作品構成
物語は3部構成となっており、第1巻から第7巻までは、切札勝舞が強いデュエリストとして成長していく「デュエルの神殿編」、第8巻から第14巻までは、勝舞が仲間とともに日本中のデュエリストの頂点を目指す「バトルアリーナ編」、第14巻から第17巻までは、奪われた白凰の記憶を取り返すため不亞家の刺客と戦う「不亞家編」となっている。
あらすじ
デュエルの神殿編(第1巻~第7巻)
11歳の少年切札勝舞は、強いデュエリストとして町で評判だった。そんなある日、3年に及ぶデュエルの修行から帰国する父親の切札勝利と、アジア最強のデュエリストとして知られるNACを出迎えに行った勝舞は、勝利が行方不明になったことを知る。それでも勝舞は落ち込むことなく、勝利の残したカードを使って、新たなデッキを組み上げる。勝舞はそのデッキで、「黒い死神」と呼ばれ恐れられている黒城凶死郎に挑むが、敗北を喫してしまう。意気消沈する勝舞を、親友の角古れく太が、ジュニアデュエリストの養成機関「デュエルの神殿」へと連れていく。しかし「デュエルの神殿」は、デュエリストチーム「白い騎士団」を率いる日本ジュニア最強のデュエリスト、白凰の圧政下にあった。
バトルアリーナ編(第8巻~第14巻)
「デュエルの神殿」での修業を終え、街へ戻った切札勝舞たち。彼らが退屈な1か月を経てデュエル大会へと向かうと、そこでは「デュエル・マスターズカード」を使用したデュエルが行われていた。そんななか、勝舞たちは、修業が辛くて逃げだして来た、という赤ちゃんデュエリストのジョージに出会う。ジョージに対して非道なまでの仕置きをした彼の師匠、Dr.ルートに、デュエル・マスターズカードで挑んだ勝舞は、惨敗して死の淵を彷徨うまでになってしまう。だが、一命を取り留め、死の恐怖も乗り越えた勝舞は、かつての敵である白凰やミミとともにDr.ルートに師事し、決闘者の頂点を決める大会「D・Mバトルアリーナ」での優勝を目指す。
不亞家編(第14巻~第17巻)
「D・Mバトルアリーナ」終了後、白凰は不亞家の当主である不亞ザキラに記憶を奪われたまま、回復することなく幼児退行してしまう。彼の記憶を取り戻すため、切札勝舞は角古れく太とともに不亞城への旅に出る。その行く手には不亞家の刺客が次々と現れるが、旅の途中で合流したグレートバケツマンの部下、ヤカンマンの案内で、彼らはついに不亞城へと至るのだった。一方その頃、Dr.ルートのもとに残してきた白凰に、不亞家の魔の手が伸びていた。
特殊設定
当初は単にカードゲームによる対戦が行われるだけだったが、「デュエル・マスターズカード」を使用するようになる第8巻以降は、真のデュエリスト同士のデュエルでは、カードゲーム自体に殺傷能力が備わるようになった。これにより、シールドの破片による周辺の破壊、クリーチャーや効果の実体・実現化、さらにはゲーム決着時の殺害などが起こり得る。
単行本の装丁
作中で「マジック:ザ・ギャザリング」を使用していた第6巻までと、「デュエル・マスターズカード」を使用している第7巻以降では、装丁が大きく変わっている。第6巻まではカバー表紙右側に、黒帯とともに「MAGIC:The Gathering」のロゴが入れられ、作品ロゴデザインにも、同カードが盛り込まれている。「デュエル・マスターズカード」を使用する第7巻からは、カバー表紙に全面イラストが使用され、ロゴデザインには、同カードに使用されているドラゴンがあしらわれるようになった。また、第6巻までのカバー裏表紙は、全体的に白く中央にカードの配置されたものだったが、第7巻からは、全体的に黒に近い灰色に白のテクスチャが施され、中央にカードが配置されている。さらにロゴマークや各巻数表示の部分も、平面的なものから全体的にシックかつメタリックなものに変更されている。他に、背表紙上部にあるカバーイラストの引用も、黄色に統一されていた背景が、カバーに使用されている各巻のカラーテクスチャに変更されている。
