえに、最低でも30個のまんじゅうを食べなければならない。

水陸両用イカダ (すいりくりょうよういかだ)

冷戦状態にある親子仲を改善させる、と見せかけて油断させるためにリューヤがリュークにプレゼントしたイカダ。大地の磁力とイカダに内蔵された磁石が反発を起こし、その反発力が動力となり、陸上、水上構わず移動することができる。この画期的な機能によってリュークが心を開くだろうと思われたが、プレゼントする際にうっかりリュークをはねてしまい、プレゼントどころではなくなってしまう。

対・砲撃用選挙カー スティグマ2000 (たいほうげきようせんきょかー すてぃぐまにせん)

ヒジリ・アレックスローゼンフィールドが所有する機械兵器。リュークとの選挙戦において使用された。選挙カーと称しているが、二足歩行のマシンで、ミサイルが搭載されていたりと、明らかに選挙用ではない。見掛けは頑丈だが、リュークが試し切りとして使用した海斬剣で簡単に破壊されてしまう。

チキチキ第1回風船撃破サバイバル戦争 (ちきちきだいいっかいふうせんげきはさばいばるせんそう)

リュークとヒジリ・アレックスローゼンフィールドによる、島のボスの座をかけた決闘。サバイバル形式のチーム戦で、頭に付けた風船を割られると脱落と見なされ、リーダーの風船が割れた時点でゲームオーバーとなる。投石などの遠距離攻撃や武器の使用も認められている。リュークとアレックスの選挙戦が中村の乱入によって無効に終わったため、急きょ開催された。

海斬剣 (かいざんけん)

リュークが使用する必殺技。縄跳びをすることで身体に静電気をためていき、溜まった電気を剣に封入、斬りかかることで、対象に電撃と斬撃を同時に浴びせる。巨大貝との戦いの時に初めて使用されたが、最初に斬ったものが貝であるため貝斬剣と名付けられそうになる。それを恐れたリュークは海ごと巨大貝を斬ることで、海を斬る剣、すなわち海斬剣の名前を思いついた。 なお、威力は高いのだが、静電気をためるために膨大な時間がかかるという欠点がある。

円舞光輪脚 (えんぶこうりんきゃく)

キッチェが使用する、リューヤ直伝の空手技。身体を捻って回し蹴りを行い、その際に足から生み出される半月状の波動で離れた敵を攻撃する技。命中精度は高いが威力は低く、巨大貝に向かって使用されたが、ロクにダメージを与えられなかった。反面、迎撃には役立つようで、キッチェはこの技で流れてきたミサイルを撃ち落とす活躍を見せている。

ゴッドファーザー・ボム (ごっどふぁーざーぼむ)

リューヤが使用する必殺技。手のひらから風船のような球形のエネルギーを放出し、ぶつけた対象を爆破する。ゆるい見た目に反して、大木を根元から切断したり、艦船に穴をあけたりと破壊力は高い。密かにドーカイテイオーに伝授されており、彼女の朝食であるシジミ汁を奪い取ったリュークに向けて使用された。ダイダロスは、リューヤがこの技をドーカイテイオーに伝授した理由を、リュークに対するいやがらせであると推測している。

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