愚者の星

地球の植民星「スラース」を舞台に、スラース人の地球からの独立を巡る闘争に巻き込まれた少年の戦いを描くSFアクション。「月刊少年マガジン」2019年9月号から掲載の作品。

正式名称
愚者の星
ふりがな
ぐしゃのほし
作者
ジャンル
アクション
レーベル
KCデラックス(講談社)
巻数
既刊8巻
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あらすじ

第1巻

地球人とスラース人の混血児であるシンタ・エーラは、同じ孤児施設の地球人たちに疎まれ、彼らから過酷ないじめを受けていた。そんなある日、シンタの前に叔父のサース・エーラと従姉のナーヤ・エーラが現れ、シンタを養子として引き取ることとなる。かくしてシンタはいじめから解放され、穏やかな日々を送れるようになる。それから数年、ナーヤの強さにあこがれるシンタは、自分も家族を守る側になりたいと願うようになっていた。ところが、スラース人の武装独立派幹部であるデル・ドルガがエーラ家を突然襲撃。サースは惨殺され、ナーヤもシンタをかばって命を落としてしまう。敵はシンタにも刃を向けるが、その時シンタが「メルズ」と呼ばれる小刀と一体化して鬼のような姿に変化した。ナーヤを殺したドルガの部下であるボドー・ゼドを一刀両断にしたシンタは、ドルガにも襲いかかるが、やはり鬼の力を持つドルガの敵ではなく、両足を吹き飛ばされてしまう。ドルガに連れ去られそうになるシンタだったが、そこに惑星連邦特務監査局のダズー・ダズダフィーミア・ナレンミアが出現。二人に保護されたシンタは家族を奪ったドルガへの復讐を誓う。一方、ドルガの属する武装独立派は、スラースの惑星連邦からの独立と新オズダリア皇国の建国を宣言していた。

第2巻

新オズダリア皇国の三人の鬼態兵が、シンタ・エーラミア・ナレンミアにせまる。敵の一人であるカイドー・ゼドはシンタが倒したボドー・ゼドの兄であった。ダズー・ダズダフィーは部下のルカー・ウルバにシンタとミアを助けるように指示。戦いは三対三のチーム戦の様相を呈する。形勢不利と見た敵部隊指揮官のシャリム・レイダムは撤退を指示するが、シンタをつけ狙うカイドーは命令を無視して戦いを続行。民間人を人質に一対一での決闘をシンタにせまる。シンタは心理面で優位に立つべく、ボドーを侮辱する言葉をぶつけ、怒りで冷静さを失ったカイドーの顔面を切り裂く。しかし、カイドーの弟への愛情に自身の家族への思いと同じものを感じ、とどめを刺すことはできなかった。不利を悟ったシャリムは負傷したカイドーを強制撤退させるが、仲間を守るために自らは最後まで戦場にとどまり、ルカーの銃弾に倒れたのであった。戦いはひとまず終結するが、シンタは軍に入れというダズーやミアの誘いをなおも拒み続けていた。そんな中、捕虜となった敵鬼態兵のエリシャ・マキマが、シンタを拉致して逃走するという事件が発生する。

登場人物・キャラクター

シンタ・エーラ

スラース人の父親と地球人の母親とのあいだに生まれた少年。年齢は16歳。孤児院で同年代の地球人たちから、ひどいいじめを受けていたが、叔父のサース・エーラに引き取られ、従姉のナーヤ・エーラと三人で暮らすようになった。地球人とのハーフのため、同年代のスラース人からも距離を置かれており、そうした環境のためか鉄面皮で感情をほとんど表に出さないが、根は優しい性格をしている。強さと賢さを併せ持つナーヤに強くあこがれており、自分も家族を守る側になりたいと願うようになるが、そんな中でエーラ家がスラース人の武装独立派に襲撃されるという事件が発生。ナーヤとサースが殺害されたことから、独立派の幹部であるデル・ドルガへの復讐を誓う。エーラ家に代々伝わる「メルズ」と呼ばれる小刀型の継承体をサースから受け継いでおり、このメルズと一体化して鬼態兵となることで圧倒的な戦闘力を発揮する。鬼態兵としての進化が早く、三次認承を果たしている唯一の鬼態兵であることから、惑星連邦軍と武装独立派の双方から注目される存在となっている。