派生作品
本作『デュエル・マスターズ』の派生作品として、テレビ東京系列「おはスタ」内で放送されていたTVアニメオリジナル作品の『ゼロ デュエル・マスターズ』があり、川久保榮二によりコミカライズもされている。こちらは「小学3年生」に掲載された作品。主人公は同じ切札勝舞で、白凰など共通して登場しているキャラクターも多いが、本作とは設定が違う部分も多い。
外伝
本作『デュエル・マスターズ』の外伝作品として、『デュエル・マスターズ外伝』がある。これは「別冊コロコロコミック」に連載されたシリーズで、コミックス『デュエル・マスターズ外伝』として発行されており、一部エピソードが、本作の各巻末に掲載されている。いずれも1話完結で、本作の補足として展開されているものや、本作に比べてギャグ要素の強いエピソードなどがある。ちなみに、本作の巻末に初めて掲載されたのは第6巻。他にギャグ専門誌「コロコロイチバン!」に掲載されていた『デュエル・マスターズファイトッ!』があり、こちらはデュエルシーンも少なく、下ネタ重視のギャグ作品となっている。
関連作品
本作『デュエル・マスターズ』の続編として『デュエル・マスターズFE』があり、その後もシリーズは続いている。他にコミックスとして刊行されている作品として、「月刊コロコロコミック」連載時に別冊付録として描き下ろされた『デュエル・マスターズ大長編』などがある。松本しげのぶの手がける「デュエル・マスターズカード」のプレイヤーを主人公とした別作品として、『新星輝デュエル・マスターズフラッシュ』や『D・M覇王伝 ガチ!!』などのシリーズもある。
関連商品
カードゲーム「デュエル・マスターズカード」
実際に販売されているカードゲーム。本作『デュエル・マスターズ』は当初、カードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」(シリーズ「ウルザズ・サーガ」から「プロフェシー」にかけて)とタイアップして物語が展開していた。のちに、作者である松本しげのぶも開発会議から参加したタカラトミーのカードゲーム「デュエル・マスターズカード」が生まれ、そちらのカードゲームを主軸とした物語にシフトしていった。「デュエル・マスターズカード」は、互いのプレイヤーが持つ5枚のシールドを破壊し合い、直接相手にアタックできた者が勝利となるルール。初心者でも購入直後から遊べる構築済みデッキや、現在は生産が終了しているが、キャラクターが所持している物を模したキャラクターデッキなどがある。「デュエル・マスターズカード」に関しては、その世界観を独自にコミカライズした作品やティーチングコミック、またカードゲームのプレイ時に使用する玩具やデッキケース、スリーブなども発売されている。
メディアミックス
TVアニメ
本作『デュエル・マスターズ』は、テレビ東京系列「おはスタ」内の5分間アニメとしてTVアニメ化されている。切札勝舞役を小林由美子、角古れく太役を今井由香、白凰役を皆川純子が演じた。オリジナルキャラクターが多数登場し、最初から「デュエル・マスターズカード」を使用しているなど、原作となった漫画版とは少々内容が異なる。
劇場版アニメ
本作『デュエル・マスターズ』は、2005年に『劇場版デュエル・マスターズ 闇の城の魔龍凰(カース・オブ・ザ・デスフェニックス)』のタイトルで劇場版アニメ化されている。お笑い芸人である北陽の2人がゲスト声優として参加し、話題となった。切札勝舞らが切札勝利の友人の遺児たちと対立し、封印されたクリーチャーの復活を巡ってデュエルするストーリーとなっている。公開直前の2005年2月には、「月刊コロコロコミック」3月号別冊付録にて、物語の前日譚が松本しげのぶによってコミカライズされた。こちらはコミックス『デュエル・マスターズ外伝』に収録されている。
