あらすじ
第1巻
友人といっしょに森まで虫取りに来た甲本シュウは、そこでタケゾーという、謎のしゃべるカブトムシを発見する。タケゾーからパートナーになる事を懇願されたシュウだったが、面倒がったシュウはこれを拒否。しかし、その現場にタケゾーを追っていた不良の不座毛郎が乱入する。毛郎はタケゾーが持っていたガジェット、Vガジェを強引に奪い、強い虫を召喚して悪さをする事を企んでいた。毛郎の狼藉を咎めたシュウは、毛郎が言い放った「弱虫」という言葉に激高。シュウは、タケゾーから借りたVガジェから強力なカブトムシの「ヘラクルスオキシデンタリス」を召喚し、毛郎があやつるコクワガタの撃破に成功する。その姿を見たタケゾーは、ついにムシキングになる資格を持つ少年を見つけた事に、喜びを覚えるのだった。(第1話「選ばれた少年」。ほか、5エピソード収録)
第2巻
クラスメイトと遊びに出かけようとしていた甲本シュウは、街中で倒れていた少女の神谷ヒヨコを発見する。介抱してくれたシュウに礼をいい、その場を立ち去ったヒヨコは、「運命の人」を見つけた事に心をときめかせる。その直後、神谷レイジに会ったシュウは、彼が妹にプレゼントを買おうとしている事を知る。その妹とは、先ほどシュウが介抱したヒヨコだった。ヒヨコから「あの人の事、すごい好きかも」と言われたレイジは、シュウに対する嫉妬心と敵対心が爆発。問答無用のムシバトルをシュウに挑むのだった。(第7話「シュウVSレイジ」。ほか、5エピソード収録)
登場人物・キャラクター
甲本 シュウ (こうもと しゅう)
虫が大好きな小学4年生の少年。オオツノ小学校に通っている。森で友達といっしょに虫を探していた時に、しゃべるカブトムシのタケゾーと出会い、ムシバトルのパートナーになるように依頼される。一度はこれを拒否するが、Vガジェを使いこなして強力なカブトムシである「ヘラクルスオキシデンタリス」を召喚し、不良の不座毛郎があやつるコクワガタを撃退した事でムシ使いとなり、ムシキングへの道を歩み出す。明るく大らかな性格をしており、みんなから好かれる人気者だが、「弱虫」と呼ばれる事だけは大嫌い。これを言われると瞬時にキレてしまい、凄まじいまでパワーを発揮するようになる。
タケゾー
しゃべるオスのカブトムシ。口やかましい性格で、関西弁でしゃべる。強い虫を召喚できるVガジェを所持しており、ムシキングを目指す見込みのある、ムシバトルの才能を持つ逸材を探していた。森で見かけた甲本シュウの優れた才能に惚れ込み、ムシバトルの世界へと導く。シュウをパートナーにしてからは、彼の頭に乗っかり、友人兼相棒としていっしょに行動するようになる。
神谷 レイジ (かみや れいじ)
クールな雰囲気を漂わせる少年。ムシ使いの一人で、あちこちでムシバトルを行っている名の知られた凄腕プレイヤー。召喚する虫は「グランディスオオクワガタ」。勝利後に敗者からVガジェを奪う事から、「Vガジェ狩りのレイジ」という異名を持つ。新たにムシ使いとなった甲本シュウの戦い方が拙(まず)い事に憤りを覚え、自身の力を見せつけたうえで、完膚なきまでに叩きのめそうとするが、底力を発揮したシュウに敗北を喫した。それ以降はシュウのよきライバルとなる。
シャチョー
おとなしい性格の小学4年生の少年。眼鏡をかけている。オオツノ小学校に通っている。甲本シュウのクラスメイトで、何事にも一生懸命に取り組んでいる。学級委員長を務め、ルールを厳格に守る堅物。少々口うるさいため、クラスメイトからは距離を置かれており、友達ができない事を悩んでいた。実はムシ使いで、それを知ったシュウの意向から、ムシバトルをする事になった。ムシバトル中はメガネを外し、しゃべり方も乱暴になったうえ、ルールなどを無視してガムシャラに戦うにようになる。あやつる虫は「コーカサスオオカブトムシ」。
カザン
三白眼の大柄な少年。オオツノ小学校に通っている。オオツノ小学校で開かれた運動会では、紅組の応援団長を務めていた。実はムシ使いで、あやつる虫は「ギラファノコギリクワガタ」。白組の甲本シュウのリレー参加を阻止するため、ムシバトルを挑んで妨害しようとするが、シュウによって叩きのめされる。
イスルギ