ナーヤ・エーラ

サース・エーラの娘で、シンタ・エーラの従姉。年齢は18歳。勝気で明るい性格の眼鏡っ娘で、シンタをいじめていた孤児施設の地球人たちを一人で全員叩きのめすなど、女性ながら恐ろしく腕っぷしが強い。成績もトップレベルで、奨学金を得て帝立アカデミーに進学することが決まっていた。強さと賢さを兼ね備えており、シンタに戦いでの心構えや「ミネリア」と呼ばれる生命エネルギーを体内で練る方法を教えるなど、彼の師匠的な存在にしてあこがれの対象となっていた。だが、エーラ家がデル・ドルガら武装独立派に襲われた際、ボドー・ゼドの剣からシンタをかばって命を落とした。

サース・エーラ

ドゥー・ルー族という部族に属するスラース人。ナーヤ・エーラの父親で、孤児施設にいた甥のシンタ・エーラを引き取って自分の養子とし、エーラ家に代々伝わる継承体である「メルズ」をシンタに授けた。シンタにとってのよき父親となっていたが、武装独立派への協力を拒否したため、デル・ドルガとボドー・ゼドによって殺害された。

ダズー・ダズダフィー

惑星連邦特務監査局の部長を務めるスラース人の男性。惑星連邦軍の重鎮であるラドーラ・トーレスの右腕というべき存在で、ラドーラ麾下(きか)の鬼態兵部隊である「レッド・クロウズ」の指揮を任されている。かつてシンタ・エーラの父親である「リカード・エーラ」と共に戦った経験があり、デル・ドルガに敗れたシンタを救出した。ドルガへの復讐に燃えるシンタに惑星連邦軍への加入を勧める。当初の階級は中尉だったが、百鬼兵団のシャリム・レイダム隊との戦いのあと大尉に昇進した。

ミア・ナレンミア

惑星連邦軍に属するダズー・ダズダフィー配下のスラース人の女性で、階級は准尉。デル・ドルガに敗れたシンタ・エーラをダズーと共に救出した。両足を吹き飛ばされたシンタの治療を行った。「シリーン」と呼ばれる剣型の継承体をあやつるすご腕の鬼態兵で、虚数の鏡を駆使して敵の攻撃を防ぐディフェンダーとしても非常に有能。シンタ、ルカー・ウルバとトリニルトを組んで百鬼兵団のシャリム・レイダムの部隊と戦う。

リンク

惑星連邦軍に属するスラース人の少女。まだ訓練生で衛生班を志望しており、軍に保護されたシンタ・エーラの監視役を任される。無口でほとんど感情を表に出さないが、復讐に燃えるシンタに同情的で彼の連邦軍からの逃亡を助ける。「禍つの手(ドロス・デルース)」と呼ばれる希少な継承体の使い手で、この継承体を左手と一体化させ、指を触手のように伸ばすことで鬼態兵の原動力であるミネリアを敵から吸収したり、別の者に注入したりすることができる。

ルカー・ウルバ

惑星連邦軍に属するダズー・ダズダフィー配下のスラース人の男性で、階級は曹長。ライフル型の継承体を駆使する機動力に長けた中距離狙撃手で、百鬼兵団のシャリム・レイダム隊との戦闘の際、ダズーの指示を受けてシンタ・エーラ、ミア・ナレンミアとトリニルトを形成。乱戦のスキをついてシャリムにとどめを刺した。

ラドーラ・トーレス

惑星連邦軍に属する地球人の女性。ダズー・ダズダフィーの直属の上官で「レッド・クロウズ」と呼ばれる鬼態兵部隊を率いている。戦闘中でも平気な顔で食事を楽しむ女傑で、当初の階級は中佐だったが、百鬼兵団のシャリム・レイダム隊との戦いのあと大佐に昇進した。移動要塞都市「サン・サール」の指揮権を得る。

オーダー

リンクと共にシンタ・エーラの監視役を務める自律移動型のA・I。ドローンのような形状をしており、自由に飛び回ることができる。百鬼兵団のシャリム・レイダム隊との戦闘の際、鬼態兵の戦闘服であるオファード・アーマーをシンタに届けた。

デル・ドルガ

武装独立派に属するスラース人の青年。まだ若いが独立派の重鎮で、百鬼兵団と呼ばれる鬼態兵の部隊を率いており、武力による地球からの独立とスラース人による国家「新オズダリア皇国」の建国を目指す。そのためにはスラースの全部族をまとめ上げる必要があると考えており、ドゥー・ルー族の族長の承認を得てエーラ家を襲撃。独立派への協力を拒否したサース・エーラとナーヤ・エーラを裏切者として惨殺した。シンタ・エーラの鬼態兵としての能力に興味を持っており、彼を我が物にしようともくろんでいる。