TVゲーム
本作『デュエル・マスターズ』の関連ゲームソフトが多数発売されている。ゲームキューブ用ソフト「デュエル・マスターズ 熱闘!バトルアリーナ」は、カードバトルを次々と繰り広げていくカード対戦シミュレーションゲーム。PlayStation2用ソフトの「デュエル・マスターズ 邪封超龍転生(バース・オブ・ザ・スーパードラゴン)」は、松本しげのぶによる書き下ろしのオリジナルストーリーとイラストで進めていくことができる、カード対戦シミュレーションとRPGの混合作品となっている。他に、ゲームボーイアドバンス用ソフトが5本発売されていて、こちらは全作カード対戦シミュレーション。なかでも「デュエル・マスターズ2」は、通常の「インビジブル・アドバンス」の他に「切札勝舞ver.」が発売されており、「切札勝舞ver.」ではプレイヤーが切札勝舞となって黒城凶死郎や白凰にデュエルを挑むことができる。また「デュエル・マスターズ3」発売前後には、主人公となっているオリジナルキャラクターの五代翔を主役としたコミック作品が、複数回にわたって「別冊コロコロコミック」にて外伝として掲載された。この内容はコミックス『デュエル・マスターズ』第12巻、第14巻の巻末に収録されている。
登場人物・キャラクター
切札 勝舞 (きりふだ しょうぶ)
カードゲームを愛する少年。「マジック:ザ・ギャザリング」「デュエル・マスターズカード」ともに、素早く相手に攻撃を仕掛けられる速攻デッキを好んで使用する。3年間のデュエル修行に出たまま、行方不明になった父親の切札勝利を非常に尊敬し、その背中を追いかけている。人情に厚く正義感が強い分、思考が単純だが、幼なじみにして親友である角古れく太の言葉を素直に受け入れる柔軟さも持つ。 初めて敗北を喫した黒城凶死郎のことをしばらく苦手としていたが、「デュエルの神殿」での再会以降は、苦手意識を克服した。黄昏ミミ、白凰とは、ともにDr.ルートに師事した仲間として親交を深め、れく太に次ぐ友好関係を築く。誰とでも友人関係を築ける気さくな性格で、命のやり取りをした相手であっても、事情に納得することができれば、受け入れる懐の深さを持つ。 真のデュエリストの1人。
角古 れく太 (かどこ れくた)
切札勝舞の幼なじみの少年。体が小さくデュエルも弱いが、勝舞にも負けないカードの知識を持っている。ギャグ要員として顔芸を披露することが多い。勝舞の修行や旅に付き添い、カード知識を用いて助言したり、軽率な行動へのストッパー役を担ったりして、勝舞を手助けする。勝舞の母親である切札舞からの信頼も厚く、仕事で留守にしている間、家事全般を任せられている。 勝舞がデュエルする姿を心から楽しんで見ており、勝舞が角古れく太の体を気遣って、デュエルを放棄しようとした際には、それを押し留めて背中を押すような芯の強さを見せる。
NAC (なっく)
切札勝利の友人。「マジック:ザ・ギャザリング」アジア最強のデュエリストとして名を馳せる青年。ともに修行の旅に出ていたが、不亞家に敗北し、失意のうちに帰国。一時はデッキを川に投げてカードゲームをやめようともしていたが、切札勝舞の成長ぶりを見て思い留まる。勝利が行方不明になった経緯と、勝利が残したカードを勝舞に託す。 それ以降、Dr.ルートとともに、勝舞たちの戦いを見守る役に徹する。真のデュエリストの1人。
切札 勝利 (きりふだ しょうり)
