それでも町は廻っている

商店街「丸子商店街」を舞台に、メイド喫茶でアルバイトする女子高校生の嵐山歩鳥とその周辺の人々が繰り広げる少し不思議な日常生活を、時にミステリー要素を交えて描いたコメディ。「YK OURs(ヤングキングアワーズ)」2005年5月号から2016年11月号にかけて連載された作品。2013年に第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、2018年に第49回星雲賞コミック部門を受賞している。

正式名称
それでも町は廻っている
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
YK コミックス(少年画報社)
関連商品
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あらすじ

第1巻

高校1年生の嵐山歩鳥は、実の祖母のように慕っている磯端ウキが経営するメイド喫茶「シーサイド」でアルバイトをしている。そんなある日、メイド喫茶の仕事に関心のある友人の辰野俊子針原春江が「シーサイド」にやって来る。歩鳥はさっそく二人を接客するが、メイドに強いこだわりを持つ俊子は、歩鳥の接客態度を見過ごせずに、厳しく指導する。そして、思い人の真田広章が「シーサイド」の常連客だと知った俊子は、そのまま「シーサイド」でアルバイトをすることとなる。そんなある日、歩鳥は遅刻をしないようにいつもより早く起きて通学バスに乗ったため、そのまま車内で眠ってしまう。この通学バスには広章も乗っており、これを歩鳥との仲を深める絶好のチャンスだと考えた広章は、自分も眠ったふりをしてバスを乗り過ごす。結局二人は終点まで行き、その日は学校をさぼってしまう。その日一日、会話をしたことで過去のわだかまりも解け、二人は以前よりも親しくなるのだった。

第2巻

嵐山歩鳥は、叔父からもらった万年筆を粗末に扱って壊してしまい、怒られるのではないかと不安を感じていた。そこで歩鳥は推理小説賞に応募して賞金を手に入れ、同じ万年筆を買ってごまかそうと考える。しかし執筆した作品は一次選考にも残らず、落胆する。さらにその直後、歩鳥は交通事故に遭い、幽体離脱してしまう。そのまま天使たちに謎の場所まで連れていかれた歩鳥は、訳もわからぬまま、案内係を名乗る男性に出会い、ここが天国であることを知る。当初は物珍しさから天国の生活を楽しんでいた歩鳥だったが、望遠鏡を使って下界の様子を見たことで、自分が亡くなったことを実感して、深く落ち込んでしまう。そんな歩鳥を案内係が励ますが、そこで衝撃の事実が発覚する。歩鳥は死亡したことになっていたが、身体は無事で脳死状態にあったのである。しかもその後、脳が奇跡的に回復したため、蘇生できることになる。こうして歩鳥は下界に帰ることになり、天国での記憶は消されてしまう。そして目が覚めた歩鳥は、ひとまず万年筆は事故で壊れたということにして、事なきを得るのだった。

第3巻

尾谷高校の学園祭準備が始まり、紺双葉はステージ発表権を獲得する。双葉は学園祭でバンド演奏することを考えており、自らはボーカルとベースを担当し、残りの楽器ができる人材を探していた。そんな中、嵐山歩鳥辰野俊子に目を付けるが、双葉は二人が演奏できる楽器を勘違いしていた。キーボード担当の歩鳥が持って来たのはアコーディオンで、ギター担当の俊子が演奏できるのはヴァイオリンだったのである。結局演奏できるのは針原春江のドラムだけで、四人は勢いのままバンドを結成する。そして四人は迷走しながらも迎えた当日、「メイズ」というバンド名でメイド服を着て演奏するのだった。こうして学園祭も無事終了し、年が明けたある日、メイド喫茶「シーサイド」のホームページに犬の里親探しの依頼メールが送られて来る。「シーサイド」のホームページはふつうの喫茶店のものだったが、先日歩鳥が勝手に改造したために、探偵事務所のホームページのようになっていたのだ。俊子はこれに呆れつつも、歩鳥と共に不審な点の多いこのメールの調査を始める。

第4巻

嵐山歩鳥亀井堂静から、G県鬼保根(しこほね)村の埋蔵金のヒントを示した絵図を手に入れる。そこで歩鳥は、辰野俊子針原春江紺双葉嵐山猛を誘って鬼保根村へ向かう。歩鳥と猛以外は埋蔵金を探すことに興味はなく、一行は旅行を楽しんでいると、村人たちからの妙な視線を感じるようになる。そんな中、歩鳥たちは静から手に入れた絵図が実はイラストではなく、このあたりの地図であることに気づく。その地図を手掛かりに川沿いを歩いていくと、そこには洞穴があった。歩鳥たちは早速調査を始めるがなにも見つからず、その日は旅館に戻ることにする。しかしその夜、歩鳥たちは突如民宿の女性に呼び出され、車に乗せられる。一体どこに連れていかれるのかと怯える歩鳥たちだったが、着いた先は珍しい景色が一望できる山の上だった。鬼保根村は盆地で霧がたまるため、高いところから見下ろすと村の中に霧が集まり、それが湖のように見えるのだ。民宿の女性は歩鳥たちにこの景色を見せたかったのである。こうして旅行は埋蔵金が見つからずに終わるが、埋蔵金のことを夏休みの自由研究にしようと考えていた猛は慌ててしまう。

第5巻

嵐山猛たち比音(ひね)小学校4年3組の生徒は、学級新聞を作ることになった。そこで猛たちは校内の七不思議を調査することになるが、その一つに、中庭の観測池に「メッシー」と呼ばれる恐竜らしき生物が住んでいるというものがあった。この噂は10年前からのもので、猛は牧田隼人といっしょに周囲の人々に聞き込みを開始する。しかし、池の掃除をしている用務員の国見鳴彦からもめぼしい情報は得られず、調査は行き詰まる。しかし猛の真の目的は、池の中に生物がいるかどうかではなく、なぜ以前から噂されているのかを調べることだった。すると嵐山歩鳥が、10年前にメッシーを目撃したという女子高校生、糸峰角緒を連れて来る。角緒曰く、10年前のある日、突然鳴彦が池の中に恐竜がいると言い出した。角緒は信じていなかったが、後日、それらしき生物を目撃したのだという。この話を聞いた猛は改めて鳴彦に話を聞き、事件の真相を知る。それは鳴彦が自分が飼っている熱帯魚を観察池で泳がせていたところ、池にいる鮒をすべて食べてしまう。そこで鳴彦はこれをごまかすため、池の中に恐竜がいると噓をついたのだ。こうして「メッシー」の謎は解けるが、猛はこの真相をみんなが知ると、鳴彦が悪者になってしまうと考える。悩んだ末、猛はメッシーの正体とは、観測池に浮かんでいる藻を児童たちが恐竜と見間違えたものであるという、噓の記事を書くのだった。