アーティストの男性。テンションが非常に高い。シルクハットをかぶり、ロックとアートをこよなく愛している、自称「魅惑のアーティスト」。実はムシ使いで、街中で出会った甲本シュウを自身のライブハウスへと誘い、そこでムシバトルを行った。あやつる虫は「タランドゥスツヤクワガタ」。
神谷 ヒヨコ (かみや ひよこ)
小学生の女の子。神谷レイジの妹。生まれつき体が弱く、レイジからは大事にされている。体調不良で倒れ込んでいた際、介抱してくれた甲本シュウに一目惚れし、それ以来思いを寄せている。それを知った兄のレイジを激怒させ、シュウに対するライバル心を増幅させてしまう結果になった。しかし、のちに神谷ヒヨコが気に入っていたのは、シュウといっしょにいたタケゾーである事が判明する。
秋山 クリオ (あきやま くりお)
エリートの少年。眼鏡をかけている。自らを天才と自称する自信家のムシ使いで、実家はかなりの金持ち。シャチョーの誕生日パーティーで甲本シュウと出会い、ムシバトルを挑んだ。優勢に勝負を進めるが、シュウに対し「弱虫」と言った事で、底力を発揮したシュウに逆転負けを喫する。あやつる虫は黄金色に光り輝く「オウゴンオニクワガタ」。
コジロー
しゃべるオスのクワガタ。神谷レイジの相棒で、いつもレイジといっしょにいる。語尾に「ござる」を付けるのが特徴。レアな虫なため、同じしゃべる虫であるタケゾーも、コジローの存在に驚いていた。レイジのムシバトルを実況したり、アドバイスをしていた。
トーリ研究員 (とーりけんきゅういん)
虫が大好きな青年。虫好きが高じて、ムシ研究所で研究員を務めており、日々虫やVガジェの研究をしている。実験への協力という名目で甲本シュウをムシ研究所へと誘い、そこでシュウにムシバトルを挑んでいた。勝負には敗れるが、その貴重なデータをリッキーブルーの育成に活用する。あやつる虫は「メタリフェルホソアカクワガタ」。
リッキーブルー
強大な力を持つオスのカブトムシ。ムシ研究所で秘蔵の虫として長らく研究されていたが、突如として暴走し、ムシ研究所の半分を破壊して脱走した。攻撃力、防御力共にすさまじい能力を誇り、複数の虫を相手に戦ってもものともしない。甲本シュウのあやつる「ヘラクルスオキシデンタリス」すらも一蹴していた。
デュフ男 (でゅふお)
ボサボサの髪型をした少年。ムシバトルのプロを名乗っている。あやつる虫はカブトムシ。ムシ使いになりたての甲本シュウと街中で戦う事になり、密かに罠を仕掛けて「ヘラクルスオキシデンタリス」の動きを封じるなど、絡め手を駆使してシュウを苦戦させる。「どんな手を使っても勝つ」という信念の持ち主。
不座 毛郎 (ふざ けろう)
不良の少年。鬼瓦中学校に通う3年生で、趣味は読書。悪さをするために強い虫を探しており、そのためにVガジェを手に入れようとしている。あやつる虫はコクワガタ。タケゾーが持つVガジェを強引な手段で奪い去ろうとしていたが、甲本シュウとのムシバトルに敗れ去り、そのまま逃走した。
その他キーワード
ムシバトル
虫同士を戦わせる特殊な競技。ムシ使いが所持するVガジェという特殊なガジェットを使って「ムシカード」を読み取り、強力な虫を召喚したうえで、対戦相手があやつる虫とバトルをさせるというシステムになっている。
ムシ使い (むしつかい)
虫をあやつる人間を指した言葉。Vガジェで召喚できる虫を、「ムシカード」の形で所持している。虫に対する知識や虫をあやつるテクニックの習熟度には個々人で大きなバラつきがあり、ムシ使いの中でも神谷レイジはかなりの腕前を誇っていた。
ムシキング
ムシバトルの頂点に立つ存在を指す言葉。タケゾーはあちこちを巡り、「ヘラクルスオキシデンタリス」を使いこなせ、ムシキングになれる逸材をずっと探し続けていた。森で出会った甲本シュウの力を見て、彼こそがムシキングを目指せる人間であると、タケゾーは予感する。
Vガジェ (ぶいがじぇ)
腕に装着する特殊なガジェット。「ムシカード」から強力な虫を召喚する事ができる。タケゾーからVガジェを預かった甲本シュウは、これを使って大型のカブトムシの「ヘラクルスオキシデンタリス」を召喚。Vガジェを狙っていた不座毛郎を撃破した事で、ムシ使いとしての道を歩み出した。