切札勝舞の父親。世界最強とも言われる伝説のデュエリスト。NACとともに世界を行脚して、デュエル修行の旅に出ていた。不亞家に敗北したことで行方不明になったとされているが、実際は「デュエル・マスターズカード」を使用した真のデュエルに臨んだ結果、生死不明になっている。真のデュエリストの1人。
黒城 凶死郎 (こくじょう きょうしろう)
全身黒ずくめで、非常に長い黒髪の年若い少年。切札勝舞が切札勝利、NAC以外で初めて負けた相手。年齢に不釣り合いな冷酷さや、周囲を見下したような態度を見せる。「マジック:ザ・ギャザリング」では、墓地にいるクリーチャーを再生させるなどの墓地利用デッキ、「デュエル・マスターズカード」では、墓地利用に加え、相手のカードを排除するデッキといった、相手の行動を妨害するような戦略を、好んで使用する。 普段は寡黙に振る舞っているが、デュエル中は気分が高揚し、叫んだり高笑いをすることも多い。乱暴な言動が目立つが、自分が認めたデュエリストに対しては、危害を加えることはしない。真のデュエリストの1人。
蛇美羅 (じゃみら)
「毒蛇王」などと自称している少年。切札勝舞がデュエルの神殿で修業を始めた際、最初に挑んできた。神谷透が勝舞のデッキ内容をすべて明かしてデュエルをしたことで、ようやく初勝利を収めるに至るなど、実はデュエルは非常に弱い。
神谷 透 (かみや とおる)
「デュエルの神殿」での修業中、切札勝舞のことを最も苦しめた少年。「神の怒り」を中心とした全クリーチャー破壊と赤防御デッキを使用している。観察力に優れており、修業中ほぼ同じパターンで勝利している勝舞のカードを観察し、まったく同じコピーデッキを作ってみせた。また一度仲間と認めた相手には面倒見がよく、ネット対戦で再会した勝舞の試作デッキの調整に力を貸した。
難波 金太郎 (なんば きんたろう)
「デュエルの神殿」での最後の審査員を担当する少年。背が低くふくよかな体形で、大阪弁で話す。機械のクリーチャーを中心としたデッキを使用する。母子家庭で育ち、昼夜問わず仕事に明け暮れて自分を育ててくれる母親を、心から大切にしている。チーム「白い騎士団」の入団テストの名目で、修業を終えた切札勝舞にデュエルを挑んだ。 勝舞に敗北したため、難波金太郎自身が「白い騎士団」から追放されてしまうが、以降は勝舞たちと行動をともにするようになる。
三国 (みくに)
1人目の四天衆。たくましい体躯を誇る青年。中国の「三国志」を彷彿とさせる長いポニーテールや、威厳ある言葉遣いが特徴的。デッキは「マジック:ザ・ギャザリング」で三国志をモチーフとしたシリーズ「ポータル三国志」を用い、対戦者もそれに準じさせる。白凰に忠誠を誓っており、白凰の盾として彼の身を護る役目に誇りを持っている。 それは「バトルアリーナ編」でも変わらない。
黄昏 ミミ (たそがれ みみ)
2人目の四天衆。スレンダーながら、非常に凹凸のくっきりした体型の魅力的な少女。「マジック:ザ・ギャザリング」では、デッキに同じカードを入れられないハイランダーでの対戦、デュエル・マスターズカードでは、水と自然文明の混色デッキを使用する。ぶりっ子な仕草で初対面の相手を惑わすが、実際は気が強く、すぐに手が出る性格。 また空手20段(「バトルアリーナ編」では40段になっている)という段位の持ち主で、素手で繰り出す必殺技「黄昏地獄拳」は、数十センチの厚い鉄壁に大穴を開けるほどの威力がある。切札勝舞に敗北した後はともに行動し、憧れと恋心を抱いている白凰とも、Dr.ルートの弟子として一緒に修行を始める。のちに真のデュエリストとなる。
邪藩 牛次郎 (じゃぱん ぎゅうじろう)
