概要・あらすじ
草薙奏助と御門台鏡子は、同じ幼稚園に通う幼なじみ。なかよしの二人だったが、鏡子は怪物レベルの天才だったため、イギリスのケンブリッジに連れて行かれてしまう。次に奏助が見た彼女はテレビの中だった。彼女は7歳でミレニアム懸賞問題を解き明かし、8歳でフィールズ賞、10歳でノーベル賞を受賞。14歳になる頃には、鏡子の評価はインフレ化。「彼女は異世界転生者」「異次元の存在からも才能が狙われている」などの都市伝説まで流れるようになった。一方、奏助はごく"普通"に青春を謳歌し、高校一年生の春を迎える。入学式当日、奏助は鏡子に再会する。怪物と呼ばれる天才少女が、なぜか自分と同じ高校、同じクラスにいたのだ。鏡子の"普通"ではない天才レベルに、やがて彼女はクラスから浮き、誰も近づかなくなってしまった。目立ちたくない奏助も、彼女の存在を無視していたが、ある日見るに見かねて鏡子に話しかける。二人の関係は、幼稚園の時に戻ったようだった。そんな様子をクラスメートの池田芽依は、なぜか不満げに見ていた。翌日、窓から外を眺めていた奏助は、校庭の隅で、池田と数人の女子が鏡子を取り囲んでいるのを見かける。涙を流しながらその場を走り去った鏡子は、その日教室に戻ってこなかった。心配になった奏助は、放課後、鏡子を捜し回り、二人の出身幼稚園で彼女を見つける。「学校はくだらない」「幻想を抱いていた」と話し、ケンブリッジの研究所に戻るという鏡子。彼女は、自分たちと同じように青春を楽しみたいのだと感じた奏助は、学校の楽しさを熱弁。自分が最高の高校3年間にしてやると言い放ち、鏡子の説得に成功した。その帰り道、一人で自転車を漕いでいた奏助は、池田の襲撃に遭う。バールを車輪に投げ入れて奏助を転倒させた池田は、怪しげな呪文を唱え始めた。すると、空間にいくつもの裂け目ができ、そこから異形の怪物たちが現れた。怯える奏助に向かって、池田は「今後一切、鏡子に接触するな」と脅しをかける。しかしその直後、池田は悲鳴を上げて泣き叫び、倒れ込む。驚く奏助の背後に立っていたのは、超音波を発するガジェットを掲げた鏡子だった。池田はメイケダルス人という異世界人で、4万7293ヘルツの超音波が苦手なのだという。鏡子は池田に今後いっさい嫌がらせをやめるよう、約束させた。鏡子によると、自分の頭脳を頼ってくるのは地球人に限らないという。ものすごくたくさんの依頼が鏡子に寄せられているのだ。池田も、鏡子にとある依頼をしており、それを早く解決してほしいために、鏡子が学校に来ないように画策していたのだ。そんなわけで、池田の件はひとまずは解決したが、ほかにも宇宙人や異世界人が学校にまぎれ込んでいるに違いない。こうして奏助と鏡子の、最高の高校生活がド派手に始まるのであった。
登場人物・キャラクター
御門台 鏡子 (みかどだい きょうこ)
高校一年生の15歳の女子。サイドに三つ編みをアレンジしたロングヘアが特徴。幼稚園で草薙奏助と知り合う。怪物レベルの天才だったため、イギリスのケンブリッジ大学に招かれ、勉学と研究に勤しむ。8歳でフィールズ賞、10歳でノーベル賞を受賞し、全人類の期待を一手に担う。彼女への期待は、地球人にとどまらず、異世界人や宇宙人などにも広がり、そのためにおびただしい量の「依頼」が舞い込んでいる。そんな生活に疲れ、"普通"の学校生活にあこがれ、奏助と同じ高校に進むことを決意した。これまでの生活環境から"普通"がよくわからず奇行が目立つが、根は素直な性格。
草薙 奏助 (くさなぎ そうすけ)
高校一年生の15歳の男子。「怪物」といわれる天才少女、御門台鏡子とは幼稚園の時に知り合う。以来別々の道を歩み、ごく"普通"に青春を謳歌しながら育つが、高校で鏡子と再会。彼女の頭脳を頼りに、宇宙人や異世界人などが押しかけていることを知る。鏡子に"普通"の高校生活を送らせてあげたいという気持ちから、彼女への「依頼」は、まず自分を通すようにとみんなに呼びかける。
池田 芽依 (いけだ めい)
高校一年生の女子で、御門台鏡子のクラスメート。ポニーテールとくせ毛が特徴。実は、魔法と砂の異世界から来たメイケダルス人。天才少女の鏡子に、メイケダルスの古代文字で書かれた石碑の解読を依頼している。「依頼」の順番待ちが長いため、鏡子の登校を邪魔して「依頼」を消化させるように画策するが、正体がバレて失敗。しかし、池田の依頼が、不治の病に侵された弟のためだったことから、鏡子は優先的に石碑を解読。以来、鏡子の親友になる。