あらすじ
首都圏のとある中心駅の近くにある、みどり書店。書店員の緒川菫子は、同じく童顔の後輩書店員の化野蓮と、ネットの都市伝説である創作怪談の話で盛り上がっていた。そこへ上司がやって来て、菫子に「逆万引き」の本を、誕生日プレゼントと称して手渡した。「逆万引き」の本とは、いつの間にか本が増えている出所不明の不気味な本のことで、書店員のあいだの都市伝説だった。仕事を終え、帰宅した菫子は、シャワーを浴び、ひとりで酒を飲みながら、昔のことを思い出していた。彼女は15歳の頃、文芸クラブで書いた小説が、新人賞を受賞し、書籍デビューした作家だった。しかし、午前0時で28歳を迎えた菫子は、いまやただの人だった。それでも夢を捨てきれず、本に囲まれる生活をしているのだ。15歳の頃はなんでも書けた。15歳に戻りたい。酔っ払いながらクッションに倒れ込んだ菫子は、昼間、上司に渡された「逆万引き」の本を、そのまま持って帰ってきたことに気づく。作者も奥付もない古風な本の中身は、漢文か古文のようでほとんど読めなかったが、ひらがなで書かれていた、万葉集の歌は読むことができた。満月の月明かりのもと、若返りを願った歌とされる万葉歌を口ずさんだ菫子は、その後、コンビニに買い物に出掛けた。すると、彼女は買い物の途中、どんどん若返り、15歳の少女に戻ってしまう。慌てて逃げるように自宅に戻る菫子。翌日、彼女は書店を無断欠勤し、それから一週間音信不通となった。蓮が様子を見に、菫子のマンションに行くと、彼女は留守だった。「逆万引き」の本を見つけた蓮は、それが「呪書」であることを見破る。蓮は、異世界から「神隠し」に遭い、こちらの世界にやって来た少年で、不思議な力を持っていたのだ。街なかで菫子を見つけた蓮は、「逆万引き」の本が「呪書」と呼ばれる怪異であることを説明し、対になっている歌を読んで呪いを解くように説得する。しかし菫子は、若返った活力とアイデアで、また小説を書くといってゆずらない。しかし、若返りの呪いはやがて死を招くと知って、蓮に従い、呪いを解く。この事件をきっかけに、菫子と蓮のコンビは、街にあふれる怪異に挑むようになるのだった。
テレビアニメ
登場人物・キャラクター
緒川 菫子 (おがわ すみれこ)
28歳の女性小説家。太くて短い眉、お団子ヘア、右目の下のほくろ、巨乳が特徴。首都圏のとある中心駅の近くにある、みどり書店に勤める。15歳の頃、文芸クラブで書いた怪奇譚が新人賞を受賞、小説家デビューを果たす。しかし、大人になってからは、うだつが上がらず、小説を持ち込んでもボツ続きだった。書店から偶然持ち帰った、正体不明の本が「呪書」であり、禁忌の歌を読んだことで「若返る」怪現象を体験。その影響で、呪いが解けたあとも、歌を唱えることで自在に若返ることができるようになる。後輩書店員で不思議な力を持つ化野蓮と怪異現象に挑む。
化野 蓮 (あだしの れん)
緒川菫子の後輩書店員。童顔糸目が特徴の少年で年齢不詳。異世界からこちらの世界に「神隠し」に遭い、やって来たらしい。怪異について詳しく、不思議な力を持つ謎の人物。怪異と接しているときは糸目ではなく、大きく目を開ける。いっしょにこちらの世界にやって来た妹がおり、彼女だけでも元の世界に返したいと願う。
書誌情報
怪異と乙女と神隠し 8巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2020-04-10発行、 978-4098605590)
第2巻
(2020-10-12発行、 978-4098607495)
第3巻
(2021-05-12発行、 978-4098610211)
第4巻
(2021-12-10発行、 978-4098612253)
第5巻
(2023-01-12発行、 978-4098616176)
第6巻
(2023-07-12発行、 978-4098618330)
第7巻
(2024-03-29発行、 978-4098627448)
第8巻
(2024-06-11発行、 978-4098628780)