3人目の四天衆。巨大な頭と低い身長、尋常ではないオヤジ顔が特徴的な少年。チーム「白い騎士団」の教育係を任されている。IQ200の天才で、自立二足歩行ロボットのデュエ郎を自作して搭乗している。卑怯な手段を好んで使用するため、切札勝舞の怒りを買うことも多い。「マジック:ザ・ギャザリング」では、裏設定にあるキャラクターの特性能力を借りて、手札やライフポイントなどの補正を得るバンガードでの対戦、デュエル・マスターズカードでは水文明、または味方クリーチャーの能力を共有できるサバイバーデッキを使用する。
愛善 真 (あいぜん まこと)
4人目の四天衆。心優しく、デュエルの才能に恵まれた少年。白凰を深く敬愛しており、切札勝舞に白凰の寵愛を渡すまいと、敗者は焼き殺されるという火炎死決闘を挑む。しかし実際にデュエルした相手は、「デュエルの神殿」に侵入していた黒城凶死郎であり、敗北した結果、焼き殺されそうになったところを勝舞に救われる。
白凰 (はくおう)
日本ジュニア最強のデュエリストの少年。チーム「白い騎士団」を取りまとめている。かつて「デュエルの神殿」に侵入したガルドの刺客から「デュエル・マスターズカード」を守ろうとした際に、右肩から左脇腹にかけて深い傷を負った。またその際に、白凰を庇った母親を亡くしており、それを境に表情も乏しく、自身が強くなる手段として、冷徹な行動をとるようになった。 切札勝舞に敗北した後は、明るく礼儀正しい元来の性格を取り戻し、勝舞や黄昏ミミとともにDr.ルートに師事。「バトルアリーナ編」以降は不亞ザキラに記憶を奪われ、幼児退行を起こしてしまう。非常に個性的な私服のセンスの持ち主。真のデュエリストの1人。
マスター
「デュエルの神殿」を取り仕切っている謎の男性。長い白髪と、顔の左側にある大きな傷が特徴で、常に全身をまとうローブを身に着けている。白凰が最強のデュエリストになるために、冷徹になるきっかけを与えた人物。その言動から、過去に不亞家と因縁を持っていることが推察できるが、詳細は明かされていない。
切札 舞 (きりふだ まい)
切札勝舞の母親。切札勝利の妻。不在の勝利に代わり女手一つで勝舞を育てており、外に働きに出ている。家事に関しては息子である勝舞や、勝舞の友人たちに任せたりと、うまくやりくりしている。デュエルの心得もあり、ドラゴンのかぶり物とマントを身に着け、「ドラゴンマスク」として勝舞の前に立ちはだかることもある。
ゴブリン
「デュエルの神殿」に勤めている神官たち。複数人いるが、いずれも老年の男性で、全員が剃髪して眉もなく、尖った耳を持っている。正式な名称や各自の本名は不明。切札勝舞と角古れく太によって、あだ名として呼ばれ始めたが、のちに白凰やその母親もそう呼んでいたことが判明する。
ジョージ
Dr.ルートのもとで修業するダンディな男の赤ちゃん。修業の辛さに逃げ出した先のカードショップで切札勝舞に出会い、ともに修行することになる。オムツを着用し、動物の耳付きフードがついたカバーオールを着ていることが多い。真のデュエリストの1人。
Dr.ルート (どくたーるーと)
切札勝舞たちのデュエルの師匠。名医であり、自らとのデュエルによって瀕死の重傷を負った勝舞の命を救った。不亞ザキラが警戒するほどの実力の持ち主。NACをちゃん付けで呼ぶなど、計り知れない部分がある。真のデュエリストの1人で、過去に「D・Mバトルアリーナ」に出場した経験も持つ。
鍬形 カブト丸 (くわがた かぶとまる)
「D・Mバトルアリーナ」で切札勝舞と対戦した心優しい少年。クワガタムシのような髪型と、「~だべ」という語尾が特徴。農業を主体に営むだべべ村出身で、高齢者ばかりの中、唯一の働き手として村を支えていた存在。D・Mバトルアリーナには、村人たちの支援を受けて参戦した。
グレート・バケツマン (ぐれーとばけつまん)