第6巻

夏のある日、嵐山歩鳥は北陸地方にある母親の実家、綾鳥家に遊びに行くことになった。歩鳥が綾鳥家で過ごしていたある朝、歩鳥は近所の老人から、いとこの綾鳥真琴と勘違いされる。歩鳥は真琴の代わりにスイカを受け取るが、不注意からスイカを水路に落としてしまう。途方に暮れる歩鳥だったが、その直後真琴にプールに誘われ、スイカの件を忘れて遊びに行く。そこで真琴の思い人の有村奏也の話を聞いた歩鳥は、その名前の響きの美しさから、彼をイケメンの男子だと思い込んでしまう。そしてプールから出た二人は、真琴の友人のムーちゃんという少年に出会う。そのタイミングのよさに、歩鳥はムーちゃんは真琴に思いを寄せているのだろうと考える。さらに歩鳥にスイカを渡した老人はムーちゃんの祖父であることを知った歩鳥は、朝の出来事を二人に打ち明け、ムーちゃんにごまかしてもらうことにする。しかしその帰り道、歩鳥が落としたスイカのせいで水路が詰まり、道が水浸しになる事件が起きてしまう。これに責任を感じた歩鳥は、その夜こっそりスイカを回収しにいくが、スイカがあると思われた場所には、なぜか「有村奏也」と書かれたボールがあった。歩鳥はムーちゃんが、自分のライバルである奏也を陥れるためにボールを仕込んだと思い込むが、翌朝、衝撃の事実が発覚する。

第7巻

比音小学校4年3組ではカードゲーム「デーモンコロシアム」が大流行していた。そんな中、牧田隼人たちは4年4組の男子たちと、どちらのクラスの方がより「デーモンコロシアム」が強いかを張り合っていた。その結果、その場にいなかった嵐山猛と山本研一が、クラス代表として対戦することになってしまう。仕方なくそれに応じた猛は、カードデッキを強化するために友人たちと「亀井堂」へ向かう。そこにいた嵐山歩鳥が事情を知り、ゲームなどくだらないと言いながらも、猛が探しているカードを購入してプレゼントする。しかし、いざ試合が始まると隼人たちギャラリーは別の遊びを始めてしまい、猛と研一だけの真剣勝負が始まる。一方その頃、10年後ゲームに飽きてしまっても、ゲームにかかわってできた友人との関係は続くかもしれない、との話を亀井堂静から聞いて考えを改めた歩鳥は、静から余った「デーモンコロシアム」のカードを購入する。猛と研一の勝負は研一の勝利で終わるが、研一はこの勝負を引き分けとしてクラス同士の争いを回避。そしてすっかりなかよくなった二人は、いっしょに遊ぶようになる。そして帰宅後、歩鳥は早速猛に勝負を挑むが、あっさり負けてしまうのだった。

第8巻

嵐山歩鳥は映画研究会の鈴木隆洋に、クラブ説明会で上映する怪獣映画に出演してほしいと頼まれる。映画研究会はただでさえ会員が少ないうえに、主演を務める予定だった福沢晶がケガをしてしまい、困っているのだという。歩鳥は快くその申し出を引き受け、怪獣に「オヤコドン」と名付ける。しかし撮影中に森秋夏彦にぶつかり、夏彦は眼鏡を窓の下のひさしに落としてしまう。歩鳥たちは撮影を中断して拾いに行くが、ようやく回収した眼鏡は完全に割れて壊れていた。そんな中、歩鳥たちが部室に戻ると映画の主役である怪獣の模型が、一部を除いて壊されていた。これに隆洋は激怒するが、歩鳥たちは犯人が誰か察していた。模型は隆洋と丹波凛が二人で作ったものだが、隆洋が担当した部分だけが無傷だったのだ。そこで翌日、歩鳥は晶とメイド喫茶「シーサイド」に集まり、今後についての対策を練る。晶曰く、凛は以前から隆洋に思いを寄せており、二人で作った怪獣を非常に大切にしていた。しかしそこに晶のケガがあったとはいえ急に歩鳥が代役に決まり、さらに怪獣に勝手に名前を付けてしまったことで激怒。衝動的に怪獣を壊し、我に返ってから晶に相談しに来たのだという。悩んだ末、歩鳥はとある作戦に出る。

第9巻

年が明けたばかりのある日、嵐山家に松田旬作がやって来た。最近、丸子商店街の周辺では連続して不審火が発生しており、警察は放火犯人の似顔絵ポスターを配布していた。このポスターを受け取った嵐山歩鳥は、早速犯人を捕まえようと張り切るが、旬作は大反対する。歩鳥は不審火の発生場所を推測して、先回りして捕まえようとしていたのだ。そんな旬作の注意もむなしく、歩鳥は地域の大人たちといっしょに夜回りに出る。一方その頃、旬作たちはパトロール中に犯人が放火をする現場に出くわして犯人を捕まえ、事件は解決。しかし旬作は、これをあえて歩鳥には伝えないことにする。旬作は歩鳥に黙っていた方が、地域貢献になると考えたのである。そんなこととはつゆ知らぬ歩鳥は、放火犯が逮捕されたあとも夜回り当番を続けるのだった。

第10巻

春のある日、嵐山歩鳥は1年生の男子に告白される。歩鳥は動揺しつつも、以前から約束していた真田広章と釣りに出かけ、告白されたことを打ち明ける。その男子は先日歩鳥が出演した映画研究会の短編映画を鑑賞し、歩鳥に思いを寄せるようになったのだ。さらに、歩鳥が映画研究会の会員ではないことを知らぬまま、会員になってしまったのだという。これを聞いた広章はショックを受けて混乱するが、歩鳥はその男子と交際する気はまったくなかった。しかし、彼を傷つけたくないと考えており、交際を断るいい理由を探していた。それを知った広章は、自分たちが交際しているふりをすればいいのではないかと提案する。広章はこれがきっかけで、将来的に本当の交際や結婚に至るかもしれないと期待したのだ。しかし、これを言葉にする勇気はなく、結局どうやって断るのかは決まらないまま、二人は楽しい時間を過ごすのだった。

