あらすじ
第1巻
高校2年生の岡崎由真は、同級生の武田と交際を始めたが、友人としての期間が長すぎために恋人としてどう接すればいいかわからず、悩んでいた。そんなある日、由真は幼なじみの水科蛍に相談し、蛍の恋人である藤原も交えて四人で遊びに行く。そこで蛍は、由真と武田は誰かといっしょにいないと、間が持たない微妙な関係であることを知ってしまう。これに興味を持った蛍は、その日から武田とのセックスの予行練習と称して、由真にキスをしたり、身体を触ったりとセクハラまがいの行為をするようになる。由真はこれに困惑しつつも強く拒めず、それどころか快感すら覚えてしまっていた。そして冬休みとなり、由真たちは再び四人でスキー旅行へ向かう。ここでも蛍は由真にキスを迫るが、このままではいけないと考えた由真はついに蛍を拒む。この反応で蛍はセクハラをやめたものの、そのまま藤原とホテルの部屋に戻ってしまう。二人は部屋でセックスをすると考えた由真は、頭ではそれが自然なことだと理解しつつも腹を立ててしまう。そしてその晩、由真は自分たちの関係を進展させるために武田を誘惑するのだった。
第2巻
岡崎由真は、自分の苛立ちを抑えるために無理に武田とセックスしようとしたことで、彼を深く傷つけた。そのまま気まずい雰囲気になった二人は最悪の形で旅行を終え、その後は会わないままに冬休みが終了してしまう。このままでは武田との関係が自然消滅してしまうと考えた由真は、関係を修復しようと焦るが、そんな中、藤原に関するおかしな噂を耳にする。藤原は水科蛍と交際しているが、同級生の「河本まりあ」が最近藤原と交際を始めたと吹聴しているのだという。不審に思った由真は蛍の自宅へ向かうが、蛍は藤原の浮気を把握しつつも特に気にする様子もなく、さらになぜか目にケガを負っていた。これを見た由真は、蛍が藤原から暴力を振るわれているのではないかと疑うようになる。そして後日、由真は藤原を問い詰めて浮気をやめるよう進言するが、藤原からは自分と同じく浮気している由真には言われたくないと反論され、さらに武田との待ち合わせに遅刻してしまい、結局由真は武田に会うことができずに終わってしまう。すべては自分のせいだと落ち込む由真が蛍に会いに行くと、蛍は由真が性的に慰めて欲しいのかとカン違いしてしまう。由真は流されるまま蛍に抱かれそうになるが、その瞬間を水科家に隠れていた藤原に撮られてしまう。
第3巻
水科蛍は藤原に撮られた画像データの消去と、岡崎由真との浮気疑惑を払拭するため、由真を自宅に帰して藤原と二人で話すことにした。この話し合いによって画像は消去され、由真たちは事なきを得たかに思えたが、藤原は兄にもこのデータを送信していた。そんなことは想像もしていなかった蛍は、由真にこれまでの行動を詫び、今後は親友として仲よくしようと提案する。由真はこれに違和感を覚えつつも従い、そのまま春を迎えて高校3年生となり、蛍と同じクラスになる。しかし蛍は成績が悪いうえに最近は自宅に戻っておらず、さらに由真は、蛍が繁華街のキャバクラ「Kitty♡Cat」で働いていることを知ってしまう。由真はすぐさま蛍に店をやめさせようとするが、蛍はまったく耳を傾けず、結局アルバイトを認める形となってしまう。しかしどうしても納得できない由真は、自分も同じ店で働く決心をする。こうして二人はキャバクラ店でいっしょに働き始めるが、すぐに由真の母親に由真が予備校をさぼっていることがばれてしまう。しかし、これは蛍が由真に店をやめさせるため、由真の母親に、情報を流したものだった。母親に叱られて落ち込む由真は、翌日体調を崩してしまう。そのお見舞いに蛍が姿を現すが、蛍がいつもより遠く感じられ淋しくなった由真は、衝動的に蛍にキスをするのだった。
第4巻
岡崎由真は、水科蛍とキスをしているところを武田に見られてしまったと焦るが、うまくごまかすことに成功する。しかし武田は二人の関係を疑い、藤原に相談するようになっていた。由真と蛍はこれを知らぬまま、夏休みに四人で海へ行くことになる。ここで水着が脱げてしまった由真は蛍に助けられるが、同時にキスとセクハラをされて困惑する。そしてその夜、蛍は再び由真に親友宣言をし、ますます由真を混乱させるのだった。翌日、四人は水族館に向かうが、蛍の本心を知ろうとする由真を蛍は再び翻弄する。とうとう我慢できなくなった由真はその場を去り、それ以降は蛍と距離を置くようになる。そして旅行後は蛍に会うこともないまま、夏休みは過ぎていく。そんな中、由真は武田と楽しく過ごし、蛍の名前を伏せて悩み相談をするようになっていたが、藤原はこれを快く思っていなかった。藤原から見れば、由真はずっと武田を騙しながら蛍と関係を持ち続けているだけでなく、武田に蛍との恋愛相談までしている、不誠実な女性だと決めつけていたのだ。怒りの収まらない藤原は、先日撮影した由真と蛍が下着姿で絡んでいる写真をばらまく決意をする。