不亞幽の恋人で、ヤカンマンの主人。ボロボロのマントに、穴が開いた古いバケツをかぶった年齢不詳の男性。最強のデュエリストとして「D・Mバトルアリーナ」に出場したが、持っていた強力なカードを切札勝舞に託し、自身は試合を途中放棄する。真のデュエリストの1人。
デュエ郎 (でゅえろう)
邪藩牛次郎が自作した二足歩行型ロボット。飛行も可能で、頭部に操縦席があり、搭乗することができる。「デュエルの神殿編」では、牛次郎が操縦するだけの無機質なロボットだったが、「バトルアリーナ編」では自意識も芽生え、喜怒哀楽の感情を表現するようになる。
不亞 幽 (ふあ ゆう)
不亞ザキラの幼い妹。本来は内気で心優しい性格だが、ザキラの命令により覚醒したカードを狙う、冷徹なデュエルハンターとして、「D・Mバトルアリーナ」に潜入していた。ザキラのもとを離れ、恋人のグレート・バケツマンと2人で暮らすようになってからは、切札勝舞に強力なカードを渡すなどの力添えをするようになる。 真のデュエリストの1人。
不亞 ザキラ (ふあ ざきら)
不亞幽の兄。不亞家を取り仕切る当主として絶対的な立場にある青年。腰下まである長い銀髪で、側頭部は鳥の翼のように左右に広がった髪型となっている。人の命よりもカード1枚のほうが重い、という偏執的な考え方の持ち主で、カードを覚醒させることのできる切札勝舞、そして並外れた実力者である白凰を、不亞家に迎えようと試みる。 真のデュエリストの1人。
太田Q (おおたきゅー)
不亞家のデュエリスト。不亞ザキラとともに「D・Mバトルアリーナ」会場を襲った。ザキラ親衛隊の隊長を務める。長身だが球体のように太った体格の男性で、黄昏ミミの「黄昏地獄拳」をもってしても一切のダメージを与えられない。可愛い女子に目がなく、気に入った女子には敬称として名前の後に「たん」を付ける。「Q」の称号を持つ。 真のデュエリストの1人。
P (ぱーふぇくと)
不亞家のデュエリスト。不亞ザキラとともに「D・Mバトルアリーナ」会場を襲った。「不亞家の執事」を自称しているが、年齢、性別ともに不詳。「P」の称号を持ち、自分より格上の称号を持つ者には絶対服従の姿勢を取る。マントの中には、さまざまな拷問道具が隠されている。真のデュエリストの1人。
車掌 (しゃしょう)
不亞家のデュエリスト。白凰の記憶を取り戻すために旅に出た切札勝舞たちが乗った電車の車掌。恰幅がよく、にこにこと人好きのする笑顔の男性だが、デュエル中は、ガスボンベを背負った虫のようなスーツを身に着ける。ザキラと同じ切札を使い、勝舞を苦しめた。真のデュエリストの1人。
H (へんどりくす)
不亞家のデュエリスト。だべべ村でIとともに切札勝舞を襲った。太田Qに育てられたが、「失敗作」とされて牢獄に入れられているほどに凶暴な男性で、歯が牙のように鋭く発達している。本来不亞家のデュエリストは覚醒したカードに触れることができないが、Hの持つ鋼の義手は唯一触れることができる。真のデュエリストの1人。
I (いめるだ)
不亞家のデュエリスト。だべべ村でHとともに切札勝舞を襲った。「おちゃめデュエリスト」を自称する幼い少女で、よくHと一緒に行動している。勝舞を脅す際におもちゃのギロチンを使用したり、Aに対して皮肉屋な態度を見せる。一方で、白凰の容姿に見惚れるなど、見た目の年齢相応の少女らしい一面も持つ。真のデュエリストの1人。
J牧師 (じぇいそんぼくし)
不亞家のデュエリスト。「デュエルの神殿」にいた白凰を、Kとともに襲った男性。不亞幽の教育係としてお仕置きも許されていたため、幽からは恐れられている。身にまとった「守りのマント」は、Kの射出する針のマシンガンをもってしても貫けない。真のデュエリストの1人。
K (きるみー)
