概要・あらすじ
広瀬路菜は、行方不明となった親戚の辻井一家を捜して、もう10年も日本各地を歩き回っている。子供の頃によくいっしょに遊んでいた辻井一家には、辻井双一という問題児がいた。一家捜索のカギを握るのは、双一のはず。ある日、路菜は双一の手がかりを求めて向かった東北で、恐ろしいお化け屋敷を見つける。(エピソード「双一前線」)
登場人物・キャラクター
広瀬 路菜 (ひろせ みちな)
エピソード「双一前線」に登場する。行方不明となった親戚の辻井一家を捜して、この10年日本各地を歩き続ける女性。兄がいる。辻井一家の問題児である辻井双一と同じ、釘をくわえた少年たちが出現する現象に注目し、それをヒントに東北へ足を伸ばす。
岡村 (おかむら)
エピソード「合鏡谷にて」に登場する。数十年前に突然同時に廃村となった2つの村を調べるため、仲間と共に合鏡谷(あわせかがみだに)を訪れた青年。廃村になった原因を調べるため2つの廃村に向かい合うように大きな鏡を設置し、その実験によって過去、村に何が起こったのかを垣間見ることになる。
茂 (しげる)
エピソード「幽霊になりたくない」に登場する。身重の妻と郊外に購入した自宅で暮らす男性。仕事の帰り道、夜中の山中に1人佇む女性・美咲を車に乗せる。それがきっかけで美咲と不倫し、密会を続けるが、やがて彼女の恐ろしい正体を目にすることになる。
白崎 五郎 (しろさき ごろう)
エピソード「蔵書幻影」に登場する。大きな屋敷で父から引き継いだ15万冊の蔵書と共に暮らす青年。屋敷内のすべての蔵書を三度に渡って読破している。完全主義で4歳の頃から日々詳細な日記を1日も欠かさずに書き続けており、その数十冊に及ぶ日記帳を鍵付きの棚にしまっている。
珠代 (たまよ)
エピソード「闇の絶唱」に登場する。たまたま路上で耳にした奏憂の歌が頭に常に鳴り響き、悩まされる女性。神経科に通い、薬物療法を続けても歌は鳴りやまず、ヘッドフォンから大音量で別の音楽を聴き続けることで気を紛らわしている。
辻井 双一 (つじい そういち)
エピソード「双一前線」に登場する。辻井家の次男。釘をくわえており、気に食わない相手にその釘を吹き飛ばす。お化け屋敷を経営し、日本各地を巡業している。両親、兄、姉を呪いで操り、お化け屋敷で働かせている。身長3メートルほどもある化け物のような女性との間に、子供・辻井敏三をもうけている。
辻井 敏三 (つじい びんぞう)
エピソード「双一前線」に登場する。辻井双一の長男。血走った眼に、牙のように鋭く尖った多数の歯を持つ化け物のような子供。双一が経営するお化け屋敷の出し物として、牢に閉じ込められている。人間の内臓を食らうのが好きな危険人物。
美咲 (みさき)
エピソード「幽霊になりたくない」に登場する。夜中に1人で山中にいたところを茂に助けられた美女。妻のいる茂にそっと携帯番号のメモを手渡し、密会を重ねる。母は美咲を産むまえに死亡し、彼女は母の死体から生まれた。娘が心配な母は幽霊となって美咲に母乳を与え続けたという。そのため、いまでも幽霊の栄養を求めている。
香子 (こうこ)
エピソード「蔵書幻影」に登場する。白崎五郎の妻。白崎の知性に魅かれて結婚し、彼の屋敷で共に暮らし始める。蔵書の保全に異常なほどに執着し衰弱していく白崎を支える。夫がなぜそこまで蔵書に執着するのかを解き明かすため、夫の過去の日記を読み返す。
奏 憂 (かなで ゆう)
エピソード「闇の絶唱」に登場する。別れた男への恨み言のような歌詞を憑りつかれたように絶叫まじりで歌う奇妙なストリートミュージシャン。スカウトされ、奏憂の芸名で歌手デビューを果たす。デビューアルバムは百万枚を越える大ヒットとなるが、彼女の歌が頭から離れずノイローゼになる人が続出。ついには集団訴訟されて、失踪してしまう。
尾木 (おぎ)
エピソード「潰談」に登場する。杉男の友人の青年。南米を旅行中、迷子になったジャングルで出会った部族から蜜の入った壺を土産にもらい、日本へ持ち帰る。神がかりなうまさだが、気づかれないように飲め、と言われるその蜜を味わう尾木だったが、後日自宅にてペシャンコに潰された姿で発見される。
杉男 (すぎお)
エピソード「潰談」に登場する。尾木の友人の青年。尾木が持ち帰った蜜を最初に味わう。そのうまさに心を奪われ、以降、何を食べてもうまいと感じなくなってしまう。後日、再び蜜を味わうため、友人たちを引き連れて尾木の家を訪れ、そこで変わり果てた姿の尾木を発見する。