ボドー・ゼド

ベルード族という部族に属するスラース人の男性で、カイドー・ゼドの弟。デル・ドルガの部下で二刀をあやつる優れた剣士だが、継承体に認承されなかったため、鬼態兵になることはできなかった。ドルガと共にエーラ家を襲撃し、サース・エーラを殺害した。さらにシンタ・エーラを殺してメルズを奪おうとするが、シンタをかばったナーヤ・エーラを刺殺したため、二次認承を果たしたシンタによって一刀両断にされた。

シャリム・レイダム

デル・ドルガの率いる百鬼兵団に属するスラース人の男性。小刀型の継承体をあやつる強力な鬼態兵で惑星連邦軍の者たちにもその名を知られている。威力偵察のためにカイドー・ゼド、エリシャ・マキマとトリニルトを組んで惑星連邦の鉱山を襲撃。連邦軍に保護されていたシンタ・エーラと戦うこととなった。戦況を読んで的確な指示を出す冷静沈着な指揮官にして有能なディフェンダーで、虚数の鏡で味方をガードしながら戦闘を行う。リーダーとしての責任感も強く、重傷を負ったカイドーを離脱させるために最後まで戦場に残り、シンタをあと一歩まで追い詰めるが、ルカー・ウルバの狙撃によって命を落とした。

カイドー・ゼド

ベルード族という部族に属するスラース人の男性で、ボドー・ゼドの兄。デル・ドルガの率いる百鬼兵団の鬼態兵で、銃型の継承体を駆使するウイングマンだが、剣での近接戦闘もこなす。威力偵察のためにシャリム・レイダム、エリシャ・マキマと共に惑星連邦の鉱山を襲撃するが、弟のボドーを殺したシンタ・エーラの殺害に固執している。非戦闘員を人質にシンタとの一騎討ちを望むが、弟を侮辱されたことから逆上してしまい、そのスキをつかれてシンタに顔面を切り裂かれる。それでも戦いを止めようとせず、一般人を巻き添えにしたことからエリシャの反感を買い、彼女に腕をへし折られた。

エリシャ・マキマ

ズー・ザロス族を率いるマキマ家の次女。マリーシャ・マキマは姉。小柄な少女だが、ブレスレット型の継承体と一体化することで全身に鎧をまとった巨漢の鬼態兵「鎧闘士(ガレイム)」と化す。部族の再興を夢見ており、デル・ドルガの率いる百鬼兵団に所属している。シャリム・レイダム、カイドー・ゼドと共に惑星連邦軍と戦うが、一般人を巻き添えにしたカイドーに反感を覚え、戦いの最中に彼の腕をへし折る。さらにシンタ・エーラにも攻撃を仕掛けるが、三次認承を果たしたシンタに敗北した。惑星連邦の捕虜となるが、自分を倒したシンタに興味を持ち、彼を拉致して逃走する。

マリーシャ・マキマ

ズー・ザロス族を率いるマキマ家の長女。エリシャ・マキマは妹。デル・ドルガら武装独立派に協力しており、戦闘時にはエリシャと同じく継承体の鎧をまとい、「鎧闘士(ガレイム)」となって戦う。エリシャのことを憎んでいるようだが、詳しい理由は不明。

バルバス・タース

ズー・ザロス族に属するスラース人の男性。エリシャ・マキマの守り役を担っており、エリシャから先生と呼ばれて慕われている。ズー・ザロス族は代々女性が指導者となってきた部族で、継承体に認承されるのも女性だけのため、鬼態兵になることはできない。

キーン・バレリアン

デル・ドルガに仕えるスラース人の男性で百鬼兵団の副官を務める。恐ろしく腕の立つ鬼態兵で、継承体を球状の反重力物質に変化させ、ジグザグに飛ばして敵の急所に撃ち込んだり、虚数の鏡を駆使したりと戦い方は変幻自在。剣士としても圧倒的な力量を誇っており、ズー・ザロス族の里でシンタ・エーラと戦った際、彼をまったく寄せ付けなかった。

集団・組織

スラース人 (すらーすじん)

地球の植民星であるスラースの住民。ドゥー・ルー族、ベルード族、ズー・ザロス族など、さまざまな部族で構成されており、地球人のことは「アーシアン」と呼んでいる。地球をルーツとする民族だが、両腕に爛(ただ)れたような紋様を持つため、地球人からは差別の対象となっている。また、成長するにつれて顔にも「孚痕(スタッグ)」と呼ばれる紋様が浮き出てくる。

百鬼兵団 (ぎるだりざーと)