不亞家のデュエリスト。「デュエルの神殿」にいた白凰を、J牧師とともに襲った男性。不亞幽の教育係としてお仕置きも許されていたため、幽からは恐れられている。身にまとったマントに付属している鋭い針をマシンガンのように射出し、攻撃することができる。真のデュエリストの1人。
A (あっしゅ)
不亞家のデュエリストの少年。「D・Mバトルアリーナ」の決勝後、不亞幽が不亞ザキラによって不当に監禁されている、と思いこまされていた。げっ歯類のような前歯と、上に向かって大きく曲がった前髪が特徴。最弱の称号の持ち主であるため、Iからは皮肉を言われている。真のデュエリストの1人。
L (らぶ)
不亞家のデュエリスト。不亞城に辿り着いた切札勝舞たちの前に現れた。長い白髪に着流し姿で、キセルをくわえた男性。すさまじい腕を持つ剣豪で、ヤカンマンとグレート・バケツマンとの通信手段を絶ち、Dr.ルートたちの乗ったジェット機を、日本刀一本で一刀両断した。真のデュエリストの1人。
N (ねばー)
不亞家のデュエリスト。細かく巻かれたショートヘアと分厚い唇が特徴の少年。不亞城に辿り着いた切札勝舞の救援に駆け付けた不亞幽たちを拘束した。機械の蜘蛛が張った巣の上を移動し、自身も鉄より固い糸を出すことができる。真のデュエリストの1人。
ヤカンマン
グレート・バケツマンの部下の男性。だべべ村から切札勝舞に合流した。素顔は常ににこやかな笑みを浮かべた優男だが、ヘンドリックスと遭遇してからは、ボロボロのマントとヤカンを身に着けるようになる。ヤカンからはジェット機の翼のようなものを生やし、飛行することも可能。グレート・バケツマンから、命を懸けて勝舞を守るよう命じられている。
集団・組織
白い騎士団 (しろいきしだん)
白凰の率いる、ジュニアデュエリスト最強のチーム。「デュエルの神殿」で修業を終え、最後の審査員による試験に合格した者だけが入団を許可される。団員にはIDカードが配布され、発行されているすべてのカードの閲覧、使用や、コンピューターによるシミュレーション対戦を行うことができる。「デュエルの神殿編」の時点で4万人が在籍している。
四天衆 (してんしゅう)
チーム「白い騎士団」で白凰に次ぐ位置に君臨する4人の総称。各人に1つずつ部屋が与えられており、四天衆全員を倒すと、白凰とデュエルする権利が得られる。切札勝舞に敗北したことで全員が一度追放されたが、白凰が元来の優しさを取り戻してからは、三国と愛善真が引き続き四天衆として在籍している。
不亞家 (ふあけ)
不亞ザキラを当主としたデュエリスト集団。全員が真のデュエリスト。ザキラと不亞幽以外のメンバーに血縁関係はない。各人がアルファベット26文字に対応した称号を持ち、Zに近くなるにつれ、その実力が上がっていく。真のデュエルで、敗北する以外に死ぬことはない。
場所
デュエルの神殿 (でゅえるのしんでん)
チーム「白い騎士団」の拠点となっている神殿。中はデュエル修行の場にもなっており、数多くのデュエリストが集まる。「ゴブリン」と呼ばれる神官が多数在籍する。すべてのカードが収容された「カード館」やシミュレーション対戦用のコンピュータールームなど、規模も大きく、施設も充実している。敷地内には、白凰の母親の墓地もある。
Dr.ルートの研究所 (どくたーるーとのけんきゅうじょ)
四方を崖に囲まれた狭い場所に存在する研究所。Dr.ルートに弟子入りした後、切札勝舞たちが寝食をともにして修行することとなった。崖の側面には、研究所へ通じる階段が螺旋状に刻まれている。内部には普段生活するのに必要な台所などの設備の他、手術室や研究室もある。
不亞城 (ふあじょう)