第11巻

ある冬の日、嵐山歩鳥嵐山猛とその友人たちの付き添いをすることになる。猛たちは学区外にある廃墟、旧区民センターで缶蹴りをしたかったのだが、学区外に出る時は保護者が必要なため、歩鳥がついていくことになった。しかし、いざ缶蹴りが始まってしばらくすると、牧田隼人は今日が塾の日だったことを思い出す。猛たちは早めに帰ることにするが、「高ブー」と「ハカセ」というあだ名の男子二人は、まだ隠れている最中だった。そこで歩鳥もいっしょに探しに行き、建物の中にいた高ブーらしき少年に声を掛ける。しかし歩鳥が彼を連れて戻ろうとすると、そこに別の男子が現れる。そのまま歩鳥たちは帰宅するが、歩鳥は自分が声を掛けた少年は、いったい誰だったのだろうかと疑問に思う。これを歩鳥が友人たちに話したのがきっかけで、旧区民センターには幽霊が出るという噂が広まる。そこで亀井堂静は、歩鳥といっしょにもう一度区民センターに向かい、真相に迫る。歩鳥は「高ブー」というあだ名から、太っている少年を連想したが、実際は建物に隠れていた細身の少年が「高ブー」で、呼びに来た小太りの少年が「ハカセ」でそれに気づかず勘違いし、幽霊に声を掛けたと思い込んでいたのだ。

第12巻

嵐山歩鳥辰野俊子からの依頼を受けて、最近俊子を付け回しているストーカーについて調査することになった。しかも俊子曰く、その正体は彼女の弟である辰野虎太郎らしい。虎太郎は犯人と同じ学生服を着ているうえ、隠れて撮影した俊子の写真を大量に持っていた。俊子は虎太郎が重度のシスターコンプレックスなのではないかと心配し、ひとまず虎太郎とストーカーが同一人物なのか確かめようとしていた。しかし歩鳥は、ストーカーを捕まえるよりも、俊子と真田広章が恋人のふりをして、虎太郎の気持ちを落ち着かせた方が手っ取り早いのではないかと提案する。そこで俊子は、虎太郎に広章を紹介しようとするが、虎太郎は衝撃の事実を口にする。最近虎太郎の友人の笹本恭一が俊子にあこがれているらしく、当初虎太郎は写真提供して応援するつもりだった。しかし恭一の行動は次第にエスカレートし、俊子を付け回すようになってきたので、虎太郎は正式に俊子を恭一に紹介するか、恭一をあきらめさせるしかないと考えていたのだ。そこで俊子は広章に恋人のふりをしてほしいと頼み待ち合わせるが、当日、急用が入った広章は、浅井孝介に代理を頼む。俊子はこれに驚き、また、たとえ嘘でも、孝介と交際しているとは思われたくないと考えてしまう。そこで、思わず虎太郎に、最近孝介に付きまとわれて困っていると嘘をつく。後日、これが恭一の耳に入ったことで、話はさらにややこしくなってしまう。

第13巻

嵐山歩鳥紺双葉は、亀井堂静に誘われて廃村、遨(すさび)村の探検へ向かっていた。その村には幽霊が出るという噂があり、静は興味を持ったのである。こうして三人が遨村へ向かっている途中の田んぼで、双葉は白くくねくねと動く、幽霊らしきものを目撃する。その日は遨村に近い宿に泊まることになり、三人は夜になってから遨村へ向かうことにする。そしてようやくたどり着いた村には、謎の大きな人形のようなものが祀られていた。さらに周囲からは太鼓のような音がするうえに、お面をかぶった全身タイツの人々がうろうろしていた。身の危険を感じた三人はひとまず宿まで戻るが、その途中で双葉は先ほど見たものと同じお面を見かける。この話を聞いた静は真相を探るべく、翌日二人を連れてもう一度遨村へ行く。そこには昨日と同じようにお面に全身タイツの人々がおり、彼らの正体は杉立美術大学の演劇部だったことが判明する。彼らは遨村を保存するために役所の許可をもらい、ここで稽古をしていたのである。歩鳥と双葉は謎が解けて安堵するが、杉立美術大学の学生の中にも幽霊の目撃情報は多いのだという。その幽霊は田んぼに出現し、過去に上映された劇の白い衣装を着てくねくねと踊っているらしい。それを聞いた双葉は、一人青ざめるのだった。

第14巻

嵐山歩鳥は台風が迫る中、メイド喫茶「シーサイド」で眠ってしまう。その後、歩鳥が目を覚ますと店の様子が一変していた。店はメイド喫茶ではなく、そこでは亀井堂静紺双葉が働いていたのである。不思議に思った歩鳥はドッキリを仕掛けられているのだろうと考え、一度自宅に帰る。しかしここも歩鳥の知る家とは様子が違い、ジョセフィーヌには違う名前が付けられているうえに、嵐山雪子が歩鳥を名乗って現れたのである。訳がわからなくなった歩鳥は「シーサイド」に戻り、磯端ウキや双葉、静に事情を話す。話を聞いた双葉は、歩鳥があまりにも自分たちに詳しいことから、歩鳥はパラレルワールドからやって来た人間なのではないかと推測する。つまり歩鳥は台風が原因でパラレルワールドに迷い込み、そこは歩鳥が生まれていない世界だったのである。その日、歩鳥は静の家に泊まることになるが、ここでも歩鳥はおかしなことに気づく。この世界には、歩鳥の好きな作家「門石梅和」が存在していなかったのだ。歩鳥から梅和について聞かされた静は、それが自分自身であると確信。歩鳥のいないこの世界では、静は小説家になりたいと思いつつも、行動していなかったため、作品が存在していなかったのである。静は自分が作品を生み出すことでなにか変化が起きるのではないかと考え、執筆を始める。するとその瞬間、歩鳥は元の世界に戻ることに成功するのだった。

第15巻

ある日、紺双葉は自宅アパートに九官鳥が迷い込んでいるのを発見する。ひとまず九官鳥を捕まえた双葉は、紺家にいる猫のコバンを大家に預かってもらうことにする。双葉は翌日から飼い主を探そうとするが、その夜九官鳥はヨーちゃんという名前と、殺されたという不気味な二つの言葉を発する。双葉は不審に思いながらも、ひとまず九官鳥の名前がヨーちゃんであるらしいと推測して九官鳥の情報を集める。しかし、見つかったのはカンちゃんという、別の九官鳥を探しているポスターだけだった。しかしこの話を聞いた嵐山歩鳥は、九官鳥の名前がヨーちゃんだと考えるのは早計で、同じ鳥なのではないかと指摘する。そこで二人は、ひとまずカンちゃんの飼い主に連絡してみることにする。すると歩鳥の指摘通りで、ヨーちゃんとカンちゃんは同じ鳥だった。こうしてカンちゃんは自宅に戻るが、なぜカンちゃんはヨーちゃんという名前と、殺されるという言葉を連呼していたのだろうと、双葉の疑問は解決せずに終わる。だが実はカンちゃんは推理小説家、野鐘の家で飼われている鳥で、野鐘家ではヨウムも飼われていた。カンちゃんはいつもヨウムのヨーちゃんの言葉を真似しており、物騒な言葉を覚えたのも、ヨーちゃんの影響だったのだ。