デル・ドルガが率いるスラース人武装独立派の鬼態兵部隊。まだ結成されたばかりの部隊だが、副官のキーン・バレリアンをはじめとする一騎当千の鬼態兵がそろっており、惑星連邦の鉱山を巡る戦闘では、わずか三人で惑星連邦軍を全滅寸前まで追い込んだ。

レッド・クロウズ

惑星連邦軍のラドーラ・トーレス麾下(きか)の鬼態兵部隊。ダズー・ダズダフィーが指揮を任されている。ミア・ナレンミアやルカー・ウルバらすご腕の鬼態兵が属している非常に強力な部隊だが、スラース人が主力となっているため、地球人からはさげすまれている。

場所

スラース

地球の植民地となっている惑星。冬は気温がマイナス60度に達する厳しい環境のため、数世紀にわたって惑星連邦から見捨てられた存在になっていたが、新たな資源が見つかったことから、再び多数の地球人が流入するようになった。しかし、スラース人はその恩恵をほとんど得られず、地球人に土地を奪われたりしたためにスラースの独立闘争が激化することとなる。かつて超古代文明が存在しており、武装独立派と惑星連邦軍の双方が、その失われた技術を復活させて利用している。

サンサール

デル・ドルガとの戦いで負傷したシンタ・エーラが運び込まれた惑星連邦の移動要塞都市。スラースの旧文明の遺跡を利用して建造された都市機能を有する巨大な空中要塞で、百鬼兵団のシャリム・レイダム隊との戦いのあとラドーラ・トーレスが指揮することとなる。

その他キーワード

継承体 (れがりあ)

スラース人を鬼態化する物質。スラウドニウムというスラースの鉱物を主成分としており、通常時は小刀や腕輪などの形状をしているが、戦闘の際に所持者と一体化し、鬼態兵としての力を発揮する。刀や銃として使用するもの、鎧のようにまとって使用するものなどタイプはさまざまだが、スラース人なら誰でも使用できるわけではなく、継承体に認承されなければ鬼態化することはできない。また、鬼態化には一次認承、二次認承といった段階があり、所持者はこれらの認承が進むごとに、鬼態兵としてより強力になっていく。

メルズ

エーラ家に代々伝わる小刀型の継承体。シンタ・エーラの父親である「リカード・エーラ」が、かつて所持していたもので、サース・エーラからシンタに与えられた。スラウドニウムとオズダリア・クリスタルという鉱物を原料としており、シンタが一次認承を果たした際、彼の腕と一体化して長刀に変化。二次認承時にはシンタを鬼のような姿へと変えた。現在、三次まで認承が進んでおり、シンタは三次認承を得た唯一の存在となっている。

鬼態兵 (だりおーん)

継承体の力で鬼態化した兵士の呼称。通常の人間をはるかにしのぐ身体能力と戦闘力を誇っており、スラース人がミネリアと呼ぶ生命エネルギーを原動力としている。継承体によって得られる力には段階があり、認承が進むごとに鬼態兵として進化していく。現在、三次認承まで確認されているが、どこまで進化できるかは今のところ不明。

ミネリア

スラース人の生命の源とされる身体エネルギー。特別な呼吸法を駆使することで体内に生成することができる。鬼態兵の原動力となっており、体内でのミネリアの出力を上げることで戦闘力が上がるが、ミネリアが尽きると戦闘不能となる。

トリニルト

鬼態兵が戦闘時に構成する三人一組からなるチームの名称。剣や拳などでの近接攻撃を主体とするアタッカー、虚数の鏡での防御役を担うディフェンダー、遠距離からの支援攻撃を主な役割とするウイングマンで構成するのが基本となっている。

虚数の鏡 (らくーむめるー)

鏡のようなバリアー状のシールドを展開することで、あらゆる攻撃を無力化する防御兵器。「鏡使い」と呼ばれるディフェンダー役の鬼態兵が主に使用する。スラースの超古代文明のロストテクノロジーを復活させたもので、武装独立派と惑星連邦軍の双方が使用している。

オファード・アーマー

惑星連邦軍が使用している鬼態兵の戦闘服。ナノマシンを展開することで、装備する者の認承形態にマッチしたアーマーを瞬時に装着することができる。急所や関節部の防護、筋力の強化などの能力を備えており、バイザーに戦闘情報を直接表示。さらに飛行能力も搭載しており、背中から羽を生やすことで空中を自由に飛び回ることができる。

書誌情報

愚者の星 8巻 講談社〈KCデラックス〉

第7巻

(2022-01-17発行、 978-4065262238)

第8巻

(2022-05-17発行、 978-4065271582)

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