第5巻
岡崎由真は、水科蛍への恋愛感情を自覚し、今後は以前のようにキスやセクハラまがいの行為も問題ないことを伝えた。だが、蛍は相変わらず由真をからかうばかりで、何も進展せずにいた。さらに由真は、藤原から蛍が引っ越しを考えているらしいことを聞き、悩んでいた。蛍は父子家庭の二人暮らしだが、父親はほとんど不在で、すでに一人暮らしのようなものだった。それでも引っ越しをしたいと考える理由は、となりに住む自分と距離を置きたいからだと考える。しかし、変わらず蛍と友人とも恋人ともつかぬ関係を続けるが、そんな由真を武田は陰ながら心配していた。そこである日、武田が由真の行動を監視していると、由真がキャバクラ「Kitty♡Cat」に入っていくところを目撃してしまう。由真はアルバイトをやめたあとも、アルバイト終わりの蛍を迎えに行くようになっていたのである。だがそんな事情を知らない武田は、なぜ由真がキャバクラに出入りしているのか理解できず、ますます不安になり、藤原にこのことを相談する。すると藤原は、武田を心配させる由真に激しい怒りを覚え、とうとう自分のSNSアカウントに二人の写真を投稿してしまう。
第6巻
岡崎由真と水科蛍は、下着姿で絡んでいる写真を藤原に公開されたことにより、同性愛者であるという噂を立てられてしまう。すると蛍は、これは性経験に乏しい由真をからかった時の写真だと噓をつく。これによって由真の疑惑は晴れるものの、蛍は由真の友人にまで嫌われるようになり、ますます孤立してしまう。一方の武田は、この投稿に激しく怒り、藤原に投稿を削除させていた。こうして騒ぎは一旦収まるが、もう隠しきれないと判断した由真は、武田に、以前悩み相談した気になる相手とは蛍のことであり、彼女に恋愛感情を抱いていることを打ち明ける。由真は、自分の気持ちを理解されないのではないかと不安になるが、武田はこれを受け入れ、由真の背中を押すのだった。そして由真はその足で蛍に会いに行き、自分の気持ちを告白し、これまで武田や蛍にあいまいな態度を取ってきたことを詫びる。この告白によって、最初は冗談だと思っていた蛍も由真を受け入れ、ついに二人は結ばれるのだった。しかし翌日から蛍は学校に来なくなり、不審に思った由真が水科家を訪れると水科蛍の父親から、蛍はすでに一人で引っ越したことを知らされる。
メディアミックス
TVアニメ
2017年7月から9月にかけて、本作『捏造トラップ -NTR-』のTVアニメ版『捏造トラップ -NTR-』がAT-X、TOKYO MX、BS11で放送された。総監督はひらさわひさよし、キャラクターデザインは川島勝が担当している。岡崎由真役を加隈亜衣、水科蛍役を五十嵐裕美、武田役を逢坂良太、水科蛍役を小野大輔が演じている。
登場人物・キャラクター
岡崎 由真 (おかざき ゆま)
とある高校の2年1組に在籍する女子。女子バスケットボール部に所属しており、高校3年生の春からは武田と藤原といっしょに予備校「一迅ゼミナール」に通っている。茶色のロングヘアを耳の下の位置でおさげにした、筋肉質な体型をしている。心優しくお人好しで、面倒見のよい性格の持ち主。そのため誰とでもすぐに親しくなり友人も多いが、その場の雰囲気に流されやすいところがある。同じマンションの隣室に住む水科蛍とは幼なじみで、自分以外に友人のいない蛍のことをつねに案じ、中学生になるまでは非常に親しくしていた。しかし中学1年生のある日、蛍に恋人ができたのを機に距離を置かれるようになり、これを淋しく思っていた。だが高校2年生のある日、友人の武田に告白された時に、かつて蛍と、思いを寄せる人ができたらお互いに協力し合おうと約束していたことを思い出す。そこで蛍に武田との件を打ち明けると、武田との関係を進展させるための予行練習として、蛍にキスをされたり、身体を触られたりするようになる。それでも蛍と唯一無二の親友であろうとするが、これを武田がいながらの浮気とカン違いした藤原に、誤解されるようになってしまう。