第16巻

ある年の9月6日、丸子商店街に災害規模の台風が迫っているという知らせが入る。台風によって8日に開催予定だった紺双葉の誕生日会は中止になるが、嵐山歩鳥だけは台風を楽観視していた。そして夜歩鳥が眠りにつくと、夢の中に謎の生命体が現れる。生命体は人間よりももっと高次元の存在で、明日台風の被害に遭う人間から、歩鳥をランダムに選んで声を掛けたのだという。半信半疑の歩鳥だったが、生命体から見せられた映像を見て衝撃を受ける。その映像には、明日の台風で関東は想像を絶する被害を受け、約6000人が死亡して400万人が被災し、関東の一部は壊滅状態に陥るというものだった。そこで生命体は歩鳥にある質問をする。それは生命体の持って来たスイッチを押せば台風を消し去ることができるが、同時にそのスイッチを押した歩鳥の存在も消滅してしまうというものだった。その生命体は、こんな状況に陥った人間がどちらを選択するかを知りたくて、歩鳥に声を掛けたのだった。悩んだ末、歩鳥はスイッチを押す決断をする。

登場人物・キャラクター

嵐山 歩鳥 (あらし やまほとり)

尾谷高校1年A組に在籍する女子。のちに2年A組、3年A組に進級する。嵐山歩と嵐山雪美の娘で、嵐山猛と嵐山雪子の姉。実の祖母のように慕っている磯端ウキの経営するメイド喫茶「シーサイド」でアルバイトをしている。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばしたボブヘアにしている。散髪中のアクシデントで、一時期は前髪を眉上で短く切ったベリーショートヘアにしていた。身長は154センチで、細めな体型。胸が小さいことを気にしている。明るい性格で、やや天然気味なことから失敗も多いが、めげることはない。推理小説が大好きで、将来の夢は探偵になること。そのため、日常のちょっとしたことにも興味津々で、よくその謎を解こうと奮闘している。しかし早とちりしてしまい、物事を先入観で判断してしまうことが多いが、次第に冷静な思考を学び、頼れる存在になっていく。真田広章とは幼なじみで、幼い頃は非常に仲がよかったが、ある時から広章が女子と遊ぶのを恥ずかしがるようになり、淋しく思っていた。そんな時に亀井堂静と出会い、以来彼女とは姉妹のような関係を築いている。また広章とは高校1年生の時に誤解が解け、元の友人関係に戻る。ある日、森秋夏彦に褒められたことで、夏彦にあこがれているが、いつも叱られてばかりいる。誕生日は5月10日で、血液型はO型。視力は2.0。

辰野 俊子 (たつの としこ)

尾谷高校1年A組に在籍する女子。のちに2年A組、3年A組に進級する。メイド喫茶「シーサイド」でアルバイトをしている。辰野虎太郎の姉でもある。前髪を目の上で切り、胸の高さまで伸ばした亜麻色のストレートロングヘアを、肩につく高さで二つに結び、眼鏡をかけている。身長は164センチで、胸が非常に大きい。あだ名は「タッツン」あるいは「タッちゃん」。まじめな性格で何事もそつなくこなすが、突出して得意なものがないため、自身を器用貧乏だととらえている。メイド喫茶に強いあこがれがあり、友人の嵐山歩鳥がメイド喫茶でアルバイトをしていると聞き「シーサイド」に来店する。しかしその際、メイド喫茶のメイドと呼ぶには接客のなっていない歩鳥の姿を目のあたりにして、思わず指導する。また、密かに思いを寄せている真田広章が「シーサイド」の常連客であることを知り、「シーサイド」でアルバイトすることを決める。実はオタク気質で、特に「対魔戦線」という漫画作品の、愁牙(しゅうが)というキャラクターが大好き。このオタク趣味は歩鳥たちには隠しているが、実はすでにばれている。中学時代は卓球部の部長を務めていた。紺双葉と針原春江とはこの頃からの付き合いだが、高校で卓球部に入部しなかったため、双葉には恨まれている。誕生日は9月10日で、血液型はB型。利き手は左。

真田 広章 (さなだひろゆき)

尾谷高校に通う1年生の男子。のちに2年A組、3年A組に進級する。実家は魚店「鮮魚 真田」で、真田勇司の息子。嵐山歩鳥の幼なじみでクラスメイトでもある。母親を幼い頃に亡くしており、勇司と二人暮らし。前髪を目の上で切った、ふんわりとした刈り上げた短髪にしている。身長は172センチ。明るく親しみやすい性格ながら妄想癖があり、中学時代から密かに思いを寄せている歩鳥との将来を妄想しては一人で盛り上がっている。歩鳥とは子供の頃から仲がよかったが、ある日から女の子と遊ぶのが恥ずかしくなり、歩鳥と距離を取るようになる。しかし、そのことをすっかり忘れたまま歩鳥に思いを寄せており、現在も歩鳥に会うためにメイド喫茶「シーサイド」に入り浸っている。女性からはそれなりに人気があるが、恋愛は超奥手。さらに他人の恋愛感情に鈍いところがあるため、辰野俊子から思いを寄せられていることにはまったく気づいていない。誕生日は2月16日で、血液型はA型。

磯端 ウキ (いそはた うき)

丸子商店街にあるメイド喫茶「シーサイド」の店主を務める年老いた女性。磯端善治の妻。前髪を眉上で短く切った、ふんわりとした白髪のショートヘアにしている。身長は156センチで、痩せている。嵐山歩鳥とは、実の祖母と孫のように仲がよく「ばあちゃん」と呼ばれており、辰野俊子からは「メイド長」と呼ばれている。明るくさばさばとした性格で、やや乱暴な物言いをする。以前はふつうの喫茶店を経営していたが、ある日メイド喫茶の流行を知り、店をメイド喫茶に変えれば儲かるのではないかと考える。そこで、いつも店で無銭飲食している歩鳥を、長年のつけを払わせる形でアルバイトとして雇い、メイドの格好をさせていっしょに働くようになる。しかし、メイド喫茶がどのようなものかをまったく知らず、特にメイドらしいサービスはしていない。そのため歩鳥が来店した俊子に叱責され、メイド喫茶に造詣の深い俊子も雇うことにした。誕生日は4月6日で、血液型はO型。趣味はパチンコ。