不亞家の拠点である巨大な城。深い森の中にある荒涼とした岩場に存在する。内部は非常に広く、不亞家のデュエリスト全員の個室やダイニングルーム、玉座を中心とした謁見の間なども備えられている。しかし照明は松明のみとなっており、非常に暗い。
裁きの台 (じゃっじめんとてーぶる)
不亞城の門前に隠された巨大なデュエル場。対角線上に配置された4本の大きな突起が特徴。本来は不亞家の門番が、来客の実力を図るために使用するとされている。来客側のシールドが破壊されると、突起からエネルギーが放出され、破壊されたシールドの数に応じた大きさの火の玉を生む。火の玉の直径は最大で15メートル、摂氏3000度。
イベント・出来事
D・Mバトルアリーナ (でゅえるますたーずばとるありーな)
切札勝舞たちが出場したデュエル・マスターズカードの大会、及びその大会が行われる場所。Dr.ルートの他、かつて切札勝利も出場した大会であり、その大会会場は「聖地」とも呼ばれる。1800人の参加希望者のうち、予選を通過して本戦に出場できるのはたったの8人と、非常に難易度の高い大会。
その他キーワード
デュエル・マスターズカード (でゅえるますたーずかーど)
第7巻から登場する究極のカード。当初は真のデュエリスト以外使えない危険なカードとされていたが、のちに普通の人間が使用する場合には危険を伴わないことが判明。以降は市販もされ、一般の大会も開催されるようになる。
デュエル
「マジック:ザ・ギャザリング」及び「デュエル・マスターズカード」で対戦することを指す。漢字で「決闘」と表記されることも多い。またこの2つのカードゲームプレイヤーたちのことは「デュエリスト」と称され、こちらも漢字で「決闘者」と表記されることが多い。
真のデュエリスト (しんのでゅえりすと)
デュエル・マスターズカードに認められたデュエリストの総称。デッキを持つ手、もしくはカードにかざした手が光るのが特徴。真のデュエリストとなるには、デュエルの実力はもちろんのこと、カードを理解し、カードに対して真摯な思いでプレイングすることが必要とされる。
真のデュエル (しんのでゅえる)
真のデュエリスト同士で行われるデュエル。シールドやクリーチャーの具現化、シールドの破片や攻撃による殺傷が起こる。物語開始当初に負っていたNACのケガもこれによるもので、白凰の母親は、このデュエルによって死亡し、白凰自身の体にも深い傷が残っている。
覚醒 (かくせい)
デュエル・マスターズカードが、膨大なエネルギーを放つようになった状態。カードを覚醒させることができるデュエリストは非常に稀だが、切札勝舞と白凰は、さらに複数枚を覚醒させることにも成功した。覚醒したカードは発光し、互いに共鳴する。また不亞家のデュエリストは、このカードに触れることができない。
クレジット
- テクニカルアドバイザー
-
中村 聡
書誌情報
デュエル・マスターズ 11巻 小学館〈コロコロコミックス〉
第1巻
(2017-05-26発行、 978-4091423962)
第2巻
(2017-08-28発行、 978-4091424198)
第3巻
(2017-12-27発行、 978-4091426024)
第4巻
(2018-03-28発行、 978-4091426475)
第5巻
(2018-06-22発行、 978-4091427274)
第6巻
(2018-09-28発行、 978-4091427977)
第7巻
(2018-12-28発行、 978-4091428301)
第8巻
(2019-03-28発行、 978-4091428936)
第9巻
(2019-07-26発行、 978-4091430472)
第10巻
(2019-11-28発行、 978-4091430854)
第11巻
(2020-03-27発行、 978-4091431684)