水科 蛍 (みずしな ほたる)
岡崎由真と同じ高校に通う2年生の女子。由真の友人で、繁華街の風俗店「Kitty♡Cat」でアルバイトをしている。黒のストレートロングヘアをハーフツインにした美少女。色白で小柄な体型ながら胸が大きく、異性から非常に人気がある。しかし実は人見知りのおとなしい性格で、人と話すのは苦手。そのため同性からは、異性にだけ愛嬌を振りまくぶりっ子と誤解されており、幼い頃から由真以外の同性の友人はいない。そのため、中学生になるまではマンションの隣室に住む幼なじみの由真にべったりで、由真に依存しっぱなしの生活を送っていた。しかし、中学生になってからは由真がほかの友人と過ごすことが多くなり、淋しさのあまり異性と交際して気分を紛らわすようになり、現在に至る。さらに交際相手は周囲からも人気のある男性が多く、女性にはますます疎まれている。またこの頃から、ミステリアスで小悪魔的な女性として振る舞うようになる。そんなある日、交際相手ともめているところを藤原に助けられ、彼を自分と同類とみなしてお互いの欲求を解消するために契約を結んで交際を始めた。しかしある日、由真が武田と交際すると知り、由真への複雑な思いを断ち切れず、武田との関係を進展させるための予行練習と称して、キスをしたり身体を触ったりするようになる。母親はおらず父親と二人暮らしだが、父親は不在なことが多いため実質的に一人暮らししている。
武田 (たけだ)
岡崎由真と同じ高校に通う2年生の男子。由真の友人で、男子バスケットボール部に所属している。あまり背は高くないが、ゲームではスピードを活かしたプレーを得意としている。高校3年生の春からは由真と藤原といっしょに予備校「一迅ゼミナール」に通っている。黒のベリーショートにした髪型で、まじめで心優しい性格をしている。そのため人を安心させるオーラがあり、部活仲間の由真だけでなく、気難しい性格の藤原からも慕われている。一方で、お人好しすぎるためになんでも前向きにとらえてしまい、他人の悪意に無頓着で、そのことを藤原に心配されている。由真とは非常に仲がよく、高校2年生のある日、自分から告白する形で交際をスタートさせた。その後は関係が進展せずに焦ることもあったが、誠実に由真と交際するつもりでいた。藤原とは非常に仲がいいが、藤原から寄せられる複雑な感情には気づいていない。
藤原 (ふじわら)
岡崎由真と同じ高校に通う2年生の男子。男子バスケットボール部に所属しており、高校3年生の春からは由真と武田といっしょに予備校「一迅ゼミナール」に通っている。銀色のウルフカットヘアのイケメンで、成績優秀かつスポーツ万能なため、異性から非常に人気がある。しかし藤原自身は大の女嫌いで、性欲を解消するためだけに女性と付き合っている。そのため恋人を大切に思ったことはなく、浮気は当たり前で気に食わないことがあれば女性にも平気で暴力を振るうため、一人の女性と長続きしたことがない。そんなある日、水科蛍が交際相手ともめているところに遭遇して助ける。乱れた性生活を送る蛍を自分と同類とみなし、お互いの欲求を解消するための契約を結んで交際を始めた。こんな乱れた生活を送りつつも、友人の武田のことは非常に大切に思っていた。そんな高校2年生のある日、武田の恋人となった由真が、武田と交際しながら蛍とも性的な関係を持っていることを知ってしまう。これを浮気とみなして以来、由真に冷たく当たるようになる。そして由真と蛍が下着姿で絡んでいる写真を撮影し、切り札として隠し持つようになった。
水科蛍の父親 (みずしなほたるのちちおや)
水科蛍の父親。会社員の中年男性で、きちんと分けた撫で付け髪をした、上品で落ち着いた雰囲気を漂わせている。妻を早くに亡くしており、蛍が子供の頃には新しい女性との交際を始める。しかし、その女性が蛍との同居を拒否したことや、蛍が一人暮らしを受け入れたことから、蛍よりも恋人を優先して、蛍と暮らしている家にはほとんど帰っていない。そのため蛍に関しては放任状態で、蛍が幼い頃とは大きく性格が変わったことにも気づいておらず、蛍の噓も鵜呑みにしてまったく疑っていない。