磯端 善治 (いそはた ぜんじ)

メイド喫茶「シーサイド」の元店主の年老いた男性で故人。磯端ウキの元夫。顎の高さまで伸ばした白の短髪に帽子をかぶり、口ひげと顎ひげを長く伸ばしている。亡くなった際、天国の手続きミスで、10年以上成仏できずにいる。そのため、丸子商店街周辺をうろついては周囲の人々の行動を一人眺めたり、つっこみを入れたりしている。ウキとは非常に仲がよかった。血液型はB型。

紺 双葉 (こん ふたば)

尾谷高校に通う2年生の女子。卓球部に所属している。辰野俊子と針原春江の中学時代の先輩。紺伝助と紺桐絵の娘で、イギリス人とのクォーターである。前髪を目の上で切った金色の前下がりのショートヘアで、耳にはいくつもピアスをつけている。身長は153センチ。中性的な雰囲気を漂わせ、話し方も男性ぽいため、嵐山歩鳥は出会った当初、紺双葉を男性だと勘違いしていた。一見クールで落ち着いて見えるが、ややひねくれたところがある。大の音楽好きで部屋には大量のCDがあり、趣味でベースを弾いている。冬のある日、飼い猫のコバンが狭い路地裏から出てこられなくなり、困っていたところを歩鳥に声を掛けられ親しくなった。それから歩鳥とは、俊子と春江も交えて行動を共にするようになり、学園祭では四人でバンド楽団「メイズ」を結成して演奏を披露した。しかし、高校では俊子が卓球部に入部しなかったことを根に持っており、そっけない態度で接している。両親はイギリスで仕事をしているため、現在はアパート「河井荘」で一人暮らしをしている。誕生日は9月8日で、血液型はA型。超のつくほどの低血圧で、朝が非常に弱い。

針原 春江 (はりばら はるえ)

尾谷高校1年A組に在籍する女子。のちに2年A組、3年A組に進級する。嵐山歩鳥と辰野俊子の友人で、俊子とは中学時代からの付き合い。また、顔がそっくりな兄がいる。卓球部に所属しており、紺双葉と俊子とは部活で知り合った。前髪を眉上で切り揃え、胸の下まで伸ばしたストレートロングヘアを頭の高い位置でポニーテールにしてまとめている。吊り目で三白眼、頰はこけていてそばかすがある。身長は161センチで、細めの体型をしている。明るく面倒見のいい性格で、年下からも慕われている。卓球選手としての実力は高く、その強さから「死神」と評されている。また、卓球の技術向上につながると称して、双葉からドラムを習わされたことから、ドラムもうまい。学園祭で歩鳥、俊子、双葉と結成したバンド「メイズ」ではドラムを担当した。その後もその腕を見込まれ、別のバンドからスカウトをされたこともある。誕生日は8月7日で、血液型はAB型。

森秋 夏彦 (もりあきなつひこ)

尾谷高校で働く若い男性教師。1年A組の担任を務めている。担当教科は数学。前髪を目の上で切って真ん中で分けた短髪で、眼鏡をかけ、つねにスーツを身につけている。身長は176センチで、細めの体型をしている。嵐山歩鳥からは「モリアーキー」と呼ばれている。まじめな性格の堅物で、SFやオカルトの類はまったく信じていない。そのため、予想のつかない行動ばかりする歩鳥には振り回されがちである。歩鳥たちが高校1年生のある日、歩鳥と辰野俊子が、学校に許可を取らずにアルバイトをしているらしいことを知る。そこで放課後二人のあとをつけて、二人がメイド喫茶「シーサイド」で働いていることを突き止めた。大の野球好きで、熱狂的な阪神タイガースファン。そのため、尾谷高校野球部の全校応援では、人一倍熱くなってしまう。誕生日は11月29日で、血液型はA型。

嵐山 猛 (あらし やまたける)

比音(ひね)小学校4年3組に在籍する男子。のちに5年3組に進級する。嵐山歩と嵐山雪美の息子。嵐山歩鳥の弟で、嵐山雪子の兄。前髪を目の上で切った短髪で、歩鳥とよく似た顔立ちをしている。生真面目な性格で、同年代の男子より大人びている。そのため、同性の友人たちからは慕われており、女子からも密かに人気がある。またゲーム全般も得意で、カードゲーム「デーモンコロシアム」が学校で流行した際には、クラスで最も強いプレイヤーだった。このカードゲームがきっかけで、山本研一と親しくなった。ある日、クラスメイトの伊勢崎恵梨から突然デートに誘われて親しくなり、やがて交際するようになる。血液型はA型。

嵐山 雪子 (あらしやまゆきこ)

比音(ひね)小学校に通う2年生の女子。嵐山歩と嵐山雪美の娘で、嵐山歩鳥と嵐山猛の妹。前髪を目の上で切り、ボブヘアを頭の高い位置で二つに結んでツインテールにしている。あだ名は「ニンジャ」。明るくやんちゃな性格で、予測がつかない破天荒な行動をして周囲を振り回している。あまり後先を考えないタイプで、夏休みの宿題は終盤まで手つかずで残している。「鬼面ライガー」という特撮作品が大好き。血液型はO型。

嵐山 歩 (あらしやま あゆむ)

歩鳥の父で公務員を仕事としている。ペットのジョセフィーヌから見ると、嵐山家の中で一番権力が弱い。登場するときはいつも顔が隠れているため、素顔は判明していない。

嵐山 雪美 (あらしやま ゆきみ)

歩鳥の母。専業主婦をしているが、登場回数は少ない。登場するときはいつも顔が隠れているため、素顔は判明していないが、三人の子供は全員母親似であるとのこと。

ジョセフィーヌ

『それでも町は廻っている』に登場する犬。嵐山家が飼っている犬。見た目はほぼタヌキので、目の周りに大きな黒い模様と、縞々のしっぽを持つ。鳴き声は「フーン」。歩鳥の夢にもたびたび登場しており、その際は「ポン」という語尾を付けて流暢にしゃべる。現実でも他の動物と密に会話する描写がなされており、その際は非常に落ち着いた口調で話している。 小屋に小物を持ち込む癖があり、密かにコレクションしている。

松田 旬作 (まつだ しゅんさく)

