暗黒神話

暗黒神話

神に選ばれた存在で、自身にも神話の時代に繋がる謎を秘めた少年山門武をめぐって連鎖する、奇妙な事件の数々。怪物や神の声に遭遇しながら日本各地をめぐる山門武と、彼を追う謎の老人竹内や菊池一彦の率いる集団からの視点を通して、日本古代史の謎や神話・宗教哲学にも通じる謎が少しずつ明らかになっていく古代史と現代劇の交錯するSFミステリー。

概要

10年前殺害された父親について調べることになった山門武は、怪物と遭遇し自分の肩にある謎の傷跡にも大きな秘密が隠されていることを知る。謎の老人竹内や古代豪族の子孫である菊池一彦と出会い、秘密を知るため旅を始める山門武は、怪物たちとの遭遇やインドの神との対話を経て、自分自身が何者なのかという真実へと近づいていくことになる。

登場人物・キャラクター

山門 武

『暗黒神話』の主人公である13歳の中学生。10年前に父親が刺殺された頃から、右肩に蛇の頭に似た形の傷跡があったが、当時の記憶は失われていた。諏訪の尖石考古館で竹内と名乗る謎の老人に出会い、10年前の出来事と父親の死の真相、そして自分自身がどのような運命を背負っているのかを知る旅路に就くことになる。

諏訪の尖石考古館での出合い以降、山門武の周辺にたびたび現れ、進む道などを教えてくれる謎多き老人。まるでその場に竹内自身がいたかのように、邪馬台国の時代や平安時代の出来事を山門武に話して聞かせる。ヤマト... 関連ページ:竹内

慈空阿闍梨

比叡山延暦寺の高僧で、断食や不眠を含んだ非常に厳しい修行を修めたことを示す「阿闍梨」の称号を持つ。高い法力を持つ慈空は、山門武が引き起こした怪現象を鎮める役割を担うこととなる。

菊池 一彦

古代日本の豪族クマソ家の子孫である菊池家の73代目宗主。菊池家の宗主は代々「菊池彦」と呼ばれており、日本神話の三貴神の一柱、スサノオを祖神と崇めている。野心家で強大な力の獲得を望んでおり、それを得る運命にある山門武を執拗に追う。

大神 美弥

菊池家と祖を同じくする大神家の代表として菊池一彦とともに行動していたが、不老不死の秘法を得たいという利己的な欲求から独断専行し、その結果異形の姿に変じることとなる。

大角 隼人

菊池一彦と同じクマソ系の隼人族の子孫。菊池一彦の命に従って行動していたため、山門武と竹内を追い続け、菊池一派の中でもっとも真相に近づく立場となった。

弟橘

日本の記紀神話にヤマトタケルの妃として登場する女性。神話では焼津で野に火を放たれた窮地を脱した後、海に出たヤマトタケルに同行するが、海が荒れ狂ったため海神を鎮めるため自ら海に身を投じる。『暗黒神話』では、焼津の海に面した祠に眠っていた。

ヤマトタケル

日本の記紀神話における英雄で、九州のクマソ征伐や、三種の神器のひとつとされる剣「草薙剣(天叢雲剣)」を携え行った東征の物語で知られる存在。『暗黒神話』では山門武がヤマトタケルの生まれ変わりとされており、物語中の旅路もヤマトタケルの伝説に沿ったものとなっている。

『暗黒神話』に登場する怪物。『古事記』の「国譲り」の段に登場する神で、高天原より出雲の地に降りてきて大国主に国を譲れと迫ったタケミカヅチに抵抗し、諏訪まで逃れたが両腕を引きちぎられ服従したとされる。『... 関連ページ:タケミナカタ

オオナムチ

『暗黒神話』に登場する怪物。『記紀神話』には「天孫降臨」以前の日本(葦原中国)を治める「大国主」として登場。「オオナムチ」は数多く存在する大国主の別名のひとつ。『暗黒神話』に登場するオオナムチは土偶に似た姿をしており、山門武を異空間と運ぶ、ブラフマンの使者としての役割を持っていた。 。

ブラフマン

『暗黒神話』に登場する、姿を持たない声だけの存在。インドのバラモン教・ヒンドゥー教を含めた哲学体系においてブラフマンは宇宙そのものとされ、『暗黒神話』でもそのように描かれている。ブラフマンは山門武に対し、自身の分身を意味するアートマンと呼びかけている。

場所

尖石考古館

『暗黒神話』に登場する施設。長野県の諏訪市に隣接する茅野市にあり、縄文時代の尖石遺跡で発見された文化財が展示されている。『暗黒神話』では、この場所で山門武が竹内と出会うところから物語が始まる。なお、長野県茅野市には「尖石縄文考古館」という施設が実在する。

比留子古墳

『暗黒神話』に登場する、福岡県某所にあるとされる架空の遺跡。山門武が菊池一彦らとともに九州の装飾古墳を巡った際に訪れた。複数の円が描かれた装飾文様は人を催眠状態に導く仕掛けになっていた。諸星大二郎『妖怪ハンター』シリーズの短編「黒い探求者」に登場する遺跡と同じ場所である。

国東半島

九州、大分県東北部に位置する半島で、『暗黒神話』に登場する舞台のひとつ。比留子古墳で催眠状態に陥った山門武が、この山中にある馬頭観音の磨崖仏に左足首を咥えられた逆さ吊りの状態で発見された。また物語中、菊池一彦は馬頭観音のある場所こそが、邪馬台国の中心地だったと語っている。

SHARE
EC
Amazon
logo