警察官の若い男性。階級は巡査で、のちに巡査長となる。顎の高さまで伸ばしたもじゃもじゃのボブヘアに帽子をかぶり、眼鏡をかけている。身長は177センチで、細めの体型をしている。眼鏡をはずすとイケメンだが、あまりそのことは周囲に知られていない。まじめな性格で仕事熱心ながら、短気で怒りっぽいところがある。刑事ドラマにあこがれて警察官となり、丸子商店街にやって来た。嵐山歩鳥とは赴任直後に知り合って仲がよくなった。しかし、危険な事件にも首を突っ込みたがる歩鳥には手を焼いており、つねに注意しているにもかかわらず効果がない。誕生日は9月21日で、血液型はA型。

亀井堂 静 (かめいどうしずか)

小説家の若い女性。骨董品店「亀井堂」の娘で、従業員としても働いており、嵐山歩鳥の姉的な存在でもある。前髪を目が隠れるほど伸ばして左寄りの位置で斜めに分けた、胸につくほどのストレートロングヘアにしている。身長は162センチ。ペンネームは「門石梅和」で、歩鳥も梅和のファンだが正体は明かしていない。知的な雰囲気を漂わせた落ち着いた性格で、ミステリー全般が大好き。歩鳥とは10年前、真田広章に冷たくされて落ち込んでいた歩鳥が、亀井堂静に誤ってブーメランをぶつけたことがきっかけで知り合った。高校3年生のある日、記憶喪失になって自分の描いた小説を新鮮な気持ちで読んでみたいと思うようになる。しかし現実的には難しいため、友人の北村早希からヒントを得て、自分と同じ読書体験をしている誰かに自分の作品を読ませることで、この夢を叶えようと考える。そこで歩鳥に自分好みの本をたくさん読ませ、ミステリーの楽しさを教えた。歩鳥が探偵になりたいと思うようになったのも、静の影響から。カードゲーム「デーモンコロシアム」のプレイヤーで、店でも中古カードを販売している。誕生日は8月1日で、血液型はB型。小説家としてのデビュー作は「雲丹飛行船」。

伊勢崎 恵梨 (いせさき えり)

比音(ひね)小学校4年3組に在籍する女子。嵐山猛のクラスメイト。子供服のモデルとしても活動している。あだ名は苗字の「伊勢」が「伊勢海老」を連想させるため「伊勢エビ」あるいは「エビちゃん」。前髪を長く伸ばして左寄りの位置で斜めに分けてヘアピンで留め、胸の下まで伸ばしたストレートロングヘアにしている。吊り目で目が大きい。気が強く怒りっぽい性格で、クラスの女子のリーダー的な存在のため、クラスの男子たちは伊勢崎恵梨に頭が上がらない。実は猛に思いを寄せており、ある日突然猛をデートに誘う。しかし、翌日はなぜか冷たい態度で猛を混乱させるが、のちに交際を始める。血液型はAB型。

真田 勇司 (さなだ ゆうじ)

魚屋「鮮魚 真田」の店主を務める中年男性。真田広章の父親。スキンヘッドで口ひげを蓄えている。吊り目吊り眉で、眉が太くて三白眼。妻をすでに亡くしており、広章と二人暮らしをしている。菊池貴則、荒井和豊とは高校時代からの友人で、度々三人で仕事をさぼってはメイド喫茶「シーサイド」でおしゃべりに興じている。血液型はA型。

菊池 貴則 (きくち たかのり)

青果店「八百菊」の店主を務める中年男性。前髪を上げて額を全開にし、髪全体を真上に立てた短髪で顎ひげを蓄えている。吊り目の三白眼で、眉が太い。非常にがっしりとした体型で、ラガーシャツを着ていることが多い。真田勇司、荒井和豊とは高校時代からの友人で、度々三人で仕事をさぼってはメイド喫茶「シーサイド」でおしゃべりに興じている。血液型はO型。

荒井 和豊 (あらい かずとよ)

クリーニング屋の店主を務める中年男性。禿げ上がった短髪で、目が細く、いつも目を閉じているように見える。体型は太め。真田勇司、菊池貴則とは高校時代からの友人で、度々三人で仕事をさぼってはメイド喫茶「シーサイド」でおしゃべりに興じている。血液型はB型。

綾鳥 真琴 (あやとり まこと)

北陸地方に住む中学2年生の女子。吹奏楽部に所属している。嵐山歩鳥の従妹で、年齢は歩鳥より3歳下。前髪を眉の高さで切り揃え、顎の高さまで伸ばした、ふんわりとしたボブヘアにしている。たれ目でまつげが長く、方言で話す。おっとりとした純粋な性格ながら、ややマイペースなところがあり、突然雨が降って来ても室内に入らず、そのまま外で人と話し続けてしまう。同じ部活の有村奏也に思いを寄せており、歩鳥が自宅に遊びに来た際には、恋愛の話で盛り上がった。学校の成績はあまりよくない。

コバン

『それでも町は廻っている』に登場する猫。猫種はキムリック。紺双葉のペット。あまり家にいなかったり、行方不明になったりなど、自由気ままな性格の猫である。コバンの行方が分からなくなった時は、紺双葉も堪えたようで、表情から覇気がなくなっていた。

浅井 孝介 (あさい こうすけ)

尾谷高校1年A組に在籍する男子。のちに2年A組、3年A組に進級する。真田広章の友人でもある。角刈りの短髪で、いつも目を閉じているように見え、口が大きい。長身でがっしりとした筋肉質の体型をしている。趣味は筋トレ。心優しい性格で面倒見がいいが、繊細で傷つきやすいところがある。また女性には免疫がなく、少し身体が触れただけでときめいたり、思うように話せなかったりする。クラスメイトの海老州舞に思いを寄せており、修学旅行で告白して交際を始めた。

牧田 隼人 (まきた はやと)

比音(ひね)小学校4年3組に在籍する男子で、嵐山猛の友人。前髪を目の上で切った短髪で、あだ名は「マッキー」。明るい性格のお調子者で、猛のことを尊敬している。カードゲーム「デーモンコロシアム」が流行した際には、クラスで一番強いプレイヤーとして猛を挙げた。

西 美波 (にし みなみ)

尾谷高校で体育教師を務める若い女性。前髪をカチューシャで上げて額を全開にした、顎の高さまで伸ばした外はねボブヘアにしている。右目尻にほくろが一つあり、両耳にはピアスをしている。明るく親しみやすい性格で、やや乱暴な口調で話す。森秋夏彦に思いを寄せているが、アプローチがなかなか成功していない。

山本 研一 (やまもと けんいち)

比音(ひね)小学校4年4組に在籍する男子。前髪を目の上で切って真ん中で分けた、癖のある短髪にしている。たれ目で目が細く、いつも目を閉じているように見える。おっとりとした性格ながら、知的でカードゲーム「デーモンコロシアム」が非常に強い。しかし自宅では中学生の兄に負かされてばかりで、なかなか同レベルのプレイヤーに出会えずにいた。嵐山猛とは、お互い「デーモンコロシアム」が強いと噂になり、周囲の強い希望で対戦することになって知り合った。この対戦で非常に親しくなり、親友関係となる。特技は絵を描くこと。

恩田 ユキ (おんだ ゆき)

ある冬の日、丸子商店街に現れた謎の若い女性。前髪を長く伸ばして真ん中で分け、胸の下まで伸ばしたストレートロングヘアにしている。真冬であるにもかかわらず、白い着物を着ている。釣り目でまつげの長い美貌の持ち主。「たつみやしろう」という名前の男性を探しており、偶然出会った嵐山歩鳥と辰野俊子にいっしょに探してほしいと依頼する。しかし探していた男性の名前は「矢代辰巳」で、恩田ユキがなぜ名前を誤って覚えていたのか不思議に思いながらも二人を対面させた。

城嶋 悟 (じょうしま さとる)

尾谷高校に通う男子。前髪を鼻の高さまで伸ばして真ん中で分けて額を全開にし、肩に付くほどまで伸ばした外はねセミロングヘアにしている。右のこめかみに二つピアスをしており、強面で近寄りがたい印象を与える。しかし、実際は心優しく面倒見のいい性格の持ち主。ある冬の日、道で捨て犬を発見して家に連れて帰るが、自宅ではペットを飼えないために里親探しに奔走する。そこでメイド喫茶「シーサイド」に、里親探しを手伝ってほしいとのメールを誤って送信してしまい、嵐山歩鳥と辰野俊子を混乱させた。

島辺 博人 (しまべ ひろと)

小説家を生業とする中年男性。前髪を目が隠れるほど伸ばして左寄りの位置で斜めに分け、襟足を伸ばした短髪にしている。頬がこけており、目がぱっちりとしたイケメン。穏やかな性格で、つねに落ち着いている。代表作は「小夜侘助」シリーズで、嵐山歩鳥も島辺博人の大ファンである。アメリカのロサンゼルス在住だが、駆け出しの頃は丸子商店街の近くに下宿していた。ある日、次回作の取材を兼ねて一時帰国して丸子商店街を訪れる。そしてメイド喫茶「シーサイド」で休憩していたところ、仕事中の歩鳥と出会った。そこで歩鳥にサインをねだられて快く応じるが、その後自分を小説に登場させてほしいと頼み込まれ、困っていた。

入院患者の男性 (にゅういんかんじゃのだんせい)

丸子病院に入院中の年老いた男性。前髪を目の上で切って真ん中で分けて額を見せた、刈り上げた短髪にしている。釣り目で目つきが悪い。会社を定年退職して、これから悠々自適な生活を送れると思ったある日、交通事故に遭って下半身不随となり、車いす生活を送っている。以来、すっかり偏屈でひねくれた性格になり、入院患者の中でも浮いた存在となっている。嵐山歩鳥とは、歩鳥が脳死状態から目を覚ましたあとに知り合い、院内で不審な行動をしている入院患者をいっしょに調査したことで親しくなった。歩鳥と出会った当初はすっかり生きる意欲を失っており、歩鳥にもそっけない態度を取っていた。しかし歩鳥が退院する際には、メイド喫茶「シーサイド」に行く約束をして別れた。

福沢 晶 (ふくざわ あきら)

尾谷高校に通う1年生の女子。前髪を眉の高さで切りそろえた刈り上げショートヘアにしている。明るく素直な性格ながら、おしゃべりで声が大きいためにうるさいと評されている。嵐山歩鳥とは知り合いだが、クラスが違うためにあまり接点はなかった。しかし高校3年生の春、歩鳥が映画研究会の作品に出演したのがきっかけで親しくなる。その後、歩鳥に何度も自分の身の回りで発生した不可思議なことを解決してもらったことから、歩鳥の探偵としての実力に触れ、尊敬するようになる。そのため、いつか歩鳥が本物の探偵になった暁には助手にしてほしいと申し出るが、歩鳥にはまったく相手にされていない。中学校では卓球部に所属していたため、辰野俊子、針原春江、紺双葉とは当時からの付き合い。ボクシングを習っている「川島実」と交際している。

鈴木 隆洋 (すずき たかひろ)

尾谷高校に通う1年生の男子で、映画研究会に所属している。真田広章の友人。前髪を目の上で切った角刈りで、眼鏡を掛けている。穏やかな落ち着いた性格ながら、怒ると非常に怖い。恋愛にはまったく無頓着で、丹波凛に思いを寄せられていることには高校3年生まで気づいていなかった。高校3年生の春、新入生向けのクラブ説明会で短編怪獣映画を上映するために凛と怪獣の模型を作り、主演は福沢晶に頼んでいた。しかし晶が撮影直前にケガをしてしまい、急きょ嵐山歩鳥に代役を頼んだ。だが、歩鳥と親しくしたり、怪獣に対して共同制作者の凛の意向を無視してしまったりしたことで、凛の怒りを買ってしまう。そんなある日、怪獣が何者かに破壊されて激怒。しかし犯人の見当もつかずにいた中、凛が真実を伝えにやって来る。これがきっかけで凛の思いを知り、交際を始めた。

室伏 涼 (むろふし りょう)

とある美術大学に通う1年生の女子。前髪を目の上で切って胸の高さまで伸ばした、ふんわりとしたロングヘアにしている。鼻の周辺にそばかすがいくつもあり、嵐山歩鳥からは「涼ちん」と呼ばれている。明るく親しみやすい性格で、細かいことをまったく気にしない。また直感や思い込みで行動するタイプであるため、歩鳥とは非常に相性がいい。特技は絵を描くことで、主に抽象画を描いている。大学1年生の夏、尾谷高校に遊びに来ていた際に歩鳥と出会い、在校生だとカンちがいされたまま親しくなり、歩鳥を題材に一枚の抽象画を描いた。その後も歩鳥との交流は続き、歩鳥を題材にした絵をプレゼントしたり、いっしょに森秋夏彦の家にある絵画の謎を解明したりした。北村早希と同じ、CROWNメンソールを吸う愛煙家。現在は兄と二人暮らしで、猫を飼っている。

北村 早希 (きたむら さき)

二十代半ばの若い男性で、亀井堂静の高校時代の友人。前髪を上げて額を全開にし、髪全体を放射状に立てた短髪にしている。派手な容姿で軽薄そうな雰囲気を漂わせているために誤解されやすいが、実は頭脳明晰でミステリー全般が大好き。高校3年生の時に部活動を辞め、ミステリー研究会に入会するために、静に声を掛ける。当初は本気にされていなかったが、何度も静と話すうちにミステリーファンであることを知られ、一気に親しくなってミステリー研究会に入会した。室伏涼と同じ、CROWNメンソールを吸う愛煙家。

有村 奏也 (ありむら そうや)

北陸地方に住む中学1年生の男子。吹奏楽部に所属しており、綾鳥真琴の後輩。坊主に近い短髪で、体型はやや太め。太眉で目が細く、いつも目を閉じているように見える。苗字が「ありむら」であることから、あだ名は「ムーちゃん」。心優しい性格で、つねに周囲に気を遣っている。名前の響きと、吹奏楽部ではフルートを吹いているために、嵐山歩鳥からはイケメンの少年であるとカンちがいされていた。中学1年生の夏、水路にスイカが落ちていることに気づき、このままでは水路が詰まって水があふれてしまうと危惧する。しかしスイカが原因だと知られてしまうと、周辺の農家はきっと嫌な気持ちになるだろうと気遣い、スイカと自分の名前が書かれているボールをすり替えて一度家に戻る。しかし、このスイカは夏休みに遊びに来ていた嵐山歩鳥のもので、気づいた歩鳥に回収される。スイカがボールにすり替わっていたため、歩鳥からは有村奏也がいたずらしたとカンちがいされる。

国見 鳴彦 (くにみ なるひこ)

比音(ひね)小学校で用務員を務める中年男性。前髪を目の上で切り、刈り上げた短髪にしている。やや小柄な体型で、目が大きくぎょろぎょろしており、無精ひげを生やしている。そのため、周囲に不気味な印象を与え、まるで魔界の住人のようだと評されることがある。比音小学校には10年以上勤めており、10年前から校内にある観察池の中で謎の生物を飼っている。それを児童たちには何度も目撃されており「メッシー」という通称で比音小学校の七不思議に数えられている。そこで嵐山猛がこの謎を探るが、国見鳴彦が正体は熱帯魚であるとウソをついたことと、猛もこれを公にはしないと考えたことで、観察池にはメッシーなどいないと校内新聞で発表した。そのため、メッシーの正体は誰にも知られずに終わる。

溝口 奈美子 (みぞぐち なみこ)

尾谷高校で音楽教師を務める若い女性。前髪を目が隠れるほど伸ばして左寄りの位置で斜めに分け、胸の下まで伸ばしたロングヘアを巻き髪にしている。たれ目で下まつげが長い。執念深く意地悪な性格をしている。森秋夏彦とは学生時代に生徒と教師として知り合い、当時から思いを寄せていたがふられてしまう。その後も夏彦を思い続けており、今も彼に近づく女性を許さない。そのため、夏彦をいつも付け回しており、ある日嵐山歩鳥が夏彦と交際していると誤解する。そこで歩鳥を匿名で脅迫して二人を別れさせようとするが、歩鳥の推理によって犯人であることがばれてしまう。その際に逆上して歩鳥を襲ったことが問題になり、退職して地元に帰った。

丹波 凛 (たんば りん)

尾谷高校に通う2年生の女子で、映画研究会に所属している。嵐山歩鳥とは歩鳥が3年生の時に知り合った。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした癖のあるボブヘアにしている。容姿端麗で、物静かで内気な性格の持ち主。鈴木隆洋に思いを寄せているが、打ち明けられずにいる。高校2年生の春、新入生向けのクラブ説明会で短編怪獣映画を流すために隆洋と怪獣の模型を作り、主演は福沢晶に頼んでいた。しかし晶が撮影直前にケガをしてしまい、急きょ隆洋が嵐山歩鳥に代役を頼んでしまう。最初はこれを受け入れていたが、丹波凛の怪獣への思い入れを知らない歩鳥が、怪獣に勝手に名前を付けたり、隆洋と歩鳥がなかよくしたりすることに次第に腹を立てるようになる。そこで怪獣を破壊してしまうが、すぐに我に返って晶に相談。事情を知った歩鳥と晶により、隆洋と話し合う機会を与えられた。これがきっかけで隆洋と交際を始めるようになる。

案内係 (あんないがかり)

天国にやって来た死者に、天国を案内する「案内係」を務めている中年男性。前髪を額が見えるほど短く切った短髪にしている。穏やかな性格で、冗談が大好き。嵐山歩鳥とは彼女が交通事故に遭って死亡し、天国にやって来たことで知り合う。そこで歩鳥の案内係を務めることになり、心霊写真の作り方や下界の覗き方といった、天国での過ごし方を教えた。しかしその直後、歩鳥が奇跡的に蘇生したことで別れた。自分の仕事は死者に現実を伝える、残酷な役回りだととらえていた。そのため、歩鳥の蘇生を非常に喜んでいた。子供もすでに亡くなっており、いっしょに天国で働いている。

場所

丸子商店街 (まるこしょうてんがい)

物語の舞台となる、下町の雰囲気が漂う商店街。歩鳥達が働くメイド喫茶シーサイドもここにある。昔は人で賑わっていたが、最近はシャッターを閉める店も多くなってきている。

メイド喫茶「シーサイド」 (めいどきっさしーさいど)

磯端ウキが経営している喫茶店。歩鳥と辰野トシ子がアルバイトをしている。元は普通の純喫茶だったが、メイド喫茶の流行を耳にしたウキが、突然リニューアルを決め、メイド喫茶へと生まれ変わった。だが、メイド喫茶とは言うものの、店員がメイドの格好をするだけという名ばかりリニューアルで、本物のメイド喫茶にはほど遠い。 老年のウキがメイド姿をしているのもあって、店内は異様な光景となっている。普段は真田勇司、菊池貴則、荒井和豊ら商店街の面々が入り浸っている。

河井荘 (かわいそう)

『それでも町は廻っている』に登場するアパート。紺双葉が一人暮らししている。丸子商店街から少し離れたところにあり、管理人が認めるほどなかなか年季の入ったボロアパートである。歩鳥がちょくちょく遊びに来ている。

アニメ

それでも町は廻っている

東京の下町にある丸子商店街 の昔ながらの喫茶店に出入りする、主人公の女子高生嵐山歩鳥。年配の店主の磯端ウキがメイド喫茶にして売り上げを伸ばそうと考えメイド喫茶シーサイドとして歩鳥をメイドにする。 歩鳥... 関連ページ:それでも町は廻っている

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